ひこくろさんの映画レビュー・感想・評価

ひこくろ

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貴公子(2023年製作の映画)

3.5

貴公子のキャラクターがとにかくいい。
飄々としてすっとぼけていて、でも、プロ意識が異常に高い謎の人物。
常に紳士的な態度でいるかと思いきや、愚痴ばかりこぼしたり、ちょっとした怪我でオーバーに痛がったり
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.3

これは恋愛に関する距離感の話だなあ、という印象を強く持った。

ネットが普及して以来、あらゆる距離感はぐっと縮まった感がある。
いつでも誰とでも連絡を取り合うことは簡単にできる。
しかし、現実の距離感
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この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説(2018年製作の映画)

3.4

完全にファン向けに全力疾走した映画だなあ、という印象を受けた。

キャラクターやそれまでの説明は一切なく、ただただ「いつもの」やり取りが繰り広げられる。
元々の話は複雑なわけではないし、キャラクターの
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ペナルティループ(2024年製作の映画)

4.0

妙なところに魅力を生み出した変なタイムループものだった。

説明不足な面が強く、導入部はかなり戸惑う。
とりあえず、なんとなく、恋人を殺された男が犯人の男を殺そうとしている、んじゃないかとわかってくる
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.7

(すみません。かなり長いです)

やってくれたなあ、ノーラン、という感覚。

自らの研究を極めることが、イコール殺人兵器の開発に繋がる時、科学者はそれでも自身の研究を貫くのか。
というのが、大きなメイ
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劇場版 響け!ユーフォニアム 届けたいメロディ(2017年製作の映画)

4.5

「響け!ユーフォニアム」という作品の奥深さをあらためて見せつけられたような映画だった。

前作にあったスポ根感はやや鳴りを潜め、代わりに吹奏楽をめぐる高校生たちの物語という側面が強く打ち出される。
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映画おしりたんてい なんでもかいけつ倶楽部 対 かいとうU(2024年製作の映画)

3.7

ハイテンポでドタバタが繰り広げられる少年探偵団物という感じ。
可もなく不可もなくで、ごく普通のアニメ作品にしか見えないが、同時上映の「さらば愛しき相棒よ」を観終わると、かなり印象が変わる。

かいとう
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映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ(2024年製作の映画)

4.3

あらゆる部分の二面性に、ものすごく複雑な気分になる怪作だった。

タイトルからも想像できる通り、話の内容は本格的なハードボイルドもので、古き良き時代の探偵ミステリーの匂いがプンプンする。
物語や背景、
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劇場版 響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ(2016年製作の映画)

4.5

厳しい練習を積み重ねて上手くなっていくスポ根要素と、繊細な心理描写が絡みあった、思わず胸が熱くなる青春群像劇だった。

彼女たちの姿はまずは温度差の違いから描かれる。
本気でいる人間と、本気ではない人
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みぽりん(2019年製作の映画)

4.2

ラストの展開をどう受け止めるかで、評価がはっきりと変わる映画だろうと思った。

芸能界とかアイドル回りの世界って、冷静に見ると滑稽だったり、異常だったりすることが非常に多い。
そういう様子を映画は極端
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変な家(2024年製作の映画)

3.3

日本のホラー映画のいいところと悪いところが両面出てしまった作品だと感じた。

いいところは、切り口の上手さ。
一見、ホラーとはつながらそうな「間取り図を見て家を想像する」という行為が、ホラーとして成り
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.6

(原作未読派の感想です)

いろんな要素が詰め込まれ、それらがまとめてドカンとぶつかってくるような、刺激的で衝撃的なアニメだった。

それほど残酷な描写があるわけでもないのに、とことんまで絶望的に見え
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.9

何度も言ってしまって申し訳ないけれど、ドゥニ・ヴィルヌーヴのSF映画はとにかく美しい。
隅々まできっちりと計算されつくした画は、それだけで観る側の心を揺さぶる。
理系の美とでも言いたくなるこだわりとセ
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ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

4.4

北欧の雰囲気全開のすごく面白いホラー映画だった。

暗い森、湿った空気感、落ち着いた映像、ほとんど説明をしない物語、そして、金髪の白人美少女。
そこにファンタジックでグロテスクな非日常の要素が入ってく
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市子(2023年製作の映画)

4.3

現実社会にある闇が、うっすらと怖くなってくるような映画だった。

結婚を決めた相手が姿を消し、調べてみると、知らなかったことがわかってくる。
というのは、ミステリーとして上手い。
市子とは誰なのか、彼
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ペトルーニャに祝福を(2019年製作の映画)

4.3

自分に自信がある人って、現実にはどれくらいいるものなんだろう。

面接に落ちまくり家に引きこもっているペトルーニャは、自己肯定感がものすごく低い。
そんなことを口に出したりしないし、虚勢を張ったり、強
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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

4.4

土台が完成した映画の続編ってのは強いなあ、と思った。

ちひろとまひろをはじめ、その他のキャラクターたちも前作で完全に出来上がっていて、今作ではその色をさらに強めている。
このキャラならこうする、とい
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

4.3

気持ちのいいほどに全方面で振り切った映画だと思った。

女子高生の殺し屋という設定からして、まるでマンガかアニメの原作があるかのよう。
さらにちさととまひろをはじめ、各キャラクターが極端にキャラ立ちさ
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.1

これは、主演は岡田将生じゃなくて、子供たち三人だよな、と思った。

前半は計算高く完全犯罪で殺人を犯す東と子供たちの対決。
どこにも隙を見せない東が、容赦なく詰め寄る子供たちの前でボロを出していく様子
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ダーク・センス(2019年製作の映画)

4.4

とんでもない拾い物をしてしまった、という気分になった。

話はサイキック(超能力者)と連続殺人鬼の対決という、かなりぶっ飛んだものなんだけど、それがこれ以上ないくらい見事にエンタメとして料理されている
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52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

4.7

家族という呪いのなか、それでも生きようと藻掻く人たちの姿が終始、胸を打ってやまない。

物語は現代と過去の二つの話を並行して描いていく。
現代では母親に虐待されている少年が、過去では同じく母親から虐待
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コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

4.4

ガイ・リッチーのらしい部分と、らしくない部分が、見事に融合した戦争映画だと思った。

前半はアメリカ人のジョンとアフガニスタン人のアーメッドのバディが生き残りをかける脱出劇。後半はタリバンに追われ隠れ
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RUN/ラン(2020年製作の映画)

4.5

嫌な感じと怖さが満点の映画だった。

主人公は下半身麻痺で車椅子生活、母親がいなければ生活もできない。
その母親が自分を殺そうとしているのかもしれない、というのは恐怖でしかない。
しかも、家にはクロエ
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へんしんっ!(2020年製作の映画)

4.3

(音声ガイドと日本語字幕の付いた「オープン上映」のスタイルで観ました)

数えきれないほどの問題提起を内在した映画だった。

障害者が表現活動をするというのは、どういう意味を持つのか。
をテーマに映画
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

4.2

(原作未読の感想です)

細かいところまで気を配って丁寧に作られた映画だなあ、と感じた。

ヤクザが中学生に歌を教わる、というまるでコントみたいな内容で、実際、はじまってからしばらくはかなりコントじみ
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.2

約三時間、頭のなかでずっと「これはなんだ?」という思いが巡り続けているような映画だった。

「ヘレディタリー 継承」や「ミッドサマー」は普通の日常の中に少しずつ異常が紛れ込み、やがて浸食されていく映画
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.7

(すみません。かなり長いです)

とんでもなく苦しく、そしてやさしい映画だった。

藤沢さんはPMSのせいで、生理前になるとイライラを抑えられなくなる。
山添くんはパニック障害で電車に乗れないし、時々
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「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ(2024年製作の映画)

4.2

(原作未読、アニメは見てました派の感想です。内容には触れません)

鬼滅の刃の本来の姿ってこうだったのか、と度肝を抜かれた。

テレビアニメが映画並みの品質なのは知っていたけれど、すでに放送済みのシリ
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一月の声に歓びを刻め(2024年製作の映画)

4.5

違うタイプの凄味をひとつの映画のなかに三つ用意した、とても挑戦的な映画だった。

三人の主人公の話を描いているが、それぞれの話に繋がりはないので、群像劇というよりは、むしろ連作短編映画という感じに近い
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クラッシュ(1996年製作の映画)

4.1

100パーセント変態成分で作られているような映画だった。

登場する人物はみな、交通事故に興奮し欲情してしまう人たちばかり。
なので、映画の九割以上は、セックスシーンか交通事故シーンが占める。
ただ、
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

4.0

(原作未読、アニメは見ていた派の感想です)

漫画・アニメの実写化は、ある一定の方向に答えを見出したのかな、と感じる映画だった。

元となる作品がある場合、とかく再現性ばかりが注目されがちだ。
特に漫
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円の網(2017年製作の映画)

4.2

雰囲気で見せる、というのはこういう映画のことを言うんだろうなあと思った。

描かれるのは日常のなかのありふれた出来事で、台詞もとても少ない。
特に何でもないと言えば何でもないシーンの連続だ。
が、そこ
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パラレル 多次元世界(2018年製作の映画)

4.3

いやあ、面白いSF映画だった。

パラレルワールドに行かれる鏡を見つけた素人四人の話なのだが、そのノリが最初は完全に学生ノリ。
別の世界の自分の財布を盗み出し豪遊してみたり、札束を集めて爆発させてみた
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.3

とんでもなく奇妙な人間賛歌の映画だった。

話は思いきりざっくり言ってしまえば、寓話的に描かれた女フランケンシュタインの話といった感じ。
胎児の脳を移植された女性ベラが、様々な経験を通して、人間を知っ
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リアリティ(2023年製作の映画)

4.2

FBIが実際に捜査の際に録音したデータをテキスト起こしし、そのまま台詞として使ってみせた異色作。

現実の会話を使えばリアルだろうと思いがちだが、じつは現実の会話と映画とはそんなに相性が良くない。
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傷物語-こよみヴァンプ-(2024年製作の映画)

3.4

一気に観られる、ということ以外に何もメリットのない映画だと感じた。

基本的には元々の三部作をそのままつなげたような作り。
ただ、三部作自体、時系列順に並んでいるので、話としての違和感はない。
問題な
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