テルヒサさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

5.0

幻想が、実体化する。
今敏初監督作品にしてその演出センスはすでに完成されていたことがよく分かる超傑作。繋ぎのうまさ、現実と幻想の境界線を曖昧にする演出、素晴らしい脚本、色味、音楽のセンス。どれをとって
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.9

素直になれ。
太りすぎて死が間近に迫った男が、自分の過去、家族と区切りをつける一週間。
各キャラクターの心情の説明が丁寧で、ドラマとしてとても入り込んで見れた。リズの考えとそれでもチャーリーの願いに応
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PATHAAN/パターン(2023年製作の映画)

4.9

金継ぎとなって兵士を束ね、戦え。
インドのアクション映画にRRRからはまり、今作も大興奮できる娯楽大作だった!
ジムのキャラクター、ヒール感が最高。やっぱり元軍人が出てくる物語は面白い。
とにかくボリ
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

4.8

「目覚めたければ眠れ」
難解だが不思議な感覚になれる良作。
妻の死を経験した劇中劇中劇の主人公と恋に落ちた劇作家を公演後になくした劇中劇の主役を重ねることで、公演後の彼にも前向きな物が残るだろう、とい
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ゴーン・ガール(2014年製作の映画)

4.8

同じファーストカットとラストカットの印象や意味が、ストーリーを経て全く変わる衝撃。
サイコパスなエイミーのキャラクター設定や行動、描写が超面白い。被害者であるニックからしたらたまったものではないとはい
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イエスマン “YES”は人生のパスワード(2008年製作の映画)

4.8

「200万回唱えるべきその言葉は..."YES!"」
イエスを言い続けて人生が変わる、ていう大枠は知ってたんだが、いざ見てみるとその好転のアイデアとかキャラクターの言動が魅力的で、コメディの面白さの強
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レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

4.7

現実世界だけが、本当のリアルなんだ。
楽しかった!
ストーリーも面白いし何より映像が楽しい。公開当時よりもVRが身近にはなったけど、今の自分達がVRに求めていることを先に映像内で表現されていて、色んな
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海獣の子供(2018年製作の映画)

5.0

アニメ表現における一つの極地に到達している。
ストーリーは理屈だとか答えが必要ではなくて、広大な海の中で漂うような気分と海と生命と宇宙の誕生、繋がりを感じながら流れに身を任せることで楽しめた。
音楽も
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SAND LAND(2023年製作の映画)

4.7

良質な冒険エンタメ映画!
子供が好きになるベルゼと大人が好きになるシヴァのキャラクターも良いし、展開も面白いし、画も楽しい。
鳥山明先生のデザインとかキャラクターてどうしてこんなにもワクワクさせてくれ
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キングダム 運命の炎(2023年製作の映画)

4.7

制作費がすごいからか、安定した高クオリティ。
何人かのキャストはハマってた。竜川とか、はいろうの真壁とか。
原作者が脚本に関わっているからか、漫画だと妥当だが映画で見ると少し違和感のあるセリフが散見す
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.8

M:Iシリーズ待望の新作!
依頼のデータがすぐ燃えるとか、イーサンがものすごいアクションするとか走るとか、世界のいろんなとこに行くとか、ミッションらしさに溢れてて楽しさと同時に懐かしさを感じた。
イル
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プレステージ(2006年製作の映画)

4.7

マジックとは、確認があり、展開を経て、偉業に至る。
マジシャンの二人が偉業をなす度に観客も観る側もだまされ、ストーリーによって作品そのものにもだまされるという見事な二重構造、という印象。
ストーリーの
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

4.8

今に執着するのではなく、未来に期待して、願って、今を乗り越えること。
シナリオ、構成の力がすごい。
タイムリープの表現が簡易的な分、されに翻弄されるキャラクター達のセリフや行動に集中しやすく、また本筋
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ちひろさん(2023年製作の映画)

4.9

ちひろさんのキャラクターがとても好き。
どこでも孤独を手放さずにいる、ていうのはわかるような気もするし、よくわからない気もする。きっと誰もがもつ孤独とちひろさんのもつ孤独は少し似ていて、少し違うものな
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

5.0

7/14 宮崎駿監督の10年ぶりの新作、その素晴らしさを噛み締めた。何度でも見て、解釈はそれから。

7/17 真人が夏子に会いに行き、激昂されるシーンは日本神話の地獄にいるイザナミに会いに行く話がモ
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時をかける少女(2006年製作の映画)

5.0

こんなにも傑作だったのか!
今まで気づいてなかったけど、セリフのうまさ、演出のうまさ、アニメ表現の豊かさ、どれをとっても最高峰!

銀河鉄道の父(2023年製作の映画)

5.0

不器用でも一生懸命に生きた宮沢賢治と、その父の物語。
宮沢賢治がどういう人物であるか、どうやって生きたかを映すと同時に、父・政次郎がどのように息子・賢治を見守り、支え、愛していたかが全編に渡って描かれ
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英国王のスピーチ(2010年製作の映画)

4.8

吃音症の国王と彼を支えた言語聴覚の専門家との友情の物語。
吃音症は生来のものではなく、幼少期の経験や抑圧から生まれるものかもしれないが、それに耐えられる自信や自己肯定が症状を抑える可能性もあり、それを
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それでもボクはやってない(2007年製作の映画)

4.9

法廷とは真実を見極める場所ではなく、被疑者がとりあえず有罪か無罪かを決める場所である。
満員電車での痴漢の冤罪を証明することの難しさはとてつもなく、社会的に見れば若者に性被害をもたらした憎き人間を世に
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羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

4.8

サイコパスなキャラクターの怖さ、その表現が魅力的で、不気味ながら見入ってしまう。特にレクター博士のシーンは表情や声などからその底知れなさが印象に強く残る。脱走のシーンは鳥肌が立つ名シーン。
顔のアップ
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.7

タランティーノ作品のこの後味が好き。
ストーリーとしての起伏はあまり無いのだが、終盤を見てこのためのシーンだったのか!となるのが良い。終盤は笑いっぱなしだった。
タランティーノの西部劇や映画に対する愛
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攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Individual Eleven(2006年製作の映画)

5.0

人が低きに流れる、無責任になることへ怒りを覚えた革命家の復讐と救済、それと対立する公安9課の物語。
クゼの思想の根本に頼れる人間を探していた部分があったことで彼のことを理解できるし、寂しくもなる。戦争
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イエスタデイ(2019年製作の映画)

5.0

幸せになるには、名声や富ではなく、愛する人に愛を伝えることが大切。
天才として売れなくても、大事なものは日常にあったり、近くの人との関係にある。
ビートルズの曲で有名になってあの娘を振り向かせたい、と
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海街diary(2015年製作の映画)

5.0

素敵な場面がたくさんあった。
新しい妹が来た、という状況で3人の姉がどのように距離を縮めていくのか、またすずがどのように馴染んでいくのかの描写が丁寧で繊細で優しくて、心が温まる。
親から受け継ぐもの、
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攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man(2005年製作の映画)

5.0

「情報の伝達によって情報はその単一性を失っていく。オリジナルの不在によって、多くの同様なオリジナルの模倣者が現れる。まるで不在によってその存在を誇張される作家のように。その現象の名はSTAND ALO>>続きを読む

そして父になる(2013年製作の映画)

5.0

金で買えないもの。
似てる似てないよりも大切な繋がり。
親子に大切なのは時間。
感情の起伏、関係の変化を2時間丁寧に描いていて、心に残るシーンが多い傑作。
主人公が少しずつ人間らしく、父親らしくなって
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劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語(2013年製作の映画)

4.8

人間の愛は神をも蝕むのか。
序盤の不穏な空気感の演出で引き込まれ、
中盤からのまどマギ独特のセカイ系にシフトし、終盤はほむら個人の願いの物語に繋がっていき、最後まで面白かった。
作画、背景、世界観の演
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攻殻機動隊 新劇場版(2015年製作の映画)

4.8

ARISEシリーズ完結にして、これまでの攻殻と繋がるバトンのような一作。
ネットの第3世界、デッドエンドのその先についてのテーマは興味深い。
第3世界はおそらく押井版攻殻で素子が融合したネット世界とい
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攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone(2014年製作の映画)

4.7

過去作のオマージュや前日譚としての前フリもあり、楽しめた。
ただARISEシリーズの内容をしっかり押さえておかないと人物の敵対関係などが少しわかりづらい印象。
自由を求めて海へ、ネットの海へ行こうとす
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攻殻機動隊ARISE border:3 Ghost Tears(2014年製作の映画)

4.7

ストーリー面白い!義体を何度も変えることで自我の存在を疑う、辺りの会話が魅力的。上位層によって下位層に作られた英雄、その喪失の経験、継承者の創造と復讐というテーマの作品は、上位層にとっては過去の精算と>>続きを読む

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE(2023年製作の映画)

4.7

正義や真実は多面的で、上から見なければ理解できない。
人には議論が必要であり、国家には法が必要である。
他人の悪を理解し、自分の正義を疑う。

理想的なシステムとしてのシビュラと国家における法律の必要
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攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers(2013年製作の映画)

4.7

AIの独走、謎のウイルス、ゴーストの囁きなど、初代攻殻機動隊に近づいたストーリーという印象。大佐の行動には哀しさが残る。ARISEのアクションシーンは結構好き。

攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain(2013年製作の映画)

4.7

一作目にして9課メンバーの出会い、という感じ。
まだ完璧ではない素子が新鮮で良い。
ストーリーはそこそこ。擬似記憶とかの要素はやはり攻殻に合うし、面白かった。続きに期待したい。

戦場のメリークリスマス 4K 修復版(1983年製作の映画)

4.9

想像していたような戦闘描写は一切なく、戦時中の日本軍の俘虜への扱いや俘虜達のやりとりでシーンが進んでいった。
ハラ軍曹とロレンスの夜の会話、ジャックの回想、ジャックのヨノイへのハグ、ジャックの死など記
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怒り(2016年製作の映画)

4.9

理不尽に対する怒り、他人を信じられなかった自分への怒り、信じていた人に裏切られたことへの怒り。
ある殺人事件の犯人捜索をきっかけに少しずつ変化していく三つの人間関係が平行して描かれ、それぞれのエピソー
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ピンポン(2002年製作の映画)

4.9

青春映画の中でも特に好き!
ペコのキャラクターに魅了され、スマイルと共感しながら、アクロバティックな卓球のシーンでアツくなる。
CGやアニメ風の多彩な映像表現が魅力的で、良いカットがいっぱいあった。
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