BATIさんの映画レビュー・感想・評価

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赤と白とロイヤルブルー(2023年製作の映画)

4.8

もう本当に面白い!!!!ゲイのロマコメでありつつ「ショー・ミー・ラヴ」に通じる「表に出ていくんだ」という勇気に満ち溢れたクィア映画として歴史に残ると思う。再選を目指して選挙戦を戦う大統領(ウマ・サーマ>>続きを読む

リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

4.4

よかった!ローデンバック前作の「大人のためのグリム童話」と同じく自由奔放なタッチでありつつ、高水準の人物デッサン(女性の肉体といいネコといいすごい線だった)と作画で繰り広げられるおとなもこどももめっち>>続きを読む

No.10(2021年製作の映画)

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もう何も言うまい。語ることすら無粋だ。こんな映画が作られること、ロードショーされることの映画界の懐の広さと、何も知らずに本作を観れたことに感謝。何観させられようが「金返せ」って言わない人だけ観てほしい>>続きを読む

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

4.0

前作「ポゼッサー」と同じく徹底的な肉体破壊と複製されるごとに希薄になっていく自己の不確かさ。ただ、「私はオリジナルなのか、コピーなのか」は主なテーマではなく、複製=転生または蘇生のように描かれる。コピ>>続きを読む

ナショナル・シアター・ライブ 2024 「ディア・イングランド」(2024年製作の映画)

4.6

私がイングランドサッカーファンであることを差し引いても面白かった!マリエル・ヘラー監督の「幸せへのまわり道(A beautiful day in the neihborfood)」を思い出させる、男性>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.4

先行上映にて。よかったです。序盤はこれどうなのかなと思うような凡庸さなのが嘘のように実態を表していく。「縁(イニョン)」は二人の間には確実に存在するも結ばれはしない。そして12年、更に12年の時を超え>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

3.6

これだけの金と技術と人員をかけて作ろうとしているものは大作というよりも佳作に感じるのは私だけだろうか。そこが何とも贅沢に感じる作品。コミュニケーション能力に乏しいナポレオンはジョセフィーヌとの繋がりに>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.0

話はいつものスコセッシのチンピラrise & fall.だけど、こんなにどうしようもないセクシーさも狂気もない流されるだけの男をディカプリオが見事に器の小ささまで表して演じていることに感心した。それで>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.4

HBOで「ウォッチメン」やってたコード・ジェファーソンの脚本かつ初監督作品ということでなるほどという話だが理が勝ちすぎてる作品なのは間違いない。こういうのだったら私は断然ジョーダン・ピールみたいに「映>>続きを読む

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.4

劇伴がメチャクチャにハンス・ジマーで終始笑ってしまいあまり没入できなかった。エンドロールは韓国映画よくあるウェットなテーマで、全編こんな感じの方がよかったんでは...。思ってたよりスケールとエンターテ>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.8

「裁かれているみたいだ。」という台詞があって、それは即ち表舞台に立てば皆裁かれてしまうことの暗喩に感じた。

予告やポスターで想像していたサスペンス/スリラー風味を期待していたら相当肩透かしを喰らうと
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.2

ビクトル・エリセ、31年振りに撮ったのがこれってこの歳にして新味を出していることに驚くのと、意外と現代の機材で撮っていると思ったらそれは現代のパートだからで、劇内劇についてはフィルム(のタッチっぽくし>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

4.0

「アマデウス」のサリエリや「鬼滅の刃」の上限の壱黒死牟にシンパシーを感じるわたしは好きな映画だった。まぁ気持ち悪い話ですが。エメラルド・フェネル、気持ち悪い話しかしない人なのかな。なんか「リプリー」v>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.2

私はパニック障害を患う当事者であるのですが、そこだけでなく作品中で起きていることの色々が自分のことおよび自分の周りのこと過ぎて、映画を観ているという感じになれなかったけど中盤からあぁ三宅唱の映画だなぁ>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

苦手と予感しつつ「籠の中の乙女」を履修してから観てよかった。やっていることはこれをエキスパンドしたもので、私が観たランティモス作品の中で一番ストーリーが感じられる、寓話的な作品だった。

その分、理が
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もっと遠くへ行こう。(2023年製作の映画)

2.8

シアーシャ・ローナンとポール・メスカル主演というだけで中身知らずに観たけど、ディストアめいたSF設定の物語。映像と二人の演技は良いけど、この二人使ってまでやる話か?と思いながらもポール・メスカルの若干>>続きを読む

籠の中の乙女(2009年製作の映画)

4.2

観る前から絶対苦手だと長年スルーしてましたが、や、やっぱり苦手だったー。俺の勘は当たる。でも4本観た中で一番キューブリックっぽいと思った(それを褒め言葉としてよいのかわからんが)。管理された家庭はもは>>続きを読む

ロブスター(2015年製作の映画)

3.4

これは私はあんまりだった。思ってたほど「ウッ」とはならず、あんまり好きではないんだが、終盤なんかカウリスマキ作品みたいになっててそこだけ好きですね。まぁしかしこれもいま観てよかったかなと思うのは「どこ>>続きを読む

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.6

これは復讐の話ではなく、因果率の話。バリー・キオーガン演じる少年はメッセンジャー。だから彼は「僕はメタファー」と口走る。所々「ウッ」となるシーンが多く「好きな映画」では絶対にないのだけど監督のイメージ>>続きを読む

ゴジラ-1.0/C(2023年製作の映画)

4.2

素晴らしかった。モノクロなだけでなく明度も下がって何が起きているのか分からない映像となることで戦場あるいは今まさに災害に直面して立ち尽くす感覚に陥る。1954版と繋がるような感覚にもなり、私はカラー版>>続きを読む

PLAN 75(2022年製作の映画)

4.6

いつか観ようと思いつつ公開されてもう一年半だ。早い...。このくらいのルックの邦画が毎月観れるといいな...。とにかく話も撮り方も真摯。真冬に観るのにぴったりの薄ら寒いディストピアの、でもそう遠い先で>>続きを読む

ほつれる(2023年製作の映画)

4.6

不倫ということよりも、人と生きる息苦しさがテーマになっていて良かった。だからこそのほぼスコアのないアンビエントだけが通底して流れる(エンドロールで音響ジム・オルークとあっておったまげた)。人と相容れな>>続きを読む

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.0

公開時観てなかった「ザ・フラッシュ」を。これ賛否割れてたリアルタイムで観なくて良かったかもな。おかげで冷静に観れたし、とても楽しめた。エズラ・ミラーの気質がそのままバリーのキャラクターになっているとこ>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.2

いろんな方が「ゴールデン・リバー」と仰っていて、なるほどよくわかる。ただ、ケリー・ライカートの筆致としては男ふたりを描きたいというより歴史に埋もれたマスキュリニティに塗れていない≒辿り着けない弱者側の>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.6

アニメではあっても、もう演出はやってることほとんどビクトル・エリセなのでは?ものすごく丁寧な作品で、アニメオタクが喜びそうなこと一切やらない、反戦というテーマだけでなくメチャクチャ硬派な作品だった。予>>続きを読む

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

4.4

消えない地平線。訪れない安息。見えない目的地。ここは荒野。

緊張感が漂うもの終始観ていて落ち着けた。先住民と開拓する侵略者である白人。偏見と恐怖をメッセージではなく、人々の反応で化学変化として見せる
>>続きを読む

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.0

つらすぎる...。つらい...。犬...。犬....(よい映画)
身の丈に合わない行動とされて、叱責されるだろうが、彼女(主人公)がなぜこの無軌道なアラスカへの逃避行を選ばなければならなかったかを想像>>続きを読む

Fair Play/フェアプレー(2023年製作の映画)

4.6

すっごく面白かった!ヘッジファンドの熾烈な生存競争。婚約したことを隠して同じ社内で働くカップル。女性/エミリー(フィービー・ディネヴァー)がポートフォリオ・マネージャーに昇進し、功績を出せない男性/ル>>続きを読む

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.2

今そこにいるパートナーが「ここ」にはいないその無常さ。人というものが消えて存在がなくなっていくこと、存在しないことによってその存在が際立ち、求めてしまう哀切さ。それすらも無常。この世から消えることに温>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.4

見事。鬼太郎のオリジンの話の体だが横溝正史作品のようなストーリーテリングで描くテーマは戦中〜戦後〜現代に連なる既得損益と搾取構造への告発。メタとして人命が養分とされる演出に悲鳴をあげそうになった。その>>続きを読む

ナイアド ~その決意は海を越える~(2023年製作の映画)

4.4

すごくよかった。これ、監督「フリーソロ」のエリザベス・チャイ・パサリヒィーとジミー・チンだったんですね。あれは良いドキュメンタリ映画だったけど、ここにもその才覚が活きてるのを感じました。これは女の「反>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.4

美術、人員にお金をかけて大作然りとしていないことが粋。安土・桃山時代を舞台としつつ、やっていることは「TAKESHI'S」と同じく北野武の無意識下の精神表層に見えた。これだけ男性同性愛を肉体表現含めて>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.6

VFXが日本ついにここまで来たかという満足感は勿論なんだけど、神木隆之介と浜辺美波の演技と顔を信じて二人にフォーカスした撮影が昭和映画的で良かった。あと水爆批判は後退するものの、本土上陸される被暴力性>>続きを読む

The Son/息子(2022年製作の映画)

4.2

フローリアン・ゼレールの前作「ザ・ファーザー」同様三部作の戯曲の映画化。メンタルイルネスを抱えた息子に優しく接しようとする父、だが。前作と通底して家父長であろうとすることのの暴力性を描く。家族であるこ>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.8

デヴィッド・フィンチャー会心の一撃と言わざる得ない!「この世に正義も運もないと嘯いた」中年(≠大人)の人との関わりを誰よりも欲していた社会との断絶の物語であり、社会≒流通≒システムの人間性の乖離の告発>>続きを読む

ドミノ(2023年製作の映画)

2.4

面白くないんだけど、面白くなさが続いて逆に面白くなってしまった。「絶対に美味くないであろう牛丼が作られていく」のを見届けているかのような半笑い感と、それでも100%ビーフのような存在感のベンアフ。ロド>>続きを読む

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