カルダモンさんの映画レビュー・感想・評価

カルダモン

カルダモン

ラストデイズ(2005年製作の映画)

3.5

カート・コバーンをモデルに、バンドのフロントマンが自殺する直前の二日間を描いたフィクション。実話に着想を得たとはいえまったくもって架空の話なのでカート本人とは関係がないのだが、どうみても彼に寄せている>>続きを読む

12日の殺人(2022年製作の映画)

3.6

ある夜、大学生のクララはパーティからの帰宅中に何者かに襲われる。ガソリンをかけられ火を放たれ翌朝に焼死体で発見された。
捜査を任されたのは昇進から間もない新米刑事ヨアンとベテラン刑事マルソー。彼らがク
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デューン/スーパープレミアム[砂の惑星・特別篇](1994年製作の映画)

4.5

私にとってファーストコンタクトであるリンチ版こそがデューン・砂の惑星なので思い入れもひとしお。でも、長く慣れ親しんでいる劇場公開版というのは擁護しきれないほど説明不足が甚だしいので、私は主にビジュアル>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.7

IMAX先行上映にて。
これを待ってた。ようやく人物も物語も躍動して、冒頭数分でコレはもしかしていい感じの滑り出しなのでは?という期待が湧き、そのまま持続、波及していきました。退屈で停滞気味だった一作
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数に溺れて(1988年製作の映画)

4.2

ピーター・グリーナウェイ・レトロスペクティヴにて。

同姓同名の3人の女性シシー・コルビッツは、それぞれの夫をそれぞれの理由によってそれぞれの方法で殺害する。1人目は湯船で溺れさせ、2人目は海で溺れさ
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ZOO(1985年製作の映画)

4.4

ピーター・グリーナウェイ・レトロスペクティヴにて。

その昔母がVHSで観ていたのを横目に、断片的ながら忘れ難い印象を刻み込んでいた作品(主に早回しの腐敗シーン)、念願の劇場鑑賞。
原題『A Zed
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ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

4.3

世界が均一化されたことにより得たもの、失ったもの。秩序と無秩序はどちらが人間的か、などと考えながら24年振りに劇場再鑑賞。

夜が深くなるほどに充満していく濃密な負の気配。街の広場にやってきたクジラを
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.2

娘ソフィと夏の休暇を過ごす父カラム。限られた時間が過ぎたらソフィは離別した妻の元へ帰ってしまう。すぐそばにいるのに寂しい、とお互いに感じている。記憶を焼き付けるように取り止めもない親娘の時間をホームビ>>続きを読む

Rodeo ロデオ(2022年製作の映画)

3.6

ジュリアは無限の力を信じさせてくれる鉄馬にまたがり歓喜のエンジン音で走り出す。バイクの試乗で店員に中指を突っ立てて走り出し、家の鍵も身分証も捨て去った瞬間が素晴らしく気持ちよかった。

無法者のバイク
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VIDEOPHOBIA(2019年製作の映画)

3.8

ジャケのアートワークから放たれるアングラな匂い。モノクロの質感とロケーションの陰湿な空気に惹かれた。大阪のディープな暗部、その土地に沈殿した負の気配が画面越しに伝わってきた(失礼。あくまでも創作のイメ>>続きを読む

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

4.1

2分のタイムループが生み出すグルーヴ感が絶妙で、この時点でアイデア勝利だと思いました。舞台が貴船神社入り口にある老舗旅館『ふじや』というのもユニーク。旅館で働く人たちの動線や宿の入り組んだ造りなど、ビ>>続きを読む

ケーブル・ガイ(1996年製作の映画)

3.5

ケーブルテレビの修理を依頼したことからヘンな業者に気に入られ、強引にプライベートな領域にまで踏み込み始めるサイコスリラー。異常なまでの距離感の詰め方。馴れ馴れしさ。狂ったハイテンション。ちょっと冷たい>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.6

ソ連とアメリカが競い合って宇宙開発を推し進めていた時代がウェス・アンダーソンの箱庭的風景で描かれる。一見温かな色調の中に忍び寄るダークな気配。アメリカ軍は隕石の落ちた荒野の町アステロイド・シティに天才>>続きを読む

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)

4.8

ジム・キャリーが演じていなければ、ここまでの哀れみもなかっただろうし、抑圧を跳ね返す笑顔もない。

某映画のレビューで目にすることの多かった本作。私も真っ先にこの映画をイメージしたのだけど、この作品を
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新凱旋門(2023年製作の映画)

3.5

「新凱旋門」というものが実在するとは知らず、タイトルとビジュアルに惹かれてなんとなく。

パリにあるラ・デファンス地区は欧州最大の野外美術館とも呼ばれるそうで、洗練された街並みの至る所に数々の彫刻が置
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

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評価保留。
なにを見せられてるのか
どこに連れて行かれるのか
矢継ぎ早に襲いかかる不安、不穏、不快。
とてもじゃないが理解が追いつかない。
が、そういった気持ちをこそ
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イヌとイタリア人、お断り!/犬とイタリア人お断り(2022年製作の映画)

4.1

監督のアラン・ウゲット自身がおばあちゃんの記憶と対話する。おばあちゃんの記憶は監督の手によってミニチュアとなって具現化され、ストップモーションで命を吹き込まれる。ミニチュアのおばあちゃんがアランに語り>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

5.0

国内最大級のバカデカIMAXで観る『ストップメイキングセンス』、それはもはやライブに行った感覚と同等だった。後方から聞こえる観客の声援や拍手などはスピーカーから鳴っているものとは思えず、想像以上に時空>>続きを読む

マーゴ・フーは眠れない!(2018年製作の映画)

3.3

寝付きもいいし寝起きもいい私。
だからいざ眠れない時になると焦るね。

寝るって幸せだし食べるって幸せ。
寝たり食べたりの時間は無防備で好き。
全動物が共通and平等なところもいい。
どんなに嫌なヤツ
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レザボア・ドッグス デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

5.0

ここ数年はリバイバル上映が盛んで、新作か旧作かの二択に迫られる場面が多くなっていて困る。特に自分が映画を意識的に見始めた90年代の作品がスクリーンに映し出されるとなると、どうしても捨ておけず旧作に流れ>>続きを読む

フランケンシュタイン(1931年製作の映画)

4.2

博士と助手の2人で死体を掘り起こし、脳を盗み出し、雷の夜に実験を行うシークエンスは、魔改造したデロリアンを雷のエネルギーを使って次元転移させるというバックトゥザフューチャーそのままだなと今更ながらに思>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

一足先に先行上映にて鑑賞。ランティモス作品ということで身構えていたのですが、比較的わかりやすいandポジティブな物語になっていて逆に驚いた。いつも通り好き嫌いは大いに別れると思うけど。

原作は未読。
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.8

外の世界は危険がいっぱい。
クレイジーパパandママに育てられた長男、長女、次女の三兄弟はプールや芝生がある広大な敷地でのびのび暮らす。外の世界からは隔絶され、親から与えられたもの以外はなにも知らない
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夢のチョコレート工場(1971年製作の映画)

3.8

チョコレートの川下りシーンがサイケ。私としてはティムバートン版を含めて子供の子供性というか、まったく可愛くない子供らの描写が一番の見どころ。子供に対する忌憚のないand容赦のない誇張と仕打ち。ここまで>>続きを読む

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.3

モスクワから世界最北端の駅ムルマンスクへと向かう寝台列車。太古の岩絵ペトログリフを観に列車に乗り込んだのはフィンランド出身で考古学専攻のラウラ。彼女が二等車のコンパートメントで相席になったのは態度の悪>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.3

新年明けまして一本目。映画を楽しめる毎日を願って。

口角がミリ単位で上がるくらいの笑い、居心地のよいテンポ、温度にウトウト寝落ちした瞬間もありつつ、職を転々とする生活や、ラジオをつければウクライナ侵
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ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

4.0

観たことを忘れてた。世にも奇妙な物語のエピソードにありそうなタイムループの変種。パソコンのモニターに映し出された未来の自分が今現在の自分に向かって話しかける。未来の自分はカフェの一階にあるモニターと二>>続きを読む

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.7

長年連れ添った老夫婦の暮らしを、分断された左右の二画面が見届ける。夫は映画脚本家で心臓病、妻は元精神科医で認知症を患っている。

ふたつに分割された画面は時に寄り添い、時に離れながらゆっくりと老夫婦の
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.2

同じ時間に起きて
布団を畳んで
歯を磨いて
植物に水をやって
支度して
玄関を出て
空模様をみて
いつもの缶コーヒーを買って
車に乗って
カセットで音楽を聴いて
トイレ掃除をして
昼ごはんを食べて
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時の支配者(1982年製作の映画)

4.3

ルネ・ラルー×メビウスという強烈なダブルネーム。イマジネーションの極地を期待して観たけど軽く期待を超えていた。長らく観たいと思っていた作品がシレッと配信されるU-NEXT、なかなか辞めどきが難しい。>>続きを読む

マルセル 靴をはいた小さな貝(2021年製作の映画)

4.4

説明無く、いきなり貝へのインタビューシーンから始まる。
小さな体に大きなひとつ目、二本の足に可愛い靴も履いている貝のマルセルはAirbnbのレンタル住宅におばあちゃん貝のコニーと二人で暮らしている。と
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王と鳥(1980年製作の映画)

4.5

抑圧からの解放。城という籠の中から放たれる人や鳥や動物たち。

傍若無人で醜い王様シャルル16世が統べる城塞都市。ある夜、王室に掛けられた二枚の絵から羊飼いの娘と煙突掃除の青年が抜け出した。互いに思い
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ナポレオン(2023年製作の映画)

4.3

史実と違うとか時代考証がなっていないとか、見る人が見れば色々と看過できないポイントはたくさんあるんだろうけど、ナポレオンにまったく興味のない私はわりと面白かった。

幾多もの戦争で勝ちに勝ちまくった軍
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人体模型の夜(1996年製作の映画)

4.1

中島らも原作のホラーオムニバス『人体模型の夜』。映像化されてることを知らなくて興味本位で見てみたのだけど、原作をほとんどすべて無視したような内容に衝撃。むしろ原作にはない要素ばかりで困惑。しかもそれら>>続きを読む

アシスタント(2019年製作の映画)

3.6

映画製作・配給会社でアシスタントとして働く女性の1日。と書いてしまうと華やかで夢や希望が溢れているように思えてしまうが、ここで描かれるのは真逆の世界、職場における目に見えないハラスメントの数々だという>>続きを読む

エレファント(2003年製作の映画)

5.0

こんなにも個人がバラバラに描かれてるのに、人肌を感じる映画もなかなかない。あまり人には言わないけど、とても好きな映画。

交差する生徒たちの学園生活を背中から追いかけるカメラ。彼らの目線で流れて行く景
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