酸基さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

酸基

酸基

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悪の法則(2013年製作の映画)

4.0

リドスコにこんなもん求めて無いという気持ちも分からんでもないがマッカーシーの小説の再現具合が最高。狂人のみが真理を知り、2択を迫られる時には全てが遅すぎる。

スイート・マイホーム(2023年製作の映画)

3.8

筋は予想の範囲内を出ないものの黒沢組の芦澤明子による撮影が良い。特に窪塚が暗闇からぬるっと現れるにシーンに顕著だが、暗闇の濃淡、隅の黒々とした画面が不穏さを煽る。扉を徐々にクローズアップし蜘蛛の巣に繋>>続きを読む

双生児 GEMINI(1999年製作の映画)

4.0

おもしれ〜。代表作の鉄男を筆頭に人間×機械、独特な肉体性からは乖離したように思えるが実は同じテーマの変奏曲的な映画だと思う。北村道子の過剰な衣装、石川忠の音楽、異常なテンションのカメラワークなど美味し>>続きを読む

BROTHER(2000年製作の映画)

3.5

他の映画に比べて死のイメージが安直で浪花節なエンディングも含め特有の突き放しっぷりや静謐さは無い。車内の銃撃シーンにてアクションを切断していく編集とカークラッシュまでの間は流石。

3-4x10月(1990年製作の映画)

3.8

これがキャリア初期で撮れて、後にTAKESHISみたいな映画を作ってしまったのか謎。本当はソナチネでやりたかった事ができた映画だと思う。

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.0

北野映画は上手くいかなかった結果が良い方向に転がるという好例。手足を放り投げるような歩き方すら独特なテンポ感になっている。

TAKESHIS’(2005年製作の映画)

2.5

テーマは良いが切り口がな。30分でやるような話。

悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)

5.0

世紀の大傑作。劇場での鑑賞時、サリーが窓ガラスをブチ破る切返しでスクリーンから本当に飛び出してきたような衝撃を受けた。名前も無い謎の黒人ドライバー、発狂するように笑うサリー、憤慨したのか朝日を背景にチ>>続きを読む

デビルズリジェクト〜マーダーライドショー2〜(2005年製作の映画)

4.5

再見。やはり傑作。「悪魔のいけにえ」をアメリカンニューシネマに再解釈したグラインドハウスムービー。最後の「free bird」で涙腺がブチ壊れる。

犬ヶ島(2018年製作の映画)

3.8

寿司、相撲、風呂、ラーメン屋に浮世絵と正に海外からみた日本とも言うべきヴィジュアルは見事。滑らかなストップモーションアニメの完成度、黒澤明作品への言及も愛情が伝わる。しかし、シナリオは遠回り気味で10>>続きを読む

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

3.0

最強の善人殺戮マシーン、マッコールさん最後の仕事…なのだがいくらなんでも敵のマフィアが弱過ぎるため淡々とし過ぎでは。過去2作に比べて残虐描写は強調されている。キリストの存在も随所に匂わされるが、かと言>>続きを読む

小津と語る Talking With OZU(1993年製作の映画)

3.5

映画を語る時、それがいつの間にか自身の物事に対する視座、または人生へ言及せざるを得ないこと。引退を撤回して映画を撮り続けるアキ・カウリスマキの心に今だに小津は居る。「私は未来よりも過去を見つめるのが好>>続きを読む

理想郷(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

冒頭の一文後、馬を羽交い締めにする男達。村の兄弟の排他的で暴力的な態度はIターン組夫婦、特に旦那の村生活への固執をより強化し、夫を亡くした妻は死亡した旦那の亡霊によって村の生活に羽交い締めになる。他所>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

北野武というよりビートたけしの映画。冒頭の首無し死体、信長の狂いっぷりはナイスで期待させるが、その後はまぁ…という感じ。「本能寺の変」自体は死ぬほどアッサリと終わり、過程とその後が主軸になり、各面々が>>続きを読む

共謀家族(2019年製作の映画)

3.8

冒頭は「リミット」や「ショーシャンク」、雨がスローモーションで流れる映像は微妙な「セブン」ぽい。劇中で取り沙汰される「悪魔は誰だ」や「偽りなき者」など観たなぁと懐かしい気持ちに。映像化の学生はこういう>>続きを読む

渇水(2023年製作の映画)

3.5

邦画らしい邦画。給水停止措置に葛藤するという主軸は中盤から鳴りを潜め、ネグレクトや家庭不和など、テーマが分散したが故の薄味感と詰めにかけての冗長さは感じたが思った以上に面白かった。ちょっと軽薄ながら憎>>続きを読む

盲獣(1969年製作の映画)

4.5

めちゃくちゃ面白い。乱歩の変態性と増村のねっちょりした男女の描写が合わさって目眩く異常な性愛世界が展開される。ほぼ全て異常アトリエと炊事場の2箇所でしか物語が進行しないため、密室劇のような雰囲気。上記>>続きを読む

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)

5.0

皆がスマホを持っていて、この映画が作られた頃よりも実感は沸きやすいとは思うが、脳みそを電脳化するのは…みたいな倫理的葛藤が全然無く物語が始まるのが凄い。電子の海から生まれたニンゲンと肉体が限りなく機械>>続きを読む

イノセンス(2004年製作の映画)

4.0

何度も観ているのだが、面白いか面白くないのかよく分からない。引用中毒な会話劇や専門用語ばかりで面食らうが、改めて観ると筋書きは驚くほどシンプルな刑事モノ。歳を重ねるにつれ、バトーという緩やかな希死念慮>>続きを読む

迫り来る嵐(2017年製作の映画)

3.5

中国版「殺人の追憶」のような如何にも賞をとりそうな映画。永遠雨が降りつづける鈍色の画面は大変良いのだが、2時間の映画にしては話がとっ散らかる&薄味で特に中盤からは「猟奇殺人事件の話は…?」と置いてかれ>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.0

バックトラックがザ・スミスとトレントレズナーの殺し屋映画というだけで満足度が高い。筋書きは単純だがあちこちに移動して、モノ(物証)をバンバン捨てていく過程がカットのリズム感と相まって気持ち良い。効率重>>続きを読む

映画 あたしンち(2003年製作の映画)

3.5

この映画がもっと遅く生み出されていたなら日アカの最優秀賞脚本賞を取っていた。

パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

年寄りから金を巻き上げることのみをプログラミングされたターミネーター、ロザムンド・パイクが活躍する映画。近年の別段理由も無く、図太系主人公を女性にしておけみたいな風潮は余り好きでは無いのだが、今作にお>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ドラマパートが肌に合わず。主人公は同じことで無限にウジウジし、その割にはぼんやりと擬似家族を形成するもののヒロインを嫁に取る踏ん切りは無く、後悔に囚われ続けるという中々に感情移入が難しいキャラクターで>>続きを読む

ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

4.0

マイルド化した家畜人ヤプーのような世界観。ドラーグ族以外にも意味不明な生命体が沢山出てきて楽しい。イン哲や禅思想がファンタスティックなものとして、ヨーロッパで受容された結果に排出されたような感じ。久々>>続きを読む

MEG ザ・モンスターズ2(2023年製作の映画)

3.5

登場人物全員に花を持たせようとするため、化け物vs人間の構図が希釈された感はある。一瞬だけ南海の大決闘味があって良い。

パリタクシー(2022年製作の映画)

3.8

テンプレのなにわ節映画だけども、主演のリーヌ・ルノーが94歳でこの達者さを発揮している点が凄い。タクシーが絡む映画は大体が平均的に面白い気がする。

バーバリアン(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

デトロイトが舞台のホラー映画なので「ドントブリーズ」が思い浮かぶが、あちらも強制妊娠をさせようとする爺だったし、変態異常者の発生地みたいな扱われ方をしていて気の毒な街だこと。いつ頃からかバケモンのヴィ>>続きを読む

ダウンレンジ(2017年製作の映画)

3.5

最初に出てくるガタイ、性格が良さ気な兄ちゃんが死体になってからも無駄にバラバラにされたり、黒人ニキが基本蚊帳の外で気づいたら死んでいたりと物語に絡まない奴の処理がむちゃくちゃ大味。北村監督のそれなりの>>続きを読む

(2021年製作の映画)

3.0

リチュアルなストップモーションアニメ。制作年はコチラが後だが「オオカミの家」の前哨戦的な雰囲気。人骨と踊ったりしながら楽しげに遊んでいる様子は微笑ましげだが、肉がつき始めると途端にギョっとさせられる。>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

3.8

面白い面白く無いの括りで語れる映画ではないが、撮影の手間を考えると狂気としか言いようがない。3次元から2次元へとメタモルフォーゼしつつ、組み上がる過程を積み上げることで禍々しい何らかが形成されていく。>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.5

シナリオ、ヴィジュアル共に革新性は無いものの映像の水準は高くて楽しめた。劇中で「ニューアジア」という括りが提示されるけども、中国がフューチャーされず、完全に監督の趣味で日本が登場するのが若干嬉しい。渡>>続きを読む

グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

指環物語のようなファンタジーを期待するとかなりガッカリする。主人公は不様だし、知恵もなく、緑色を基調とした凄みのある画はチラチラとあるが、物語の展開は意図的に盛り上がりを回避しているように思える。卑怯>>続きを読む

殺人者の記憶法(2017年製作の映画)

3.8

ストレートな信頼できない語り手の物語。前半にコミカルな要素を散りばめながら、記憶と現在がアルツハイマー+せん妄のような状態で混濁していく。記憶喪失系だと「手紙は覚えている」の方が展開は面白かったけど、>>続きを読む

FALL/フォール(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

「ザ・ウォーク」と共に高所恐怖症に見せたら死にそうな映画。全体的にサックリとしていて、劇中に出てくる何気ない会話やガジェットが後半に活きるミニパズルのような構成。結局あのおっさん2人組は何なのか。

ゴジラ(1954年製作の映画)

4.0

戦後から僅か9年後に作られた初代ゴジラ。後年のVSシリーズに比べ、やはり禍々しい。山から頭を表す姿はルドンの「キュークロプス」を思わせるし、姿は見えないが鳴り響く足音など、殆ど恐怖映画。街が燃え盛る光>>続きを読む