通りすがりのアランスミシーさんの映画レビュー・感想・評価

通りすがりのアランスミシー

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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.3

この人は絶対にこういうのに興味ないだろうなと思っていたが、まさかのスピルバーグの私小説的な映画。
この人は子供のころ宇宙人の友達がいたり、恐竜を見たことがあったり、アークを探す冒険に出たことがあるに違
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

4.5

ランティモス監督の『哀れなるものたち』が素晴らしかったので、気になって後追いで鑑賞。
アン女王は歴史上さほど重要な存在ではないが、どうも残された記録から本当にバイセクシャルだったらしい。
よくあるコス
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.5

湯浅政明監督の『マインド・ゲーム』を実写化して『マトリックス』風の味付けをしたような斬新な作品。
CGはおそらくは最低限しか使われておらず、カメラワークと編集テクニックでトリップするような幻想的な映像
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.5

1920年代のアメリカ、先住民居住地でおきた連続殺人事件の実話を元にしたスコセッシお得意の犯罪実録もの。
『アイリッシュマン』のやり方をそのまま踏襲するのかと思いきや、「グッドフェローズ」と「沈黙」を
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.6

シェイクスピアと大作映画で手腕を発揮してきたケネス・ブラナーのまさかの私小説。
今までも時々現代劇を手掛けることはあったが、本作だけ明らかに毛色が違う。今回、ブラナーは出演せず監督に専念。いつもとは違
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.5

フランス映画ながらアカデミー賞はじめメインストリーム系の賞で高く評価されているので、正統派にサスペンスかと思っていたがやっぱりフランス映画だった。
フランス、イタリアはラテンの国なのになぜこのような暗
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

4.2

名作ミュージカル「ウエストサイドストーリー」の再映画化。
原作は古典的名作、脚本はトニー・クシュナー、監督はスピルバーグ。
これで駄作が出来る筈も無い。
1960年代と2020年代では技術レベルが比較
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.7

評判は聞いていたがまさに現代版『フランケンシュタイン』だった。
しかもクリーチャーが「愛された」バージョンの『フランケンシュタイン』だった。
加えて『ピグマリオン』と『嵐が丘』の匂いもする。英文学の歴
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ターミネーター ニュー・フェイト(2019年製作の映画)

4.0

「ターミネーター3」以降を無かったことにして作られた正統派の続編。
ファンムービー的な要素満載で楽しめたが、どうしても過去作の焼き直し感は拭えず、「ターミネーター2」ほど熱くはなれなかった。
全体的に
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

4.0

ヤングジャンプで長期連載されていた人気コミックのまさかの実写化。
凡そ実写に向かない題材だと思っていたが、最後までほぼ苦痛なく鑑賞で来た。
マンガ実写はペラペラ衣装のコスプレ大会になりがちだが、原型を
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岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

4.0

良くも悪くもテレビシリーズとほぼ同じだった。
違う点を挙げるならロケが大規模だったことぐらい。
面白かったし、普通に楽しめたがだったらテレビでやって欲しかった。

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.0

まず技術は文句なしに素晴らしい。
山崎監督は日本映画界でもVFXに限れば頭二つ分ぐらい抜けた存在だと思う。
今回は昭和レトロ(『ALWAYS 三丁目の夕日』)、太平洋戦争(『永遠の0』)、異形のモンス
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正しいアイコラの作り方(2024年製作の映画)

4.0

なろう掲載ラノベの実写化。
原作者の水月氏は別作品で商業デビューしているが、「正しいアイコラの作り方」は商業化されていないとのことで、インディーズ小説を映像化したインディーズ映画ということになる。
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マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

4.1

スター俳優ブラッドリー・クーパーの監督・主演作第二弾。
「スター誕生」と同じく音楽ものだが、今回はクラシックで20世紀音楽界の偉人、レナード・バーンスタインを題材にしている。
偉人バーンスタインの天才
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ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

4.2

大物監督ウェス・アンダーソンの珍しい短編映画。原作はロアルド・ダールだがたっぷりとアンダーソンの作家臭がする。相性が良いのだろう。
お馴染みの左右対称構図の多様に、書き割りのような奥行きの無い画面構成
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RRR(2022年製作の映画)

5.0

最初から最後まで自然な展開も自然な描写も一つも無い、あまりにも味の濃すぎる映画。
起承転結が10分に1回ぐらいある。
179分はあまりにも長いが、こんなイカれた物語は3時間無ければ描けないだろう。
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

5.0

124分間一度も中だるみしない奇跡のような映画。
原作者、井上先生の演出が凄すぎる。余分なカットも余分なシーンも何一つ無い。
体感時間は1クオーターぐらいだった。
凄すぎる。

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.6

マーティン・マクドノーお得意のブラックコメディー。
舞台がアイルランドの小さな島に限定されているため、前作の「スリービルボード」よりも更に舞台的でソリッドな作りになっている。
映画と言うより舞台的な作
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MEG ザ・モンスターズ2(2023年製作の映画)

3.5

今まで様々なジェイソン・ステイサムを演じてきたジェイソン・ステイサムが環境保護活動家のジェイソン・ステイサムを演じて新境地を開拓した斬新な映画。
とにかくデカいサメにジェイソンが生身で勝利する展開が斬
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野球どアホウ未亡人(2023年製作の映画)

3.0

このアングラ臭は嫌いではないし、なんなら結構笑えたがこれを長編でやれらるのはキツい。
監督の話ではもっと短かかったらしいが、一本で上映が出来ないので長く編集したとのこと。
短編でやって欲しかった。

在りのままで進め(2023年製作の映画)

1.0

星2つぐらいのメロドラマが延々と続く、悪い意味で日本の商業映画のようなインディーズ映画。
技術と演出は安定しているが、内容があまりにも陳腐過ぎて駄目な商業日本映画の駄目な要素をかき集めたパッチワークの
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在りのままで咲け(2023年製作の映画)

1.0

「え?それで?」が観終わった正直な感想だった。
終わり方に驚いたが、驚かせれば良いわけでは無い。
演出、撮影、録音はしっかりしていたが、内容が内容なので興行的にも批評的にも失敗した商業作品の失敗作のよ
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階段下は××する場所である(2021年製作の映画)

3.8

WEB小説の映像化作品……と聞くといかにも1・5流商業映画っぽいが、さにあらず本作は個人製作のインディーズ映画で、原作は「小説家になろう」に掲載されてはいるが商業出版されていない。
いわばインディーズ
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TENET テネット(2020年製作の映画)

4.3

作品を発表するたびにどんどんスケールが大きくなっていくクリストファー・ノーランの最新作。
今回はスパイスリラー+タイムトラベル。
「難解」という意見が散見されるが、中身はいつも通りのノーランで「世界を
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劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel Ⅲ.spring song(2020年製作の映画)

4.3

お馴染みオタク御用達の中二病映画完結編。
ufotableの映像美はすごい。
あれほど細密な画でグリグリ動かすのはもはや狂気としか思えない。
純粋な映像として大いに楽しませてもらった。
残念なのは脚本
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ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

4.7

アルフォンソ・キュアロン二度目のアカデミー賞受賞作。
超大作SFの前作から一転し、メキシコシティを舞台にした自伝的小品。
正直言って面白くはないが、素晴らしい映画。
ロングショットを主体に画面を動かし
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アイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.4

「グッドフェローズ」「カジノ」と同系列のスコセッシ印実話ものマフィア映画。
モノローグと音楽を大量に使い、流れるように構成した映像は「グッドフェローズ」以来のおなじみの形。
今までとの違いは、画面のオ
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パプリカ(2006年製作の映画)

4.3

不摂生がたたって早世してしまった今敏監督の遺作。
内容は「狂ってる」の一言に尽きる。
こんな狂ったものを作れたのも不摂生で無茶苦茶な生活をしていたおかげなのかもしれない。
言葉遊びのセンス(意味不明)
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日本沈没(2006年製作の映画)

2.3

SFの金字塔『日本沈没』の二度目の映画化。
樋口監督はさすがの手腕で、特撮が関わる部分の演出は普通によく出来ている。
が、それ以外の部分がイチコロに酷い。
ラブストーリーの要素を足そうがウェットなドラ
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日本沈没(1973年製作の映画)

4.5

小松左京のSFの金字塔『日本沈没』の一度目の映画化。
日本が沈没する未曽有の危機に対する行政と専門家の対応を俯瞰するような、群像劇的作りになっている。
日本だけが都合よく短期間で沈没する設定はウソまみ
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劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ(2018年製作の映画)

4.3

昭和のヒット作『シティ・ハンター』のまさかの21世紀版新作アニメ。
舞台は2019年で、スマホやドローンが普通に出てくるがノリが完全に昭和。
きっとこの世界では昭和天皇が崩御していない、パラレルワール
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アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

4.3

「ナンシー・ケリガン襲撃事件」の中心人物トーニャ・ハーディングの半生を描いた実話ベース映画。
ホワイトトラッシュ(アメリカの底辺白人)の人生を垣間見るようなつくり。
出てくる人物が困った人だらけで、冷
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ホームレス ニューヨークと寝た男(2014年製作の映画)

4.0

元モデルでファッションフォトグラファー。ハンサムでオシャレなのにホームレスという属性もりもりなマーク・レイという男性を追いかけたドキュメンタリー。
真夏は溶けるように暑く、真冬は極寒地獄のニューヨーク
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マージン・コール(2011年製作の映画)

4.1

リーマンショックをモデルに、金融危機時の大手投資銀行内部を描いた金融サスペンス。
相当な低予算で作られたらしく、全編の9割がたがオフィス内の室内シーン。
会話の量が非常に多く、『ウォール街』や『マネー
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シェイクスピアの庭(2018年製作の映画)

4.0

文豪ウィリアム・シェイクスピアの引退から死去までの3年間を描いた歴史映画。
晩年のシェイクスピアに関する確かな資料は遺言ぐらいしかないが、この遺言が大いに活かされている。
謎だらけの人物であるシェイク
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魂のゆくえ(2017年製作の映画)

4.1

40年越しの老成した「タクシードライバー」
主人公のモノローグを骨格に陰鬱な物語が進行していくはまんま「タクシードライバー」。
だが、この40年でシュレーダーも老成したのだろう。
「タクシードライバー
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