バンバンビガロさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

バンバンビガロ

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デルス・ウザーラ(1975年製作の映画)

4.1

黒澤明監督作品としては唯一まだ見てなかった作品だったがようやく見ることができた。
映画としてはかなりソリッドなつくりで、デルス・ウザーラという人物の魅力一本で映画を成立させているような印象がある。
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長ぐつをはいたネコと9つの命(2022年製作の映画)

3.3

前作を含めてこのシリーズはほとんど通ってきていないのだが、映像的に何か新しいものが見られるなら見ておこうという気持ちで鑑賞。
予想通りではあるがシリーズに関する知識は全く不要で一本の映画としてみて引っ
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.0

かなり独特の色のある映画なのでどこの部分をとってどう評価したらいいのか難しいところではあるが、基本的には面白く見た。
アクションシーンは細かくて荒々しいカット割りと外連の利いたいかにも特撮的なモーショ
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砲艦サンパブロ(1966年製作の映画)

3.2

この映画はロバート・ワイズの肝いりの企画であったらしく、かなり力の入った映画になっている。
ビジュアル面でのリアリティは非常によくできていて、その時代、その場所のものとして十分に信じられるクオリティで
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トロイのヘレン(1955年製作の映画)

2.5

ロバート・ワイズ監督によるトロイア戦争を描いたコスチュームドラマ。
結構予算が潤沢に使われている感じで、大掛かりなセットによる派手な場面も多く大作という雰囲気がでている。
ギリシャ神話の話でありながら
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サウンド・オブ・ミュージック(1964年製作の映画)

3.5

ロバート・ワイズ監督作品としては『ウエスト・サイド物語』と並んで突出した知名度を持つミュージカル映画。
広く開かれた万人受けするタイプの映画で上映時間こそ長いがロバート・ワイズの簡潔な演出でテンポよく
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たたり(1963年製作の映画)

3.5

ホラー映画のサブジャンルである幽霊屋敷ものとしては古典の域にはいる映画。当該分野には全く明るくないのだがスタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』(1980)なんかはまさにこの映画の延長線上にあ>>続きを読む

捕らわれの町(1952年製作の映画)

3.4

ラスト1分ですべてが根底から覆される衝撃の展開というような煽りは大体誇大広告だが、この映画は割と本当にそういうラストかもしれない。
事件の全貌が明らかになって最後どうなるかというところで本物の上院議員
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拳銃の報酬(1959年製作の映画)

3.0

脛に傷をもつ男3人が銀行強盗を企てるクライムサスペンス。
映画の面白さとしてはまあ並み程度といったところかもしれないが、特徴的なのはこの時代の犯罪映画の中で人種問題を描いているところで、その描き方が結
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

2.0

笑いの質が合わないコメディは大体そういうものだとは思うのだが全くどこが面白いかわからない。
一番理解できないのは時間の使い方で、異常なまでに冗長というか、せいぜい上映時間の半分もあれば十分に語れそうな
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バニシング・ポイント 4Kデジタルリマスター版(1971年製作の映画)

3.2

この映画が特定の時代性と強く紐づけられた映画であることは間違いなく、そこから50年以上を経た現在ではその当時の手触りはすでに失われていて、どこかちょっと遠くから眺めるような鑑賞になってしまった。
スト
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.0

スピルバーグが自伝的映画を作るという時点でただの伝記にはならんだろうと思っていたけれど、非常に苦みのある複雑な味わいのする映画であった。
映画監督というと非常にクリエイティブな芸術家的な職業というイメ
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傷だらけの栄光(1956年製作の映画)

3.8

ロバート・ワイズ監督としては『罠』につづいて2作目のボクシング映画。ロバート・ワイズの多彩すぎるフィルモグラフィーを思えば同じ題材で2作作っているのは例外的であり、編集のキレで試合を構成することができ>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.5

近年ヒーロー映画を中心にマルチバースという概念はもてはやされており何かと耳にするようになったのだが、可能性が無限に分岐している世界を描くということは、どんな世界も無制限に描くことが可能であるということ>>続きを読む

ウエスト・サイド物語(1961年製作の映画)

4.2

言わずと知れたミュージカル映画の金字塔であり、一般的にロバート・ワイズ監督の代表作と目される作品。
昨年公開されたスピルバーグ版の方を先に見ており、そちらが超絶技巧的な撮影による素晴らしい傑作だったの
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砂漠の鼠(1953年製作の映画)

3.4

第二次世界大戦北アフリカ戦線のトブルク包囲戦を描いた戦争映画。
ロバート・ワイズの戦争物としては『深く静かに潜航せよ 』の方を先に見たのだけれど、舞台こそ大きく違えど似通っているところが多くて、劣勢に
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深く静かに潜航せよ(1958年製作の映画)

3.1

およそ90分程度の娯楽映画としてはお手本のような作品で、こういうのを作らせたら間違いないと感心する。
ほとんど潜水艦の中で話が進行するワンシチュエーションもので、潜る、浮上する、ミサイルを発射する、く
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私は死にたくない(1958年製作の映画)

4.0

カメラを傾けた構図によるジャズバンドのカットバックで始まるオープニングシーンが非常にクールで素晴らしい。
冤罪で捕まった死刑囚の死刑執行までを描くという重くつらい話ではあるのだがそれをジャズのビートに
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

2.2

映画館を舞台にした映画なんだけどこの手の映画には珍しいくらい映画館に対する幻想がなくて、よく言えば過度に美化されてないということになるだろうし悪く言えばなぜ映画館を舞台にしたのか理解に苦しむ。
映画館
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アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

2.7

雄大で幻想的な物語のようでいて非常に小規模で内省的な個人のお話。
様々なレイヤーがあって複雑な映画であるように思えるのだが、一つの大まかな見方としては所謂イマジナリーフレンドの話ということができるよう
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.1

修道女ものというのは大体において主人公がつらい思いをする信仰と性道徳をテーマにした重く悲しい話になるというイメージが個人的にあって、なんとなくこの作品もそんな話だと思い込んでいたんだけれどいい意味で予>>続きを読む

サイコ(1998年製作の映画)

2.5

ドキュメンタリー映画『ヒッチコック/トリュフォー』において黒沢清がヒッチコックの真似だけはしてはいけないと語っていたのだが、この作品を見ると大体その理由もわかるような気がする。
ストーリーや構図をほぼ
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アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

2.9

当たり前のことかもしれないけれどアントマンの映画的な面白さは大きさに合わせてカメラの視点を変えられるところにあると思っていて、それは普段見慣れたものを違うスケールから眺めることや通常の大きさでは入れな>>続きを読む

ヒッチコック/トリュフォー(2015年製作の映画)

3.0

『映画術 ヒッチコック/トリュフォー』を題材にしたドキュメンタリー映画。
原著が若きトリュフォーが過小評価されていたヒッチコックの映画史における位置づけを覆そうとする野心に満ちたプロジェクトであり、そ
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重役室(1954年製作の映画)

3.9

ワンマン企業からそのワンマンがいなくなってしまったその後を描く群像劇。
冒頭の主観一人称視点の使い方がいいフックになっていて序盤から物語に引き込まれる。
各人のドラマの描き方が非常に簡潔ながらも奥行き
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月下の銃声(1948年製作の映画)

2.2

ロバート・ワイズ監督による西部劇。
やや暗い絵作りとハードボイルドっぽい主人公の組み合わせであんまり西部の雰囲気と相性が良くないような気もするが、これで都会を舞台にしたらただのノワールなのでこれはこれ
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マンクスマン(1929年製作の映画)

3.0

ヒッチコックの純粋なサイレント映画としては最後の作品。
『下宿人』や『リング』のような技巧が光る部分は少ないが手堅い作りのオーソドックスなドラマになっている。言葉によらないストーリーテリングを旨とする
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バビロン(2021年製作の映画)

3.5

非常に長いアバンタイトルまでは文句なく面白い。豪華絢爛にして下品猥雑な狂騒のハリウッドを勢いに任せて描いた力強さにこれだけで映画一本分くらいの満足感を感じた。しかしそこが結局のところこの映画の面白さの>>続きを読む

シャンパーニュ(1928年製作の映画)

2.0

『映画術 ヒッチコック/トリュフォー』をちょっとずつ読み始めていて、ヒッチコック本人によると本作がキャリアでワーストの作品らしいのだが、それもおおむね納得できてしまうくらいの映画。
富豪である父親があ
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農夫の妻(1928年製作の映画)

2.3

思い付きで行動したあげく周囲に多大な迷惑を振りまく男というのはサイレント喜劇の主人公によくあるタイプだが本作もまあ大体そんな感じで周囲の人間が気の毒になる。
妻に先立たれた金持ちの農夫がふと思い立って
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ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)

3.2

すごく地味な映画的な虚飾の少ない映画で90分程度の会議を90分程度のほぼリアルタイムで描いて劇の大半が会話のやり取りに費やされ大きな起伏や音楽すらもない。これを非常に退屈な映画と思う人もいるのではない>>続きを読む

FALL/フォール(2022年製作の映画)

4.1

なんとなくエクストリーム系のB級映画を見るくらいのつもりで見に行ったら予想の3倍くらい面白くて驚いてしまった。
タイトルやビジュアルからわかるとおりの超高所スリラーという一芸特化型の映画でそういう方面
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.4

通常我々の考える友人関係というものは自らの意思で主体的にONにしたりOFFしたりするものではなくただなんとなく始まったりなんとなく終わったりするもので、だからいい年をした大人が友達やめますと宣言して始>>続きを読む

リング(1927年製作の映画)

3.6

映画的なアイデアの宝庫で見ていて飽きることのないエンターテイメント映画。
序盤の見世物小屋でのボクシングの場面であえて主人公側の半分を映さずに挑戦者だけを見せて、試合開始とともに挑戦者が主人公のほうに
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ふしだらな女(1927年製作の映画)

3.5

『救命艇』のタルーラ・バンクヘッドや『舞台恐怖症』のマレーネ・ディートリヒに通じるようなタバコをふかす姿が印象的ないかにもヒッチコック好みの女性が主人公。
不貞行為を巡るトラブルで離婚した過去を隠して
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ダウンヒル(1927年製作の映画)

1.9

2本続けて見たサイレント時代のヒッチコック作品が結構面白かったので期待値が若干上がっていたのだけれどこれは全然ダメ。
裕福な家庭の若者が友人をかばって秘密を口外しなかったために人生の下り坂を転げ落ちて
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