Anzuccoさんの映画レビュー・感想・評価

Anzucco

Anzucco

映画(105)
ドラマ(5)
アニメ(0)

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.9

なんと悲しい映画。
離婚した父親と娘が過ごす一夏のバカンス。兄と間違えられるほど若い父というだけで、なにか不安定な雰囲気を漂わせている。聡明で大人より大人びた11歳の娘が呟く「楽しいのに寂しい、楽しい
>>続きを読む

最悪な子どもたち(2022年製作の映画)

4.7

フランス北部の荒廃した地区の素人の子どもたちを起用した映画を作る、過程を撮った映画なのかなと思い見ていると、それが子どもたちを描いたフィクションと現実が入り混じったものだと気づき始める。問題のある家庭>>続きを読む

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

2.5

19世紀末のフランス、美食家の男性と料理人の女性をめぐるお料理映画。冒頭から粛々と進められる調理シーンに引き込まれる。太陽に光がたっぷり入る調理場で料理する人々の無駄のない動きをとらえたカメラはセリフ>>続きを読む

Winter boy(2022年製作の映画)

3.7

父の死をきっかけに、絶望と生への渇望のなかをタイトロープを渡るように進む少年リュカの喪失からの回復を描いている。と書くと凡庸ストーリーに聞こえてしまうけど、母も兄も、兄の友人もみなそれぞれの人生の苦悩>>続きを読む

私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター(2022年製作の映画)

3.1

最後まであの姉弟がなぜうまくいっていないのかがよく分からないけど、実際の人生でも自分の感情がどうなってこうなってるかも上手に説明できないし、仕方ないのかも。デプレシャンは肉親の間にある違和感を描く監督>>続きを読む

蟻の王(2022年製作の映画)

2.7

ウェルメイドな作品だと思うけど、同性愛にまつわる陰鬱なストーリーは今の時代にはもう辛い。マイノリティの悲劇を消費している気分になってしまった。同時代の似た状況を描いた『大いなる自由』はその先に主人公が>>続きを読む

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

3.5

気鋭のアーティストをボーイフレンドに持つシグネは、自分も誰かに注目されたいと皮膚に重大なダメージを与える副作用のある薬を飲み始める。目論見通り彼女の顔は次第に異変をきたし入院を余儀なくされる。こんなふ>>続きを読む

極限境界線 救出までの18日間(2020年製作の映画)

3.0

実際にあったタリバンによる韓国人人質事件をもとにしたサスペンスアクション。交渉役の外交官と現地の工作員が解決に向かうが、互いのやり方の違いから始めは反目しつつ次第に協力しあって…というプロットはよくあ>>続きを読む

非常宣言(2020年製作の映画)

3.8

逃げられない飛行機内のバイオテロ恐ろし設定と、理由の分からない邪悪さに巻き込まれてしまう不条理さの両方の描写がすごい面白かった!
ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、チョン・ドヨンっていうスター俳優の演技を
>>続きを読む

メドゥーサ デラックス(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ヘアコンテスト会場で謎の猟奇的殺人事件が起きた。美容師、モデル、主催者とその元カレと…皆が犯人が誰か疑心暗鬼な噂話を流す。ワンショットで緊張感があり、しかも奇抜で見たことないヘアスタイルをしたモデルが>>続きを読む

エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

3.0

前作の前日譚という設定。前作は家族みんながエスターに振り回されてたけど、今作はワルい女同士のワルい戦いという構図がよかった。お兄ちゃんは口先ばっかだしお父さんは呑気すぎて話にならんのが笑える。エスター>>続きを読む

水を抱く女(2020年製作の映画)

3.5

“Undine”と原題が出て、神話の話かな?と思ったらやっぱりそんな感じででもウンディーネの話はよく知らなかったので教養足りない…と思ったんだけど、それでも面白く見られます。割れる水槽、潜水作業員、沼>>続きを読む

僕と幽霊が家族になった件(2023年製作の映画)

2.9

若くして亡くなったゲイの青年の幽霊とホモフォビアの警官が冥婚により家族になりある事件を解決することになり…という奇想天外なお話。この組み合わせは新しい!二人が親しくなる過程が深刻じゃなくて、ドタバタし>>続きを読む

ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

4.7

とにかく凄い映画だった。閉鎖的な宗教コミュニティでの集団性暴力事件に対して女性たちが解決策を探る二日間を描いている。男性からの支配と歪められてきた信仰で主体性を奪われてきた女性が会話、言葉によって人生>>続きを読む

赤と白とロイヤルブルー(2023年製作の映画)

2.9

立場の違う二人がいがみ合っていたものの実はラブっていうよくあるロマコメかな、ヤレヤレ…と思いながら見ていた。ら、現実的にクィアをエンパワーする側面があってよかった。大統領の息子の会見でセクシュアリティ>>続きを読む

胸騒ぎの恋人(2010年製作の映画)

3.7

ドランの作品は初期の方が作家性が強くて好きだな。姉弟のような二とその二人を振り回す男。二人がムキになるほど滑稽で。
最後のシーンで、お前らこれからも仲良くイケメン追っかけてろよ!って笑ってしまった。あ
>>続きを読む

アデュー(2019年製作の映画)

3.6

第11回マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル(MyFFF)より。
美術学校に進学する娘と娘をパリに送り届ける父。ロードムービー的な小品で、父娘映画好きな私にはぐっとくる。言葉は少なくても伝わってく
>>続きを読む

プリズナーズ(2013年製作の映画)

3.3

一般的な道徳心との葛藤ではなく神に背くことへの畏れというか"sin"についての映画なのかな。キリスト教文化圏の人はすんなり受け入れられるのだろうか。

カランコエの花(2016年製作の映画)

3.3

演技がちょっとギクシャクしてるのが気になったけどラストで胸に込み上げるものがそれに勝った。性的マイノリティを理解してあげようという善意や優しさの暴力性が悪意よりも他者を傷つけるさまを見せつけられる。エ>>続きを読む

神の娘のダンス/God's Daughter Dances(2020年製作の映画)

3.2

国際短編映画祭 SSFF & ASIAの『神の娘のダンス』を見た。トランスの女性が兵役でどうやったら自分が女性か認めてもらえるか…という韓国映画。ガッツとユーモアで周りを圧倒するのは痛快なんだけど、ガ>>続きを読む

KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

3.3

恥ずかしながら朴正煕暗殺事件のことはよく知らないで見たから人物関係図で混乱したんだけど、通底するのは「お慕い申し上げておりましたのにーー!」という親分に対する子分のラブ、みたいな映画だった。イ・ビョン>>続きを読む

静かなる侵蝕(2021年製作の映画)

3.3

SF?スリラー?なんだ?とテンポよく物語が走って中盤であっ…!てなる。守るべきものと思っていた存在に救われるラストで見終わってしばし経ってズシッときた。こういうパターンの父息子映画って、あんまり見たこ>>続きを読む

私が熟れた季節(2020年製作の映画)

3.3

『私が熟れた季節』っていう邦題とビジュアルのポルノっぽさが、なー。(本国版と全然違う)孤独と自己開示を共存させる話。成熟とはなにかを成しとげたり乗り越えたりするのではなく、自分の感情のバランスを知ると>>続きを読む

オールド(2021年製作の映画)

3.0

シャマラン、私には珍味すぎるんだよな。面白くないわけではないんだけど、一本の映画の中でテイストが変わるとこがありすぎて戸惑っちゃう。怖がらせておいて急にコントかな!?みたいになるし。誰かに教わりたい、>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

4.0

進化によって痛みの感覚を失う人類、その肉体を使ったパフォーマンスを行う二人と彼らを追う人物と…。肉体を変容させることによる美や官能へ欲望は人間のみに与えられたタブーのようでもあり特権のようでもあり。こ>>続きを読む

Best Man(原題)(2016年製作の映画)

3.0

結婚式の付添人がどれだけ信頼できるかエグい「テスト」を仕掛ける新郎役がジョシュ・オコナー。初見でパンチラインがよく分からなくてイギリス人の知り合いに解説してもらって、なるほどイギリスっぽいダークコメデ>>続きを読む

THE GUILTY/ギルティ(2021年製作の映画)

3.8

これだけ見たら犯罪スリラーとして面白いと思うけど、本家のデンマーク版『THE GUILTY/ギルティ』の方が断然ミニマルで精神性が強くて構図もお洒落で余韻がある。リメイクはいかにもアメリカ映画っていう>>続きを読む

ニーナ・シモン 魂の歌(2015年製作の映画)

3.5

ニーナ・シモンは繰り返し聴いてた時期があって大好きなんだけど、でも公民権無運動に関わってたらしいくらいしかバックグラウンドは知らなかった。気高さと自分ではコントロールできない暴力性が同居していて、人を>>続きを読む

The Long Goodbye(原題)(2020年製作の映画)

3.9

アカデミー賞候補作品の短編実写映画賞候補作品。ラッパーとしてのリズ・アーメッドのMVでもある。差別主義者がイギリス社会を制圧するディストピアを描いていて、すごく生々しくて実際に起こったことを見せられて>>続きを読む

リトル・ガール(2020年製作の映画)

3.7

身体的な性と性自認が違う女の子を一年かけて追ったドキュメンタリー。初めての専門医との面談でお母さんに気を使ってなにも言えず、涙をぽろぽろ流すその顔が、なんでこの子にこんな顔をさせなきゃいけないのかって>>続きを読む

>|