花火さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

花火

花火

映画(228)
ドラマ(0)
アニメ(0)

王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ということで祝劇場公開。現代日本映画史上最高傑作のひとつなので、特段の事情が無い限り全人類観に行くべしとすら言いたくなる大大大大大傑作です。

俳優の声、芝居の変化も勿論だけど、その編集がバチバチに決
>>続きを読む

アダミアニ 祈りの谷(2021年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

深い悲しみや苦悩をその心の内に抱えた人々に寄り添いながらも、その痛みにずけずけと上がり込むのではなく、あくまでカメラに写るものを捉えようとする節度が好ましい。実際、「俺は100%変わってしまった」と話>>続きを読む

MY (K)NIGHT マイ・ナイト(2023年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

『四月の永い夢』の一発屋という評価で固まりつつある中川龍太郎、なんで今回も観ちゃったんだろう。タイトルのダサさもすごいが、中身もかなりお察しだった。細切れカットの連鎖といいブレブレの手持ちカメラといい>>続きを読む

怪物の木こり(2023年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

冒頭の横移動で捉えられた奥に洋館の見える木々の連なり、これは中々良いと思えた。しかし以降、艶の欠いた暗さの画面を筆頭に、どんどん映画の勢いが削がれていく。結局、劇中でいちばん邪悪だったのは、奪ったスマ>>続きを読む

4つの出鱈目と幽霊について(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

1話目が出色の出来。夜の街を奥から手前に向かって歩いてくる男。それを同じ場所の左へのパンだけでしっかり捉えきる選択に思わず身を乗り出す。喫茶店で後ろの予約席に座っている幽霊と話す男を横から撮ったショッ>>続きを読む

ほかげ(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

なんといっても、趣里の目および顔の表現が力強い。これがあれば成立するとでも言わんばかりに。開巻すぐ、居酒屋に入ってきた男を一瞥する、影が差した顔のギョロっとした目の動きにまず戦慄させられ。河野宏紀に朝>>続きを読む

劇場版 シルバニアファミリー フレアからのおくりもの(2023年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

ほぼほぼ夜の回だから大丈夫だろうと思ったら、意外とお子さんがいらしていて申し訳無さが強い。途中からぐずられていたのが聞こえてきて、まあ確かに…という面白みのなさ。小中和哉が監督ということで観に行ってみ>>続きを読む

劇場版 ポールプリンセス!!(2023年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

まぁ正直どんな動きをしていたとしても「CGIだからそりゃ出来るだろ…」としか思わないので…。幼少期のトラウマの原因になった相手と再会する会場前の階段で高低差を使った人物配置の反復と差異とか、舞台袖にい>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

なるほど確かに権謀術数渦巻く展開は戦国版『アウトレイジ』で、北野武だから実現した超豪華キャスト陣…というよりむしろ、かつて映画を支えた俳優たち―『Dolls』西島秀俊、『アウトレイジ』加瀬亮、『座頭市>>続きを読む

GIFT(2023年製作の映画)

-

果たしてこれを単独の作品として評価することが適切なのか、という思いはありつつ。濱口竜介といえばやはり緊密な会話劇だろうということで、サイレントになったときにどうなるのだろうという興味が第一にあったが、>>続きを読む

曖昧な楽園(2023年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

夜、特徴的な建築の団地を歩くクラゲを腰から上のサイズで真横からフォローするカメラ。やがて入口が見えるとそちらへ向かう彼の後ろ姿を、水たまりもある地面をぐちゃぐちゃと水音も込みで捉える。あるいは彼と雨が>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

1.1

このレビューはネタバレを含みます

序盤のベッドに横たわる新垣結衣の周りに水嵩が増していくイメージカットでもうダサくてかなわないのだけれど、重要な場面で手持ちカメラの顔アップ切り返しを連発するのも芸が無さすぎる。劇伴もわざとらしい。
>>続きを読む

駒田蒸留所へようこそ(2023年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

お仕事もののフォーマットを1mmも踏み外さないゆえに職業が違うだけで独自性が無いとか、醸造に何年もの時間がかかる=未来に向けて造っているウイスキーと震災前の幸せな状態に戻りたい=思いっきり過去を向いた>>続きを読む

花腐し(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

監督、脚本家、原作者いずれも男性で、完全に男目線なのは間違いない(とはいえ二人体制の撮影の片方と編集は女性ではある)。けれどそれを棚上げにしたとしても、朽ちていく世界で散ることさえできず生きさらばえる>>続きを読む

パトリシア・ハイスミスに恋して(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ハイスミスのテキストを読み上げる俳優/ハイスミスと直接交流のあった人/日記を読んでハイスミスに"恋した"監督/そして記録されていたハイスミス本人と、複数の声が映画に響いているのがまず良い。『見知らぬ乗>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます


特報を見たとき、これは行けるのではないかと思った。つまり、『シン・ゴジラ』が金子修介『平成ガメラ3部作』に範をとった作劇なら、今回のゴジラは『平成ガメラ』以降で怪獣映画を更新した作品--スティーヴン
>>続きを読む

アイドルマスター シャイニーカラーズ 第1章(2023年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます


モノローグの多用、観客の感情を操作することを目的にした劇伴、右肩上がりの走り書きタイトル、わざとらしい光に舞う桜と、ダメな邦画にありそうな要素がこれでもかと繰り出されるのでもう帰ってもいいかと何度思
>>続きを読む

北極百貨店のコンシェルジュさん(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

淡い輪郭とバタバタした動きの大きいアニメーション。もちろん単に眺めるだけでも楽しくはあるのだけれど、それが「空回りしがちな新人の奮闘」というシチュエーションときちんと同期されているのが良い。やたら耳に>>続きを読む

ヨーロッパ新世紀(2022年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

ルーマニアにおける移民問題という何重にも民族・宗教的レイヤーの重なる複雑な問題を取り扱いつつ、ガラスや玄関の屋内/外、教会の通路で区切られた座席、そしてラストのテーブルを挟んだ画面の手前と奥と、「こち>>続きを読む

ハント(2022年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

北のスパイだが多くの死者が出る全面戦争は避けたい、南の諜報員だが仕える価値のない独裁政権は打倒したい、お互いに自分の立場の本来的な仕事と逆のことをやらざるを得ない二人を表現する、ガラスの映り込みとフォ>>続きを読む

アイドルマスター ミリオンライブ! 第3幕(2023年製作の映画)

1.2

このレビューはネタバレを含みます

羽根が落ちる表現をやりたかったんだろうが、そこは鳥の羽ではなく蝶の羽にすべきではなかったのだろうか(10話のことです)。例えばスピルバーグは『未知との遭遇』で子どもたちが未知なるものに触れようとする様>>続きを読む

ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

明らかにミュータント=移民のメタファーとして位置づけているのは間違いない(そう考えるとタートルズがやたらゴジラに「進撃の巨人」に防弾と東アジアネタを連発するのも、それらがグローバルというだけでなく、白>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

明らかに破綻している物語・設定がズルズル続く地獄の169分。いや、私はどちらかというとシナリオの整合性より、このシーンを見せたいんだという心意気の方が好きな方ではあるのだけれど、この弛緩を帳消しにでき>>続きを読む

熊は、いない/ノー・ベアーズ(2022年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

テヘランの通りを写し出すカメラが台車やカフェの店員など動きのある人をフォローするように左へパンしながら270°回転していく。電話を受け店外に出てやって来た男と切羽詰まったように話をする女性。会話によれ>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

そんなにドラマ的な意義があるわけでも無いのにしばしば元ゲーム開発者の山内一典氏(流石に本人ではなく役者が演じている)が出てくる辺り、この企画そのものがゲームと映画をどう上手く止揚できるかということに腐>>続きを読む

アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

シンプルに印象が薄い。言葉の使い方が悪い意味で脚本家的で、しかもその台詞が身体的なレベルにまで消化されていないように思える。それに伴ってキャストの声の芝居もそれほど卓越したようなものではない。変化しな>>続きを読む

禁じられた遊び(2023年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

トカゲの尻尾のあからさま過ぎるCGに、セット感の強過ぎる庭、回想シーン処理など、すべてが雑なまま放置されている。「写っているのに気づかない、襲ってこなくてもそこに居るだけで怖い」というJホラーの美質を>>続きを読む

アイドルマスター ミリオンライブ! 第2幕(2023年製作の映画)

1.3

このレビューはネタバレを含みます

散々引っ張ったわりに原っぱライブのインパクトが弱い。幻視というかファンタジー的な描写を多用し過ぎでは?この作品に映画の演出を求めるのは筋違いということは第1幕で嫌と言うほどわからされたが、それにしたっ>>続きを読む

戦慄怪奇ワールド コワすぎ!(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

決して潤沢ではないであろう予算のなか、「音に導かれる映画」として圧倒的な作り込みを見せた根本飛鳥氏の手腕をまず称えたい。金属音、女の声、うめき声、電話越しの除霊、そして異界に飛ばされた一行を先導する霊>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

抹消された事件を映画として残すという意義深いことは間違いないし、箸にも棒にもかからないような作品ではないのだけれど、『A』の作家の初劇映画がこれだと言われると正直肩透かしをくらう。"普通の人々が引き起>>続きを読む

私たちの声(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

こういうコンセプト先行の短編オムニバスで、総体として良かったと思える作品にこれまで出会ったことが無いのだが本作も同様。そんな中で呉美保監督の『私の一週間』はかなり健闘していると思う。親子間の見る/見ら>>続きを読む

キャメラを持った男たち 関東大震災を撮る(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

カメラレンズのアップに始まり、寄りでフィルムを取り付ける手元を捉える画面が続く。そしてフィルムがよれるカシャカシャという音やクランクを回すガラガラという音も際立ち、物理性がまず強調される。それはもちろ>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

食料が尽き空腹に苦しむマリアが隠れてジャムを食べていたアナとペドロを恨めしく見るくだりで、アイリスアウトするように壁が真っ黒に塗り潰されて描かれた彼らの身体すら黒塗りされるなか二人の手元だけ残されるの>>続きを読む

アイドルマスター ミリオンライブ! 第1幕(2023年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

ここまで私情の挟まる映画は、Filmarksに感想を書き始めてからだと『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM Record of Memories』以来だろうか(結局アイ>>続きを読む

破壊の自然史(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

何と言っても序盤が圧巻。小さな町の牧歌的な生活風景が続き、何かの見世物に興じている人々が写ると不穏に航空機のエンジン音が鳴り響く。飛行船と、そこから見下ろしたであろう町や川が写し出される。その画面には>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

そりゃ質はプロダクションデザイン筆頭に申し分なく高いし、プラカード剥き出しだけど思想・主張もまあ賛同できるラインに収まっている(敵味方しかいない二者択一の単純化した世界でいいのか――アランがどちらにも>>続きを読む