ゆきゆきて追悼のざわめきさんの映画レビュー・感想・評価

ゆきゆきて追悼のざわめき

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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.2

「あなたのことは好きだけど、アル中はご免よ」

これは名作ですよ。引退宣言を撤回したカウリスマキの描く恋愛譚。主人公2人の対照性が興味深い。イッヌはかわいい。世界中のシネフィルにむけた讃歌でもあります
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メランコリック(2018年製作の映画)

3.7

「幸せにはなりたいですけどね」

無為な生活を送る元秀才の青年が、ふとしたきっかけから銭湯で働くことになる。愛嬌と裏切りの描写がリアルで、低予算感と生活感が心地良い映画。あのハイエース絶対機材車でしょ

ストロベリーショートケイクス(2006年製作の映画)

4.2

「希望は売り切れですか」

涙を見せない4人の女の群像劇。自分事を重ね合わせては痛っ...となる。反省と悲しみと様々な感情と

単純に完成度も高くてかなりお気に入りの映画になってしまいました。オフビー
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WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

4.3

「よくやった! すごい子だ」

アメリカ社会から突き放された2人が偶然出会い、逃避行を続けながら確かな救済を見出そうとするロードムービー。低予算ながらもすごい映画です。『道』に匹敵するくらい

太陽の夢(2016年製作の映画)

-

映画の発生、発展、発酵、そして...?
きっと太陽が映画を作ったらこんな感じ。ストーリーもイメージも曖昧なのに、突然具体的なモチーフが挿入される構成。粒子状の映像と音楽のシャワーが降りかかる1時間超。
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音楽(2019年製作の映画)

4.0

「バンド、やらないか?」

オフビートな不良3人組がバンドを結成、町のロックフェスティバルに向けて練習を重ねる。オマージュと上品な悪ノリで満たされたシュールな構成で本当に面白かったです。初めてアンプに
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ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「リーマン・トリロジー」(2019年製作の映画)

4.2

「冷たい風が吹き抜けた」

リーマン・ブラザーズ興亡史。3人芝居+ピアニストに抽象的なガラス張りのセットと映像投影で150年の歴史を突っ走る。語呂の気持ち良いセリフも、スラップスティックとシリアスの入
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(1954年製作の映画)

4.4

「私がいないとあんたは一人よ」

白痴の女と粗暴な男芸人のロードムービー。ジェルソミーナに感情移入して終始辛かったです。道化の涙を描くことについてフェリーニは本当に天才的。音楽の作り込みもすごい。例の
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恋人はアンバー(2020年製作の映画)

3.8

「ボーヴォワールを読んだことはある?」

90年代アイルランド、高校生の同性愛者2人がシスジェンダーのカップルを偽装する。アンバーがひたすら素敵でした。終わり方がずるかったな...

ミッドサマー(2019年製作の映画)

-

「でも僕は喪失感とは無縁だった。この地に“家族”がいるから」

不幸な身の上で周りから関係を切られかけている大学生の主人公が、恋人とその友人グループで北欧の秘境へ夏至祭のフィールドワークに出かけるお話
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神のゆらぎ(2014年製作の映画)

-

「エティエンヌ、飛行機が落ちたの。病院へ行くわ」

エホバの証人の信仰家庭に生まれた看護師ジュリーを軸に、様々な登場人物の優しさが交錯する。決してエホバ批判ではなく人間の拠り所の不確実さを思わされる作
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六月の蛇(2002年製作の映画)

4.2

「馬鹿野郎、まだ切ってねえのかよ!」

カウンセラーの女・潔癖症の夫・死の近いカメラマンの三角関係。耽美で倒錯的な再生譚で私好み。構図の作り方やリズム感、音楽がたまらなく良い。美意識が溢れている。何よ
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インフル病みのペトロフ家(2021年製作の映画)

4.2

「むかし新年の祭で雪むすめに会った。雪むすめの手は本物みたいに冷たかった」

2004年、ロシア中部の都市エカテリンブルク。インフルエンザに冒された主人公は超現実的な世界に飛び込み、子どもの頃に「あな
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ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年製作の映画)

3.9

「何故ですかって具合に訊かれるとね結局、
何故でもだって答える具合になっちゃうだろ?」

ロマンポルノとして作ったのに日活が拒否するほど個性的でインディーズ行きになった怪作。ゴダールの影響が強すぎる。
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アドレナリン・ドライブ(1999年製作の映画)

3.7

「今週は新しい自分に出会えるチャンス。思い切って外の世界へ飛び出してみましょう!」

地方都市の冴えない2人が「裏」の大金を手にして逃避行へ。緩慢にスタイリッシュとコミカルの間を行き来する映像はどこと
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ロシュフォールの恋人たち(1966年製作の映画)

3.9

「どこで楽譜を?」
「道で」
「探したのよ」
「僕も君を探したよ」

フランスの港町ロシュフォールで交錯する恋愛模様。もはやミシェル・ルグランの映画ですね。メタ描写が笑わせる。幸せ一杯じゃないのが素敵

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

4.2

「あなた幸せ?」
「とても幸せだよ」

フランスの港町シェルブールで愛し合う男と女。戦況が悪化したことから運命の歯車が狂いだす。
お洒落な世界観とミシェル・ルグランの泣きのメロディが素敵。登場人物の愚
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双頭の鷲(1947年製作の映画)

3.8

「双頭の鷲、一つを切れば鷲は死ぬ」

美しい王妃が刺客の詩人と恋に落ちる。格調高い恋愛悲劇で、コクトー独特のセリフ回しが流麗で素敵でした

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

-

「この瞬間、崇高な考えが訪れる」

1970年代のパリ。オルガンの音すら耳に突き刺さるような世界で、たぶん悪魔に導かれ、生死に対して能動的であることが罪であると悟ったスノッブ青年の死。ここにはエロスも
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永遠に僕のもの(2018年製作の映画)

-

「彼らは裏社会の人間だ。芸術は理解できない」

ロレンソ・フェロを観るための映画という感じでした。息をするように犯罪を繰り返す美少年の孤独。彼は誰にも理解されないまま踊るように去ってゆく。偶像としての
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ヒポクラテスたち(1980年製作の映画)

4.1

「時々私こうやって、自分の血抜いて遊んでるの」

京都の医大生たちの群像劇。小児科医役の手塚治虫、ゴダールの露骨な引用など見どころあり。濃いものを観たなあ。クライマックスからラストへかけてうわあっ..
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ばるぼら(2019年製作の映画)

-

「ミューズに出逢ったことは?
 神話の女神じゃない。
 柔らかな肉体を持ったミューズだよ」

売れっ子作家が謎めいた不良少女を拾って夢中になり、転落するファム・ファタール物。猟奇的な手塚治虫大好きでし
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性のピンチ(1973年製作の映画)

-

「あれはおれの描いた絵じゃない!」

保険外交員の未亡人が死にかけの爺から受け継いだ予知能力を元に、同じくテレパス傾向のある女2人の人生を占うSFポルノ譚

濡れ場に加えて、旋盤工と画家として慎ましく
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ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)

3.9

アニエス・ヴァルダの才能が怖い。力強い映像はもちろん音の扱い方が抜きん出ている。パーティー会場をわざわざ突っ切ってパリに向かう主人公カップルの構図が面白かった。猫かわいい

セッション(2014年製作の映画)

4.2

「チャーリー・パーカーが“バード”になれたのは、シンバルを投げつけられたから」

痛い痛い痛い

名門音大にドラムで入学した前途洋洋のアンドリュー。レッスンに乱入した鬼教師フレッチャーに名授業?へスカ
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コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

4.1

「音楽と医学は一緒なんだ
 太陽を回る二つの惑星ってとこさ」

シュールで中身のない会話劇なのに美しく感じてしまう不思議。これはジャームッシュの夢の世界なんだと思う。特に最後のエピソードは美の極みで、
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ヴァイブレータ(2003年製作の映画)

4.0

「旅は道連れ、世は情け!」

頭の中の声に苦しむ女と、行きずりのトラッカーの男のロードムービー。温もりある浄化の物語。終始夢見心地で相米を思わせる場面もあり。濡れ場が多くて観る人を選びそうだけど無駄な
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Wの悲劇(1984年製作の映画)

3.9

渇望と嫉妬の渦巻く芸能界でパラレルな人格が葛藤する。クライマックスのテンポ感結構好きです。この時代のファッションやインテリアってやっぱり素敵ですね

ラブ&ポップ(1998年製作の映画)

4.0

「何かが足りないという個人的な思いはその人を孤独にするから」

援助交際をテーマとした庵野秀明の実写作品。凝りすぎた構図、多幸感と恐怖の表現が非常に魅力的。とにかく映画に没入して作り上げている不器用さ
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イカリエ-XB1(1963年製作の映画)

4.1

「知ってます? 作曲家のオネゲル。彼も20世紀の人間です」

22世紀末に生命を探して宇宙に旅立った人々の群像劇。悪人が一人もいないのに摩擦が起きる辺りがリアル。イカリエ自体が良い意味で宇宙船ぽくない
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家族の肖像(1974年製作の映画)

4.0

「私たちがいるわ。一緒に食卓を囲みましょう」
ヴィスコンティの中では好きな方の作品。「教授」が淀川長治に見える時があります。

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