かずさんの映画レビュー・感想・評価

かず

かず

コロンバス(2017年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

コロンバス

フィックスの撮影、プロダクションデザイン、そして街の建築物が非常に美しい。
物語を追わなくとも、映像を観るだけでも一見の価値がある。

主人公2人は、性別も年齢もルーツも、何もかも属性が
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星の子(2020年製作の映画)

4.5

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生まれた頃から病弱な主人公の両親が、主人公の健康を思ってカルト宗教にハマる。
自分のせいで両親がカルトにハマり、長女が家出したことに悩む主人公。
中3になった主人公の周りには、主人公を白い目で見る大人
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

4.3

胸熱。

最初の長回しとその後の編集で惹きつけられた。"ダサい邦画"あるあるな展開をギリギリ回避してて良い。

目先の数値目標と、やりたいことのバランスの難しさ。ゼロからイチを創り出すことの苦しさ。そ
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夜を走る(2021年製作の映画)

5.0

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めちゃくちゃおもしろい!!

地獄のような極悪教訓話であり、ミソジニーと事なかれ主義が蔓延る現代日本の写し鏡。

冒頭の銃乱射事件の話、周りが動き自分は動かない洗車場、切れかけた蛍光灯、同僚の妻の浮気
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.9

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社会性と面白さとクオリティのバランスがとれた傑作。

数多のマイクロアグレッションや日本の難民の現状が酷すぎるが、青春恋愛もので笑える場面も多くてびっくり。

ロミオとジュリエット的な王道の叶わぬ恋の
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

5.0

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『ドント・ルック・アップ』
宇野さん解説付きで初劇場鑑賞。

配信では観ていたけど、本当によくできている。

今改めて観ると、今の世界情勢を含め本作の先見性が際立ってすごくおもしろかった。
政治家はビ
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パリ13区(2021年製作の映画)

5.0

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Filmarks 試写

恋愛ものというよりは、観る者に「自分が真に求めるものは何か」を突きつける、モラトリアム人間たちの普遍的な精神成長譚。

性描写の多さは、性的欲求が人間のあらゆる欲求の根だから
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ポゼッサー(2020年製作の映画)

4.9

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『#ポゼッサー /#POSSESSOR』
テクノロジーによる身体性の変容。自己と他者の境界が曖昧になるサイコスリラーだが、次第に主軸はジェンダーに。棒状の凶器で刺す(メタファー)ことに拘り、良き妻や母
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ヒトラーの贋札(2007年製作の映画)

3.8

第二次大戦のドイツであった、ベルハルト作戦の映画化。
他国から経済的に孤立し、外貨が底をつくドイツは、連合国の経済を混乱に貶めるために、収容所にいるユダヤ人たちに贋札を作らせていたという実話。

自分
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ベルファスト(2021年製作の映画)

5.0

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@FansVoiceJP 試写

あまり期待してなかったが、観終わった後に多幸感に溢れる最高の映画だった。

ケネス・ブラナーの手腕を侮っていた…。

今のウクライナとリンクしてて辛いけど、牧歌的なモ
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.9

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『TITANE/#チタン』@FansVoiceJP オンライン試写

痛み描写と暴力描写がえげつないので、見る人は注意が必要。自分は何度も目を背けた。
ただし、そのような痛みは現実に女性が感じている痛
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RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

4.3

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通過儀礼、そして大人へ。

自己発見。自分の知らなかった自分、抑圧していた・されていた自分を発見。

真の自分の姿に当惑、動揺する。必要なのは、大人になり、悍ましい自己を受け入れ、自己制御すること。
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地に落ちた信頼 ボーイング737MAX墜落事故(2022年製作の映画)

4.5

思わぬ掘り出しもの。あらゆる企業や組織に通じる教訓に満ちたドキュメンタリー。
こんな絵に描いたような最悪な出来事がつい最近起こっていたことを知らなかった…。
利益追求を目的にしているにもかかわらずコス
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

5.0

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全てが完全に調和した恐るべき大傑作。
他の追随を許さない圧倒的完成度。映画的快楽に溢れすぎて、どうやれば作れるのか理解不能。神の領域。
全ミュージカル場面の俳優陣の身体能力と躍動感が異常。
全ショット
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ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘い(2015年製作の映画)

4.5

2014年のウクライナ騒乱akaマイダン革命aka尊厳の革命
を描いたドキュメンタリー。

非武装の一般市民を、マシンガンやライフルで次々に射殺する体制側の蛮行に戦慄した。

市中銃撃シーンは、アクシ
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太陽はひとりぼっち(1962年製作の映画)

4.4

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愛の実態のなさ・不毛さが、株式という実態のないものに準えられていておもしろかった。株価の上下に熱狂する人たちを遠い目で見る主人公たち。

空ショット(エンプティ・ショット)が効果的。

ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけている(2021年製作の映画)

4.2

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「気候変動や人種差別、性差別、経済格差などのグローバルな問題が、今の若い世代のメンタルヘルスに大きく影響している」と言う趣旨のビリーの母親の言葉は、とても的を得ていると思う。

それにしても、10代で
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ハピアー・ザン・エヴァー L.A.へのラブレター(2021年製作の映画)

4.2

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これほどパーソナルな歌の数々が、これほど響くとは。

別途メイキングでも説明されてるが、アニメーションが秀逸。


https://www.udiscovermusic.jp/columns/the-
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真夜中乙女戦争(2021年製作の映画)

4.3

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『ファイトクラブ』を下敷きに、財務省職員の死の暗示や地震で死んだ初恋相手、労働、搾取、貧困、孤独などなど、2010s以降の日本の負の側面から産み落ちた日本版プロジェクト・メイヘム。
台詞回しに気になる
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ギャング・オブ・アメリカ(2021年製作の映画)

4.2

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FansVoiceオンライン試写にて。

友人,夫,親,ユダヤ人,米国人,米国に莫大な利益と雇用を生むカジノ業の生みの親、様々な側面からランスキーを描く。

数字の才能を生かして賭博業でのし上がり、ゲ
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スティルウォーター(2021年製作の映画)

5.0

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大傑作!賞レースに絡んでないのが意味不明なくらい素晴らしかった。

無実を訴える娘を救うためマルセイユを訪れ真相究明に奔走する、というプロットの背景に、思想や倫理など多くの二項対立や、人間と世界の複雑
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春原さんのうた(2021年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

余白と沈黙が非常に豊か。公開館が少なすぎるが、映画館で、多くの人に観てほしい。
未見の方の見方を削がないために何も言えないが、観賞後はパンフレットの児玉美月さんと文は必読。映画単体では映画は完成しない
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キングスマン:ファースト・エージェント(2020年製作の映画)

4.4

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実在の歴史上の事件と人物を上手く織りまぜ、キングスマン誕生の背景として、英国の階級制度、植民地政策の結果としてのボーア戦争、愛国心の美名のもとに多くが死んだWWIを据え、英国の欺瞞の歴史を指摘する秀逸>>続きを読む

不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

4.2

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不気味なものの肌に触れる

兄とその彼女の関係に、自分が2人の邪魔な腫れ物=ポリプテルスと思い込む主人公・千尋。

千尋は友人とダンスを習っている。互いに直接触れずに、互いを動かし合う・相手に動かして
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ヘイト・ユー・ギブ(2018年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

The Hate U Give


縦読みすると、THUG。この言葉は、2PACのTHUG LIFEという言葉に由来すると思われる。THUG LIFEは「The Hate U(You) Give Li
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COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)

4.9

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Cold War

民謡をはじめとして、クラシック、ジャズ、ロックなど劇中でかかる様々な曲も素晴らしい。
モノクロによる撮影がとにかく美しい。雑木林で立ちションする姿すらも幻想的な美しさ。 
15年間
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ハッピー・オールド・イヤー(2019年製作の映画)

4.8

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「断捨離して思い出に浸り元彼との蟠りを解消してめでたしめでたし」みたいな生温い話かと思ってたが、真逆だった。
Netflixで海外に人気が出たコンマリが出てくるが、呑気に「トキメク、トキめかない」とか
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幸せへのまわり道(2019年製作の映画)

5.0

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幸せへのまわり道

「許す」とは決断。怒りを解くと決断すること。

怒りのあまり自分や他人を傷つける主人公。

怒りの感情に対してできること、それは…。

今現在やっていることを大切に取り組む。電話。
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ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ソウルフルワールド

「生きる意味・目的は何か?」という実存的問いは、主人公たちの魂の巡礼の果てにどこに辿り着くのか。

主人公が最終的に辿り着く先は、言い古された言葉に集約される。本作がすごいのは、
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.8

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気狂いピエロ


当時離婚したての妻かつ主演のアンナ・カリーナとの離別の原因を探究し、自分の悪いところを凝縮した物語。

衒学的で頭でっかちな評論家気取りの主人公がベラベラと知識をひけらかす様はまさに
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デンジャラス・プリズン ー牢獄の処刑人ー(2017年製作の映画)

4.6

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デンジャラス・プリズン

チープなタイトルとは裏腹に、予想のつかない展開と、気づいた時には想像をはるかに超えるところまで連れてこられる何とも言えない不思議な感覚が持続し、終始目が離せなかった。

主人
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ネットワーク(1976年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ネットワーク

テレビ会社を舞台に描かれる当時のアメリカ社会への皮肉は、テレビをSNSに置き換えれば現代にも通じてしまう点ばかりで、社会がまったく改善されていないことに気が滅入る。
企業の利益のためで
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.8

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自分の境遇として、ド田舎から上京したので水原希子の役に重ねて見た。

細かい所作やディテールまで見事に育ちの良さを表している。

主人公は移動はタクシーばかり。タクシーに乗せられ、目的地に運ばれるだけ
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街の上で(2019年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

最高の劇場体験だった。劇場内が爆笑に包まれる場面が何度もあり、不特定多数の人が集まる劇場で観るには最高の映画。
登場人物みんながかわいく愛おしくなる。
何度でも、一人ではなく誰かと一緒に見たい。

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カンバセーション…盗聴…(1973年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

カンバセーション 盗聴

あらすじとしては、ひょんなことから陰謀に気付き巻き込まれる系のストーリーだが、本作の特筆すべき点は、表面的には社交性があるが何者にも内心を見せず孤独を抱える主人公の人物造型だ
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ザ・ホワイトタイガー(2021年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

社会的流動性のない厳格な階級社会かつ超格差社会の現代インドを舞台にした、ド底辺からのし上がるピカレスクロマン。ピカレスクロマンってだけで最高に好み。

弱肉強食の新自由主義社会では、手っ取り早くのし上
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