クレセントさんの映画レビュー・感想・評価

クレセント

クレセント

映画(202)
ドラマ(4)
アニメ(0)

不倫期限(2010年製作の映画)

4.2

なんか様子が変よ、そばで妻がそういった。夫はあることでピークに達していた。もう黙っていられない。話さなければならないんだと。妻の気持ちなどどうでもよかった。妻と目が合った。二人は小さくほほ笑んだ。そし>>続きを読む

コリーニ事件(2019年製作の映画)

4.8

今もこの車に?彼が外に出ると幼馴染の女性ヨハナが立っていた。久しぶりだった。挨拶が済むと彼女が言った。弁護士として成功した?彼はちょっと戸惑ったが言った。国選弁護人になった。そう。誰かの弁護をするの?>>続きを読む

パリの恋人たち(2018年製作の映画)

4.0

ママがパパを殺したんだ。ママが医者とネてるんだ。だって僕見たんだもん。あそこで。本当か?それを聞いてアベルは驚いた。医者の名前は?Pで始まる名前。そこへママが笑顔で入ってきた。会話は中断した。子供はマ>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.6

家福は高槻を疑っていた。思いつめて高槻は、家福に彼の妻である音について本音を吐いた。音さんは素敵な女性です。そんな素敵な女性と20年も一緒に暮らしたことを家福さんは感謝すべきです。でもどれだけ理解して>>続きを読む

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)

3.8

ドラマが終わり、テロップが流れた。「この水銀被害は克服したという2013年の首相発言は、今もなお苦しむ数万人もの被害者を否定するものである。」これだと思った。J.デップが嚙みついたのは。彼は人種や公害>>続きを読む

ペイルライダー(1985年製作の映画)

4.0

クリスチャンならだれでも知っている「ペイルライダー」をタイトルに持ってきた監督のイーストウッドはどうしようと思ったのだろうか。黙示録の4騎士の最後のペイルライダー。案の定、彼は青白い馬に跨って登場した>>続きを読む

荒野の七人(1960年製作の映画)

3.8

今、あの「七人の侍」を書いた橋本忍に狂っている私は、「荒野の七人」をどうしても見たかった。何をリメイクしたのかをはっきり見定めたかったのだ。特に最後に生き残ったのは誰だったのかを知りたかった。橋本忍ら>>続きを読む

飢餓海峡(1965年製作の映画)

4.3

飢餓海峡と砂の器は、長い間常に日本映画のベストテンに君臨する秀作である。飢餓のほうは1965年、砂は1974年だから約10年の開きがある。ともに戦後の暗い時代に起こった殺人事件を発端に、刑事たちが10>>続きを読む

野良犬(1949年製作の映画)

4.2

戦後まもなくに撮った黒澤明による初の犯罪サスペンス作品。最後まで犯人がわからない面白さがある。スタッフやキャストはいわゆる黒沢組と言って、脚本の菊島隆三、主演の三船敏郎は無論、志村喬、東野栄次郎や千秋>>続きを読む

OSLO / オスロ(2021年製作の映画)

4.8

あなた方は時代遅れの完璧主義者です。だから古く形式ばった融通の利かない方法でいつも悲観的な結果を招いているのです。ノルウェー人である主人公の男はイスラエルの外交官に詰め寄った。外交官が答えた。それがア>>続きを読む

パトリオット・ゲーム(1992年製作の映画)

4.0

この作品は作家トム・クランシーによるジャック・ライアンシリーズのひとつで、1992年に製作された。この映画の見どころはフィクションでありながら現実の米国の諜報活動の一端が観れるのである。今から30年も>>続きを読む

陸軍中野学校(1966年製作の映画)

4.2

昔、ニヒル(虚無)と言う言葉が流行った。半世紀も前の話だ。その頃大映映画に市川雷蔵という俳優がいた。彼は眠狂四郎などニヒルな二枚目役で人気を博した。日本人はどういうわけかニヒルな二枚目が好きで、その後>>続きを読む

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像(2018年製作の映画)

4.2

彼は老いた、しがない画商だった。彼の店にはガラクタの絵しか飾られてないと言われた。画商の才覚がなかったのかもしれない。しかし彼には絵を診る才覚がなかったわけではなかった。ただいつも気に入った絵を競り落>>続きを読む

ブルックリン(2015年製作の映画)

4.6

エイリッシュはちょっと行ってすぐ帰ってくると言った。実際それが本当の気持ちだった。姉の急死はショックだった。でもブルックリンを離れたくない気持ちも本当だった。特にトニーとは離れたくなかった。しかし故郷>>続きを読む

間違えられた男(1956年製作の映画)

3.8

ヒッチコックは何故この事件を映画化しようとしたのだろう? 彼はこの作品を通して米国の司法制度が粗暴であり、その危うさを告発したかったのだろうか。第一に目撃情報の不確かさ。これはS.ルメットの「12人の>>続きを読む

北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)

4.5

これぞヒッチコックの代表作なのである。一難去ってまた一難。主人公が最初から最後までこれほど災難に逢う映画も珍しいのではないか。だがそこにはいつもヒッチコックの優しい目があって、観客は難なく切り抜けるこ>>続きを読む

裏窓(1954年製作の映画)

4.3

これは何度見ても飽きない作品の一つ。脚本の面白さ。洒落た会話。そして何といってもG.ケリーの存在だろう。ヒッチコックの中でも「北北西に進路を取れ」と並んで、ソフィスティケイト&サスペンス作品として
>>続きを読む

二つの世界の男(1953年製作の映画)

4.2

この映画で監督のキャロル・リードは主役にJ.メイソンをもってきた。知っての通りJ.メイソンはどちらかと言えば悪役の顔であり、主役を張るような柄じゃない。ヒッチコックの北北西に進路を取れでは、見事な悪役>>続きを読む

或る殺人(1959年製作の映画)

4.0

公判は終わった。あとは審判を待つだけだ。それも12人の陪審員がね。主役の弁護士の相棒が独り言を言った。12人が一室に消える。12の違った考えと心。12通りの人生。12人分の目、耳、体格、体形。そしてこ>>続きを読む

モンタナの風に抱かれて(1998年製作の映画)

4.2

彼が案内した崖からの壮大なモンタナの景色を見下ろしながら彼女は言った。貴方のお母さまが羨ましいわ。本当よ。だってあのお年になれば迷いなんてないだろうし、下せない決断もない。それに過去の間違いや迷いも今>>続きを読む

汚名(1946年製作の映画)

4.0

ヒッチコックの白黒作品の中でもこれはピカいちと言われている。つまり観客はその先が読めなくて、結局なるほどうまい手を考えたものだと後から感心する脚本になっている。特に主人公が窮地を脱出する方法が素晴らし>>続きを読む

離愁(1973年製作の映画)

4.4

R. シュナイダーが好きなファンにとって、この作品は最高に美しくまた輝いている。彼女が若いころはA.ドロンとの恋愛沙汰で舞い上がっていたが、30を過ぎてからは落ち着いて気品さえ漂わせている。だからそん>>続きを読む

帰らざる夜明け(1971年製作の映画)

4.4

世界のどの国でもアカの他人が片田舎に入ると周りが緊張するものだ。日本でも”よそ者”と言って、みなじろじろと見たり障子の陰からそっと盗み見をする。中には子供たちを家に引っ込める者もいる。この映画もそうい>>続きを読む

ハンナ・アーレント(2012年製作の映画)

5.0

政治哲学の教授であるハンナは大勢の学生たちの前で話し始めた。これからアイヒマン裁判を傍聴し報告をしたことを話します。その法廷の関心事は正義を守ることのようでした。しかしこれは法典にはない罪でした。しか>>続きを読む

ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)

4.1

マーロウの差し出した紙幣につられて警察官は本当のことを話した。そうか。そうだったのか。騙されたことに気づいたマーロウはダチのテリーが住む家を探し出した。マーロウ、ついに見つけたか。テリーは悪びれずに迎>>続きを読む

さらば愛しき女よ(1975年製作の映画)

4.5

フィリップは銃を片手に大男のマロイとともに海上に停泊したカジノ船にむかった。すべてはマロイがフィリップの探偵事務所に女を探してほしいと依頼してきたことが発端だった。ふたりは船に乗り込むとカジノを経営す>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

4.8

住んでいた街や友人を一度に失うとそう簡単には立ち直れないんだ。私は何の助言もできないが、貴女が答えを探すには、ここは良い場所だよ。自然と契り人との絆を育むにはね。ものの見方が変わるよ。きっとね。そう言>>続きを読む

恋におちて(1984年製作の映画)

4.2

古い映画だが男女が恋におちる瞬間を丁寧に描いた作品なので改めて紹介したい。互いに家庭を持つ見知らぬ男女が同じ通勤列車に乗り合わせる。クリスマスイブの本屋での出会いが伏線にあった。車内での会話は他愛なく>>続きを読む

セルピコ(1973年製作の映画)

4.0

セルピコは警官たちの不正による警察の腐敗をひとりで正そうとした。そしてそのために仲間である警官たちから仲間はずれにされ、そしてやがては彼らの手で殺されることになる。しかし神のご加護は奇跡的に彼の命を取>>続きを読む

ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)

3.8

ルースは最終弁論で判事たちに向かって語り始めた。過激な社会変革ですって?100年前ブラッドウェル女史は弁護士を目指したのに拒否されたわ。性差別を国と争った最初の裁判だったわ。また65年前にはある女性が>>続きを読む

グリーンブック(2018年製作の映画)

4.8

運転手のトニーがNYに残した妻に手紙を書いていた。そこへ雇い主のドンが近づいて言った。そいつはいったい何だ!?手紙を書いている。切り張りの脅迫状か?そう皮肉ってドンは書きかけの手紙を取った。”Deer>>続きを読む

運び屋(2018年製作の映画)

4.3

どの役をやっても女にやさしいC.イーストウッド。いや女が大好きだ。この映画のように90になっても、女を見つけてはカントリーの曲に乗って上手にステップを踏む。つねに女をはべらかす。彼は性懲りもない浮気者>>続きを読む

コンテイジョン(2011年製作の映画)

4.0

今やだれでも知っている米国CDCの女性職員が突然と黒板に書き始めた。一人が病気に感染した場合、何人に二次感染させる恐れがあるのかです。例えば季節性のインフルエンザは約1人、痘瘡の場合は3人、そしてワク>>続きを読む

マレーナ(2000年製作の映画)

4.0

少年は若く美しい未亡人に恋をした。彼女のことは何でも知っていたかった。だからいつもこっそりと見つめていた。そして早く自分が一人前の男になることだけを夢見ていた。街の男たちはみな、彼女に妄想を抱いていた>>続きを読む

秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.4

悪かった。私がもっと早くその気になればよかったんだ。平山は娘の路子に謝った。長男の幸一が話をつづけた。三浦も路子は嫌いじゃなかったんだけど、もう決めた人がいるんだと言うんだ。それを聞いて平山は、私がも>>続きを読む

奇蹟がくれた数式(2015年製作の映画)

3.8

何故この定理が分かったのか?教授のハーディが聞いた。ただ閃いたのです。でも先生、何故証明するために時間を無駄にするのでしょうか。インドからはるばるイギリスに来た青年ラマヌジャンが真顔で聞き返した。君の>>続きを読む

>|