バンバンビガロさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

バンバンビガロ

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シャイアン(1964年製作の映画)

2.3

ジョン・フォード監督による修正主義西部劇。
入植者たちの圧政によって居留地に強制移住させられた先住民の苦悩を描く本作は、否が応でも昨今のイスラエル・パレスチナ情勢を想起させるところがあり、映画の見え方
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北極百貨店のコンシェルジュさん(2023年製作の映画)

4.0

⻄村ツチカの洗練された温かみのある画風がうまくアニメーションに落とし込まれていて、そこに動きの面白さも加わって原作とも一味違う良さを持つ映画になっていると思う。
内容的にはストレートなお仕事映画として
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

2.3

何となくシモン・ストーレンハーグ的な世界観を思わせる近未来SFのヴィジュアルセンスは嫌いではないのだが、如何せんストーリーが弱すぎる。
AI対人類の戦争を中心に据えながらもAIというものに対する掘り下
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白昼の決闘(1946年製作の映画)

2.5

脚本、演技、演出等のすべての要素がこってり重たいドロドロの愛憎劇で、尺もたっぷり2時間半近くあって見ごたえはあるが少々疲れる。
内容としてはこてこての演劇的メロドラマを西部劇に翻案したという感じなのだ
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廃墟の群盗(1948年製作の映画)

4.4

ウィリアム・A・ウェルマン監督作はこれまでに2作を見ただけに過ぎないが、『民衆の敵』では悪を再生産する社会の構図を、『牛泥棒』では集団心理と同調圧力の暴走をそれぞれ痛烈に批判する内容で、どちらも映画と>>続きを読む

遠い太鼓(1951年製作の映画)

2.5

戦争とジャングルクルーズ、未開の部族に対するエキゾチシズム、全編に漂う死の匂いなど、どこかコッポラの『地獄の黙示録』を彷彿とさせるところがある。
基本的には冒険活劇であるのだが先住民からの執拗な追跡か
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腰抜け二挺拳銃(1948年製作の映画)

3.0

ボブ・ホープ主演のコメディ西部劇。
スタイルとしては西部劇であるものの内容的にはスパイアクションコメディといった感じで有能なスパイの女性とそれに利用されるやや間の抜けた男という設定になっている。
なん
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拳銃王(1950年製作の映画)

3.7

とかく人の命が軽くなりがちの西部劇というジャンルにおいて殺人という行為に重みをもたせガンマンとしての名声を得た男の苦悩を描く渋い作品。
本作はジョニー・リンゴをモデルにしたと思われるジミー・リンゴとい
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リオ・グランデの砦(1950年製作の映画)

2.7

ジョン・フォード監督の騎兵隊三部作最後の一作。
主人公の名前が同じことから『アパッチ砦』の続編としても観ることができる。
騎兵隊三部作を通じてジョン・ウェインが演じる主人公はそれぞれ年齢や階級が違った
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西部の二国旗(1950年製作の映画)

3.6

ロバート・ワイズ監督による西部劇。
オープニングクレジットが終わると同時に背景が動き出しそのままカメラをパンさせて捕虜収容所の風景を映しながら建物の中の会話シーンまでワンカットでつなぐ。こういった物語
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黄色いリボン(1949年製作の映画)

2.3

ジョン・フォード監督の騎兵隊三部作の二作目。
老騎兵隊員の引退前の最後の一週間を描く作品なのだが、ジョン・ウェイン演じる騎兵隊員がやたらにハツラツとしていて老境の美学みたいなものは感じにくい。引退の場
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福田村事件(2023年製作の映画)

4.0

『A』などで知られるドキュメンタリー作家、森達也による初の劇映画作品。
福田村事件と呼ばれる実際に起こった村の自警団による集団殺人事件を題材にした作品で、そこで描かれるのは国や社会、共同体といったより
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3時10分、決断のとき(2007年製作の映画)

3.5

デルマー・デイヴィス監督による『決断の3時10分』が実に面白い傑作西部劇であったのでジェームズ・マンゴールド監督によるリメイクである本作も観る。
大まかな流れはデルマー・デイヴィス版から変更はなく、見
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

2.4

オープニングの入り方からも『トップガン』を意識しているのは明白で、そのせいかわからないがどうにも話が古臭いくありきたりなものに感じてしまった。
息子のやってることを理解しない父親、金ぴかの車に乗る金持
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決断の3時10分(1957年製作の映画)

4.1

『折れた矢』に続いてデルマー・デイヴィス監督の西部劇を見る。デルマー・デイヴィス監督は2作見ただけだが演出が丁寧で、表情や動作をじっくりと見せる場面が多く、アクションよりドラマの方に才覚がある監督とい>>続きを読む

捜索者(1956年製作の映画)

3.5

とにかく画が良い映画で、始まってからの10分、20分はストーリーがあまり頭に入ってこないくらい画面に惹きつけられた。
この映画の画面の良さは一番いいロケーションを一番いい画角で撮影するみたいな有無を言
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折れた矢(1950年製作の映画)

3.0

西部劇において先住民の扱いがただ脅威を演出するための舞台装置としての野蛮人でしかなかった時代にあって、先住民の内面に踏み込み白人以上に高潔な存在として描いた先進的な映画。
そういった意味では非常に意義
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.8

ウェス・アンダーソンといえばフィクションのフィクション性を過度に強調することを持ち味とする監督で、一目見ればそれとわかる独自の画面構成や人形のように抑揚を欠いた俳優陣の演技も、一貫して映画の世界全体が>>続きを読む

平原児(1936年製作の映画)

2.3

セシル・B・デミル監督による西部開拓時代の高名なガンマンを描く西部劇。
ワイルド・ビル・ヒコック、バッファロー・ビルなどの史実に残るビックネームを主人公に据えた作品ではあるのだが、脚本の都合上主人公た
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テキサス決死隊(1936年製作の映画)

4.0

物語の導入のところでテキサス州の独立100周年を記念してテキサスレンジャー称えるというような趣旨のプロパガンダ映画っぽい説明がなされたあたりでは苦手なタイプの映画かと警戒したのだが、本編が始まってみれ>>続きを読む

リオ・ブラボー(1959年製作の映画)

4.0

ハワード・ホークス監督による痛快娯楽路線の西部劇。
もともとが古典的西部劇へのアンチテーゼとして出てきたフレッド・ジンネマン監督の『真昼の決闘』へのアンチテーゼとして作られたといわれるややこしい作品な
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地獄への逆襲(1940年製作の映画)

3.0

西部開拓時代の伝説的アウトロー、ジェシー・ジェイムズを描いた映画『地獄への道』の続編でジェシー・ジェイムズの兄フランク・ジェイムズを主人公に前作のラストから直接つながるような話だが単体で見てもさほど問>>続きを読む

地獄への道(1939年製作の映画)

3.2

腐敗した体制に抵抗するアンチヒーロー的主人公が予期される破滅に向けて突き進んでいくところは非常にニューシネマ的で面白いのだが、最後にしんみりとした主人公の追悼の場面を入れてしまうあたり、どうにもドライ>>続きを読む

アパッチ砦(1948年製作の映画)

2.5

物語を結末から逆算してみればヘンリー・フォンダ演じる新任司令官サースデイ将軍とジョン・ウェイン演じる古参兵ヨーク大尉の対立を中心的に描いたほうが娯楽作品としてわかりやすいはずだが、全体的にサースデイの>>続きを読む

ウィンチェスター銃'73(1950年製作の映画)

2.8

この映画の肝は幻の名銃と謳われるウィンチェスターライフルが様々な人の手に渡っていくのに合わせて物語の展開が推移していくところで、それ自体は面白いと思うのだが、肝心のウィンチェスターライフルにただすごく>>続きを読む

西部の男(1940年製作の映画)

2.4

西部劇を見てるとよく出てくる名物おじいちゃん的存在ウォルター・ブレナンがアイドル狂の悪徳判事を演じる西部劇。
この悪徳判事ロイ・ビーンはなんだか憎めないところがあるキャラクターの割にやっていることはえ
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赤い河(1948年製作の映画)

3.5

やはり映画おいて物量というのは一つの絶対正義で、牛でも馬でも人でもそれが画面いっぱいに映っているだけで出てくる迫力、説得力には問答無用でひきつけられてしまう。
そしてこれだけの物量を受け止めてなお広大
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荒野の決闘(1946年製作の映画)

2.7

兄弟を殺された男が保安官となって悪漢に復讐するという筋書きだが、主人公の復讐よりもドク・ホリデイを中心とするいざこざのほうにドラマの重心があって、主人公が傍観者的に見えてしまうので脚本のバランスが悪い>>続きを読む

真昼の決闘(1952年製作の映画)

3.5

フレッド・ジンネマン監督による異色西部劇。
結婚式を挙げたばかりの保安官ウィル・ケインのもとに彼がかつて逮捕した悪党フランク・ミラーが保釈され町に戻ってくるという知らせが届く。フランク・ミラーとの対決
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駅馬車(1939年製作の映画)

4.1

この映画のすごいところは移動・アクション・ドラマの3つをうまく連動させているところで単純明快な映画でありながら難しいことをさらりとやってのけるそんな作品。
様々な事情を抱えた登場人物たちのそれぞれのド
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アメリカの影(1959年製作の映画)

3.5

ジャズの即興演奏にインスパイアされた即興的演出で作られたという映画。
即興的演出が具体的にどういったレベルで行われてたのかの内実は知る由もないが、人種問題をテーマに緩いつながりを持った映画的なフレーズ
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ウィンターズ・ボーン(2010年製作の映画)

4.0

デブラ・グラニック監督はドキュメンタリー的な撮影と説明的描写を不親切に感じるギリギリのところまで控えた物語で説得力のある映画を作るのがうまい監督であると思う。
地縁・血縁に基づく掟をベースにしたコミュ
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悲愁(1979年製作の映画)

3.7

この映画はかなり明確に『サンセット大通り』を意識して作られた映画で、ハリウッドの大物女優を主人公にしたところや、ウィリアム・ホールデンによる語り、映画の結末を冒頭に配置する構成、実在する俳優のカメオ出>>続きを読む

お熱い夜をあなたに(1972年製作の映画)

2.8

基本的にはいつものビリー・ワイルダー的コメディ映画だがあんまり印象には残らなかった。
イタリアを舞台にしたバカンス映画だが、イタリアやイタリア人の描き方が何か恨みでもあるのかというくらい小馬鹿にした感
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バービー(2023年製作の映画)

3.7

笑えるバカ映画のガワをかぶりながら難しいテーマを語るところがかなり今風のエンターテイメント映画で、感覚的には一昨年の『フリー・ガイ』に近い映画で、作品の構造やテーマを含めて似通ったところがかなりあると>>続きを読む

シャーロック・ホームズの冒険(1970年製作の映画)

3.0

制作時の都合がいろいろあったらしいが、やはりメインの話に入っていくまでが無駄に長くて、ちょっと全体の構造がうまくいってない感じは否めない。
ホームズとワトソンの軽快なやり取りや全体的な雰囲気作りなどは
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