テルヒサさんの映画レビュー・感想・評価

テルヒサ

テルヒサ

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)

4.9

人間とAIの恋は成立するのか。成立したとして、それはお互いにとって理想の形なのか。
主役のホアキンフェニックスの演技がとにかく良い。この作品でさらに彼を好きになった。特に終盤の階段で泣くシーン。クライ
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新聞記者(2019年製作の映画)

4.7

メディアと政治、それぞれの正義と葛藤。
主役二人のうち、どちらかというと杉原に感情移入してその苦しみを共感しようとした。吉岡側は真相を追求しようと思う正義感や民間という立場から上に挑む精神のようなもの
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グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.8

ある所にあるホテルを中心に巻き起こる、濃厚で不可思議な世界観。
ウェスアンダーソン監督作品はやはりカット一つ一つの構図、シュールさが醍醐味。美しくもどこか可笑しいカットの連続で、一つの芸術作品を観てい
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.8

フイルムに映るかつての父の姿、思い出と深淵。
主人公が子供の頃のフィルムを再生して、かつての父との思い出を見ていく、という体なのだが、父の視点からは彼が抱える問題や痛みが見えてきて、そこに鈍感な娘との
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傷物語-こよみヴァンプ-(2024年製作の映画)

4.8

地獄のような春休み、吸血鬼となった高校生の選択。
三部作の時よりもシャープで、悲劇の物語であることを徹底した作り方になっていて良かった。
三部作では羽川や忍野とのやりとりの要素も多かったが、今回は徹底
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(2023年製作の映画)

4.8

信長の後継ぎを巡る、家臣たちの「首」の奪い合い。
序盤からグロ表現も交えつつ、狂ったキャラクター達の生き様を素晴らしいテンポで描いていて、最初はびっくりしたが、中盤以降は段々と面白おかしくなってくる、
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.8

人生は退屈でいいのか。退屈から脱するには友情を捨てる覚悟が必要なのか。
序盤は主人公に共感し、なぜ友人に嫌われたのか、自分が悪いことをしたのかと考え、答えがないことから憤りも感じたが、中盤以降、主人公
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.9

東京でトイレの清掃員として生きる男の、「何も変わらないはず」の日々。
セリフこそほぼないが、一つ一つの目線、表情、沈黙の中で多くの感情を抱いている平山という男の日々にとにかく見入った。セリフや音楽を最
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屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)

4.8

想像によって生まれた友達・イマジナリー達の冒険、そしてお別れ。
イマジナリーであるラジャーが主人公で、その視点から現実のアマンダやそのお母さんを描くという世界観がおもしろかった。他人には見えないという
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ナポレオン(2023年製作の映画)

4.8

英雄、または悪魔と評される軍人ナポレオン・ボナパルト、知られざる悩みとその生涯。
彼の軍事的活躍、政治的躍進がメインではなく、後継問題がテーマだったのが斬新で面白かった。
妻の子供が授からない時、戦地
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

4.6

高校を卒業して社会に馴染めない女の子2人組、それぞれの葛藤と別れ。
主人公にハマりきらなかったため、共感できず、ラストにも完全には納得できなかった。ただあの年頃特有の気だるさや社会への抵抗感、そこから
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天使のたまご(1985年製作の映画)

4.7

押井守監督伝説のOVA、少女と兵士と奇妙な卵と奇妙な世界。
モノローグも会話も最小限しかなく、固定されたアングルで少女の行動や沈みゆく街、兵士との関わりが独特なタッチで淡々と続いていく。確かに眠くはな
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アメリ デジタルリマスター版(2001年製作の映画)

4.9

「かわいい、私のアメリ。お前の骨はガラスのようにもろくない。思い切って人生にぶつかっても大丈夫だ」

画面の中のキャラクター、観客全員が幸せになる傑作。
周りの人が幸せになる方法や思いつきを楽しんでガ
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

5.0

元極道の殺人犯が味わう出所後の生き辛さ。
とにかく役所広司の演技力がすさまじい。冒頭のすき焼き食べながら泣き出すシーンでのっけから感情移入して泣いてしまった。
裏社会から刑務所を経験して普通の社会に放
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

5.0

第二次世界大戦下のドイツ、ナチスに忠誠を誓った10歳の少年に降りかかる戦争と葛藤。
ナチスやヒトラーに夢中の少年が自分では正義感や誇らしさを感じているが、母親には正面から相手にされてない感じがなんとも
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ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -(2019年製作の映画)

4.7

戦争後に出会った孤児の義姉妹、それぞれの選択と絆。
エイミー編から始まることでテイラーにすごく感情移入できてよかった。名前を呼ぶ、手紙で想いを綴るのは、誰かに気持ちを伝える上で最もシンプルで丁寧で温か
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.8

計画通りにやれ。即興はするな。
プロ意識が高く、淡々と仕事をこなそうとする殺し屋は、一つのミスから少しずつ信条に反する行動を始める。
主人公のモノローグが印象的。長距離狙撃の暗殺でさえ躊躇っていた彼が
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MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

4.9

タイムループ×会社の職場という新感覚SFコメディ!
めっちゃ面白かった。
タイムループの導入(うまくいかない繰り返しの生活×本当のタイムループ)とその気づき、周囲への伝達と説得の面白さ(会社に準えた上
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機動警察パトレイバー2 the Movie(1993年製作の映画)

4.8

「始まってますよ、とっくに。気づくのが遅すぎた。」

欺瞞の平和と正義の戦争、警察官とテロリスト。
バビロン計画の進行によって栄華を極めようとする近未来の東京の冬に突如訪れた、架空の戦争状態。
車内や
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機動警察パトレイバー THE MOVIE(1989年製作の映画)

4.9

ヤハウェは、何を望んだのか。
序盤のミステリーパートから一転、中盤からの神話と現実世界とのシンクロ、塔の解体シーンなどの不気味さ、神秘的な部分に魅了される傑作。
89年にコンピュータウイルスに絡めた哲
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キル・ビル Vol.2(2004年製作の映画)

4.8

殺し屋花嫁の復讐劇、決着。
師匠との修行シーンやそれが棺桶脱出の方法になる一連の流れは笑った。どうやったら考えつくんだこれ。それもカンフーやゾンビもの、色んな映画への愛あるオマージュがこもってるのがい
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.8

戦後の日本を焼き払うゴジラ。
ストーリーやドラマの疑問点はさておき、CG.VFXのクオリティ、主役の演技は一級品!予算とか関係なく迫力、面白さ、良質な体験を邦画で作れることに感動した。特に銀座のシーン
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.8

権力者の叔父への忠誠と、妻への愛情の間で揺れ動くディカプリオに感情移入する3時間半。
最後の方はもうどうなっても妻と別れることは目に見えていたので、インスリンについての嘘は隠さないでほしかった。それを
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アンダーカレント(2023年製作の映画)

4.7

人は誰しも心に暗流がある。
日常やゆっくりしたやりとりを経て、少しずつ自分の暗流と向き合い、二人が救われていくのがよかった。対照的に、失踪した夫の暗流はそのままで、彼もいつかは救われてほしいとも思った
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キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)

4.8

花嫁の復讐劇、敵は殺し屋集団。
タランティーノの日本映画への愛が溢れてた。サニー千葉、音楽、日本刀、殺陣、ヤクザ。
脚本は相変わらずのぶっとびっぷりで、リアリティよりもテンションや流れが上回る瞬間をず
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BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

4.7

裏社会に生きる義姉弟、決意の一週間。
関西弁のしゃべりがずっとおもしろいし魅力的。迫真のシーンにも映える。音楽がすごいわけではなくても、画面の色味とセリフ含めたキャラクターが良いと面白い。
ただキャス
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

4.8

オリジナルSFの良い要素満載の良作。
AIが人間と共生していて、アジア世界に馴染んでいるのが新しくて面白い画面だった。
AIとか近未来をテーマにした映画の良いところは、新技術の中でも宗教とか天国など観
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キリエのうた(2023年製作の映画)

5.0

キリエの歌声にひたすら魅了される3時間。
過去編では姉のきりえと夏彦のドラマがとても良かった。きりえの少しわがままだけど夏彦を大切に思う気持ちとか。震災当日の自転車乗りながらの電話、橋の上のシーンが良
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グリーンマイル(1999年製作の映画)

5.0

「人間は皆自分のグリーンマイルを歩んでいる。」「愛を利用して人が殺される。今でも世界中で起きている。」
終盤のポールとミスタージングルスがグリーンマイルを歩くシーンがとても印象的。ジョンコーフィによっ
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アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

4.8

例え変わってしまうとしても、生きていく。
まぼろしの世界の秘密とその真相、という世界観重視のストーリーではなく、キャラクターのそれぞれの気持ち、お互いの関係がメインのストーリーだったので、一人一人にド
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.8

伝説の殺し屋、最大の敵と最後の報い。
4作目なので楽しみ方も理解していて、最終章を心ゆくまで堪能できた。弾切れの銃は投げる、キアヌの「Yeah」、スーツの最強っぷり。
ストーリーとしてはジョンが全てに
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ジョン・ウィック:パラベラム(2019年製作の映画)

4.8

平和を望むなら、戦いに備えよ。
主席連合とか首長とか上部構造を登場させることで2作目のラストの回収と世界規模にスケールを広げることに成功している印象。
ただやっぱり敵キャラに心から惹かれなかった、意外
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ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

4.8

音楽×カーアクション、面白い映像体験。
ベイビーのようにセリフが少ない、トラウマを抱えた主人公ならば、やっぱり今作のような魅力的なサブキャラが必然。借金を盾に脅してくる気味悪いボスや、映像映えする美男
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ジョン・ウィック:チャプター2(2016年製作の映画)

4.8

「プロとしての礼儀だ」
ジョンウィックのアクションは必中必殺だからこそのリアリティがあって魅力的。キアヌの鬼気迫る顔、躊躇ないガンアクションは見てて爽快。
ストーリーは自分で蒔いた種との決着からふっか
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四月物語(1998年製作の映画)

4.8

どうせ奇跡と呼ぶなら、愛の奇跡と呼びたい。
映像の良さ、松たか子の可愛さに魅了される良作。とにかく篠田昇さんの撮影がきれいで、光量やカメラワーク、アングル、手持ち感など様々な良さがある映像が巧みな編集
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紙の月(2014年製作の映画)

4.7

どこまでも美しく、どこまでも偽物。
宮沢りえさんの前半の少しずつ乱れていく美しさと、後半の悪に手を少しずつ染めていく美しさのグラデーションがすごい。平凡な主婦が壊れていくストーリーとしては普通かなとは
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