銃音、光を反射する車、女のために奮闘する男……。さすがマイケル・マン監督。あいかわらず前時代的でマッチョなロマンチズムをこれでもかと披露してくるのだけれど、それに毎度興奮してしまう自分も同じ穴の狢。>>続きを読む
リチャード・ジュエルは権威や法規範を重んじるが、アメリカ社会はリチャード・ジュエルに冤罪をなすりつけんとする。本作は「ナショナリズム」という叶わぬ片想いが覚めるまでを描いており、その意味においてビタ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
「君たちはどう生きるか」なんて偉そうに言うなよ、あんただって今そこにいる自分自身が耐え難くて、創ることでしかみずからを確認できないくせに。
疾走、うじゃうじゃと集まってくる動物たち、夢(海の底)>>続きを読む
なるほど、『許されざる者』の原形はすでにここにある。地獄から蘇るならず者。
西部劇の伝統を自覚的になぞった序盤は、監督駆け出し時代だからなのか、妙に弛緩していて正直少しかったるかったなと思わなくも>>続きを読む
『ジョーズ』の延長線にある夢溢れるパニック映画。アクションは定番ともいえる縦方向の重力ネタが多くてハラハラする。さらにそれらのシーンは「鳥への進化」、「科学技術の発達」というテーマによって回収されて、>>続きを読む
『ゴッドファーザー』『グッド・フェローズ』『アウトサイダー』などのギャング映画の変奏といえば、たしかにそのとおり。
しかし、舞台はブラジルのスラムであり、また映像や劇伴遣いはゼロ年代っぽい(デヴィ>>続きを読む
噂にたがわぬオフビートなコメディ。終始クスクス笑わせてもらえました。ロシア出身のモヒカングラサン男が8〜9人ズラリと並んでいる。だいいち、この光景がおもしろくないわけがないのだ。
しかし、その「>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
絵は写真のように記憶をただしく残すことには不向きだが、むしろ肉眼は幻想しか映せず、絵は幻想しか描けないからこそ尊いんじゃないか?
最後はマーニーと離ればなれになったのではなく、自分がマーニー(誰かの記>>続きを読む
数奇な出逢いの数々と、全員の表情豊かさ!「物理的にありえるけどありえない」が物語として成り立つのは、アニメならではのスラップスティックな表現のおかげだろう。絵でないと描けない現実世界のすばらしさがある>>続きを読む
なぜこのタイトルに「おもしろいけどどこか苦手」という意識があったのか、完結編たる本作でハッキリした。日々募りつづける想いを綴った言葉とシンフォニックな劇伴。このコンビネーションに落涙をこらえるなんて土>>続きを読む
どこまでも不器用だが輝かしい青春を過ごすガキンチョたち。ジョニーがとにかくイイヤツだった。
コッポラ=大作主義のイメージが強かったけれども、90分前後で収まる青春映画も撮れるのだな。
見る者はいつのまにか見られる者になり、やがてまた見る者に戻る。臙脂色と群青色のドレス、純白のベッド。
「アウシュヴィッツ以降、詩を書くことは野蛮である。」(テオドール・アドルノ)
鑑賞後にまず思い浮かんだ言葉はこれだ。むろん僕自身、本作を「理解」も「解釈」もできたとはとても思えない。しかし、眼前に戦争>>続きを読む
暴走タンクローリーが迫りくる90分間。間違っても「それだけ」とはいうまい。おもしろい映画にそもそも複雑な物語も、因果律も要らないのだと、人間と自動車と道路さえあれば一級の娯楽作品たりえるのだと、実しや>>続きを読む
湯水のごとく用いられるスローモーション演出、クソ強すぎるロゴや劇伴、蛇行するように進むブロマンス、かと思いきやダンスやアクションでひょいと鮮やかな物語の跳躍も見せてくれる。
良い意味でも悪い意味でも、>>続きを読む
ベトナム戦争が泥沼化する中、国家はその悲惨な戦況を隠蔽。しかし、米新聞社:ワシントンポストの活躍によって欺瞞は暴かれる――。
スピルバーグ監督の'97年作『プライベート・ライアン』は戦場のリアリズムを>>続きを読む
「最高におもしろくて最高につらい韓国映画なのでおすすめします!」
「哭声 コクソンだけに酷(こく)ってコト!?」
「………………。」
という友人からの推薦をキッカケに鑑賞にいたったわけだが、まことに驚>>続きを読む
『ショーシャンクの空に』『ミスト』は映画好きを名乗る方の約7割は観ており、終盤のカタルシスは掛け値無しのものだと熱く豪語する。もしくは、崇拝される風潮に反して「演出の技術水準でいえば大した映画じゃない>>続きを読む
気色悪い間の取り方、目・顔の強迫的クローズアップ、噛み合っているんだかいないんだかわからない会話。デヴィッド・リンチ監督作品は『イレイザーヘッド』しか観てこなかったのだが、管見の限りでは、黒沢清監督作>>続きを読む
甘美なタッチで撮られる戦地に咲く花々や浜辺、原住民の家族。線の細い雑草の群れ。時折フラッシュバックする故郷の情景――これがあるから死なんて怖くないという独白。銃弾がたえずぶっ飛んでくる物理的恐怖を、ノ>>続きを読む
まず、画面が真っ暗なまま劇判が流れ続ける導入部があんまりに長くてワロタ。大作主義ぶりもここまで徹底する!?
砂漠を映すという行為は本作の影響から逃れられない。たとえそれが映画でも、アニメでも、ドキュメ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
「最高傑作」「どうしようもなくつまらない」と、周囲では両極端に評価が分かれ、中庸な感想がないことからも明白なとおり、今回は作家性の心機一転を試みている。僕はその挑戦を高く買いたい。新海誠監督はセカイ系>>続きを読む
友人の勧めでいっしょにオンライン鑑賞。「メジャー系邦画」ということで鑑賞前が懸念があったものの、これが想像以上におもしろい。デヴィッド・フィンチャー監督『セブン』『ゾディアック』などの映像/音響演出を>>続きを読む
新海誠。『秒速5センチメートル』に纏わりつくそのねっとりとしたペシミスティックさ、ナイーヴさ、美麗な映像表現力がありながらも「言葉」を偏愛する演出傾向が、好きじゃなかった。しかし、第一印象に反して、作>>続きを読む
PTAの作品というよりかは、小説家:トマス・ピンチョンの入門として鑑賞。素っ頓狂なユーモア感覚溢れる描写/台詞回しと、仄かに橙色がかった夜景。物語中盤にあった雨の日の回想シーンが本作のハイライトか。衝>>続きを読む
鑑賞合計3回目・自宅鑑賞1回目。欠陥を挙げていけばキリがないのは御周知のとおりだけれども、それを補うだけの魅力はあるようにおもえる。やはり僕は本作を支持したい。
すずちゃん・ヒロちゃんの表情豊かさや、>>続きを読む
現代社会の諸問題をユーモラスに剔抉してみせる、欧米リベラリズム/ウォーク・カルチャー的視座。30代中盤女性という、境界的な年齢におかれているがゆえに募ってゆく焦燥感。「子供」という、産む前も後もアンコ>>続きを読む
あまたの海外アーティストが賞賛しているおかげで、経年劣化してゆくどころかむしろ年々ヒップさを増してゆく、クール・ジャパンの一大アイコン。後追い世代である僕がわざわざ指摘するべき箇所なぞ残っていなかろう>>続きを読む
動物ファミリー映画のハズなのに、井戸への落下、大火事、パンクスなどが入り乱れる破天荒な映像。マッドマックスみはやはり隠蔽しきれていない!前作同様、根底にある人生哲学(否、豚生哲学?)はマッチョだなとも>>続きを読む
「クレイアニメ」という外部から、アクション~ホラー~怪獣映画などの娯楽映画史を逆照射する、さながら幕の内弁当的大盤振る舞い。
同郷の『パディントン』と並んで、老若男女を唸らせるファミリー映画のマスター>>続きを読む
小学生のころ以来に再見。NHK育ちの皆々様はおそらく覚えていらっしゃるのでは。
クレイアニメの制作技術については疎いのだけれども、コマ撮り手法でここまでの身体表現を表現しているのに心底慄いた。「宙吊り>>続きを読む