pepeさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.5

子どもだからこその純粋さと残酷さが入り乱れ、取り返しのつかない悲劇が起こる。けれど、その咎をどうやって受け入れ、乗り越えれば良いのか、子どもである彼は知りようもない。

無邪気に花畑を駆けまわり、無心
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.5

「スタジオジブリが贈るオリジナル冒険活劇ファンタジー」というわずかな前情報どおりの、ジブリにしか作れない要素が詰め込まれた作品でした。宮﨑駿監督の集大成というより、これまでの道のりを否が応にも思い出さ>>続きを読む

エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

4.0

前日譚といえば、彼女がああなった理由や育ちの過程などを描くのかな、と思いきや、まさかの切り口ですごく楽しめました。皆設定を知っていることを逆手にとっての、あの危機一髪一触即発な人情もへったくれもない野>>続きを読む

泣く男(2014年製作の映画)

4.0

洗練された迫力あるアクションに、孤独な男と殺された少女とその母親の人間的な感情が入り組むドラマを絡めて無駄なくまとめあげた韓国ノワールらしさある作品でした。

主人公がひたすらに無口で思考を表さないも
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大いなる自由(2021年製作の映画)

4.5

タイトルの「大いなる自由」には作中で由来が示されますが、個人的には、人間ひとりひとりの心にすまう心情や生き方そのもの、本来否定されてはいけないもののことを差しているようにも感じました。人は皆、大いなる>>続きを読む

X エックス(2022年製作の映画)

3.7

今度公開されるこの話の前日譚の方が気になってきたので観てみましたが、グロさよりも序盤のポルノ描写が結構長々とした印象で、話を通せば意味があるのもわかるのですが、何の映画だっけこれ…とむずがゆくなるもの>>続きを読む

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

4.0

たった2分間のタイムループを繰り返す。このシンプルなドラマが、こだわりにこだわった巧みな設計で練り上げられていました。単純に観ていて楽しく、笑えて、少ししんみりもして、貴船の景色も素晴らしい。すがすが>>続きを読む

ヴィレッジ(2023年製作の映画)

4.0

当たり前にカラーで描かれているのに、ずっと灰色の画面を観ていたような、そんな重苦しさの付きまといつづけた映画でした。苦しくやるせない、けれどどんな打開策も、ありえなかった。そんな無力感に覆いつくされた>>続きを読む

きさらぎ駅(2022年製作の映画)

3.5

元ネタをぼんやりとしか知らずに観たので、POV系ホラーの要素を含みつつもオーソドックスな展開だなぁと、お化け屋敷に驚く程度に驚きつつ観ていたら、後半急に様相が変わって吹き出しそうになりました。

あの
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ライダーズ・オブ・ジャスティス(2020年製作の映画)

3.8

不慮の列車事故で妻を亡くした軍人が、偶然の縁でつながった癖あり個性強めの男たちとともにその復讐に乗り出す、そんなアクション映画なのですが、焦点がブレたような展開に「それでいいのか」という疑問がぬぐえず>>続きを読む

⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)

4.5

同性愛がタブーとされているモロッコの下町で、伝統的なカフタンを手織りで降りつづける職人とその妻、そして新たに職人見習いとして雇われた若い青年、この3人が織りなす「愛情」そのものを描いた静かな物語でした>>続きを読む

新しき世界(2013年製作の映画)

4.5

2023年になって、劇場で初見しました。
こんな幸運って、そうそうない。すごく良かったです。

韓国ノワールの王道をいく、裏切りと打算が跋扈する世界。潜入捜査を行いつづけている男の運命を軸に描く物語は
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ブラック・フォン(2022年製作の映画)

3.9

連続誘拐犯の不気味さと、絶体絶命の境地でなんとか抗うさらわれた少年の戦いを描いたホラー。コンパクトにシンプルにまとまっていて、ちゃんと薄気味悪く観れたのですが、(なぜか)黒電話を通して伝えられる某から>>続きを読む

THE WITCH/魔女 —増殖—(2022年製作の映画)

3.9

三部作の二作目という前提が思っていたより強い作品でした。
つまり設定を知っておくことと、この作品だけでは何も完結しない、というのを知らないと、説明が足りない、これで終わり、という感覚になってしまうなと
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岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

4.0

ドラマ版のみを観ているライトなファン層の人間ですが、ドラマ版そのままの雰囲気がしっかりスクリーンに載せて描かれていて、シリーズの正しく続編を観られたという満足感に浸れました。

序盤から示される「黒い
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私のちいさなお葬式(2017年製作の映画)

4.0

自分の死が間近なのを知りあくせくと行動を始める主人公は、死神に追われているからではなく、準備を整えないで死んでしまうと息子に迷惑をかけてしまう、そんな一心で行動しているかのようで、どこかいたましくあり>>続きを読む

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)

4.0

全編ワンショットという撮り方の面白さ、
シームレスに視点が移動していく巧さ、
台詞や態度の端々に偏見を散りばめて不穏さをじわじわと高め、不意にその歪みが臨界点を突破しておぞましい事態へ一気になだれ込む
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悪女/AKUJO(2017年製作の映画)

4.0

とにかくアクションを見せつける映画です。
見せ方の工夫、迫力の出し方、構図の取り方、すべて一級品でほれぼれします。血だらけなのでR15相当上等なレベルで人を選ぶのはもちろんですが、とにかく見応えがあっ
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ウィ、シェフ!(2022年製作の映画)

4.2

一匹狼のシェフが個性豊かな移民の未成年少年たちと料理を通して絆を育む社会派コメディ。このコメディ、という色付けを絶妙なバランス感覚で散りばめているところにこの作品の巧さを感じました。

そのおかげでフ
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死体が消えた夜(2018年製作の映画)

4.0

サスペンスやミステリは驚かされてこそ、の物語です。
この映画では、驚かされて騙されたという心地よさを、ここぞ!というタイミングで最高な爽快感で味わえたので、大変満足できました。王道かつ無駄なく隙なく積
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TOVE/トーベ(2020年製作の映画)

4.0

トーベ・ヤンソンは私にとっては「ムーミンを生みだした人」という名前だけの存在だったのが、今作を観て、「ムーミンを生み出しもしたのはこんなにエネルギッシュで眩しく鮮烈に生きた人だったのか」という感銘に変>>続きを読む

キル・ボクスン(2023年製作の映画)

4.0

スタイリッシュで無駄のないアクションが小気味よく爽快で、ばたばたと人が血しぶきあげながらお亡くなりになる割りには、からりとした後味の映画でした。

そのドライな印象には、どこか人間としてのタガが外れて
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ハンガー:飽くなき食への道(2023年製作の映画)

4.2

この映画はけしてグルメ映画ではなく、食の道を這い上がろうとする人たちを描いたのでもなく、人に欠かせない食というものが、社会的地位によってこうも在りようを変えている、その現実を叩きつけるように描いた映画>>続きを読む

search/サーチ(2018年製作の映画)

4.0

たったひとりの人間の情報が、ネット上では当たり前に複数に散り散りになっていて、他人との関係性どころか本人のコメントの真偽すらわからない。なにが嘘でなにが本当か。その「検索」を繰り返し、選り分けて娘の真>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.2

死期の近づいた肥満体の男がひとり住まう、間接照明とカーテンの隙間から入る光が差し込む程度の薄暗い部屋。ほぼその室内のみで展開される、静穏と激昂、絶望と希望が幾重にも複雑に折り重なった会話劇。

その果
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映画刀剣乱舞-黎明-(2023年製作の映画)

3.8

刀剣乱舞には元のゲームにストーリーがあまりないために、メディアミックスで描かれる物語は媒体によってさまざまです。映画の前作は歴史SFとして楽しめた「とある本丸の物語」でしたが、今作の場合は、日常に突然>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.1

ジャズという音楽の魅力をどう伝えるか?
その一点に注力し、原作のエピソードを厳選し再構成し、2時間に練り上げたジャズのための映画でした。素晴らしかった。

ジャズをそれほど知らない私でも、気づけば演奏
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あなたの名前を呼べたなら(2018年製作の映画)

4.0

身分違いの二人の恋物語ですが、その表現に含まれるようなセンチメンタリズムや悲劇性よりも、「恋愛というありえないことが起こった」とでもいうような、とても泰然とした描き方が印象的な物語でした。

主人とメ
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.0

ランドリーの経営に苦しむ女性を中心に、家族それぞれの心情が交差する家族愛を軸に展開するまっとうなドラマが、こうもカオスな味付けをされるとこれだけ斬新になるのか…!、という驚きを覚えながら楽しみました。>>続きを読む

ハッピー・オールド・イヤー(2019年製作の映画)

4.0

モノを捨てることと、思い出を捨てることは同じではない。
分けて考えられる人はいる、主人公だってきっと自分自身でそう思っていた。

けれど、第三者視点で見れば、それは一緒だと感じ取られる可能性はある。た
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スマホを落としただけなのに(2023年製作の映画)

3.9

イントロの目まぐるしくもわかりやすい「スマホ中心ですべてが回っている」映像表現がまず巧かったです。だからこそ、持ち主が変われば世界は恐ろしく変転する。そのスリルをスピーディに無駄なく描き上げていて、面>>続きを読む

レリック ー遺物ー(2020年製作の映画)

3.7

孤独な生活を送らせ、そうして今認知症を患った祖母への母の自らへの悔恨や後悔の気持ちを強く感じて、そんな想いだったからこそああいう選択をしたのだろうなと。

それは老人ホームへ預けるのと変わらない、親へ
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別れる決心(2022年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

男女の愛情の駆け引きを描きつつ、ミステリ要素も絡めて描いた物語なのですが、とにかくトリッキーなほどに凝った映像が、酩酊感を覚えるほど素晴らしかったです。

現在と過去、幻想と推測を同一画面上でシームレ
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アイ・キャン・スピーク(2017年製作の映画)

4.0

迷惑なお婆さんと公務員の陳情バトルが繰り広げられるコメディめいた前半から急カーブを切って、次第に重いメインテーマに深く切り込んでいく物語。この主題を、エンタメ性を持たせつつ、訴えるべきポイントは真正面>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

4.2

4人の密室会話劇がほぼ2時間、緊張感を保ったまま語られる。
それだけの、いや、それだけなのに、画面に惹きつけられてやまない、息をつかせない物語として仕上がってました。あまりにも、凄い。

田舎の教会で
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スピード&ラブ(2022年製作の映画)

4.0

スポ根モノと恋愛モノに王道な設定にのっとった物語ではあるんですが、「そこで熱血するのか!?」「ここは仲直りじゃないの!?」「家政婦最高!」「突然のメタ!」と妙にクセのある展開をテンポよく惹きつけてきて>>続きを読む