しゅうさんの映画レビュー・感想・評価

しゅう

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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.2

原作未読。

浅野いにおの漫画は『ソラニン』だけ読んでいて、その時の「"青春の焦燥"をサブカル好き向けにオシャレにパッケージ」という印象のまま、以降敬遠して手を出さず。

偏見は良くない。映画として滅
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

3.9

字幕版を鑑賞。ビクトル・エリセ監督最新作『瞳をとじて』公開に合わせての特別上映。

HDの録画を観ずに劇場を待って良かった。ざらついたフィルム映像の美しさはスクリーンでないと味わえない。

1940年
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.6

マンガ原作の実写化としてはかなり上手くいっているが、一本の映画としては如何なものかという出来。

場面場面の芝居、ビジュアル、アクションは良いが、漫然と並べられた原作エピソードが2時間の映画の中で大き
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.2

字幕版を鑑賞。

「無垢なる存在が"世界"に触れて変化していく」という古典的ストーリーの最新形。

色々変わった設定はあるものの、前作『女王陛下のお気に入り』が実はストレートな"愛"の物語だった様に、
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

4.0

原作未読。

主人公聡実くん役の齋藤潤さんがとにかく素敵過ぎて、彼をオーディションで選んでその魅力を120%引き出した山下敦弘監督は流石。相手役である狂児を演じた綾野剛の受け芝居の上手さで、二人の危う
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アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

3.5

字幕版Dolby Atmosにて鑑賞。

ジェームズ・ワン監督作とは思えない凡庸ぶり。悪役の設定や兄弟愛&家族愛の強調など鋳型に嵌めたような定型的脚本にウンザリ。

アンバー・ハードの出番が意外と多い
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千年女優(2001年製作の映画)

3.9

【今 敏監督作品 リバイバル上映企画 第2弾】
恋の幻想と映画というスクリーン上の幻想の記憶が交差する。更には自分の様に疎い者でも解るぐらい様々な名作(『蜘蛛巣城』『二十四の瞳』『無法松の一生』etc
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ミカエル(1924年製作の映画)

3.8

〈特集上映〉カール・テオドア・ドライヤー セレクション vol.2にてサイレント字幕版を鑑賞。

老大家と彼にモデルとして寵愛された美青年を巡る愛憎劇。

画家を志す美青年ミカエルが老画家ゾレの寵愛に
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吸血鬼(1932年製作の映画)

3.4

〈特集上映〉カール・テオドア・ドライヤー セレクション vol.2にて字幕版を鑑賞。

正と邪、生者と死者、人間と吸血鬼の区別が付かずに戸惑いながらの鑑賞。結果物語に入り込めずにウトウトしてしまった。
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パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

4.1

映画始めは新宿ピカデリーの<ライブ音響上映>で。

今敏監督作初鑑賞。たった81分でこれだけの物語を語り切る構成の見事さに先ずは感心。インターネット普及期におけるスリラーへの取り込み方とオタク表現の
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メーヌ・オセアン(1985年製作の映画)

3.9

特集上映≪みんなのジャック・ロジエ≫にて字幕版を鑑賞。

その場その場の成り行きで、思いもよらぬ旅路へと誘い込まれる感覚。

自分ではここまで行き当たりばったりな行動は取れない人間なので、描かれるドタ
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ハズバンズ(1970年製作の映画)

3.8

字幕版を鑑賞。

有害な男性性の見本市。それを戯画化ゼロの迫真の芝居で観せられるのだから堪らない。

のど自慢大会で執拗に繰り返される中年女性へのハラスメント。その余りの生々しさに内心反吐が出る思いだ
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怪人マブゼ博士/マブゼ博士の遺言(1932年製作の映画)

3.8

字幕版を鑑賞。

死んだマブゼ博士より霊的啓示を受けた精神科医が、その犯罪思想を継承して破壊計画を企てるオカルトサスペンス。

第一次大戦後のドイツ社会の混沌と、無産主義・無政府主義に対する恐怖心が描
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ドクトル・マブゼ(1922年製作の映画)

3.9

サイレント(伴奏付き)英語字幕版の272分バージョンを鑑賞。

『スピオーネ』が合わなかったので、今作もとんだ苦行になるかもと危惧していた。

正直、「第一部:大賭博師篇」の序盤はサイレントのゆったり
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平成真須美 ラスト・ナイト・フィーバー(2019年製作の映画)

3.0

平成生まれには、あの時期特別な感慨があったのだろうか?

昭和世代には今ひとつピンとこなかった。伊藤沙莉は勿論、中島歩の変な存在感が良い。

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.1

字幕版を鑑賞。

MIシリーズで前から不満だったのが敵の在り方。

毎回思わせ振りな巨悪を装って登場するも、終わってみれば超大国アメリカの巨大諜報組織に敵するまでも無い小者ばかり。イーサン・ハントら少
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

戦時下での少年の成長譚、と思いきや青鷺に導かれての異界巡り。

『アリス』『千と千尋』にも通ずる、不条理と飛躍に満ち満ちた奇妙な道行。

あの少女と出逢ってお館様との邂逅へと向かう終盤の展開で、物語が
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ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.2

字幕版を鑑賞。

近年観た実写アメコミヒーロー映画の中ではダントツの面白さ。

ジャスティス・リーグ番外編的な祭り要素もありつつ、これ単体で観ても充分楽しめる一本に仕上げた心意気に感心(昨今MCUの連
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.4

字幕版を鑑賞。

革命的な映像表現に大興奮させられた前作から、更に質量共にパワーアップした過剰なる続編。

物語的にも、お約束を上手く踏襲しつつ新ヒーロー誕生譚として美しく収まった前作に対して、ちゃぶ
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.7

京都・貴船の老舗料理旅館を舞台に、延々と繰り返される2分間のループにはまり込んだ人々の右往左往を描くコメディ。

毎回2分間のループを最初から最後まで省略無しに繰り返す事約40回。ちょっとずつしか状況
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怪物(2023年製作の映画)

3.8

3章仕立てで、それぞれ湊の母親早織、湊と依里の担任教師の保利、そして湊の視点で語られる物語。

是枝節全開で語られる第3章は凄い引き込まれた。特に湊と依里の二人きりのシーンはどれも素晴らしい。

それ
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.9

字幕版を鑑賞。

繊細かつ奇妙な映画。

こういう"過去の記憶掘り起こし"系映画で、現在の時制が数カットしか描かれないモノは初めて観た。

明らかにおかしなバランスなのだけれど、それでいて"彼"の想い
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最後まで行く(2023年製作の映画)

3.8

韓国版は未見。だけど、元はもっと突き抜け感が凄い映画な気がする。

事態がエスカレートし過ぎて、最早笑うしか無いブラックコメディと化したサスペンス映画ってあるけど、これはそこまで昇華し切れていない感じ
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

3.9

字幕版を鑑賞。

正直大絶賛の世評程面白いとは思えないシリーズなのだが、それでも今作が一番楽しめた。

過去二作のスター・ロードのボンヤリした身の上話に比べて、今回語られるロケット誕生に至る過去エピソ
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ワイルド・スピード/ファイヤーブースト(2023年製作の映画)

2.7

字幕版Dolby Atmosで鑑賞。

シリーズの売りだったアクションの観せ方の工夫やアイディアの斬新さが無くなって、単なる物量押しの空疎なドンパチがダラダラ続く。

結果として、雑さばかりが目立つ悪
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警察官(1933年製作の映画)

3.8

活動弁士:坂本頼光、ピアノ伴奏:小林弘人による字幕付きサイレント版を鑑賞。

明治以降の近代化に伴って輸入された"友情"という概念をロマンティックに昇華したブロマンス映画。旧友二人がかつて愛読していた
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稲妻(1952年製作の映画)

3.7

女性が男の庇護無しに一人で生きていくのが困難な時代。幼い子供を抱えていれば尚更。その結果としての父親の違う四人の兄姉妹。

末娘で自立した文化的な生活を夢見る高峰秀子とって、そんな母親の生き方や財力に
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薔薇の名前(1986年製作の映画)

3.7

〈12ヶ月のシネマリレー〉にてレストア字幕版を鑑賞。

原作未読。『犬神家の一族』➕『鉄鼠の檻』って感じだけど、そもそも『鉄鼠の檻』自体が京極版『薔薇の名前』なのか。

恐らくは原作にあったと思われる
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ウィリーが凱旋するとき(1950年製作の映画)

3.9

字幕版を鑑賞。

終戦後たったの5年で、これだけ愛国心や兵士の勇敢さとそれを称揚する世間の空気をコケにして笑い飛ばすコメディ映画を作ってしまうジョンフォード恐るべし。

主人公の志願兵を決して活躍させ
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香も高きケンタッキー(1925年製作の映画)

3.7

字幕付き無伴奏サイレント版を鑑賞。

取り敢えず馬が生き生きと駆け回る画が撮りたくて、その為に無理矢理お話をでっち上げた様な映画。

人間と馬の幸不幸が全て競馬の結果に委ねられるカイジばりの世界観に、
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パリタクシー(2022年製作の映画)

4.1

字幕版を鑑賞。

老人の昔話は、脈絡が無く独りよがりでこちらの都合に関係なく延々と続いたりするので、時にはウンザリさせられる事もある。

生活に追われるタクシー運転手シャルルに、乗客の老女マドレーヌが
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誉れの一番乗(1926年製作の映画)

3.6

字幕付きサイレント映画。

アメリカに渡ったアイルランド移民たちの苦難と、お互いを支え合う同胞の絆。そして決して失われない故郷への誇りと愛情。

お話としてはシンプル過ぎて所々眠気に襲われたが、クライ
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荒野の女たち(1965年製作の映画)

3.7

字幕版を鑑賞。

上映開始からしばらくはプリントの不鮮明なボヤけぶりに不満を感じるが、映画に惹き込まれるうちに全く気にならなくなる。

中国辺境の地で活動するキリスト教福音派の伝道団。厳格なリーダーが
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search/#サーチ2(2023年製作の映画)

3.9

字幕版を鑑賞。

前作は未見。でも、お話的な繋がりは無いらしいので全く問題なし。

正直、開始から30分ぐらいまでは「全てがPC画面内で完結する」という形式が単なるギミックにしか思えず、客観視点が入る
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仕掛人・藤枝梅安2(2023年製作の映画)

3.8

前作の巧みな原作アレンジと比べて、今作は彦次郎の復讐譚と梅安の過去の因縁話という別エピソードの組み合わせが今ひとつで散漫な印象に。

それでも豊悦梅安×愛之助彦次郎の胸の通じ合った絡みを追ってるだけで
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.8

字幕版を鑑賞。

中盤までは、何処に向かっているか分からないままに引き摺り回される愉しさがあったが、途中『個人と家族の問題=世界の運命のセカイ系』プラス『有り得たかもしれない人生としてのマルチバース』
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