すずすさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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ペン偽らず 暴力の街(1950年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

日本映画演劇組合なる労働組合制作で16mm(?)によるセミドキュメンタリー風社会派映画。初公開当時の配給は大映。

銘仙(昭和代に人気の着物)の横流しが横行する埼玉の町を舞台に、新聞社がヤクザ、政治家
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田吾作ロイド一番槍(1927年製作の映画)

4.0

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傑作『用心無用』『人気者』に続く、人気絶頂ハロルド・ロイドのサイレント喜劇。自身の制作会社によるが、監督・脚本などスタッフは本人ではない。

以下は物語ですが、それは重要ではなく、その場その場の細かな
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ロイドのスピーディー(1928年製作の映画)

3.6

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ハロルド・ロイドの制作会社による、全盛期の一本。後半は『スピード』の元祖の様な面白さです。テーマは都会の気忙しさ。ベーブ・ルース本人の特出もある。

傑作3本の後だけに、ギャグの質が特に前半、やや見劣
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キング・オブ・キングス(1927年製作の映画)

4.2

セシルBデミル監督によるキリスト教エピック大作。描かれているのは、キリストが病の子を治す奇跡を起こし、弟子が集いはじめてから磔刑と甦りまで。

当時は画期的カラー(冒頭、終盤のみ)に、数多くの光学エフ
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.7

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良くも悪くも展開が矢継ぎ早。カタールの砂漠、ローマ観光名所のチェイス、夜のベニス、オリエント急行でのアルプス超えを舞台に、展開する暴走するしたAIとの闘い。

毎度の事ながらアクションのクオリティは高
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破戒(1929年製作の映画)

3.5

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セシルBデミル監督、最後のサイレント映画。原題「無神論の少女」と宗教を軸にするものの、愛、脱獄、大火災と盛り沢山。
特に、制作スタッフの傷害を懸念していなかったであろう20世紀初頭、火災場面の迫力は半
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

宮崎駿監督作を『もののけ姫』以来の劇場鑑賞。タイトルから、もっとハイブローで抽象的な内容を想像していたので、物語の構造が今までと変わらない展開に半ばガッカリ。
これなら題名は『トリの国の眞人』で良いで
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殺し屋は放たれた(1956年製作の映画)

-

この邦題はダメだ。
漢字変換したら『殺し屋は鼻たれた』
たら〜〜ん
映画は観てないので、悪しからず。

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

3.8

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ルーカス・ドン監督、32歳、昨年カンヌ映画祭のグランプリ作品。カメラドール受賞の前作『ガール』は未鑑賞。

ゲイ少年へのイジメをきっかけに起こる事件という点が『怪物』と同じです。この題材に対する、時代
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アフリカの光(1975年製作の映画)

3.8

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神代辰巳監督、萩原健一、人気小説、ナベプロ×東宝による『青春の蹉跌』に次ぐ青春ドラマ。

助監督に長谷川和彦。

以下は物語。

知床半島の羅臼。ロシア語のラジオを背負って降り立った2人の男。ジュン(
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ヨコハマBJブルース(1981年製作の映画)

3.5

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松田優作・自らの企画による、横浜を舞台にした探偵映画。映画は彼がライブハウスでブルースを歌ってスタートする。

以下は物語。

ブルース歌手で探偵のBJがファミリーと呼ばれる組織のボスと面会、行方不明
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ドイツ零年(1948年製作の映画)

4.0

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製作UGC(Pathe、Gormontと並ぶフランスのメジャースタジオ)。イタリア人監督ロッセリーニが終戦直後のベルリンを舞台に撮ったネオレアリズモの傑作。まさに汎欧州、EUの発想です。

主役は完全
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ウンベルトD(1952年製作の映画)

3.6

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ヴィットリオ・デ・シーカ監督の極地。独居老人の死ぬに死ねない余生。

なんと、イタリフィルム有限会社が50年代に配給したフィルムで観る。有難いが、字幕のお粗末さに辟易もする。

以下は物語。

老齢年
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ロベレ将軍(1959年製作の映画)

3.6

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『影武者』的な設定の戦闘のない、諜報のみの戦争映画。将軍に扮する羽目になったチンケな詐欺師の結末は--

イタリア・ネオレアリズモ映画の名作。
ロベレになるまでが長すぎるのが残念ですが、イタリア人より
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ベリッシマ(1951年製作の映画)

3.4

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黒澤明に喜劇の才能が無かったように、ビスコンティにも喜劇は向いていなかったのか?私が笑えなかっただけなのか?劇場内も誰も笑ってなかったから、喜劇ではないのか?では、一体何なんだ?

イタリア特有のマン
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越境者(1950年製作の映画)

3.6

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鉱山の閉鎖で職を失ったシシリー島の住人たちがフランスへ越境を試みるが… ピエトロ・ジェルミ監督の社会派ネオレアリズモ・ムービー。

良いのですが、ベタすぎる。

冒頭は鉱山入口で佇む女性たち。鉱山閉鎖
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戦火のかなた(1946年製作の映画)

4.4

MGM製作からはじまり、おったまげる!半分が英語!
見終えると、ロッセリーニは数ヶ国語に通じていただけに、ドラマが複眼的で素晴らしい事がよく判る。

ヴィスコンティの様に貴族らしさは無いが、ロッセリー
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郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942年製作の映画)

3.5

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ビスコンティの長篇デビュー作。この時代(31年)にノワール小説を映画化していた慧眼は、やはり、並外れた天才の証左かも知れません。

今見ると、控えめなエロ描写も、当時の野郎共は爆裂感に溢れてたのでしょ
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自転車泥棒(1948年製作の映画)

3.7

Amazonプライムで観たら英語版じゃないか、表記くらいしてくれ!

私ごときが、今更、何をか謂わんやなイタリア、ネオレアリズモの名作映画なのですが…

友人バイオッコ達と市場で自転車を探す場面、一緒
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殺人カメラ(1952年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

世界遺産の街アマルフィーで撮影された、世にも奇妙なファンタジー。

以下は物語。

海に面した断崖絶壁の街アマルフィー。金持ちは上に、貧乏人は下に住む急坂の町。

写真館の経営者セレスティーノの店に、
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インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

4.0

真新しさはないが面白い。

戦時中のベルリン周辺、マラケシュ、ギリシャのエーゲ海上、シシリー島、そして…最後が肝!
5つの冒険活劇が数珠つなぎ、さすが、ジェームズ・マンゴールド監督の仕事は手堅い。
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彼奴(きやつ)は顔役だ!(1939年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ギャグニー主演、ラオール・ウォルシュ監督のWB製ピカレスク。原題「咆哮する20年代」の名の通り、第一次大戦終わりから禁酒法、狂乱の繁栄を経て、ウォール街の大暴落とその後の大不況という背景を基に描かれて>>続きを読む

アラバマ物語(1962年製作の映画)

3.8

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差別が残る南部を舞台に、弁護士の父と、学校に行き始める娘、その兄による母のない三人家族(お手伝いの黒人女性)の物語。
破綻のない名画らしい名画。

娘を一人称に、子供の目を通して、黒人男性による白人女
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エロス+虐殺(1970年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

吉田喜重監督が、思想家・大杉栄と共に当局(甘糟らしい)に殺害された愛人・伊藤ノエを描いたアート映画。

現代パートは不要な気もしますが、シネスコ・サイズの画面を縦横無尽に使った監督の絵作りが冴えまくり
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戒厳令(1973年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

226の思想的背景となり、民間人にもかかわらず処刑された北一輝の最期の日々を追う、濃密な社会派ドラマ。残念ながらスタンダードサイズ、監督の構図の素晴らしさは半減している。

515と226事件を裏側(
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ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

3.1

『スパイダーマン』同様、主人公の精神年齢が小学生の様な感じで、大人の鑑賞には向かないヒーロー映画じゃないでしょうか。
その為に、マイケル・キートン「バットマン」をキャスティングしたのでしょうが、それで
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

京都の人気劇団ヨーロッパ企画とトリウッドによる低予算映画企画の第二弾。前作『ドロステ』は未見。

程よく面白いが、テーマが無く(敢えて云うなら、多忙な日常からの離脱と癒し)、強く心には残らない。
長篇
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リトル・マーメイド(2023年製作の映画)

3.2

アニメ版のサントラCDを何度も視聴した、アニメ版のファン。音楽は矢張り素晴らしいが、この映画はどうなんでしょう?

アニメ版のイメージを払拭できず、余り楽しめまず!デンマークの作家の描いた人魚姫の世界
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

斬新なビジュアル構成でアカデミー・アニメ賞を受賞した『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編。三部作の第二弾らしく完結しない。

前作で見慣れた手法で驚きはない。

以下は粗筋。

前作『スパイダー
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日曜日が待ち遠しい!(1982年製作の映画)

2.9

ヒッチコックに憧れ、駄作を重ねたトリュフォーのハラハラしないサスペンス。『柔らかい肌』も酷いが、これはもっと酷い。こんな面白くないサスペンスは、中々ない珍品レベル。

友人殺人の嫌疑をかけられた不動産
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終電車(1980年製作の映画)

3.6

『アメリカの夜』が映画の映画。これは演劇の映画。

1942年、ナチス占領下のパリの小劇場。ユダヤ人演出家ルーカスが国外逃亡した後、妻で女優のマリオンが、新たな演出家と舞台を新作『消えた女』の準備中。
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柔らかい肌(1963年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

トリュフォー監督の長篇4作目。評判の良くない部類の映画で、私も同感。

物語は以下の通り。

文芸評論家ラシュネーが妻と娘にキスをして、急いで飛行場へ向かう。「バルザックと金」という書籍が評判で、リス
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ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろ(1953年製作の映画)

3.6

フリッツ・ラングの傑作と称される一本。但し、主人公の刑事の鈍感さに着いていけず、私には並の出来映えにしか思えませんでした。

警察上層部もかかわる巨悪を追い、自分のせいで妻が殺害される主人公。
さらに
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