通りすがりのアランスミシーさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)

4.5

「音を立てたらお終い」というソリッドなシチュエーションに絞ったことが最大効果を発揮している素晴らしいホラー・サスペンス。
音を立ててはいけない故に音が素晴らしい効果を発揮しており、90分に上映時間をま
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もう走りたくない(2017年製作の映画)

3.9

山下敦弘の初期作品のようなオフビートな味わいのインディーズ映画。
日大芸術学部の卒業制作だったらしいが、フィルム撮り全編ロケ撮影という野心的な作りで、ロケーションを活かしたロングショット主流の構成、デ
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別離(2011年製作の映画)

4.6

イランの中流階級夫婦が抱える問題を描いたシリアスドラマ。
ほぼドグマ95のルールに従った作りでBGMなし、特機なしほぼオール手持ちという正直って見ているのがしんどいタイプの映画だが、内容は素晴らしい。
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セッション(2014年製作の映画)

4.7

「ララランド」のデミアン・チャゼルの長編デビュー作。
音楽という題材を通して人の狂気を描いたすさまじい映画。
それでいてエンターテイメント性が失われていないのが凄い。
上映時間はわずか106分で一切の
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楽園追放 - Expelled from Paradise -(2014年製作の映画)

4.5

どこかで見たような設定だらけのありがちな話を一流のスタッフが集まって徹底的に練り上げたらどうなるか?
そのもっとも高品質な例がコレ。
ベタなのは何も悪いことではない。
万人受けするモノが何故万人受けす
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グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.5

ヨーロッパの架空の国の架空のホテルを舞台にした群像劇。
徹底的に体温の低い話ばかり作ってきたウェス・アンダーソンだが、何かしらの心境の変化でもあったのかホロリとさせられる温かみのある物語に仕上がってい
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変態 ~metamorphose~(2014年製作の映画)

2.5

内容的にはいかにもなインディーズ映画。
少女二人の動向をある種の変態性を感じさせる視点で描いている。
はっきり言って私には理解不能な類のゲージツ映画であり、こういう人とは根本的に感性が合わないのだろう
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ラブ・アクチュアリー(2003年製作の映画)

4.5

クリスマス直前のロンドンを舞台にした群像劇的ラブコメ。
キャラクターの描き分けが秀逸で、「群像劇はこう書くんだよ」というある種の理想例。
ポップミュージックをちりばめたサウンドトラックも素晴らしい。

フォー・ウェディング(1994年製作の映画)

4.3

ロマンスにブラックコメディーのワサビをきかせたいかにも英国的な風情の映画。
後に映画監督としても活躍するリチャード・カーティスが脚本を担当しているがこの人のコメディセンスは素晴らしい。

一文字拳 序章 -最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い-(2018年製作の映画)

3.8

インディーズでは非常に珍しいアクション映画。
低予算ながら歯切れの良い編集と俯瞰アングルを混ぜた巧みな構成で非常に見せる演出をしている。
インディーズ映画の多くが自己主張に終始するのに対して、観客を楽
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ピラニア 3D(2010年製作の映画)

4.0

3Dでオッ〇イとチ〇コとゲロが飛び出す、おそろしく知能指数の低い映画。
すさまじく無内容だが笑えるので、まったく悪感情は無い。

ザ・レイド(2011年製作の映画)

4.1

まともなストーリーどころか、まともなセリフすら殆どない恐ろしく高純度なアクション映画。
プンチャック・シラットを主体にした肉弾アクションが最高だが、それだけで100分間見せきるギャレス・エヴァンズの演
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その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.1

後に巨匠と評価される北野武の監督デビュー作。
今のところ唯一の、武が自身で脚本を書いていない映画だが、キタノ色は物凄く濃い。
単純にクレーンやドリーに使い方がわからなかったため(本人談)ほとんどフィッ
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劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel II. lost butterfly(2019年製作の映画)

4.1

まず最初に欠点を言うと、脚本。
原作の重複表現まみれの悪文(中毒性のある悪文)を再現してしまった冗長な語りはいただけない。
原作への愛が強すぎて、余計な部分を切れていない。
これはstudio ufo
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マネーボール(2011年製作の映画)

4.6

スポーツ映画なのに、選手でも監督でもなくGM(チームの編成担当)が主人公という異色作。
原作はノンフィクションではっきりした筋が無いのに、一本の筋が通った映画になっているのがまず驚き。
脚色しすぎと思
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夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

4.6

なんだかんだで運命だから惹かれあうんだよという身もふたもない、極小スケールの話をセカイ系演出のスケール感で包んだ素晴らしいアニメ。
湯浅監督の作る映像はデフォルメさせた絵でグリグリ動かすスタイルで、長
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グラン・トリノ(2008年製作の映画)

5.0

スター俳優クリント・イーストウッドと名監督クリント・イーストウッドの妙技が同時に味わえる一粒で二度おいしい映画。
従軍歴のあるニヒルで偏屈なジジイなどこの人以上に説得力を持って演じられる人はいないだろ
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エレファント・マン(1980年製作の映画)

4.5

「イレイザーヘッド」「マルホランドドライブ」など抽象的、支離滅裂な前衛芸術的芸風を売りにしているデヴィッド・リンチの非常に珍しいストレートなドラマ。
リンチ得意のグロテスクな造形はそのままで、「気持ち
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劇場版 空の境界/第五章 矛盾螺旋(2008年製作の映画)

4.3

中二がノートに書きなぐった妄想のような脚本(誤解の無いように言っておくが大好き)を演出とアニメーション技術で最高峰の映像表現まで押し上げたすごい映画。
空間を360度使い切ったアクションシーンの演出は
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ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

4.8

シリアスなのにコメディーで、誰も歌ってないのにミュージカルというすごい映画。
比較的低予算で映画を作ってきたエドガー・ライトだが、今回はちゃんとハリウッド映画。
金をかけたお遊び感満載の演出が最高に楽
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ショーン・オブ・ザ・デッド(2004年製作の映画)

4.5

ゾンビ自体はシリアスなのにコメディーとしてちゃんと成立しているというウルトラC難度を成立させている変化球コメディー。
ゾンビから西部劇、ミュージカルまで引用したパッチワーク的演出も面白い。
パロディを
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デビルマン(2004年製作の映画)

2.0

支離滅裂な脚本と超絶棒読み演技が前衛芸術を連想させる日本映画史に残る珍作。
本作と比肩しうる映画は「北京原人 who are you?」「千年の恋 ひかる源氏物語」「シベリア超特急」ぐらいしか思いつか
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千年女優(2001年製作の映画)

4.6

一人の大女優の生涯を幻想的な映像美でつづったアーティスティックなアニメ。
まるで一本の絵巻物を見ているような流麗なカットつなぎにはため息が出る。
今敏作品の多くがそうであるように、本作も最後にたどり着
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千年の恋 ひかる源氏物語(2001年製作の映画)

2.0

古典文芸映画なのにホラーでミュージカルというトンデモな珍作。
ちぐはぐな構成でどうリアクションしたらいいかわからない映画だが、笑えるので特に悪感情はない。
脚本家の早坂暁は名作も残しているが、晩年は血
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北京原人 Who are you?(1997年製作の映画)

2.0

全編がツッコミどころの地雷原のような天然ボケ映画。
支離滅裂、荒唐無稽でまともな部分を探すのが困難。
普通に楽しむのは無理だが、ほろ酔い状態で見るには最高。
なので特に悪感情は無い。

ダイナマイトどんどん(1978年製作の映画)

4.0

名匠・岡本喜八監督の痛快コメディ。
ヤクザたちが野球で勝負するというコンプライアンス違反必死の内容で荒唐無稽だが底抜けに楽しい。
シリアスヤクザものがずらっとフィルモグラフィーにならぶ文太さんのコメデ
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コンテイジョン(2011年製作の映画)

4.0

新型ウィルスの世界的アウトブレイクを描いたサスペンス。
状況そのものを俯瞰するような作りでドキュメンタリーを思わせるような生々しさがある。
惜しむ点は出演者がスターぞろいなこと。
スター俳優たちが不要
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ユナイテッド93(2006年製作の映画)

4.6

私のようなインディーズ映画を見まくっている人間にとって「誰が出演しているか?」はもっともどうでもいい問題なのだが、「有名俳優が出ている」がいい映画の絶対条件でないことを証明している一本。
本作において
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カールじいさんの空飛ぶ家(2009年製作の映画)

4.8

子供向きのピクサー製アニメでも異色なおじいちゃんが主人公のアドベンチャー。
子供の読解力で分かるように作られているが、それでいて大人の心にそれ以上によくつく刺さる。
特に冒頭シークエンスのおじいちゃん
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ウォーリー(2008年製作の映画)

4.7

高品質なアニメを連打しているピクサーの代表的な一本。
主人公はロボットで言葉を話さない。
なので前編においてセリフが極端に少ないが、それにも関わらず何が起きているのか明確にわかる。
これはすごいこと。
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理由(2004年製作の映画)

4.3

事故物件ぞろいの宮部みゆき原作映画には珍しい良作で、なおかつ限りなく原作に忠実な映画。
宮部作品は莫大なディティールの積みかさねでできているが、大林監督は膨大なセンテンスを膨大なセンテンスで迎え撃つと
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アントマン&ワスプ(2018年製作の映画)

4.2

マーベルユニヴァース20作目でアクションコメディ『アントマン』の続編。
世界を揺るがす発明品の追跡劇が家族の話として収束していく。
スケールが大きいのか小さいのかよくわからない話だ。

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)

4.1

ブラッドリー・クーパーとレディー・ガガを堪能するためだけに作られた高純度なアイドル映画。
演出は正攻法すぎて面白みがないが、そんなことはこの際どうでもいい。
「歌」というわかりやすい要素のお陰で、ガガ
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ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)

5.0

宇宙で船外活動中にトラブルに遭遇した宇宙飛行士が決死の覚悟で帰還を果たすという超シンプルなサスペンス。
無駄を徹底的に排除した脚本(91分にまとまっている)も素晴らしいが、最初から最後まで度肝を抜かれ
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七人の侍(1954年製作の映画)

4.9

言わずと知れた日本映画の金字塔。
「この映画の何が凄いか?」と言われると「ほぼすべて」としか言いようがない。
「野武士から村を守るために百姓が浪人を雇う」というシンプルな動機から出発する物語はアクショ
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さらば大戦士トゥギャザーV(2016年製作の映画)

3.2

最初に言っておくと面白くはなかった。
なかったが冒頭の昭和特撮ヒーローリバイバル映像だけでも見る価値は十分にあったと思う。
冒頭10分が過ぎたあたりから映画のテンションがだだ下がりしてしまうのだが少な
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