フワッティーさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

フワッティー

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ウンベルトD(1952年製作の映画)

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老人の孤独と貧困、そして紳士としてのプライド(施しを受けることは恥で、大家に頭を下げるのは敗北である)。心を通わせるのは下宿先の使用人の娘と飼い犬だけ。家賃が払えず娘と別れ、最後には犬との信頼関係も崩>>続きを読む

裸のキッス(1964年製作の映画)

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どこか欠陥のある人間ばかり登場するが、子供は純粋無垢で希望を与える。この点を踏まえれば、グラントの欠陥のみが良しとされないことに、道徳上だけでなく、映画上の意味もあるとわかる。

ルートヴィヒ 完全復元版(1972年製作の映画)

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主観的な解釈を入れず、事実に基づく事柄を描くが(言い換えれば、解釈は観る人に委ねられるが)、ヴィスコンティの意図ははっきりと伝わってくる。

ファウスト(1994年製作の映画)

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『アリス』に次ぐシュヴァンクマイエルの長編2作目。十八番のストップモーションが光るのは長編でこそだろう。

元の戯曲を知らないために凝らされた工夫や翻案に、ほとんど気付けなかったと思う。何らかの方法で
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ひまわり(1970年製作の映画)

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音楽に彩られた映画。「死別」というエッセンスは使わない反戦ドラマ。

ショック集団(1963年製作の映画)

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アメリカ社会の闇を暴き出すスリラー。

南北戦争に出兵したと思いこむ男、自らが受けた黒人差別のあまり、自分を白人と思い込み差別主義に陥った男、原爆の研究に携わり幼児退行した男。

狂った社会に狂わされ
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トリコロール/赤の愛(1994年製作の映画)

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トリコロール三部作の三作目にして、キェシロフスキの遺作。三部作を見事に総括する。

ジョゼフの過去が同時進行で現在として描かれるという表現が素晴らしい。

ボウリング場の欠けたグラスに、劇場で風に揺ら
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トリコロール/白の愛(1994年製作の映画)

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トリコロール三部作の二作目。『デカローグ』を想起させるような『青の愛』との関連性が、舞台の統一性を示す。

復讐劇かつ喜劇でありながら、単純には再会できない切なさもある。

トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

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トリコロール三部作の一作目。深い悲しみから再生まで。彼女が関わる全てのもたらす作用が美しい。

8 1/2(1963年製作の映画)

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逃避と自嘲が織りなすカオス。フェリーニ監督自身が投影され、内省的なのだが、どこかおもしろおかしい映画。

ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)

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ポーランドのベロニカからの虫の知らせ。不思議で不条理な物語。視線を追うようなドキュメンタリータッチな撮影も素晴らしい。

フェリーニのアマルコルド(1974年製作の映画)

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教科書のような映画。時代・土地・人々を切り取り、多感な少年が体験する出来事を通して、悲喜交々とした人生模様を表現する。

影の列車(1997年製作の映画)

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「映画は記憶する(記録するではなく)」という特異なテーマ。それを成り立たせるだけの創意工夫に脱帽してしまう。

監督は「非常に古い家族映画のフィルムを観ていると、既に亡くなった方々が生き生きと活動して
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ファスビンダーのケレル(1982年製作の映画)

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「似ても似つかぬ分身(ここでは兄弟)」、「同性愛者のアイデンティティー」など、ファスビンダーが度々題材にしてきたものが盛り込まれる。

大規模なセット撮影で挑まれた本作。建造物・装飾の模様・便所の落書
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地下道(1974年製作の映画)

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『デカローグ』Blu-ray BOX特典の初期作品集より鑑賞。

ドキュメンタリータッチな撮影、地下道のいろいろな人を登場させるとこなどが、以降の作品に影響を与えているのだろう。

僕の村は戦場だった(1962年製作の映画)

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タルコフスキーの長編デビュー作。素晴らしい対比。再見必至。

『アンドレイ・ルブリョフ』に確実に継承されている表現の数々。タルコフスキーの水の表現も本作から。

詩的表現に満ちた夢の描写は、ラストシー
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華氏451(1966年製作の映画)

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近未来、思想統一のために本が禁止された世界を描くディストピア作品。トリュフォー監督、唯一のSF映画。

活字を読むことは悪であり、オープニングクレジットも読み上げる(字で伝えない)といった徹底ぶり。
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自転車泥棒(1948年製作の映画)

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イタリア、ネアリアリズモを代表する映画。イタリアが貧困に喘いだ時代と真っ当に生きることの難しさを説く。

貧しい者の代表として、アントニオは信仰を大事にできず、人に迷惑をかけ(周りが見えず)、子供に豊
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禁じられた遊び(1952年製作の映画)

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残酷さと無邪気さの対比。その起源を観ているような気がした。

フォトグラフ(1968年製作の映画)

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『デカローグ』Blu-ray BOX特典の初期作品集より鑑賞。戦時中に撮られた写真に映る少年2人の、現在の姿を追う30分のテレビ用ドキュメンタリー作品。

ドキュメンタリーの基本に忠実な作品。カメラ・
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吸血鬼ノスフェラトゥ(1922年製作の映画)

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100年前のドイツ表現主義のホラー映画。ストップモーションやネガポジの反転など。

アルファヴィル(1965年製作の映画)

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ゴダール唯一のSF。銀河帝国の首都「アルファヴィル」が舞台であるが、撮影はパリでのロケとなっている。α60という中枢機械が呑み込むその都市では、涙を流せば処刑される。

主人公レミー・コーションは架空
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聖なるパン助に注意(1970年製作の映画)

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ファスビンダーがこれまでの映画撮影に終わりを告げた作品。自身の独裁的な監督としての振る舞いを、ファスビンダーファミリーのルーカステルに投影する(革ジャンを着用していることからも分かる)。

自己分析に
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顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)

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ヴァルダは、監督作の『5時から7時までのクレオ』の劇中作のゴダールを、JRに投影し、そのサングラスの下に惹かれる。JRは人々の顔を建造物の壁に貼り、その効果を追求していく。

そのほかにも、『アンダル
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アルカトラズからの脱出(1979年製作の映画)

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イーストウッド主演の脱獄モノ。緊張感がこっちまで。ラストまで史実が反映されている。

デカローグ(1988年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

これは人類の宝だ。

一時間の独立した話十篇からなる映画(もともとテレビドラマ用に作られた)。しかし、話を跨いで登場する人物・出来事もある。また、物語は閉鎖的な空間(同じアパートの住人という設定)で繰
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悲しみは空の彼方に(1959年製作の映画)

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感動した。原題まで素晴らしい。ファスビンダーが「この世で最も美しい」と称した、ダグラス・サーク監督の代表作。

サーク式メロドラマは、ジャンルを超えたお手本になりうる。数々の巨匠が証言するように、本当
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女と男のいる舗道(1962年製作の映画)

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例によって、公私共にパートナーであったアンナ・カリーナを可愛く撮ることが出発点の映画。

1つ目と9つ目のエピソードが好き。まずは1つ目。バーカウンターに座り、キャメラに背を向ける男女。カウンターの壁
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悪の神々(1970年製作の映画)

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ファスビンダー初期作。長編3作目にして、デビュー作の続編(ただし、ほとんど別物だが)。

ヌーベルヴァーグとハリウッドの影響を受けた本作は、動的なショットが急増した。視線を追いやすいショットが多く、空
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無防備都市(1945年製作の映画)

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「対ドイツの不屈のレジスタンスを記録したい」を出発点に、驚くほどドラマチックな作品に仕上がっている。

映画史に残ると言われているピーナの最期のシーン(勇敢な彼女を襲う非情な銃声)。その後の展開の不吉
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霧の中の風景(1988年製作の映画)

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時間が止まったかのように雪を見つめる人々、落ちてる果実を蹴る少年と足にぶつからないよう歩く通行人、突如演奏に現れるバイオリン奏者、海から引き上げられる手のオブジェなどなど、イメージに基づく表現的なシー>>続きを読む

マホルカ=ムフ(1962年製作の映画)

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ストローブ&ユイレのデビュー作の短編。

夢の内容や、話していた相手の妻を寝取る妄想をするといった、他人の低俗な扱いから、マホルカ=ムフの性格が表現される。キリスト教を曲解し、戦争の合理性を裏付けた事
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