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とても良かった反面、何が良かったのかを言語化するのが何故か難しい。いや別に難解ということではないのだけれど、言葉にすることで美質がすり抜けていってしまいそうな。自然さを装おうとは全くしない寄りの手持ち>>続きを読む
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分かりやすい瑕疵が、音楽が超大作を志向し過ぎてうるさいくらいしか見当たらない。邦画メジャーの大作で、しかもキムタク主演映画としてこれほど充実した作品が出てくるとは思わなかった、豪華なスタッフワークが奏>>続きを読む
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意義深いのはもちろん、純粋に映画としての強度がべらぼうに高い。性的暴行の場面は映像として一切描かず、代わりに被害女性の証言を1.まず電話越しの声として2.直接記者に会ってその人の姿かたちを伴う形で、と>>続きを読む
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なるほど確かに2009年であればアサクリは2で、Far Cry 3もGTA5も出る前と、映像表現の最先端は映画だっただろう。でもそこから13年が経ち、もはや映画が映像でも創造性でも最先端と呼べる時代で>>続きを読む
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特定の強い物語を語ろうとするより、ひたすらにその場その場で発生する状況の断片を積み重ねていくことを映画は選ぶ。それは組織化されておらず自然発生的に立ち上がったデモ隊を撮るうえで必然だったのだろう。その>>続きを読む
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河原での練習中に訪れてきた会長から受け取った水筒のコップを返し、恵子は再びシャドーでパンチを打ち始める。その姿を穏やかな表情で見つめる会長。なんだか観ている自分の居場所が映画の中に作ってもらえたよう。>>続きを読む
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ユニークなのは、単にサスペンス性を高めるのであれば自殺を仄めかし行方がわからなくなった少女は画面上に登場させなくていいところを、彼女を探す捜索隊とクロスカット的に描き続けているところ。一人の人間として>>続きを読む
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窓と玄関を正面から捉えた家の外観が写る。窓から見える室内で動きがあり、玄関の扉が開く。ビールケースを抱えた男が左へと歩いていき、プレパブ小屋の引き戸を開けて中に入っていく。この一連の動きをカットを割ら>>続きを読む
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激烈に印象に残るのは、題名にもなっている独立の指導者ランズベルギス氏ではなく、独立を願い集まる群衆の姿。追悼集会への行進、会場での国家斉唱、治安部隊を平和的に取り囲み撤収に追い込む光景、やって来たゴル>>続きを読む
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主演俳優との物理的距離の近いカメラ、心理描写を省いた作劇。とにかく肌感覚すら伝わってきそう。カメラがひたすら主人公に寄り添うという点では(安直ながら)『サウルの息子』を連想させるけれど、フレームどころ>>続きを読む
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もういい加減当たっているからといって完全にNot for Meなアニメに時間を割くのはやめようと思っていた。ところが自担を人質に取られるとかいう想像もしていなかった方向性でこられたので、まんまと今回>>続きを読む
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娘と母は音響的にすれ違う。娘が母を迎えに行くくだりでの電話の着信は通話にはつながらない。洗濯物のたたみ方も、静かに畳む娘と違い、母はドンドンと押し叩くように折り畳む。居た堪れない時間をしばしば差し出す>>続きを読む
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米を炊いている釜が吹きこぼれているのに気づいた沢田研二が、原稿を書く手を止めて立ち上がり台所へ向かう。この一連の動作をカットを割らず、画面で言うと左から右への動きをカメラのパンで余すことなく捉えるシー>>続きを読む
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小気味よいカット割りで(実際の渡辺紘文氏がどうかは別として)何者でもない男の行き詰まった日常を見せてゆく。かと思えば矢田部吉彦氏(好演!)が訪ねてきた場面ではじっくりワンカットで会話を捉えておかしみを>>続きを読む
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安直にもほどがある例えを許してもらうなら、『蟹の惑星』のカメラで『東京干潟』の問題意識を撮った傑作。猫はもちろん、『東京干潟』ラストで予感させた台風による氾濫で、崩落し放棄された橋やひしゃげたポール、>>続きを読む
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ヤンには一日に数秒だけを映像記録として残す機能が備わっていた。彼が修理不能な故障、つまり亡くなった後で、残された家族たちがその記録の断片を見ていく。目の前にある世界をフレームとカットで区切りながら被写>>続きを読む
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実際の公演準備を通じて舞台手話通訳者の活動を描く『ようこそ 舞台手話通訳の世界へ』と、それを視覚障害者に届けるための音声ガイド制作を描く二部構成となっている。このことによって、音声ガイド制作の過程で新>>続きを読む
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『ジャッキー』のステファーヌ・フォンテーヌ以上に効いているのがクレア・マトンの起用で、(セリーヌ・シアマ縛りで言うなら)『燃ゆる女の肖像』の審美性で王室の厳格さを、『秘密の森の、その向こう』の柔らかさ>>続きを読む
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かつての香港とフィルム。もはや風前の灯火となってしまったそれらへの敬愛がどの作品にも溢れる。アクションの練習風景もさることながら、クレーン撮影から始まるのが嬉しい『稽古』(サモ・ハン)。メタネタをガッ>>続きを読む
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悲劇を消費するのではなく、別の形でこの出来事を映画として残そうとする姿勢に好感。とりわけそれが、女性たちの連帯として描かれるのが、脚本が女性とはいえ高橋伴明の映画で繰り出されるとは。板谷由夏、ルビー・>>続きを読む
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血まみれのニコラス・ケイジに"俺の豚を返せ"というコピー。どう考えてもバイオレンス混じりのリベンジスリラーだと思う。ところがそんな予想を映画はどんどん逸脱していく。バイヤーのアミールが車でかけるラジオ>>続きを読む
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最初は分離しているように思えた少女二人の関係をめぐるドラマと創造への葛藤が、後半にかけてガッチリ噛み合う構成に脱帽。見る/見られるの視線劇、主人公の心境を階段で表現する手管も繊細で素晴らしい(とりわけ>>続きを読む
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『先生、私の隣に座っていただけませんか?』など、夫婦間の不和を描いた近年の秀作を踏まえたうえでさらに豊かな仕上がり。夫の愚かさと妻のささやかな反撃がテンポよく描かれる前半は、ズームアップが多用されるこ>>続きを読む
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ソ連占領下における侵攻ナチス軍による"解放"と、ナチス占領下における侵攻ソ連軍による"解放"。それらを受けることになる当の市民の反応は、まるで片方の再放送であるかのように同じである。間にユダヤ人虐殺を>>続きを読む
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映画始まって2カット目のタイトルバックにもなる画面が素晴らしい。亡き母の病室を片付けていた母親が窓辺に座っている。後ろ姿しか写っていない画面からは彼女の表情は伺えないものの、ゆっくりと後退するカメラが>>続きを読む
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監督・安川有果と脚本・城定秀夫のタッグが異色と言われるけれど、安川さんは『激写!カジレナ熱愛中!』を撮っていたこともあるので、実はそんなに突飛な組み合わせでもないと思ったり。そんな城定秀夫も絶賛のラス>>続きを読む
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幼い頃に祖父母の家に泊まりに行ったときの、普段自分が住んでいる家と違う時間を経験した住宅に入り込んだときの好奇心や怖れの感覚が蘇るよう。スタンダードの画面に廊下の一端側に据えられたカメラが写し出す奥行>>続きを読む
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犯罪活劇としての強度で言うと、例えばジョニー・トーであるとか『罪の手ざわり』であるとかのような域に至っているとは言えない。その代わり、俳優の最良の瞬間を捉えることには間違いなく成功していて、とりわけ斎>>続きを読む
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同じ職業にして親子、この特殊な立場によって引き出せたであろう赤井英和の見たことのない側面を見たかったというのは正直な感想ではある。それでも試合のフッテージは興奮させられるし、しばしばインサートされる『>>続きを読む
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高い抽象度でありながらも、高純度かつ強度ある描写によって達成された、終盤の活劇的転調含め高橋洋ホラーひとつの到達点。「役が降りる」と「霊が降りる」が交錯し、カメラの前で行われている現実の映画撮影/フィ>>続きを読む
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画面も声も終始低体温なまま進むので、最後だけ力技で盛り上げられても反応に困るというか。提示したルールがドラマに有機的に絡んでこないうえに、終盤あっさりそれを覆すのにも興ざめ(初代『リング』なんかはそこ>>続きを読む
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冒頭の夜の湖畔でフェリックスがアルマと知り合うところ、低予算のデジタルでこんなに良い画が作れるのにまず驚く。その直後の時間経過省略の大胆さにも驚きつつ、寄りの画からポンっとロングショットが挟まるリズム>>続きを読む
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不能の反動のように暴れ回ることで男性性を証明しようとしているアジョが、恋に落ちることで暴力から距離を取り…かと思いきや妻の妊娠が発覚すると話も聞かず再び暴力の世界へと、最終的にアジョへの愛を貫いたイト>>続きを読む
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『理大囲城』『デニス・ホー:ビカミング・ザ・ソング』などに連動しつつ(ジョシュア・ウォンの姿を久しぶりに見た)、暴力に流血とショッキングな場面をこれでもかとつないでいく(現場から生配信をする女性記者が>>続きを読む
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政治の世界を舞台に、搦め手や演技の要素を織り交ぜながらのし上がっていくポリティカルサスペンス。面白くないはずが無いという題材で、筋書きは流石に外さない。一方、画面のレベルでは取り立てて惹かれるところが>>続きを読む
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まぁ傑作とはまるで思わないし、やたら大仰な音楽とか脱力するところも多々あるのだけれど、それを帳消しにしてもいいかなと思える箇所が二つあったので全然許容範囲内。一つ目はクラブで二人が踊るくだり。最初リジ>>続きを読む