ヒロシーさんの映画レビュー・感想・評価

ヒロシー

ヒロシー

蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

4.5

能の演出、本物の矢の使用、全てがガッチリハマっている。黒澤で一番好きかも。

点と線(1958年製作の映画)

3.5

何年前だったか、ビートたけし主演のスペシャルドラマで見たのを覚えているけど、そっちでギバさん演じる安田はこんなクズじゃなかったような気が。ただ、これはこれでいい(最後の障子の破れ方がまたいい)。無駄を>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

本人も言及していたが、これは濱口流『ミツバチのささやき』だろう。少女のモチーフ、象徴に次ぐ象徴、唖然とさせられるカットの数々。音楽があって映画が生まれたらしいが、よく『ドライブ・マイ・カー』の後にこん>>続きを読む

リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

4.5

ジャパニメーションばかり見てたら世界が狭くなるので、絶対こういう作品を年に一度は見るべき。かくも自由でいいのかと圧倒させられる。親子の確執は冒頭でさらりと処理して、そこからはむしろ共犯関係としてありと>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

4.5

原作が大好きな身からすると不安なところもあったが、アンドリュー・ヘイは軽やかにハードルをくぐってみせた。徹底的に自分のパーソナリティに寄せることによって、原作の粗い魅力までも必然に変えるのは見事。寄り>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.5

言語化できないほど感動し、泣いた。まずもって撮影が良すぎる。何を写すかの選択、それをカメラに収めるセンス、二人の移動の模様を追っていく様、何もかも見事。あれがこの映画の魅力を何千倍にもしている。

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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

4.0

生い立ちから彼女の生き方を決めた過去を探り、彼女の現在を生き生きと撮り、それこどがアートだと突きつける。あまりにも理想的なドキュメンタリー。

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

見事。まずもって映画としての快楽に満ち溢れている。早すぎる気さえするテンポを弛ませない編集に酔わされる。実験シーンの恐ろしさも編集の賜物。勿論、それが活かされるのはノーラン自身による脚色と、お家芸の本>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.5

前作の全てが「画」なところが膨大な伏線だったとは。スター映画としても楽しい。

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.0

今の時代の法廷映画の傑作。法廷劇は検察の執拗な追及に思わず頷くところもあるし、その後の冷静な弁護士の「正しい」言葉に納得させられる、絶妙な塩梅のままゆらゆら揺れる。そして我々は「どっちに着くのか」とい>>続きを読む

天国と地獄(1963年製作の映画)

4.0

何となく見たらずっと釘付け。骨太過ぎるにも程がある。

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

4.0

何故ここまで語られる作品になったかは見れば分かる。映画が担う役割を全て分かっている作品だからである。

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.5

ほぼ満点に近い。私が映画に求めるものが詰まっている。映画によって救われたり、気づきを与えられたりすることも間違ってはないが、やはり「あのシーン最高だった〜」と思わせられる快感には勝てない。何と美しいシ>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.5

これはすごい。ここまで己を見つめ、己のことをそのまま映画にしたのを見たのは宮崎駿『風立ちぬ』以来かも。しかも3時間。しかし今ブームの「映画監督の映画の映画」なんて歯牙にも掛けない。主人公はじめ登場人物>>続きを読む

エル・スール(1982年製作の映画)

4.5

明日の新作鑑賞に備えて昨日『ミツバチのささやき』を再視聴し、その完璧さに魂が震えたので急いでこちらも鑑賞。こちらも素晴らしい。主人公が見ることのできなかった父親のシーンは都合いい妄想とも、残酷な現実と>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.5

やはりIMAXで見るライブ映画はすごい。ベースやドラムの音が椅子から全身にマジで響く。その音に操られるかのように体を捻りまくる若きデヴィッド・バーンが神々しくすら感じ、今では神話レベルの伝説ライブ映画>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

これだけセックスしまくりでも下品に感じたりはしない。無垢な女性があらゆる感情を得ていって世界に一石を投じるみたいな作品かと思いきや、そうではあるけどそれ以上の体験であった。エマ・ストーン最高。マーク・>>続きを読む

ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)

4.5

この映画大好き。初めに悲劇が起こるけど、それ以降は基本ずっと明るいのがいい。恋人同士が再会のために走り出し、その直前のフラグから悲劇が起こるかも!と思ったら楽しげな音楽が流れてくる始末。ギャグ描写が思>>続きを読む

カード・カウンター(2021年製作の映画)

4.5

これは見逃さなくて良かった。アメリカの狂気をずっと突き詰め続けてきたポール・シュレイダーが次に目をつけたのは「ギャンブル」と「拷問」。なるほど納得という選択を見事に映画として料理。オスカー・アイザック>>続きを読む

ナイアド ~その決意は海を越える~(2023年製作の映画)

4.0

何だこの静かに熱い映画は。物語展開はスポ根王道なのにどこか落ち着きを感じるのは、中心登場人物が50歳以上だからだけではないだろう。監督2名がドキュメンタリーを撮ってきたというのが非常に魅力的な要素とな>>続きを読む

アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

4.0

映画監督の幼少期の映画の中では抜きん出て切実で自己批判的。時代背景による影響こそ描写されるが、同時に家族からの、彼が幼少期には受け止めきれなかった影響もしっかりと撮っている。MVPはジェレミー・ストロ>>続きを読む

ショーイング・アップ(2022年製作の映画)

4.0

ショットの力強さを蓮實重彦にも誉められているケリー・ライカートならではの映画。芸術家のいたたまれない生活の描写をスケッチ風に積み重ね、最後に文字通り籠の鳥が解き放たれてほんの一瞬のカタルシスを得る。じ>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.0

一昔前なら「こういうのでいいんだよ」かもしれないが、恋愛を主題にした映画が貴重な今なら「こういうのこそ素晴らしい」となる。各々の様々な事情が重なった結果の会えない時間のもどかしさたるや。古き良き映画の>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

4.0

エメラルド・フェネルの待望の新作であると同時に、バリー・コーガンの待望の主演作でもある。やはりと言うべきか彼が演じるオリヴァーを見ている間はずっと不穏。冒頭の情けなさもフリに見えて仕方なかった。その所>>続きを読む

Fair Play/フェアプレー(2023年製作の映画)

4.0

女性が上の立場になることで関係がおかしくなる、というのは新鮮なようで割とありがちな気はしなくもない設定ではあるが、それでここまで面白くなるのは明らかに演出と脚本の妙。クロエ・ドモント、完璧に覚えた。展>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.0

うっとりする映画。ショットを撮ることにも巧みさを感じる。冒頭を悲劇と捉えるべきか、最後まで二人一緒だったのかとロマンスとして捉えるべきか観客に問うた上であのラストは粋過ぎる。ジョン・マガロ、何といいフ>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.0

役所広司を見る映画。今後、ついトイレ掃除作業中の人の所作を今後見てしまうであろうが、それはこの映画というよりは彼のおかげ。日本映画見なさ過ぎマンなので彼の演技は超ご無沙汰だったが、やはり日本一の名優で>>続きを読む

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

4.5

徹底的に料理を撮る冒頭からして最高すぎて脳がとろけた。料理はコミュニケーションであり、愛情表現であり、二人の糸を切らない最後の命綱。カメラが動いているシーンが全て最高で、調理工程で移動する人物を追って>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.0

素晴らしい。まずトットちゃんをはじめとする子供達のアニメーションが良い。生き生きとして危なっかしく、白にも黒にも簡単に染まる無邪気さが台詞以上に動きでありありと表現している。その舞台となるトモエ学園、>>続きを読む

ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

3.5

バッチシ決まった美術とティモシー・シャラメだけでも十分ではあるが、そこにポール・キングお得意のシンメトリー構造があるので眼福眼福。チョコレートを作る腕は最初からチートレベルなのにここまで苦戦する、つま>>続きを読む

伯爵(2023年製作の映画)

3.5

設定が頭でっかちになっている感は否めないが、ストーリーは分かりやすいのに台詞で説明するポイントがかなり少ないのが良かった。撮影は良いがショットの繋ぎ方が弱い? 

終わらない週末(2023年製作の映画)

4.0

年末恒例のNetflix世界終末シリーズ……ではなく、今回はアメリカ終末物語である。現在の中東問題を見ているとよくよく分かる、アメリカがよく立たされる「何もできずにいる状態」がもどかしさを超えて絶望へ>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.0

ウェス作品独特のテンポが逆に残酷さを増す、強烈な短編。

ネズミ捕りの男(2023年製作の映画)

3.5

物語に込めた想いが高度すぎて……。相変わらずのカメラ横移動が楽しい。

白鳥(2023年製作の映画)

4.0

これはロアルド ダールを読まなくちゃなと思わさせる、原作の魅力とウェス流の演出が妙なマッチを見せる傑作。淡々としたトーンがたまらない。絶対にクズと同じ位置まで落ちちゃいけないんだ。

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

3.5

流れるような舞台転換はやはり作風に合っている。美術を見ているだけで眼福。カンバーバッチにぴったりのキャラだったな。

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