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父に迫られた星乃あんなが逃げてから台所の包丁を手にして刺すまでの導線設計、岡田将生からひとまず60万脅し取って帰るバス停での会話の進展と同期して前進するカメラ、実家から走り逃げるシーンの撮影と背景の道>>続きを読む
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海沿いの道を電動カートがフレーム外から入ってくる開巻最初のロングショット。似た構図で再度遠出をするときのショットのあとに本作主人公――なんならもう一人の演出家と呼んでもいいかもしれない――かづゑさんが>>続きを読む
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昇りかけの朝日と平原を捉えたロングショット、山々や道などの実景が数秒程度のカットで小気味よく重ねられていく。きれいな景色だ、しかし人の気配が全く感じられない。やがて木に花の咲いていた頃から吹雪くほどの>>続きを読む
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ひび割れた舗装とそこから生い茂る草にシャッターの降りた個人商店、老人ばかりが目立つ団地。そこかしこに顔を覗かせる死や滅びの気配を感じさせつつも、映画は決して嘆いてばかりではない。何と言っても本作で最も>>続きを読む
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「ファンムービー」ってファン向けの作品という意味ではなくファンが作ったレベルの作品って意味だっけ?カクついたモーションにテカテカのモデリング、調整したんですか…というサウンドデザインなど、クオリティの>>続きを読む
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音楽が流れるというより、流れていた音楽を切るタイミングの方が興味深い。5カットを除き『ラ・ジュテ』のように静止画で次々に画面が映し出される訳だけれど、フレームの中でさらに写真やテキストを引用した紙など>>続きを読む
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アーメッドが内通した通訳をボコしているのを制止すべくキンリーがホルスターから拳銃を抜くカットの画面構成から明らかなように、アフガンものの企画を西部劇のアプローチで撮る(ご丁寧に終盤追い込まれた主人公た>>続きを読む
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TVシリーズ未見どころかウルトラマン自体何十年ぶりレベルだけれど、『へんげ』の特技監督が本作監督だったので。真伏博士ってどう考えてもラング『ドクトル・マブゼ』『怪人マブゼ博士』からのいただきでしょう。>>続きを読む
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「I Did Not Kill Him」「That's Not the Point」。聴取にどう答えたか詳細に話してと弁護士のヴァンサンに促されザンドラが話す中で繰り出されるやり取り(ちなみにこのシー>>続きを読む
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紙に鉛筆を滑らせる音が黒味の画面に鳴り、人の顔――目を描くアップから映画が始まる。このファーストショットで高らかに宣言している通り、本作は目/視線の主題系を徹底する。最初に残された絵をミソが見せられる>>続きを読む
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しょーもねー…で済ませるのがいちばん正しい回答な気がする。『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』辺りと同根の、作家性の意味を履き違えたとしか思えない弛緩した画面と時間が延々続く。もう>>続きを読む
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真摯な作品であることはもちろん理解できるし、キッチンに立つカルーセル麻紀の佇まいとか八丈島の稜線も見える荒野を飼料担ぎながら歩いてくる哀川翔と牛を捉えたロングショットなど悪くないと思える瞬間も結構ある>>続きを読む
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いやもう本当、バストショットくらいのサイズで2人(たまにそれ以上)の会話を律儀に切り返して撮る画面が中盤過ぎくらいまでずっと続くので、エリセに特段思い入れのない身としてはかなりしんどい。例外としてかつ>>続きを読む
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この映画は左右に畑のある一本道を歩いていく誰かの後ろ姿から幕を開ける。その後ろ姿を、カメラは一定の距離を保ちながら追いかけていく。山のカットに次いでその足元のアップに、そしてファーストショットよりは近>>続きを読む
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音についてのメモ:上白石は松村が炭酸のペットボトルを開ける音を聞いて苛立つ。歩いて行ける範囲が世界の全てと書かれたパニック障害についてのブログを読んだ翌日に、洗い物をしていた上白石が窓の外から聞こえる>>続きを読む
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「言葉を撮る」企画を目指したという通り、確かに台詞の応酬によって愛や欲望を探る作品ではあるのだけれど、それ以上に画面とアクションで物語る意志に打たれる。冒頭の、刺された男がぐったり横たわっている屋内の>>続きを読む
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夜と光の映画として完璧ではなかろうか。洗濯物のカゴが置かれていたりして生活感の強い無人のリビングが、画面左にある窓から差す光が徐々に弱くなり暗くなっていく。営業時間を過ぎたモールの中を案内する警備員が>>続きを読む
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とにかくあらゆるショットが心地いい。木々の間から建設途中の建物が垣間見え、風に揺れる枝と画面に写らない電車の音がするファーストショットが良い。バスで帰っていく工事現場労働者たちの座る一番うしろの座席か>>続きを読む
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気まずい関係を前提にした気まずい会話の、言葉のキャッチボールというより言いたいことをぶつけ倒すドッジボールでこれはだいぶしんどい案件…と思ったら、莉子と中島歩の「ご飯とパンどっち派?」という話から急に>>続きを読む
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なんとビックリ今回はSEEDもDESTINYもテレビシリーズを見たことがある(当時小学生、熱で寝込んだときに父親が何故か録画を見せてきた、どういう流れでそうなった?)。とはいえそれっきりで特に思い入れ>>続きを読む
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ベテラン医師と研修医の二人を視点人物として一応立ててはあるものの、彼らや病院の来歴などの説明は最低限に抑えられている。では何を描くのかというと本作はひたすら、ひっきりなしに運び込まれてくる急患への対応>>続きを読む
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突き抜けたものはついぞ無かったものの、品があって悪くはない小品といったところ。画面一面に広がる平原を、カメラが下に首を振ると少女が孤独に横たわっているというファーストショットなんか一発で置かれた境遇を>>続きを読む
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序盤こそ編集やズームイン・アウトなどを駆使して違和感/恐怖を作り出す姿勢に好感を持てたのだが、中盤以降はフレーム内で異常な出来事を起こしておけば怖いだろうみたいな雑さを感じてしまい…。祖父母が横に並び>>続きを読む
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オリンピックとか夏季も冬季も1試合すら中継を見た覚えがないけれどなんとなく。種目こそ違うとはいえ、コロナ対策等やっていることは概ね東京五輪と同じ(そりゃそうだ、半年くらいしか空いてないのだから。あとこ>>続きを読む
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ほぼモノクロと言ってよさそうなほど色を抑えた画面に、川と両岸が写る。ここは中朝国境で、脱北者はみなここを命からがらに渡るのだという当事者へのインタビュー音声が重ねられる。ここで写し出された川=大いなる>>続きを読む
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甘いノスタルジーのようでいて、むしろ過去を徹底して美しいものとして描けば描くほど現在の香港に対する手厳しい批判になるという、民主化デモも大陸中国の介入も全く描写せずにプロテストしてみせる離れ業。なにせ>>続きを読む
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叔母の養蜂場でミツバチの世話を手伝う際に近づいてくる蜂をじっと我慢してやり過ごすシーン、叔母に抱き抱えられるルシアと接近するカメラとが醸す親密さに目を見張る。ラスト、親族たちが居なくなったルシアを当人>>続きを読む
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言うほど狂気が伝わってこないというかやることなすこと別にポストアポカリプスものの定番だよな…というのと、外界の命を落としかねない寒さを表現するためとはいえ寒色どころか単に暗い画面ばかり続くのが微妙。
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通行人の行き交う中、歩道に小川あんが動かずに俯いている。そのカットはそれなりに長い時間持続して映され続ける。観る側は始め、一体これは何なのだろうと思う。けれどもその映像をじっと見つめ続けているうち、あ>>続きを読む
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ファーストカットの、パーティー会場に入っていく男のトラックショット長回しから、これはちゃんと映画をやろうとしている人たちだと姿勢を正す。「手」は単に呪いの道具に留まらず、しばしば生きている人物同士も手>>続きを読む
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年末恒例、まるで知らないけれど流行っているらしい覇権コンテンツの劇場版を見てみる回。原作もテレビアニメ版も未見だが、CP厨としての脳がロイヨルに反応したので何故か今回は二次創作SSだけは読んだことある>>続きを読む
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ユニクロ(ファーストリテイリング)のプロデューサーと電通の脚本家が日本贔屓の海外巨匠と組むプロジェクト。どう考えてもツーリズム映画だ。それでも日本(外国)に対して幻想を抱く海外批評家だけでなく国内の評>>続きを読む
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壁一面に貼られた絵の数々、カメラはそれらを都度都度ズームイン・アウトしながら一つずつ見せていく。それぞれの絵に合うサイズを探っているような、芸術との距離を図るような姿勢がまずファーストカットで表現され>>続きを読む
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ソクーロフ的な霧が外を彩りつつ、英国ゴシックホラーの演出を援用することで娘と母の関係性や記憶をめぐるテーマを描き出していく。深い霧と枯れ木の枝が画面いっぱいに埋め尽くすなか、風で霧が晴れるとそこは道で>>続きを読む
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純度の高い映画美学校座組のスタッフ陣営によって繰り出される幻想奇譚。血を飲まなければ生きていけず、陽光を浴びると蒸発する河野知美がモンスターである…という風に思わせて、実は彼女はあくまで自分の生態に従>>続きを読む
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どのカットもカメラ位置をしっかり考えているのだなという落ち着きと、それでいて全部計算づくですといった打算は伺えないのがとても好感。最初におっと思えたのは、夜の室内で横たわっている澁谷麻美の大写しにされ>>続きを読む