明石ですさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

あこがれ(1958年製作の映画)

4.0

早く大人になりたい子供たちが大人カップルの恋路をあれやこれやと邪魔立てする話。オムニバム映画の一篇として、脚本なしに全編アドリブで製作されたトリュフォーのデビュー作。文学的な気取りが目立ち、まったく満>>続きを読む

肉体の冠(1951年製作の映画)

4.1

シモーヌ・シニョレ演じるお転婆で気の強い街の人気者を巡って争い、殺し合う男たちの話。溌剌とした社交界の裏側と言うべきか、1人の女性を起点として、殺し合い、収監、脱獄に発展する展開はお見事。最後のギロチ>>続きを読む

ノスフェラトゥ(1978年製作の映画)

4.3

寓話のように美しいドラキュラ映画。

トランシルヴァニアの古城に住む、真っ白なお顔の禿頭紳士「ドラキュラ伯爵」が、ドイツの田舎町にお引越し。町中を恐怖に陥れる話。古典的なドラキュラ物のストーリーを踏襲
>>続きを読む

非情の罠(1955年製作の映画)

3.8

崖っぷちに立たされた落ち目のボクサーが、ギャングの情婦に恋し、彼女と駆け落し失敗、ギャング組織に追い詰められる話。スタンリー・キューブリックの長編2作目。フィルムノワールらしい画面内の暗くざらざらした>>続きを読む

遊星よりの物体X(1951年製作の映画)

3.6

孤絶した僻地で異星から飛来した謎のモンスターに襲われる話。骨子となるシナリオ部分以外、カーペンター御大のリメイク版とは全く違うオリジナル。本作のモンスターはずいぶん奥ゆかしく、最初の1時間は殆ど影しか>>続きを読む

地球の静止する日(1951年製作の映画)

4.8

人類の科学の暴走に歯止めをかけるべく宇宙人が到来、地球人になりすまして暗躍する話。1951年公開のSF映画。地球人と変わらぬ見た目、平均寿命が130歳、銃で撃たれた傷跡も薬を塗ったら全快などなど、この>>続きを読む

嘆きのテレーズ(1952年製作の映画)

4.5

映画のような甘いロマンスに憧れながらも、脚の不自由な夫と小うるさい姑に縛られた結婚生活。そこから抜け出すべく恋仲になった男と組んで●●を殺害してしまう女性の話。前半は砂糖菓子のように甘いラブロマンス、>>続きを読む

ゴダールの探偵(1985年製作の映画)

3.4

これはすこぶる評価が難しい映画ですねえ、はてしなく連なる断片の集積。「探偵」というくらいだから、何らかの事件を誰かが(たぶん探偵が)明晰な思考やら行き届いた調査力やら何やかやで解決するみたいな、ひとつ>>続きを読む

現金に手を出すな(1954年製作の映画)

4.1

弱冠50歳にして全く50歳には見えない圧巻の貫禄を放つジャン・ギャバン主演のフレンチフィルムノワール。オトナの哀愁漂う渋い映画。踊り子役でブレイク前のジャンヌ・モローも出てる。『死刑台のエレベーター』>>続きを読む

ガラスの鍵(1942年製作の映画)

4.0

ハードボイルド小説の始祖ダシール・ハメットの原作の映画化。最近読んだハメットの『血の収穫』が面白すぎたので映画版を探してたらなぜか(代表作なのに)映像化されてなくて、かわりにこちらを鑑賞。ファムファタ>>続きを読む

賭博師ボブ(1955年製作の映画)

3.9

眠たげな目をした夢のような美女と、彼女のパトロンとして裏社会で暗躍する賭博師。愛した女性(全部同じ女性)のために一世一代のカジノ賭博を仕掛ける男たちの話。いやあ、ファムファタールだなあ笑。若いジゴロ風>>続きを読む

悪魔のような女(1955年製作の映画)

4.7

寄宿学校の校長を共謀し殺害する2人の女性教師。睡眠薬入りのウィスキーを飲ませて風呂に沈め、事故死に見せかけて首尾よく殺すも、死体がどこかへ消えてしまい、、というお話。幽霊なのか人怖なのか、、

あのヒ
>>続きを読む

(1960年製作の映画)

5.0

重罪で刑務所に入り同部屋になった5人の男が、友情を育み脱獄を試みる話。まさかの「穴」の開け方が超パワー系で驚いた笑。穴を掘るシーンだけをほぼ固定カメラだけで5分以上見せ続ける演出、天才か、、音を意図的>>続きを読む

ゴダールの決別(1993年製作の映画)

3.8

湖畔に住む平凡な夫婦に神が憑依する話。示唆的かつ哲学的な台詞を中心に話が構成されていて、なんだか後期のテレンス・マリックの映画を観ているような難解さがある。そこに主テーマとしての宗教が絡んでくるので余>>続きを読む

カルメンという名の女(1983年製作の映画)

4.6

バイオリンの演奏をバックに優雅に殺し合い愛し合う凶暴な男女の話。映画なのか純愛なのかあるいは純愛映画なのか。とりあえず凶暴な純愛ではあった。どことなくイザベル・アジャーニ風の、あどけなさを残しつつ華や>>続きを読む

現金に体を張れ(1956年製作の映画)

5.0

130回くらい見たい映画。

うだつの上がらない人生の一発逆転を狙って、大金を稼ぐべく競馬場を襲撃する男たちの話。スタンリー・キューブリックのハリウッドデビュー作。「結婚は長い賭けよ。そうじゃなきゃア
>>続きを読む

恋人のいる時間(1964年製作の映画)

4.2

夫と息子がいながら不倫を重ねずにはいられない女性の日常へのクローズアップ。上手くいかない愛を抱えた彼女の倦怠と、彼女を取り巻く周囲の人間のフラストレーションが画面越しに伝わる生々しい作品。愛と快楽はど>>続きを読む

アルファヴィル(1965年製作の映画)

3.9

「非論理的な行動」を取ったら処刑される近未来都市アルファヴィルを潜入調査した男の話。ディストピア的な世界観でレイモンド・チャンドラー風のハードボイルド劇をやりつつ、フィリップ・K・ディックのSF小説を>>続きを読む

生き残るヤツ(1971年製作の映画)

4.1

クリント・イーストウッド似の色男がドラッグにハマり、ヤクザへの借金と薬の禁断症状で首が回らなくなり、人生を破滅させる話。恋人ともども堕ちていく姿にニューシネマ的なスタイリッシュさがあって清々しい。ヤク>>続きを読む

ドアをノックするのは誰?(1968年製作の映画)

3.8

アメリカ人は皆ジョン・ウェインの西部劇を見るべきだと信じているマッチョなワイズガイが、恋した女性の抱える秘密と、組織でのしがらみの間で葛藤する話。

三流マフィアの日常の愉快で荒削りな数コマを切り取っ
>>続きを読む

軽蔑(1963年製作の映画)

4.2

売れない推理小説を書き、夢のある満ち足りた生活を送っていた男が、お金を求めて華々しい映画の世界に飛び込んでからというもの、キャリアも妻との関係も何もかも上手くいかなくなる話。愛にしがみつく男と、愛にし>>続きを読む

ロバート・デ・ニーロの ブルーマンハッタン/BLUE MANHATTAN I・哀愁の摩天楼(1970年製作の映画)

4.8

望遠カメラで人々の私生活をこっそり撮影し、覗き見芸術を作ろうとする頭のネジが外れた男の話。ブラックコメディ全開のデパルマの初期のインディペンデント映画。主演は誰だかよく分からないどジャケットに写ってる>>続きを読む

女は女である(1961年製作の映画)

4.5

愛していながらもすれ違う若い夫婦の恋模様を歌とダンスに乗せたゴダールのミュージカル風映画。作風はコメディ色強めのドタバタ劇になっていて、ちょくいょく大笑いしながら見た。少し世慣れた庶民的な間男のジャン>>続きを読む

マイ・ルーム(1996年製作の映画)

5.0

白血病を患った叔母のドナーとなるべく彼女を訪ねるやさぐれ母子のお話。家の中に所狭しと並ぶ薬を映した個性的なオープニングショットから引き込まれた。やさぐれシングルママをメリル・ストリープが、母への反抗心>>続きを読む

ミッション(1986年製作の映画)

4.3

スペイン人の入植者が布教を口実に現地人を奴隷にしていた17世紀の南米を舞台に、人間狩りに勤しむ人でなしの奴隷商人(ロバート・デニーロ)が、博愛主義に満ちた宣教師と、純朴な原住民との触れ合いで会心、神父>>続きを読む

トラブル・イン・ハリウッド(2008年製作の映画)

4.5

ラストで犬を撃ち殺す映画を作って総スカンを喰らったり、主演に雇ったブルース・ウィリスが髭を剃らなかったりで窮地に追い込まれる多難な映画プロデューサーの話。『ワグ・ザ・ドッグ』や『ウィザード・オブ・ライ>>続きを読む

小さな兵隊(1960年製作の映画)

4.1

出会えば5分で恋に落ちると噂の魅惑のデンマーク人スパイと、5分で彼女と恋に落ちてしまった報道カメラマンの話。アルジェリア紛争が背景にあるようで、何やら現代フランスの歴史に疎い私には預かり知らぬスパイ劇>>続きを読む

フローレス(1999年製作の映画)

4.5

脳卒中で半身の自由を失った、“オカマ野郎”に偏見のある昔気質の堅物デカと、ゲイのドラッグクイーンが紡ぐ友情の物語。半身付随というテーマ自体が怖くて長い間見ずにきた本作を、フィリップ・シーモア・ホフマン>>続きを読む

女と男のいる舗道(1962年製作の映画)

4.3

憧れのパリにやってくるも、現実の厳しさに揉まれ、娼婦へ身を落とすことになった女性を取り巻く12の風景。どこか世慣れていない、けれども年不相応に疲れたような当時22歳のアンナ・カリーナの演技に見惚れる。>>続きを読む

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

4.4

警官を殺して逃亡する男と、アメリカからやってきた魅惑の新聞記者の恋愛譚。女性と寝ることしか考えてないのかと思いきやとことんキザで男前な主人公、自立を好む(60年当時としては)先進的な超ショートカットの>>続きを読む

ニュー・ワールド(2005年製作の映画)

4.1

17世紀初頭にヴァージニアへ入植、アメリカを作った建国の父たちの話、と思いきや、美しき先住民の王女(ポカホンタス)と恋に落ちた2人のイギリス人の物語でした。コリン・ファレルとクリスチャン・ベイルと男性>>続きを読む

気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.3

殺人を犯したカップルの洒脱でロマンチックな逃避行。「島へ逃げてどうするの?」「ただ生きるだけだ」「そんなのつまんないわ」「それが人生さ」てな感じの良慣れた会話が終始続き、ええ映画や、としみじみ思いなが>>続きを読む

メイド・イン・USA(1967年製作の映画)

4.2

女殺し屋を主人公にしたゴダールのミステリー風犯罪映画。主演は彼の奥さんであり詩神でもあったアンナ・カリーナ(何度聞いてもアンナ・カレーニナって言いそうになる笑)。色使いが独特で、すんごい散文的な映画。>>続きを読む

暗くなるまで待って(1967年製作の映画)

4.3

盲目の美女の自宅に強盗が入るという超シンプルな筋書きながらとても評判の良いワンシチュエーションスリラー。監督は『007』の生みの親テレンス・マリック。妙齢を迎えたオードリー・ヘプバーンの腺病質な演技が>>続きを読む

名もなき生涯(2019年製作の映画)

4.6

第二次世界大戦下のオーストリアを舞台に、兵役を拒否すれば問答無用で死刑を求刑されるナチ政権下で、頑なに兵役を拒否し続けた名もなき農夫の話。カトリックの教会までもが「祖国への義務」として兵役を勧める中、>>続きを読む

オードリー・ヘプバーン(2020年製作の映画)

4.7

「人生で成し遂げた一番大切なことは、苦しみをあとから助けにできたこと。そして無条件に愛せたこと」

ナチ占領下のオランダで愛と食に飢えた灰色の少女時代を過ごし、バレリーナを目指してロンドンに渡るも、戦
>>続きを読む