ドンシーゲルくらいのサスペンスの名手になると、廊下の端から走って受話器を取れるか取れないかにも異常な緊迫感を生み出してしまう
エルヴィスをこの配役にしたのがすごい。西部劇というジャンルへの批判と重ね合わせながら、アメリカの開拓を批判的に捉える。
それにしても冒頭で平和な西部劇ミュージカルかなにかと思わせてからの落差が…
『シャドウプレイ』もそうだが、街のアンニュイな空気を画として捉えるのが巧みと感じる。
個人と社会の麻痺を描き出すという点で、ジェームズ・ジョイスの短編集『ダブリン市民』をどこか思わせるところがある。
「登場人物、全員悪人」というキャッチコピーがピッタリくるくらいあらゆる種類の暴力に満ち満ちた映画だが、同時に「登場人物 全員凡人」とも付け加えたくなる。80年代以降の激動の社会で翻弄された登場人物たち>>続きを読む
スカッとコリアとでもいうべきヴァイオレンス・コメディ映画としては素晴らしいのだが、『哀しき獣』といい在韓朝鮮族中国人表象はこれでいいのかとも思ってしまう
Wikipediaには「中学生たちのいじめ、恐喝、万引き、援助交際、レイプ、殺人、自殺など社会の闇の部分」が描かれてるとあるが、要は日本の地方都市あるあるが詰め込まれている。
あと映画紹介には「美し>>続きを読む
初めて見た岩井俊二作品。90年代にしか撮れないグランジ・オルタナ映画(特にサントラ)という感じ。ケント・フリックがとても良い役を演じてる。
岩井俊二は日本映画史から浮いてるみたいな評判を聞く割に、黒>>続きを読む
『君の名は』も『天気の子』もちゃんと見てないので何も言う資格はないのだが、のちの作品に繰り返し出てくるもの(日本の都会/田舎の対立、日常を超越したスケールのものへの憧憬、恋愛中心主義)の芽生えのような>>続きを読む
他のウォン・カーウァイの多くの作品とは対照的というか、真逆に、ストーリー、設定は面白そうなのに中身が微妙な一作。所々いいところもあるが、いささか冗長
『裁かるるジャンヌ』でもそうだが、周囲から見れば狂気に映る信仰というのがドライヤーの好む主題なのかと思う。もう少しキリスト教を勉強してから見ればよかったと思ったが、ブレッソンと同様にこの映画の白黒の陰>>続きを読む
どんなトーキーよりも雄弁に、信仰と自らの生との間で揺れ動くジャンヌを描き出すサイレント映画。
映し出されるのはラストの暴動のシーンを除き、ほぼ審問官とジャンヌの顔のクロースアップという作品だが、それ>>続きを読む
金城武がひたすらかわいい映画。
いかがわしいまでに眩しいネオンの光とそれが際立たせる都市の闇、湿気のある香港はノワールを撮るのに最適な街なのだと改めて気付かされる。
ジョン・ウーの2丁拳銃とウォン>>続きを読む
映画情報を見ると、Directed by, Written by, Produced by, Starringに並ぶ怒涛のタヒミックで笑ってしまう。
ランボーの詩のように、言葉はIl y a ...>>続きを読む
「イタリア人はマフィア」という使い古しのステレオタイプだけなら詰まらないが、そこに「イタリア人は唯美主義者」というステレオタイプを絡めた点が面白かった
全体的に絵と運動で笑わせる優れたサイレント・コメディ。
YMCAの代表としてソ連を訪れる小鳥を愛でる優男風のアメリカ知識人と、ソ連の通りで混乱して通行人に発砲する護衛のカウボーイのアメリカ人の組み>>続きを読む
作家のデビュー作に全てがあるとよく言うが、少なくとも今敏にはこれが当てはまる。『パプリカ』の人格分裂、『千年女優』の母と父(『千年女優』では実母と映画会社、本作ではマネージャーと事務所社長)の間で引き>>続きを読む
ソ連を戯画的に描いた作品(偉そうなロシア人、ナチュラルに下に見られてしまうグルジア人の構図、賄賂に弱い公安など)とも、ソ連に対する国際的な視点を風刺してるとも読める複雑な作品だが、そのまんまぼーっと見>>続きを読む
ボルヘスの「バベルの図書館」的なコンセプトを感じる。文字の無限の組み合わせを全て本に収めた図書館には、必ず自分の運命を正確に人生の最期まで書き記した一冊もあるだろう。
だが、そのような図書館にはそれ>>続きを読む
マルクス(『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』)、ノースロップ・フライ、そして最も辞書的な定義と三つの意味での喜劇。
みんなで酒を飲み、みんな同じ女とセックスをし、みんなで銃を撃つ非常にプリミティブなコミュニティの映画。
銃はしばしば男根の比喩になる訳で、それで主人公がセックスに失敗した後に銃をバンバンと撃ってカン>>続きを読む
第二次大戦末期のイタリアのファシストが逃げ込んだ洋館で集めた少年少女をさまざまな倒錯した方法でひたすらに嬲る。
最初は思わず目を背けたくなるようなエログロ情景が繰り広げられるが、次第に目を背けていた>>続きを読む