突然一方から絶交を言い渡された中年と老年の男性二人の顛末「のみ」を、冷然と描いた物語。二人のあいだに交わされた、幼稚なようで絶対的な誓約が、結局お互いの意図が伝わり切らないままに、二人の決裂を後戻りの>>続きを読む
事件を解決できない警察の無能をなじった、街外れの三つの看板。この看板が巻き起こしたのは、未解決事件を解決へ導くうねりや真実へ至るヒントが生まれること、ではなかった。事件を追ったサスペンスではなく、事件>>続きを読む
トップスピードの疾走感をとにかく保ったままひた走り、あらゆる疑問を浮かばせる隙間すら与えずにやりきった……、そんな無茶を通して道理を引っ込ませたかのような、スケール感の大きなエンタメ作品でした。楽しん>>続きを読む
殺されることを逃れるためについた嘘が織り成した、奇妙な絆と稀有な運命の行く末を描いた物語。まるでコメディのような設定は、けれどひとかけらの笑いを誘うこともなく、比喩でもない死と隣り合わせの日々を切迫感>>続きを読む
開始数分で汚職していて人を轢いて事故隠蔽して立場下の巡査脅して、そもそも母親の葬儀中座してと、ろくでもなさがトップクラスの主人公が、さらにろくでもない悪人に目をつけられて、とても大変な目に遭うというサ>>続きを読む
喪った友達マリコへの愛情と悲しみと怒りがないまぜになった主人公シイノが、激情を迸らせて彼女の遺骨を抱えてひた走った道程を、荒々しさ漂う現在と底知れぬ沼の湖面のような不穏な静けさ漂う過去を交差させながら>>続きを読む
1秒先を行く彼女と1秒遅れてしまう彼たちの、すれ違いと出会いが入り交じる恋愛模様がコミカルに、そして思いきったSF要素を突っ込んで描かれた物語。
海岸べりを走るバスの映像の美しさが印象的で、全体的に>>続きを読む
現在の台湾情勢がかなり危うい今において、かつて実際に厳しい統制下にあった時代を背景に描かれるこのホラー映画は、映像や筋書きそのものとは違う生々しさを感じさせ、その怖ろしさも感じました。
筋書きはシン>>続きを読む
新年一作目はこの映画を観よう、ミステリだけれど景気良さそうだし、と考えて観ました。
観ると実際、すごく景気良くて爽快でスカッとできる、おめでたい気分になれる映画でした。パンデミックを取り入れた無駄のな>>続きを読む
狂気がまるで混じりっ気のない愛情の姿をして毎日自分のもとに注がれていたならば、一度それが裏返ってしまえば、ただそれはおぞましいばかりものでしかない。それを存分に叩き込まれた物語でした。怖かった。
本>>続きを読む
クローンは人といえるのか、いえないのか。
昔から数限りなく繰り返されてきた問いがこの作品でも問いかけられ、さらにクローン「本人」から死生観について幾度も聞かれます。問われるのは、病と過去のトラウマに>>続きを読む
孤高の天才シェフが訳ありの客たちに提供するのは、至高のメニュー。
そういうシチュエーションからは「注文の多い料理店」をつい想像しますが、ある意味おぞましさは通じるところはあるかもしれませんが、こちら>>続きを読む
ロバート・デニーロの落ち着いた知的な風貌と、アン・ハサウェイの瑞々しくエネルギッシュな立ち振る舞い、彼ら彼女らの一流の個性と演技が素晴らしい、「なかなかありえないけれど、あったらきっと素晴らしい友情」>>続きを読む
エネルギッシュで奔放なキャラクタたちが物語を走らせ、美しく迫力ある映像美と軽やかなアクションで観る者を引き寄せる、現代的な伝奇物プラスロードムービー。さすがの面白さでした。
イケメン見つけて踵を返す>>続きを読む
シリーズ第2弾、相変わらずのテンポの良さとライトな切り口ながらも当時の社会問題にも切り込んでくる深さのあるストーリーテリングが絶妙で、今作もとても楽しめました。
なによりエノーラのチャーミングさが良>>続きを読む
愛らしくて強くて賢くて、それでいて十代の幼さや危うさも残っている。そんなエノーラ・ホームズの多面的な魅力を生き生きと詰め込んだ、すがすがしいミステリ映画でした。
母娘の少し風変りで、でも愛おしい日々>>続きを読む
これが、ドキュメンタリー…、という何ともいえない感嘆と衝撃に、ぼうっとエンドロールを眺めるばかりでした。ラストの絵画がすべてを語っている、その物言わぬ説得力に圧倒されたままでした。
盗まれた画家と盗>>続きを読む
道にかなり外れた捜査もがんがんするし、簡単に人を薙ぎ倒す平手打ちも平気で繰り出す、いろんな意味で規則外な刑事=マ・ドンソクとその一癖ある仲間たちが、ひたすらに凶悪で狂暴で残酷な悪漢を追う暴力多めのアク>>続きを読む
語られない異常や狂気が、ひたひたと足元から満ちていく。
主人公の持病のように胸苦しさが差し迫ってくる。
そういうじわじわと心を締め付けてくるように、きわめて静かに丁寧に描き出した「殺人事件」の物語で>>続きを読む
水煙が立つほどの雨の中で黒い傘をさしたままの美しいアクションを筆頭に、骨と肉の痛みが伝わってくるようなえぐみのある描写がこれでもかとつづくのに、観終わった後に残ったのはただやるせなさでした。切なすぎま>>続きを読む
濃厚なフルパワーが3時間ぎっちり詰まった最高の映画でした。
1920年代という近代の実在の英雄をモデルに、彼らの友情と使命と運命が導いていく物語を、圧倒的なスケールとパワーとアイディアが詰まったアク>>続きを読む
これは、遠くはなくおそらくは近い未来の、どこかにきっといるようになる、家族たちの物語。ディテールはSFなのに、そう静かに納得させる、訴えかけてくる、しっとりとした普遍的なものが横たわっているように感じ>>続きを読む
その選択が正しいかなんて、誰にも決めることはできない。
自分だったらどうするかなど、考えたって答えは出ない。
ただ、この映画の二人にとっては、この選択は、最上のものだったとのだという確信は持ちました。>>続きを読む
映画を観終えて外に出て、なんとなしに空を見上げてしまう。
そういう行動を思わず取らずにはいられないほど、あの空には確かになにかが存在していて、「最悪の奇跡」を巻き起こし、人々を混乱と破滅に追いやり、>>続きを読む
暴力が暴力を生むその連鎖とその無謀を、ドキュメンタリーのようにひたすらに追い続ける90分余り。息をつかせる暇も与えずに繰り返される暴動に、思わず画面に引き込まれていきました。
それでいて、それほどま>>続きを読む
不穏さと平穏さが同居しあい混沌さを覚える状況ながら、紡がれていく夫婦ふたりと人ではない小さきものの生活の行く末を、ただ俯瞰するように見守っていくばかりの物語でした。
「明らかなおかしさ」がそこにある>>続きを読む
振り返れば王道のテクニックを使ったスリラーでしたが、道中は母親を演じるナオミ・ワッツの狂気とも正気ともつかない様相に双子同様に固唾を飲んで観ていました。「どうなるのか」が「そういうことか」と垣間見えて>>続きを読む
実際に起こった凶悪な性犯罪の事件をもとにした映画だと、ロクに調べずに観てしまったので、後半ただただおぞましくてしんどさだけが募りました。とどめが最後の加害者たちのその後。要りません、心の底から…。>>続きを読む
夫の浮気をきっかけに、ひたすらに泥沼に陥っていく夫婦の顛末を描いた作品で、どこまでズルズルこのどうしようもなさが続くんだろうと思ったら……、……これはこれでお似合いな二人なのかもしれないと、一周回って>>続きを読む
かつて一人の女性が生きた煌びやかな残酷を、巧みな構成で描き上げた物語でした。とてもハイセンスに洒落た、けれどえぐみと凄味に満ちた作品でもありました。滅べ、獣ども、と慟哭したくなるような。
息つく暇も>>続きを読む
二人の女性が絆を育んでいくさまが、とても丁寧に、繊細に描かれた作品でした。
作品世界を紡ぎあげている要素は、どれもがとても細やかで巧みでした。微妙な表情の変化や立ち居振る舞いで変化を感じさせる俳優の>>続きを読む
楽しさ面白さ爽快さに全振りした、楽しんだもの勝ちの殺し屋エンタメ映画でした。わたしは思い切り楽しみました。
次々に登場する痛快でキテレツなキャラクタたちが織り成すアクションと軽妙な台詞回しはテンポよ>>続きを読む
ファン・ジョンミンとイ・ジョンジェそれぞれのアクションが全編にわたって繰り広げられてひたすら圧倒させられるだけの2時間弱。
ナイフや体術を使ってのアクションに、カーアクションも取り込んでスピード感も盛>>続きを読む
訳ありの中年神父とトラウマ持ちの飄々とした神学校生のコンビ(未満)が悪魔祓いに臨む、シンプルなホラー映画。怖いというより、ただやたらとシンプルなつくりだったな…という印象でした。
メインは力が入って>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
怪異現象の理由を探しに探した彼女たちは、やがて幾重にも折り重なった原因=因縁に行き着く。けれど、それが判明したからといって、「めでたしめでたし」にはなりませんでした。なぜなら、それは「穢れ」だったから>>続きを読む
ヴェノムはエディのことが大好きなんだなぁ…(ほのぼの)という感情を全編にわたって抱きつつ、大変迷惑なカップルの道中を傍迷惑だなぁ…と感じながら観た作品でした。
このボニー&クライドめいた悪役カップル>>続きを読む