最後の池のショットは(元々ブレッソンは画家志望であったことをふまえても)明らかにミレーのオフィーリアを意識している。重要な違いはオフィーリアは死して水に浮いていて、ムシェットは沈んで浮かび上がってこな>>続きを読む
美しいシーン、印象的なシーンはいくつかある。たとえば前者は最後の降りしきる雪、後者は公安の仕事をするかたわら夜は女性の部屋を覗き着替えなどを盗み見ている男性を焦点人物の歴史教師の女性ガビが見つけ、話し>>続きを読む
大前提として、キャスティングには不満しかない。別段歴史的考証に忠実に沿わないキャスティングすべてがかならずしも悪いわけではない。BBCが製作したシェイクスピア劇のアダプテーション『ホロウ・クラウン』>>続きを読む
森繁久弥のナレーションによる銀座の小路が持つ意味への言及など都市が一つのテーマであることは明らかだが、個人的には大阪と東京という二つの都市の対比が面白かった。
まずのっけから、東京をひねくれて描いて>>続きを読む
銃はしばしば男根に喩えられるが、大地主の娘を妊娠させ逃げた男の首に懸賞が掛けられることをめぐる映画である本作品が、銃口を覗き込むような不可思議なショットでいささか唐突に終わるのは意味深長
何度か映し出される関帝廟の関羽像と教会の聖母マリアのクローズアップが象徴するのは中国文明と西洋文明の交わる香港という土地だけでなく、この映画における人間の姿でもある。
『英雄本色』(『男たちの挽歌』>>続きを読む
北野武やタランティーノからしっかりと影響を受けつつ確実に乗り越えている感
爆発したり車ぶつけたり銃撃った後の余韻が他の監督よりも目立つし、また心地よい。暴力的な松尾芭蕉
映画冒頭で「消防隊」が踏み込むシーンで初めて見つかる本が『ドンキホーテ』であるというのは、この映画のモードを決定づけているように思われた。
消防隊のユニフォームは驚くほどダサいが、政権を掌握する前後>>続きを読む
映画を見ることが得意ではないので、DVDを借りて日も跨いで休み休み見る…ちょうど作中でも言及があるトルストイやドストエフスキーの長編でも読むように見た。
ゴーゴリの外套とトルストイを合わせたような、黒澤のロシア文学好きが伝わってくる。『グランドホテル』の味も中盤、小説家が出てくるあたりにある
文明性(civilité)に対置されるアイルランド―アメリカだったら大開拓時代にまで戻らなければ野蛮な西部劇は撮れないがアイルランドなら現代でもこれが撮れることにジョン・フォードは気づいてしまった。
キリスト生誕になぞらえられた「神の子」だけど額にはブッダの白毫みたいな黒子…と遊び心に満ちた「幸福な結末を持った劇」という原義通りのコメディ
ロードムービーを通り過ぎもはやNHKのBSとかでやってる外国を旅する番組みたいな雰囲気がある。バイクで走る中盤のシーンはドローンを使って後ろから撮っていて鎮遠の街並みとあいまって面白かったが、バイク>>続きを読む
ネルヴァルやプルーストみたいな幻想的な夢片が視覚と聴覚で美しくつむがれる。特に電車の走る音が雷鳴を想起し、雨音がシャワーの音を想起させたりと自然の音と人工音の間に非常に豊かな比喩関係が切り結ばれてい>>続きを読む
『暴力脱獄』と落語を混ぜ合わせたような不思議な魅力がある。
高倉健、丹波哲郎、南原宏治、嵐寛寿郎、田中邦衛…魅力のないキャラクターが一人としていない。冒頭の妙にブレたカメラが急に列車へズームするとこ>>続きを読む
1979年公開の本作を見通した後では、ほとんど確信に近いものを持って『フォレスト・ガンプ』の製作がこの作品に少なからず影響を受けたものではないかと考える。もっともこの作品にフォレスト・ガンプのオリジ>>続きを読む
中盤のレストランの焼失など、下手をすると作品全体の緊張感をそいで視聴者をシラけさせかねない事件もあるが、結局最後の2段階のカタルシス(明かしはしないが)までノンストップで見れてしまうのは設定の斬新さ、>>続きを読む