花火さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

花火

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バービー(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

そりゃ質はプロダクションデザイン筆頭に申し分なく高いし、プラカード剥き出しだけど思想・主張もまあ賛同できるラインに収まっている(敵味方しかいない二者択一の単純化した世界でいいのか――アランがどちらにも>>続きを読む

PLASTIC(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

2018年パートの奇を衒わない瑞々しさをまずは心から祝いたい。もうこれだけで満点あげちゃう。かっちり構図を決めたであろう画面と、人物の動きが主体でカメラはそれをフォローするように動く画面。そのふたつの>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

なんというか、もうクライマックス過ぎたでしょという崩落した橋から落下する車両から脱出するシークエンスで、食堂車のフライヤーから溢れた油に足を滑らせる描写にいたく感動した。スカイダイブのような見栄えの良>>続きを読む

五等分の花嫁∽(2023年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

同日公開『君たちはどう生きるか』がまだ「かつて一世を風靡した老人男性作家の哀しい出涸らし」を観られるという価値があった(そんなものに価値を見出す必要があるのかは別として)のに対して、これはもう本当に虚>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

1.0

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なにぶん宮﨑駿はおろかジブリ自体に思い入れがまるで無い(し不勉強なことに大して観てきてもいない)ので、集大成と言われてもピンとこない。イマジネーションが枯渇しているんだろうなというのは画面を見ていると>>続きを読む

サントメール ある被告(2022年製作の映画)

5.0

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あんまりにも凄過ぎて今後の法廷劇を観る基準になるというか、ジャンルにおけるオーパーツのような存在として語られていくのではないだろうか。
何と言ってもロランスの撮り方がバチバチに決まっているのが最高。最
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星くずの片隅で(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

早朝の仕事前に会社で寝て準備しているザクの窓に向かった後ろ姿にカメラがドリーインする。カットが切り替わり、無人の街をはしゃぎながら走るキャンディとジューの姿を移動撮影で捉える画面。そんな二人を事務所の>>続きを読む

バイオハザード:デスアイランド(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

求められるものをキチンとお出しされた感じ。時系列としては久々に主役級で活躍するからか、ジルまわりのアクションにどれも気合が入っていて良い。すれ違いざまにナイフで斬りつけるような、ゲームだと地味になりそ>>続きを読む

絶唱浪曲ストーリー(2023年製作の映画)

4.3

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シャンタル・アケルマンがフィリップ・ガレルに言った「全てを平等に描くこと、ただしそれは平凡にという意味ではない」という言葉を思い出す。芸の極みのような名人たちの浪曲やそれを学ぼうとする弟子たちの姿も、>>続きを読む

君は放課後インソムニア(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

黒味の画面に聞こえてくる水の音、あーという声。夜明けの水辺に佇む奥平大兼がスマホに向かって話し続けている。そして夜明けが来る。登ってくる太陽とそれに照らされる海とが写し出す朝焼けのロングショットはあま>>続きを読む

カード・カウンター(2021年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

ブラックジャックで戦うべき相手は胴元たるカジノではなく、他プレイヤーなのだという。そして勝つためには相手を観察するのだと。裏を返すなら自身を曝け出すことは負けに繋がるのだろう。自らの過去を消化しきれて>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

たとえ当人たちが「ネタ」にしたつもりはないと言い張ろうと、この物語構造で最後にセクシュアリティの揺らぎの件を持ってきた時点で倫理的にアウトだと思う。そしてそれ以前に映画が下手――子供から豚の脳云々を切>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

夜中に着いたホテルで、先にベッドで眠った娘の靴を脱がしてやり毛布をかける父。プールサイドで日焼け止めを娘に塗ってやる父。海中でゴーグルを落としたことを謝る娘。序盤に描かれたそれらは後半に、動揺して先に>>続きを読む

デスパレート・ラン(2021年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

普通にめっちゃ上手い。森の中を突っ切って行くナオミ・ワッツの捉え方が、事態に進展のないうちは個人を識別できないほど高い位置のドローン空撮で見下ろし無力さを感じさせ、情報が出揃いより主体的に事件に関わっ>>続きを読む

アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

途方もない強度の『ロスト・シティZ』や描いている孤独が破茶滅茶に刺さった『アド・アストラ』といった直近の作品に比べると個人的な好みとは外れるものの、とはいえ当然のことながら大層出来がいい。なんと言って>>続きを読む

EO イーオー(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

そう、こういう映画が観たいから映画を観続けているのだ。そう思わせてくれる。物言わぬ主人公が自然の中を駆けていく姿に『エッセンシャル・キリング』を、ひとつの事象をめぐって周辺が点描される光景に『イレブン>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ゲームの映像メディア化でしばしば言われる通り、映像は受動的なメディアでありゲームは能動的なメディアである。これに言及する際は概ね、自ら操作するゲームのプレイフィールを落とし込むのは難しいよね、という結>>続きを読む

せかいのおきく(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

水面とそこに浮かぶ鳥の画面から始まる通り、雨や川(を往く舟のシーンがどれもバチバチに決まっていて最高)など水のモチーフがしばしば画面を彩る。そして水瓶やオケをアップで写す画に雨や雪が降り始める瞬間のハ>>続きを読む

アダマン号に乗って(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

父と兄を亡くし面会できるのは残された母だけで友人とも会えないと語る老女を、正面から写す画面は彼女の表情に宿るエモーションの力強さを捉える。このときカメラは少しずつズームアウトしており、どこか探り探りな>>続きを読む

独裁者たちのとき(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

霧に包まれた背景がその手前を横切るヒトラーを追うと、そのまま地面に倒れ込み彼を罵るドイツ兵たちの姿に切り替わる。数少ない個人と個人が交わる瞬間で、それ以降ゾンビを思わせるほど動きの緩慢な独裁者たち4人>>続きを読む

午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

企業ロゴが続き、黒味の画面に列車の音が聞こえてくる。すると画面は行き交う人々の影と、何かを見つめる女性を写す。カットが変わるとパリの案内図が写り、彼女のものと思しき影が落ちるなかルートを示すランプが灯>>続きを読む

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

口だけは達者な元ポルノ男優が元妻やら隣人に果てはドーナツ店の高校生バイトなどを口車に乗せて図太く再起を狙う話で、この男を全面的に肯定するでも否定するでもなく、「忘れられた白人男性」を描く作品にありがち>>続きを読む

マリウポリ 7日間の記録(2022年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

前作は未見。構えていた内容とは違ったのがいい誤算だった。当然ながら破壊のカタルシスを感じさせるような映像は排され、人々の生活を丹念に描写することでむしろ「面倒な日常」が浮かび上がるようなつくりとなって>>続きを読む

上飯田の話(2021年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

場所が駆動させる系映画の理想的な形というか。作業員と軽トラが写り、そのそばを歩く女性を左にパンするカメラが追う。画面外から入ってきた右折車が横断歩道の彼女に気づき止まる。女性はそのまま歩いていく。この>>続きを読む

ダークグラス(2021年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

北野武『アウトレイジ』シリーズに感触は近いというか、洗練されきった技術が光りまくる。後ろからつけてくる殺人鬼の乗ったバンに追われるカーチェイスも、巧みな編集によって恐怖感が演出されていて素晴らしい。怪>>続きを読む

オオカミ狩り(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

舐めていた相手が実は…の変化球というか、Dead by Daylightかと思いきや最終的にアストラルチェインになるのがめっちゃ笑える。でもそのジャンル変化の潔さは好き。

ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう/見上げた空に何が見える?(2021年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

二人の一目惚れを足と落下する本だけで描くのは新鮮だし、再会を約束する夜の道端の超ロングショットも素晴らしい(アスファルトを照らす街灯に痺れる)。その後信号機の下で呪いの危機を伝える存在が幼木/監視カメ>>続きを読む

ケアを紡いで(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

より子供が出来る確率の高い受精卵の凍結は入籍した夫婦でないと出来ないという。そんな風に制度からこぼれてしまう人を丹念に見つめた作品だ。かつ、その人はそこで諦めるのではなく、何か策は有るのではないかと模>>続きを読む

明日香に生きる(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

個をつぶさに見つめて世界に敷衍するというよりは、もう少し俯瞰した視点から点描を重ねて世界を照射するといった趣がある。もっと突っ込んで言うなら、出発点がどちらかというと仕組みから始まっている感じがある。>>続きを読む

音の映画 Our Sounds(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

異なる感覚を得るために音を無くした福原悠介の『エチュード』とちょうど逆の、音だけがあって映像のない映画となっている。映像を省いたことによって、明らかにシチュエーションが変わりますというという箇所以外は>>続きを読む

グリッドマン ユニバース(2023年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

映画を観てここまで合わないと思ったのはミシェル・フランコの『ニューオーダー』以来かもしれない。作者というか、作品を貫く思想に全く相容れなかった(キネ旬のクロスレビューでグッチーズの降矢聡さんがEEAA>>続きを読む

うつろいの時をまとう(2022年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

matohuの語る言葉に合わせた実景ショットがどれも素晴らしいことは間違いない。「かさね」のコレクションではそうして言葉と映像とが文字通り層を成している。
かざりのパートでインタビューに出てくる印刷を
>>続きを読む

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

伝説的ロックスターを紐解く人物ドキュメンタリー?違う。権利団体の公認を得た音楽映画?違う。これはボウイその人を映画によって蘇らせんとする、ほとんど狂気的な試みだ。だから絶えず変化しラベル付けを拒絶した>>続きを読む

マッシブ・タレント(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

監禁場所と疑った部屋に入り込む際の鏡で覆われたドアの前で繰り広げられる視線交錯と開くドアを駆使した演出や、黄金銃を取りに行ってガラスに反射する自分の顔と絶頂期の自分を模した人形の顔とが重なる画面など、>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

1.2

このレビューはネタバレを含みます

『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』と比べると特撮で描く相手が人間サイズということがで役者の裁量が上がっているのであろうことと、池松壮亮に柄本佑とキャスティングはバチバチにキマっているので(シン・無>>続きを読む

REVOLUTION+1(2022年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

そうは言っても低予算のデジタル撮影画面はペラくて映画としては辛いなと思う。一方で、銃撃時にせよ拘置所にせよ、単に雨が降っているだけでなく髪までしっかり濡れているのは中々良いなと。演出では、人気のない茂>>続きを読む