裕次郎さんの映画レビュー・感想・評価

裕次郎

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聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

3.5

男尊女卑が根本から根付いている国で娼婦殺しが理解を得、正しい行いであるとみなされる。

これはなかなか恐ろしい。イランその他の国では普通にそんなレベルなのかもしれないと思えるところが恐ろしい。

キア
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サンクスギビング(2023年製作の映画)

3.8

2007に吉祥寺のバウスで観た「グラインドハウス」に挿入された複数のフェイク・トレイラーの一つ。17年経って本編を見れるとは。
あのトランポリン惨殺シーンの伏線も回収。
しかしトレイラーでは、凶器はチ
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ZOO(1985年製作の映画)

4.5

腐敗しゆく生命へのオブセッションという、メジャーな映画がまず取り上げないテーマ。

昔はグリーナウェイって悪趣味な感じしたけど誤解してたかな。ラディカルな知性と遊び心、正確なフレーミング。こんな自由自
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クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

4.5

イーストウッドの中でも傑作にカウントされるものではないかもしれないが、集大成としかいいようがない。

長々とは書くまい。作中のセリフ”The macho thing is overrated”にイース
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運び屋(2018年製作の映画)

3.9

監督引退作?の”Juror #2”が控えるイーストウッド。

善悪の彼岸を生きる孤高のグランパぶり。グラントリノに通じるモノをひしひしと感じたが、脚本家が同じなんだな。

アンディ・ガルシアが出ている
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マジカル・ガール(2014年製作の映画)

2.2

魔法少女まどか⭐︎マギカに影響され、あの独特のダークな世界観をスペインという異国でそこそこうまく映像表現してはいるが、、結局は雰囲気だけで内容が決定的につまらない。

観客が知りたいところをさんざん勿
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いぬ(1963年製作の映画)

5.0

久しぶりにメルヴィル。

一見抑えたミニマリズム演出だけど本当にきめ細かいショットづくり。

ベルモンドがサツに聴取されるシーンの全く乱れのないロングテイク、バーのカウンターを歩く女の脚の行き来する絵
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拾った女(1953年製作の映画)

4.7

言わずと知れたサミュエル・フラーの傑作。

小悪党vs巨悪、リアルな犯罪街の香り、悪女な見た目だけど健気ないい女、味わい深い脇役たち、短尺に詰め込まれた無駄のないショット。

ザ・ノワールな質感が素晴
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肉弾(1968年製作の映画)

4.3

寺田農追悼が続く。
終戦間際に特攻を命じられた男。

国のために死ぬことを疑わないいっちゃってる笑顔。

地を這い回り、狭い蛸壺やドラム缶に隠れる痩せ細った肉体。ラストの喪失感からの咆哮。頭も身体も心
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上海から来た女(1947年製作の映画)

3.9

製作年が、傑作である市民ケーン&アンバーソンと黒い罠に挟まれているがゆえに、ウェルズの中ではどうしてもちょっと弱く見える。

つけたスコアはあくまでもウェルズ作品や同時代の上質ノワール作品群を母集団と
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トレマーズ(1990年製作の映画)

2.0

カルト評価されてるが、「言うほど、、」シリーズ。

カルト映画特有の緩いテンション、ズレた視差みたいなのはあるが、スリラーの必須要件である予測不可能性がほぼゼロ。

そして脳筋レッドネックとインテリ女
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まあだだよ(1993年製作の映画)

3.9

黒澤明の時代劇は好きだが現代物は「生きる」の冒頭が若い頃の肌に合わず挫折して以来ほぼ観てなかった。

普通にいい作品。私の映画嗜好もだいぶ年季が入ってきたのもあり味わい深く観賞。

香川京子が素敵。若
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信虎(2021年製作の映画)

-

寺田農追悼。

80(79?)にて武田信玄の父役として主演。
眼力の凄さはもちろん、身体の動かし方、立ち振舞いの優雅さ。武田信虎を知らずとも、武田信玄の父にしか見えなくなるマジカルな演技。

相米や喜
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ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!(2013年製作の映画)

2.8

40を迎え、若いとき成し遂げられなかったスモールタウンの12軒パブクロール制覇を五人の仲間で。

しかし乗り気なのは一人だけで、家庭や仕事に縛られた残りの四人が12軒を巡る道中でどう変わっていくのか。
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サンダーアーム/龍兄虎弟(1986年製作の映画)

4.2

ジャッキーの映画の中で特にバランスがいい。

インディ風冒険活劇、アクションのキレ、大胆なカーチェイス、Wヒロインのビジュアル、敵のいかがわしさとラスボス(?)の意外性。

エンドロールで流れるジャッ
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鮫肌男と桃尻女(1998年製作の映画)

3.6

三池、北野、タランティーノのテイストを持ちつつ模倣に終わらない独特のセンス。

組の金を横領した追われる者と追うヤクザ、よくある昔ながらの構図を引っ掻きまわすトリックスターを演じる我修院達也。

この
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ザ・シスト/凶悪性新怪物(2020年製作の映画)

2.0

今月、身体に粉瘤ができて痛い膿出し処置を続けている。安静にすべく自宅でU-NEXTばかり見ているが、マイリストたぐってると見つかったこの作品。

粉瘤も一種のCyst (嚢胞)であり、今の自分にピッタ
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CURE キュア(1997年製作の映画)

3.8

米国は羊たちの沈黙に始まりセブンに至るサイコスリラーの流れ、日本はオウムを経てJホラー。90sを特徴づける暗い要素を煎じ詰めたエッセンスのような作品。タイトルもまた実に90s的。

役所対萩原の対決を
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ルチオ・フルチのクロック(1989年製作の映画)

3.0

ルチオ・フルチのTV映画。
雑な作りだが時間逆行物。

1989にしては古臭く見える。
それより、同日に見たメメント(系統は違うが時間逆行シナリオ)の製作が1999だから10年しか離れてない。メメント
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メメント(2000年製作の映画)

3.7

公開当時気になりつつ、結局見ずにいたらもう24年て。撮影は1999だから四半世紀ですよ。

一見だと全容がなんとなく繋がるぐらいだが、DVDだとチャプター再生できるし、ノーランの解説コメンタリーもある
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桜桃の味(1997年製作の映画)

3.6

即興演出で引き出す反応が素晴らしい。
果物の逸話もアドリブで出てきたのかな。

それだけにラストのメタ映画的介入がどうしても邪魔に見えてしまう。

そこがなかったとしても、その前の決行の夜から何か絵的
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悪魔の沼(1976年製作の映画)

3.8

トビー・フーパー、「悪魔のいけにえ」の次の作品。

誇張しすぎたアメリカ田舎ホラーとして見どころ盛りだくさんだが、なかでもサイコおじさんの大鎌に注目したい。

ブルンと振れ幅が増すほどゴムとしての作り
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メイン・テーマ(1984年製作の映画)

2.4

ひろこをミューズにした角川アイドル映画だからそう割り切るしかない。

ひろこは大根でも可愛いが、相手役の野村宏伸の棒っぷりがきつい。胃でも痛いのかと心配になるガチガチの棒。

財津和夫も弱々しく、三人
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スローなブギにしてくれ(1981年製作の映画)

2.3

U-NEXTでかなりの数の角川映画が三月で配信切れに。どうせ復活するんだろと訝りつつ、もしもに備えてひとり角川映画祭が始まる。まあ当たりは少ないが。

浅野温子。角川三人娘の芋っぽいあどけなさの残る可
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逆噴射家族(1984年製作の映画)

3.9

「箱男」の公開が待たれる石井岳龍(聰亙)。

こういう80sの元気なノリ大好きで。もう40年前なんだと。

台風クラブより1年早く工藤夕貴はまだ13才。どこからどう見ても中学一年生の顔。それがいい。倍
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嵐が丘(1988年製作の映画)

4.0

松田優作の鬼丸。
徹頭徹尾、人の情を排した寒々しい演技。
共感がつけ入る余地のない凄さ。

武満徹の音楽が鬼火のように明滅し、鬼丸に呼応する。

優作の最後から三番目の出演作で、共演者の古尾谷雅人は目
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江戸川乱歩の 陰獣(1977年製作の映画)

2.8

カルト映画扱いされているが期待外れだった。70sのよくあるTVサスペ物みたい。加藤泰ということで感心するシーンもあったが。

市川崑の金田一の方が面白い。

もどり川(1983年製作の映画)

3.8

撮影当時、朝から酒と麻薬をやりまくってたショーケン。

ヤクでハイになってるショーケンと絡む女優陣の惜しげもない裸体のオンパレード。

とても艶めかしいが、蜷川有紀以外、系統的に似てるというかぱっと見
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新宿泥棒日記(1969年製作の映画)

3.5

大島渚あんまり好きじゃないがたまに頑張って作品消化してる。

横尾先生好きなのと横山リエの魅力で最後まで見れた。唐十郎は興味持ったことないが、冒頭からふんどし一丁のエキセントリックな絵面。

1968
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日本侠客伝(1964年製作の映画)

4.0

純粋なヤクザものとは違って、カタギのスレスレのラインを越えるか越えないかの小競り合いが激化し、やっぱり越えていくのね、ぶち破っていくのね。

というエスカレーション過程のカタルシス。

法より掟に生き
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非常線の女(1933年製作の映画)

4.6

小津のサイレント作品。

ホークスの「暗黒街の顔役」の翌年製作で、暗黒街の香りが漂うがやはり小津っぽい温かみ。

田中絹代がもう。童顔のようで時折おばあちゃん顔に見えたり、垢抜けない素朴さと貫禄が入り
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女は女である(1961年製作の映画)

4.8

高校生のときに一回観たっきりだが、時を経て見直してもほぼ全てのシーンを覚えていた。

当時はアメリカのミュージカル映画もほぼ観てなく、年取っても決して大好きなジャンルではないが、ダンス要素をほぼ抜きと
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カリフォルニア・ドールズ(1981年製作の映画)

4.5

元気が漲ってくる映画。

二人の女子レスラーが泥沼で見せ物レスリングさせられる屈辱の前半部分から最後の大乱闘タッグまでをつなぐダイナミズム。

ピーター・フォーク演じるケチなマネージャーがゴージャスな
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砂の惑星(1984年製作の映画)

3.5

D.リンチ版をあえてこのタイミングで。
20年以上振りにみたかな。

ルーカスからStar Warsを撮らないかオファーされたのを蹴った後に作ったのがこれ。

癖のあるキャラが次々に出てきて矢継ぎ早に
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ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

4.4

ミシェル・ウィリアムズ演じる絶妙に負のオーラ漂うアラフォーの彫刻家。

他の役者もアメリカの地方色ぷんぷんで実に味わい深い。ハリウッドの美男美女だらけのキラキラしたアメリカとはまったく違うリアルなアメ
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ノスタルジア(1983年製作の映画)

4.4

やはりすごい。

徹底した絵作りと独特の時間経過で、作品が生き物のように息遣いをする。

タルコの亡命の背景をインプットしておかないと、勿体ぶって何が言いたいん?となりやすいが。

そもそも生活感漂う
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