ぶてぃさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

魚座どうし(2020年製作の映画)

5.0

PFF・オンライン映画祭で。
すごい作品だった。山中監督『あみこ』でいったんすべて出し切って、次のステージに進んでいる感じ。大人の事情でつくられた不条理で逃げ場のない世界で生きざるを得ない子どもたち。
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

5.0

出版社に入るジョーの後ろ姿からはじまる冒頭シーンですでに名作の予感が漂う。登場人物たちの生き生きとした動きを観るだけでたまらなく幸せな気持ちになり、ボロボロと涙が止まらず、結局エンドロールまで顔がぐし>>続きを読む

アンカット・ダイヤモンド(2019年製作の映画)

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ドーパミンが大量に分泌され続け制御が効かないギャンブル中毒者の興奮状態の脳内を延々見せられるのはなかなかしんどい。ラストはある意味で救い。もはや主人公の感情を掬い取って映し出そうともしていない。
オー
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夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

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森見登美彦の独特な文体による息もつかせぬ怒涛の語りとの組み合わせはラストに向けて加速度的に鮮やかなイメージの氾濫を起こしていく。混沌を経てボーイミーツガールが結実するとき、静けさのなかの二人の穏やかな>>続きを読む

Ryuichi Sakamoto: CODA(2017年製作の映画)

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過去に録画していたものを鑑賞
311で津波にのまれた、調律が狂ったピアノについて語る部分は、坂本龍一の音楽に対する考え方の核心に触れていたと思う(けっこう危うい発言でもあったが)
律せられた調、その従
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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画)

5.0

昨今の文書偽造やシュレッダー問題もそうだけど、いまだに紙文化、紙信仰の日本で現代日本版ペンタゴン・ペーパーズを作ったら面白いものができそうだと思うのは私だけでしょうか。だれか製作してください。

公衆
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リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

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イーストウッドは未見の作品が多いので、過去作と比較して語ることができないのですが、扱う題材やテーマから考えるとショットの繋ぎかたもゆるめでだいぶ肩の力抜いてるなと感じた。
大逆転劇だとか罪をなすりつけ
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サタンタンゴ(1994年製作の映画)

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この作品ほど、感想をまとめて書いたり語ることの無意味さを感じてしまう映画もないのですが、7時間18分の鑑賞は正直、時間感覚に慣れるまでにかなりの苦痛を伴った。長回しのモノクロ映像は総カット数が150あ>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

スカヨハ母からジョジョへ。ジョジョからエルサへ。母親からの導きが感じられる「外は危険だ!」や靴紐の反復シーンは涙なしには見られない。
大人と子どもの対比としても目線の高さが意識される作品だけど、同じ目
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ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

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これは3Dで観るべき映画だと思うのだけど、3D上映館少なすぎませんか。

途中、主人公が映画館に入りメガネをかけるタイミングで、観客も3Dメガネを装着する。3D部分の後半60分はワンシークエンスショッ
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

5.0

法定速度で走る一般車にさえなんだかロマンを感じてしまう帰りの夜道。

あらゆる無駄を削ぎ落としてより速く走ることだけを限界まで追求するレーシングカーの世界とマンゴールドは相性がいいに決まっている。あと
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お遊さま(1951年製作の映画)

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やはり縦の構図が印象的。屋内空間の使い方の巧みさ。奥行き。人物の配し方やモノの配置で登場人物の微妙な関係性が現れる。
問いつめる相手の動作を追従する登場人物たち、顔や背を向けても執拗に追いかけてくるカ
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アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

5.0

優れた作品は予言性を内包していると言いますが、翌年に東京オリンピックを控えた2019年のネオ東京を描いたAKIRAの世界を今年中に体験せねばなるまいと年の瀬に映画館に駆け込む。
欲望に身を任せたバカど
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

面白い。ネタバレ禁止を柔らかくお願いされるのだけど、確かに前情報をまったく入れずに見たほうが楽しめる。状況は思わぬ方向に転がり続け前半の描写が徐々に繋がりながら描かれていく後半は圧倒的。
舞台となる家
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HHH:侯孝賢(1997年製作の映画)

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侯孝賢=ストリート系

長渕剛『乾杯』からのおしまいっ!が最高でした。

イングロリアス・バスターズ(2009年製作の映画)

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映写機が映し出す死者たち。スクリーンが焼け落ちても響き渡る怨念。

しばらく映画が見られなくなるくらい山場が盛りだくさんで満腹。

アド・アストラ(2019年製作の映画)

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内省的な世界は地球から遠ざかるほど深まり、ブラピの孤独と虚無感が観ている側にも染み込んでくる。
目指した海王星は、西洋占星術の世界では夢や幻想、精神世界を表象する。そして見つけた答えはとてもシンプルで
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ジョーカー(2019年製作の映画)

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80年台初頭の架空都市ゴッサムシティには現代の社会状況が色濃く映し出されていて、この映画に対する賛否やアーサーへの共感/非共感など作品を評すること自体が対立構造をあぶり出し分断を鮮明にする。それらも映>>続きを読む

Arabian Nights(2015年製作の映画)

5.0

ミゲル・ゴメスが映画の中に招き入れるものの豊かさと自由さ。それらに翻弄されながらの魅惑の6時間半。上映時間の長さに対する鑑賞前の不安は杞憂だった。

(ポルトガルが)死を迎えないためには、シェヘラザー
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ダンケルク(2017年製作の映画)

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国内最大級スクリーンでのIMAXフルサイズ版上映を鑑賞。
投降をうながすビラが空から舞い落ちるファーストショットからたまらなく興奮した。(スクリーンが天井まであるので、空から舞い落ちてくる臨場感と続く
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世紀の光(2006年製作の映画)

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前半と後半、同じようなエピソードが農村と都市という形で舞台を変えて進んでいく。反復と差異。アングルの切替による視点の入替え。唐突なラストシーン。なんというか、分かりやすく提示されるものが一切ないため、>>続きを読む

ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)

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亡くなった人たちがこの世に戻ってくる、あの世とこの世の境目が少しぼやけるような、そんなお盆の時期にたまたま映画館で見たのだけれど没入感が増して良い。タイにそのような習慣があるのかは分からないが、立ち上>>続きを読む

天気の子(2019年製作の映画)

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まず驚いたのは、強いメッセージ性。描かれた結末は、物語の定型パターンでは主人公やヒーローが''してはいけない”選択で、とても緻密な東京の描写が残酷さを加速させて、その世界に暗澹とした気持ちになったが、>>続きを読む

スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

5.0

映像表現の新たな地平を切り開いたとか言いたくなっちゃうくらいに、これまで見たことがないアニメーションに(まさにマルチバースな表現の世界!)冒頭からエンディングまで圧倒された。情報量がとんでもないので1>>続きを読む

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

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対となるオープニングとラストシーン。地上から天上へ。滑らかに流れるカメラは、寡黙なクレオを取り巻く混沌とした世界を捉え、雑多で遠慮なく溢れる音たちが世界を豊かなものにする。そして水はこれから起こる出来>>続きを読む

ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス(2016年製作の映画)

5.0

”人々を助けるために必要な面倒事をしよう”
私自身、公共機関で働く一員としてとても刺激を受けたし勇気づけられた。
図書館スタッフやボランティアたちは熱意に溢れていて、彼らは図書館が人々にとって重要な施
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ゼイリブ(1988年製作の映画)

5.0

あのメッセージ群、いまだったらスマホを通してあっという間に群衆を洗脳してしまえるだろうな。描かれた世界は公開された80年代よりも現代のほうがより強力なメッセージとして訴えてくるのでは。

異常に長い殴
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遊星からの物体X(1982年製作の映画)

5.0

すべてのショットが潔くてかっこよい。
タランティーノ『ヘイトフル・エイト』は西部劇版『遊星からの物体X』だったという発見もあり。カート・ラッセルとモリコーネで繋がってるし。
爆破のカタルシスで終わらせ
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パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

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10年ぶりくらいに再見
爆音上映で見るパルプ・フィクション最高

アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

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秘密の暗号やメッセージの解読、様々な引用やオマージュなどがこれでもかと詰め込まれていてる。
自分好みのものが散りばめられているので音楽についても青春時代にオルタナ好きだった人間としてはがっちり心を掴ま
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