酸基さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

酸基

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ザ・コクピット(1993年製作の映画)

4.0

狂気のミリオタ松本零士。戦争の勝敗ではなく、己の美学に殉ずる「鉄の竜騎兵」が特に好き。密林の中に佇むバイクの残骸をバックに流れるナレーションで既に泣く。「全ては永遠の眠りにつき、赤錆びた機銃は二度とは>>続きを読む

ザ・ミソジニー(2022年製作の映画)

3.8

コレは高橋洋の動線を追っていないと興味のない人には意味不明過ぎる。 オカルトとナチズム/ファシズムの繋がり(「聖別された肉体」に詳しい)、映画の多重構造、或いは、写真の禍々しさ(「コティングリーの妖精>>続きを読む

劇場版 稲川怪談 かたりべ(2014年製作の映画)

3.0

当時酷評されていた記憶があるが案外楽しめる。撮影手法(こちらは手ブレが激しく酔いかけた)や構成等、白石監督のコワすぎシリーズと同じだが稲川淳二の存在により異なった味わい。アイドルの喧しさと静かにブッ壊>>続きを読む

イン・ジ・アース(2021年製作の映画)

1.0

余りにもつまらない。何もかもが初歩的で安直で中途半端。

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

3.5

冒頭のカットから映画全体のリズムが提示されており、そのリズムのまま物語が続いていく。牛が物語の中心にあるようでそれを取り巻く人間たちとの関係性は緩い。この映画はドラマも牛も人間同士の関係も良い意味でも>>続きを読む

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

怖い映画ではなく何かテンションが下がる映画という感じ。双子youtuber(爆買いや爆食では無く短編アマチュアホラー作家)による商業初監督作。最近は日本でもそういう流れありますよね。最初の降霊術から2>>続きを読む

エッセンシャル・キリング(2010年製作の映画)

4.0

静かにガツンときた。「EO」と本質的には同じ映画。言葉が無く、意思に反して何処かに連れ去られ、そこから逃げ出す。しかし、こちらは分かりやすく過酷。場所も言葉も分からない、食い物も手助けもない。敵だらけ>>続きを読む

コカイン・ベア(2023年製作の映画)

3.8

面白い。実話ベースの設定一発モノかなと思いきやツボを抑えた作り。残酷なブラックジョークでありながら登場人物は軽快で普通に笑える。80sの匂いがビンビンのキラキラしたサントラもイイ。しかし、コカインを巡>>続きを読む

サタンタンゴ(1994年製作の映画)

-

評価不能。当時劇場で観たので今回は飛ばしながら。筋書きもへったくれも無くなっていく上、超長尺、毎度ながら極度にカメラの動きもカットも少ない。蕎麦をツユに付けずに食い切るような映画。それでも何故か観れて>>続きを読む

EO イーオー(2022年製作の映画)

3.8

スコリモフスキ作品を初めて観た。1人の女性を思うロバの「地獄めぐり」の物語。他の生き物と比較しても哀愁を帯びた佇まいが良く、こんなに演技が出来る動物なんだと驚かされる。目に寄ったショットが度々挿入され>>続きを読む

スカイ・クロラ The Sky Crawlers(2008年製作の映画)

2.5

当時は本で「僕は若い人に伝えたいことがある」みたいに書いてたけど、実際に観ると空戦をやりたいだけだろ…という内容。ダレ場を作るのは押井の流儀だが空戦以外全部そんな感じで見所が。やっぱり上から下に何か言>>続きを読む

うる星やつら いつだってマイ・ダーリン(1991年製作の映画)

2.5

冒頭からしてお祭りという盛り上がり舞台なのにこのワクワク感の無さ。内容はテレビ版の延長なので筋書き云々は置いておいても、スゲーなと関心する作画も無いので映画にした意味が…。ファンサムービーとしては良い>>続きを読む

狂った一頁(1926年製作の映画)

3.8

ドイツ表現主義の色濃い26年製作の前衛怪奇映画。原作に川端康成、座頭市シリーズの犬塚稔、撮影に円谷など凄まじい面子。今観ても「ノスフェラトゥ」や「カリガリ博士」と同じくフレッシュな奇怪さを保つショット>>続きを読む

炎628(1985年製作の映画)

4.5

戦争映画の快楽を永遠に拒み続けるような映画。戦闘も報復も無く、行為としての殺しと結果としての死体だけがある。だが奇妙に上品でありそれが尚のこと苦々しい。撮影時の事情は様々あったようだが、特にラストの主>>続きを読む

Chekist(1992年製作の映画)

4.0

「炎628」に比べて圧倒的に知名度は無いが鑑賞後は臓腑に溜まる。人間殺処分場の模様が淡々と続く様子も異様だが、撃った弾が外れて対象者が恐怖のあまり発狂する場面は一瞬でも戦慄のインパクトを受ける。認知す>>続きを読む

終わらない週末(2023年製作の映画)

3.0

シャマラン味はあるが面白くない。現代米社会の抱える問題をテーマとしてそのまま散りばめて、遠因に終末論を展開しているだけ。2時間もやるような話じゃない。

オカルト(2008年製作の映画)

5.0

個人的ド傑作。中年男性の友情(恋愛?)物語。渡辺文樹味を感じる後半が特に良く、鳥の群れのショット、映画観た後にマクドで感想を語り合ってる学生感に萌える。予算が少ない中でも「行為の結果」を見せようとする>>続きを読む

ピノキオ√964(1991年製作の映画)

3.0

ポゼッションの嘔吐シーンと鉄男のカメラワークを繋いだような映画。奇想天外をやろうにも既視感があるし、見せ切るまでのパワーも今ひとつ足りない。どうせゲリラ撮影なら終盤は逆に草原から街中に向かって最後まで>>続きを読む

追悼のざわめき(1988年製作の映画)

3.8

タブーやりたい放題だけども何故か美しさは残る。寺山修司絶賛という点もありかつて存在した泥臭く、漂白のされていないサブカルの臭気、その片鱗が味わえる。この映画が好きだった先輩を思い出してノスタルジックに>>続きを読む

屋敷女(2007年製作の映画)

3.5

全体的に高橋伴明の「door」を思い出すし、件のシーンは「追悼のざわめき」を思い出す。望月峯太郎による同タイトルの漫画の方が好き。

殺し屋1(2001年製作の映画)

4.0

好きな三池映画。原作の要点をかい摘みながら、キャラのヴィジュアルを上手に実写へと落とし込んでいる。特に浅野忠信の演じる垣原は衣装も相まりギラつき&妙なエロさがあって最高。画面から漂う00年代の空気感と>>続きを読む

鉄男 THE BULLET MAN(2009年製作の映画)

3.0

セカイ系×鉄男な1本。思えばツカシン映画は「君と僕」の映画が多いな。小綺麗に物語化し魅力が減退した感は否めず。石川忠のドえらいカッコいいサントラとしたり顔で放つ「Are you ready to ri>>続きを読む

ドライヴ(2011年製作の映画)

3.8

レフンはコレですよね。最序盤の仕事の手慣れっぷり、愛する女のために人を殺すことへの躊躇の無さ。ショットガンで頭が吹っ飛ぶショットやキスからの顔面粉砕などカラフルでポップな色彩とゴア描写は映画の領域のみ>>続きを読む

ジョン・ウィック(2014年製作の映画)

3.5

ロシアンマフィア、凄腕殺し屋、謎の体術という好き要素三段活用のような映画。欲を言えばもう少しコミカルな要素が欲しかったりする。

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

3.5

地味なおっさんが実は…というテンプレ映画。無双すぎる映画が多い中、序盤の冴えなさや泥臭いファイトが逆に新鮮に感じてしまう。後半はいつもの感じ。全体を通して音楽がかかる映画だけど選曲が割とベタ。

エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

3.5

前作でネタは割れてしまっているため、今作はある種昼ドラのような展開になり女同士のドロっとしたバトルになっていくのが面白い。主演のイザベル・ファーマンの言われてみれば…みたいな顔つきがええよね。

ブラック・レイン(1989年製作の映画)

5.0

かつてタランティーノが深作欣二に「仁義」の意味を尋ねたそうだが、これはリドスコの「仁義」についての物語な気がする。古典的な仁義、義理、任侠を体現してきた高倉健と近代的でコミカル、しかし狂気的な役どころ>>続きを読む

ヴァルハラ・ライジング(2009年製作の映画)

2.0

レフンのワースト。やりたいことは分からんでも無いがいくら何でも退屈過ぎる。むりくり環境映画として消費しようとも見所が皆無。今だにレフンの映画が面白いのか面白くないのかよく分からないままでいる。

オンリー・ゴッド(2013年製作の映画)

3.5

粛清からのカラオケの謎、イマイチ盛り上がらないバトルにレフンの混乱ぷりがよく分かる。最後笑う。捧げられても困るだろ。もし、ホドロフスキーがリンチ版デューンで失敗した後にカラオケで熱唱してたら爆笑するけ>>続きを読む

ブロンソン(2008年製作の映画)

3.8

全裸でグルグル檻の中で回るトムハー、後ろで仕切りを中心にグルグル回る謎の高齢者などリンチが暴力映画を撮ったらこんな感じになりそうな。喧嘩というより何かへの抵抗、自己表現の手段が取り敢えずブン殴ることし>>続きを読む

search/#サーチ2(2023年製作の映画)

3.5

SONY配給なのにMac製品しか出てこなくてワロタ。コンセプト上、登場するカメラがpcだったりスマホだったりで酔いそうになり、ようやくフィックスになった瞬間に安心した。最終的に「スマホはiPhoneに>>続きを読む

鉄男 TETSUO(1989年製作の映画)

5.0

キャリア初期のクローネンバーグが発狂してターミネーターを作ったらこうなると思う。徐々にホモセクシャルな雰囲気を醸し出しながらラストに向かって疾走感で振り切っていく。ラストの田口トモロヲの「俺はそこまで>>続きを読む

HAZE ヘイズ(2005年製作の映画)

3.0

伊藤潤二の「阿彌殻断層の怪」に似てる。塚本晋也の1シチュエーション1人芝居映画。オリジナルの25分版で丁度良く、本作でギリギリの内容。90分だと流石に耐えられないキツさがあったと思う。嫌いじゃないけど>>続きを読む