ぶてぃさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

私をくいとめて(2020年製作の映画)

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みつ子のキャラクターは、相談役Aとのやりとりで中和されていても自分にはかなりしんどかった。温泉旅館の場面とか年上の歯医者との過去がフラッシュバックするシーンの嫌悪感はすごくリアルなのだが、そのあとのみ>>続きを読む

星の子(2020年製作の映画)

5.0

信じることとはなんだろうと考えさせられた。人は何かを信じることで精神を満たし、信じたことに従って行動し幸福を得る。信じるということはとても強い。しかし、あなたが信じていることと、私が信じていることが違>>続きを読む

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

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ヨシカの"私のこの10年を舐めんなよ"に、おもしろいと思うよりもむしろたくさん共感した。
電卓をたたくヨシカの骨張った指の動きで彼女の神経質な性格が分かるし、ヨシカとニが交わす指や腕の動き、ヨシカの顔
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佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

5.0

青春映画であるとともに、表現者についての映画でもあると思った。作り手の熱量が、本意気が、ダイレクトにビリビリと伝わってきた。戯曲『ロング・グッドバイ』の使い方も素晴らしい。
観終わったあとには、心のな
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スモーク(1995年製作の映画)

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登場人物たちが美味しそうに煙草を吸いまくる映画を久しぶりに観た。

れいこいるか(2019年製作の映画)

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人が生きていくということについて描かれた作品。思いもよらぬ出来事が連続していくが、この作品のまなざしはずっと登場人物たちを優しく見守っているようで、観終わってしばらくじわじわと染みこんでくるものがある>>続きを読む

緑の光線(1986年製作の映画)

5.0

理想が高く孤高な山羊座の女デルフィーヌのひと夏のバカンスにまつわる物語
山羊座の星占いページを読んだ友人に頑固だと言われたデルフィーヌはこう返す
「人生が私に譲らないのよ」

滑走路(2020年製作の映画)

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いつぶりか分からないぐらいに民放ドラマを熱中して観ていて、そのドラマに出演している浅香航大さんのコミカルな演技が良いなと思い、初日舞台挨拶付き上映に行ってきた。
過重労働で日々に追われる厚生労働省の若
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ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)

5.0

最高でした。危うくこの作品を観ずに2020年を終えるところだった。
男であろうが女であろうが、黒人であろうが白人だろうが、かわいい赤子が家で待つ母親であろうが、恋人にプロポーズする警官だろうが、容赦な
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セノーテ(2019年製作の映画)

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泉の中で交わるあの世とこの世。死者と生者。神秘の泉の奥底から見上げる世界は、深い森のようにも宇宙のようにも見える瞬間があった。

逃げた女(2019年製作の映画)

5.0

東京フィルメックス
三部構成。同じようなシチュエーションが反復される。一部と二部の反復はとくにユーモラス。物語に闖入してくる鳴き声。外界の音がよく聞こえるように窓を開け放つガミ。彼女自身が、先輩たちや
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少女ムシェット(1967年製作の映画)

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あまりにも救いがない。だからこそゴーカートシーンで、男子と視線を交わせながら激しくゴーカートをぶつけ合う楽しそうなムシェットのほんのひとときの場面が愛おしい。父親のビンタでその幸福な時間はあまりにも唐>>続きを読む

バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)

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途中で違うロバになってる?バルタザールのつぶらな瞳に映るのは人間世界の残酷さや愚かさなのか。車やバイクとロバの対比。取り残されてしまったものたち。マリーやジェラールはけっきょくどうなってしまったのか。>>続きを読む

イサドラの子どもたち(2019年製作の映画)

5.0

ファーストショットから画面の静謐な美しさに涙が溢れてくる。
イサドラの「母」を通して、第一部では紐解いていくこと、解き明かしていくこと、第二部ではそれを伝えていくこと、第三部では自身の物語として表現す
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スパイの妻(2020年製作の映画)

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時代物を撮っても合間に見え隠れする不穏さ。ともすれば悲惨な物語になりかねないところ、安易な感傷などには興味がないとでも言うように深く沈みすぎないバランスが保たれていて良かった。
夫婦二人の関係性のシー
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ノイズが言うには(2010年製作の映画)

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監督自身のドキュメンタリーかと思い観ていると、途中の種明かしでフィクションであることが分かってくる。
監督が家族に自身のアイデンティティについてカミングアウトをした際のことを再現しているそうだ。そのと
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カゾクデッサン(2019年製作の映画)

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照明部出身の監督さんということで、自主映画とは思えない作り込まれた画が際立っていて、撮影と照明の気合の入りようが伝わってくる。ばきばきに決まっている夜のシーンやバーでのシーン。バーのシーンは人物の配置>>続きを読む

アンダー・ザ・スキン 種の捕食(2013年製作の映画)

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日本最終上映ということで鑑賞してきた。独特の世界観。こんなに独創的な捕食シーンは見たことがない。招き寄せた真っ黒な空間で服を脱ぎ捨てるスカヨハを夢中で追いながら徐々に沈み込んでいく男たち。作り込まれた>>続きを読む

トマホーク ガンマンvs食人族(2015年製作の映画)

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おもしろかった...!しかしあの場面と、あの場面はこれから起こるであろう恐ろしさに耐えきれず目を覆ってしまった。居穴人怖すぎる。あの遠吠え?を聞いただけで体が縮みあがる。
ただ、対決場面はこの映画を語
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TENET テネット(2020年製作の映画)

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二回目の鑑賞でようやく楽しんで観ることができた。
映像体験として興奮し観終わったあとに謎解きをしたらそれで終わりの空虚さがどうしても付き纏うがこれがノーランスタイルですかね。
『インセプション』のとき
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

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悲しみは(使い古された喜び)に過ぎない。

映画まで時間があり、スパイラルホール近くの銭湯に立ち寄ってから観たせいで、ヨラテンゴの音楽を心地よく聞きながら、温泉に浸かっている時になんとも言えない恍惚の
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はちどり(2018年製作の映画)

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ユニの生活圏で起こる出来事を通して、当時の韓国社会のうねりや家父長制の根深さが浮き彫りになってくる、その手捌きがすごい。監督の眼差しはとても冷静にそして的確にその時代の空気感まで映し出している。その冷>>続きを読む

(1997年製作の映画)

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これ以上はないくらいに完璧なショットばかり。黒いビニール袋を下げて通りを歩く、長い横移動のショットにはあらゆる意味でショックを受けてしまった。恵んでくださいと男が赤子を抱きかかえて乞う場面での坂の上に>>続きを読む

溶岩の家(1994年製作の映画)

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どこを切り取っても完璧なショットの数々。漆黒の夜の闇に吸い込まれそうになる。夜の浜辺で襲われるエディットを救う犬のショットが忘れられない。他にもエディットと看護師が屋上で踊るのをとらえた俯瞰ショットな>>続きを読む

飛行士の妻(1980年製作の映画)

5.0

大好き。まずタイトルの"飛行士の妻"は劇中にほとんど登場しない。その存在は仄めかされるぐらいに留められていて、観客の想像を引き出す。

主人公は、恋人のアンヌが男と一緒にマンションを出たのを目撃してし
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海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

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言葉多きものは災の元。

高校生のときに初めてロメール作品を見て、「つまらん」と思って以降観ずにいたことを激しく後悔...。

対になっている冒頭とラスト。短いひと夏の物語がとても軽やかに描かれている
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眠る虫(2019年製作の映画)

5.0

観終わったあとに世界の感じ方が少しだけ変わってしまうような摩訶不思議なニュータイプの作品だった。
帰りの電車は、周りの人たちをいつもより注意深く観察してしまったし、家までの暗い夜道は、感覚を研ぎ澄ませ
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ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)

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良い音響の映画館で映画を観ることの重要性を改めて実感できる。
立川シネマシティで観たが、aスタで流してくれたこと、最後のメッセージにも映画館のこだわりを感じた。メッセージが流れたあとには拍手が起こって
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風の教会(2018年製作の映画)

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音のデザインは監督自らやっているとのこと。やっぱり音が印象的で、独特の響きを持っている。
十字のイメージの連なりから作業員たちの改修風景へ。
ロープウェイは、『ハッピーアワー』を思い出した。そういえば
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FLASH(2014年製作の映画)

5.0

最初は状況が掴めず、途中でそういうことか!と驚くとともに感動した。これは本当にすごい作品。特集期間中にもう一度見に行きたい。
サラエボからザグレブまでの列車の車窓が映し出される。曇って汚れた車窓を流れ
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王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

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自分は王国を持っていない人間なのかもしれないし、他人の王国のことを知りたいと思っても恐らくは理解できない。その時には分からない密度の濃い時間。築いた王国の領域が侵されること。

友人の娘を殺したという
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インセプション(2010年製作の映画)

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せっかくなのでIMAXで鑑賞。上映前に突如始まった『TENET』の映像がとんでもないことになっておりこちらも楽しみ。

10年前の作品とは思えないくらい、映像はすごい。夢だしやりたいことを全部詰め込ん
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

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監督は『リチャード・ジュエル』で記者役の俳優だったのか。そしてモリー役のビーニーとジョナ・ヒルが兄妹と知り驚く。

モリーとエイミーの関係性がいいなあ。
音楽が最高で好きなアーティストの曲がかかると観
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ハッピーアワー(2015年製作の映画)

5.0

新文芸坐のオールナイト上映で。
これは一体なんなんだというとんでもないシーンがいくつもあって、眠気なんか感じる暇さえなかったし、家に帰り反芻していたらじわじわとなんとも言えない感情が押し寄せてきて、ち
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もののけ姫(1997年製作の映画)

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アシタカの呪われた右腕はこんなに蠢いていたのかと驚いた。テレビで観ていたときには分からなかった呪いの凄まじさ。

戦闘シーンでの弓の軋みやぶつかり合う刃の金属音など音響の迫力に加えて、活劇としての映像
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