diesixxさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ブロンド・ヴィナス(1932年製作の映画)

-

クライテリオンのBlu-rayにて観賞。
結婚を機にステージ歌手を引退し、夫と息子を愛しながら慎ましく暮らす妻。しかし夫は病魔に蝕まれており、莫大な治療費を払うためにステージに復帰。たちまち金持ちのケ
>>続きを読む

幕末太陽傳(1957年製作の映画)

-

毎年お正月になると『幕末太陽傳』見るのがルーチン化している。見ている間、「これが世界でいちばん面白い映画だ」と思わせるエネルギーに満ちている。「居残り佐平次」を主軸に古典落語のモチーフが織り込まれ、役>>続きを読む

上海特急(1932年製作の映画)

-

クライテリオンにて。
ディートリヒとスタンバーグの黄金コンビが、興行的な頂点を極めた作品として知られる。政情不安定な中国を舞台に走る列車を舞台にしたアクションとロマンスを、居合わせた乗客の群像劇も絡め
>>続きを読む

間諜X27(1931年製作の映画)

-

クライテリオンにて。『モロッコ』に続き、スタンバーグとハリウッドで組んだ2作目(『嘆きの天使』からは3作目)。戦争未亡人から娼婦へと身をやつしたディートリヒが、女スパイとして活躍するも、敵のロシア人ス>>続きを読む

妖怪百物語(1968年製作の映画)

-

Blu-rayにて。大映ならではの重厚かつ漆黒の舞台とキッチュな妖怪たちのアンバランスさが楽しい。唐傘おばけがキモ可愛くて操演もよくできているが、ルーキー新一とのバーターで本編に絡まないシーンしか登場>>続きを読む

ひなぎく(1966年製作の映画)

-

大学生のころ、この映画に影響された出来の悪い自主映画を散々見せられたので、一時期は見るのもうんざりだった作品(同じ理由でレザボア・ドッグスも長らく見てない)
封印覚悟で権力に楯突いたチェコの映画クルー
>>続きを読む

インファナル・アフェアIII 終極無間(2003年製作の映画)

-

「善人」として生きることを選んだラウだったが、そもそもが偽装と捏造を土台としていたため、砂上の楼閣のごとくボロボロと崩れていき、破滅していくしかない完結編。
ヤンの殉職前の日々も並行して描かれ、美しき
>>続きを読む

インファナル・アフェアII 無間序曲(2003年製作の映画)

-

続編ではなく前日譚。シリーズの魅力の根幹をなす二人が出ていないので、やや華やかさに欠けるが香港ノワールの色気と暴力性は3作中最も高いのでは。
クライテリオンにて再見。

インファナル・アフェア(2002年製作の映画)

-

中学生の頃はトニー・レオンとアンディ・ラウに憧れたものだが、中年になった今見るとアンソニー・ウォンとエリック・ツァンの渋みと老獪さに痺れてくる。
ハリウッドの『ディパーテッド』や日本の『ダブルフェイス
>>続きを読む

ショーガール(1995年製作の映画)

-

結構前に買っていた是空からの4Kリマスター版で再見。吹替で見たのは初めてだったけどよかった。
ベガスのショービスの世界を描いた『イヴの総て』。脚本は『イヴの総て』ほど緻密ではないが、イヴの上昇志向を「
>>続きを読む

ブラック・ライダー(1971年製作の映画)

-

『ノープ』でポスターが貼られていたことから興味を持ち、ちょうどクリイテリオンからのBlu-rayが出たため入手。画質が良く、青空が映えている。
南北戦争が終結し、奴隷制が廃されても黒人への差別が止まず
>>続きを読む

二十四の瞳(1954年製作の映画)

-

JAIHOにて久々再見。
小豆島の低学年が通う分校。新米教師の大石先生(高峰秀子)と12人の子どもたちの牧歌的で素朴な交流は序盤。怪我で休んでいる大石先生に会うため、長い道のりを歩く子どもたちが「せん
>>続きを読む

旅情(1955年製作の映画)

-

クライテリオンの再発Blu-ray。
キャサリン・ヘプバーンは38歳の「オールドミス」という役柄だが、実際は撮影当時48歳で高画質で見るとそれなりに年輪を重ねた肌感が見受けられる。だが、そこは大女優。
>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

-

いすはいつ3本足になったのかが気になって眠れなかった。
ゆるふわ天皇愛を感じて新海さんは神道が好きなんだなーと思った。
皇居が出てきたあたりから「日本は天皇を中心とした神の国」という森喜朗さんの言葉が
>>続きを読む

いぬ(1963年製作の映画)

-

話が混みいってわからなかったので、2回見てしまった。
オープニングで地下道を歩く場面の並行移動、雨に濡れたベルモンドが帰宅→からの振り向きざまに衝立を撃ち抜き、倒れた衝立から大男がよろよろと歩いて崩れ
>>続きを読む

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

-

肉親が死んで、ちゃんと涙が出るまでの映画。
中盤のオコエ、シュリ、リリのカーチェイスはワクワクしたが、その後は情緒が活劇を追い越してしまう場面が多く、正直退屈だった。終盤は国同士の戦争映画となってしま
>>続きを読む

チャトラパティ(2005年製作の映画)

-

ラージャマウリ監督、プラバース主演のアクション活劇。
同じ母を持つ二人の兄弟。血のつながらない兄は高潔な魂で母の愛を受け、実の息子である弟は嫉妬深く、常に兄を陥れようと策を巡らす。すでに『バーフバリ』
>>続きを読む

お嬢さん(2016年製作の映画)

-

長いのとエロそうなのでなんとなく遠ざけていたチャヌク監督作。最高だった。
変態爺さんに囲われた日本人美女から結婚詐欺で騙して財産を奪う計画のため、侍女として屋敷に潜入する主人公が徐々に秀子に引かれてい
>>続きを読む

女の座(1962年製作の映画)

-

女系家族を通して、日本家族の鬱陶しさをねっとり描く成瀬版『東京物語』。終盤の笠智衆、杉村春子、高峰秀子の関係性と会話はかなり『東京物語』を意識してそう。
夫と死別して娘ばかりの一家で、ささやかに店を守
>>続きを読む

あなたがいてこそ(2010年製作の映画)

-

JAIHOにて。
自転車視点で語られるストーリーが面白い。序盤の主人公が歌ってる間に裏で大事故が起こってるシーンが一番面白かった。

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

ジョーダン・ピール3作目は、西部劇と未知との遭遇とジョーズのアマルガム。相変わらずさまざまなメタファーやレファレンスが散りばめられていて、まだまだ掘りがいがありそう。
理不尽で植民地主義的な暴力を、カ
>>続きを読む

ラジュー出世する(1992年製作の映画)

-

スーパースターSRKが初々しいけど、既にキレのあるアクションやダンス、繊細な泣きの演技をしっかりこなしていて驚く。
田舎の青年が、社長の娘に気に入られ、どんどん出世していくものの、恋人への気持ちが全く
>>続きを読む

バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017年製作の映画)

-

カンニングというミニマムな(そうでないとバレちゃうから)悪事をけれんあふれる演出で、スリリングに演出。開発に時間をかけた綿密なシナリオと主演4人の若者のみずみずしい演技アンサンブルも絡めて、クライムサ>>続きを読む

ペパーミント・キャンディー 4Kレストア(1999年製作の映画)

-

イ・チャンドンの長編2作目。人生に失望し、鉄道自殺を図るソル・ギョングが「戻りたい」と叫ぶと、列車の車窓の映像が逆再生され、時を遡るメメント方式で男の人生が語られていく。光州事件や民主化運動を背景とし>>続きを読む

縮みゆく人間(1957年製作の映画)

-

ユニバーサルで数多くのジャンルムービーを手がけたジャック・アーノルドの『大アマゾンの半魚人』と並ぶ代表作。
主人公がどんどん小さくなっていくというシンプルなプロットだが、男性の自信喪失という普遍的なメ
>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

-

精緻なシナリオと毒気あふれるユーモアセンス、美しくデコレートされた砂糖菓子のようなカラフル&ポップな美術とスタイリングに、Metoo時代の命懸けのカウンターパンチを仕込んで、映画史を塗り替えた超弩級の>>続きを読む

銃弾の饗宴 ラームとリーラ(2013年製作の映画)

-

ランヴィール・シンとディーピカー・パードゥコーンの恋愛映画。
インド映画で幾度となく繰り返される対立する一族同士のロマンスが描かれているが、互いに銃器を扱うヤクザ者のため、ややマフィア映画的な血生臭さ
>>続きを読む

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)

-

現実がクソすぎて、ノリで犯罪に手を出すが素人かつ根が善人なので全くうまくいかずに凡ミスを繰り返しあえなくお縄になるまでを描く犯罪コメディ。プロットはコーエン兄弟っぽいが、実話をベースにしていて、刑期を>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

-

自意識と対人関係に迷い、失敗し、他人と自分を傷つけながらのたうち回るアラサー女子の生活誌。作り手は男性で、私も男性だから、ここで描かれる主人公がどの程度、女性の実感に寄り添ってあるのかはわからない。>>続きを読む

アヴリルと奇妙な世界(2015年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

科学者たちが連れ去られて、蒸気機関以降の科学が発展していないスチームパンク的並行世界は、町中煤だらけで地獄だなーって一方で、結局石油が掘り出されてエネルギー問題解決しましたってオチは2020年代にして>>続きを読む

ラ・ブーム(1980年製作の映画)

-

『サニー 』(オリジナルの韓国版)でパロディーされていた映画をしっかり同時配信しているJAIHOは心憎いな。
子どもから大人までどいつもこいつも恋にうつつを抜かすおフランスの真骨頂。彼らの移り気や奔放
>>続きを読む