鹿山さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

21ブリッジ(2019年製作の映画)

3.7

マイケル・マンを彷彿とさせるルックが多用されるな…とおもったら、やはり影響を公言しているし、さらには撮影監督も繋がりのある人選で驚いた。
(出典:https://theriver.jp/21-brid
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ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)

4.3

スパイク・リー監督の18年作『ブラック・クランズマン』と比べてしまうと、流石に時代を感じるカメラワーク&編集。しかし哀しい哉、誰もが声を揃える通り、題材のアクチュアリティは何一つ錆び付いちゃいない。>>続きを読む

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

3.9

スパイク・リー初鑑賞。浅学とはいえヒップホップヘッズの端くれだもの、当然彼の名前は知っていたさ。でも…だからこそ、彼の扱う深刻な題材を直視するのが怖くて今日まで再生できなかったんだ。

予想よりも「面
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ゆれる(2006年製作の映画)

3.9

車へとカメラを向けると否応なく画面が粋に引き締まってしまう。作中序盤・終盤に設けられた乗車シーンと、人々が葛藤とディスコミュニケーションの間で<ゆれる>中盤のコントラストが堪らない。

銀座化粧(1951年製作の映画)

4.0

成瀬巳喜男監督の映画をこの1ヶ月で5作品鑑賞したのだが、どれも珠玉の出来で恐れ入る。
働く女性に対する厳しくも優しい眼差し。

アメイジング・スパイダーマン(2012年製作の映画)

3.4

スパイダーマン・ファンには恐縮だが、僕はあんまりノれなかったかな。サム・ライミ版の毒々しい演出力とMCU版(まだNWHしか観てないが…)の脚本の妙はそこになく、暗い色彩とダイナミズムに欠けるスイングア>>続きを読む

スパイダーマン3(2007年製作の映画)

3.6

なかなかに妙ちきりんな一作。ニューゴブリン、サンドマン、ヴェノムという新キャラクターの登場、MJ(出演:キルスティン・ダンスト)との痴話喧嘩、ハリーとの因縁。シリーズ終結のためとはいえ、こうも歪でブラ>>続きを読む

リトル・フォレスト 冬・春(2015年製作の映画)

3.6

ヒューマンドラマの側面が強調され、自然の風景を広々と捉えるカメラワークは控えめに。前作『夏/秋』の方が断然好みだが、これはこれで悪くはない続編。

リトル・フォレスト 夏・秋(2014年製作の映画)

3.8

「これは映画じゃない。」───
そう口にすると、権威主義的なマニアの嫌味に聞こえるだろうか。いやいや、本作に向けられるそれは最高の賞賛だ。

多用されるモノローグとポストロック/アンビエント調のふんわ
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象は静かに座っている(2018年製作の映画)

4.6

タル・ベーラ監督に師事していたフー・ボー監督による最初で最後の長編映画作品……ということで、本作の存在を知った頃──1年程前──から覚悟はしていたものの、いざ眼前にしてみるとその規格外のクオリティに圧>>続きを読む

スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

4.3

いままで「(元)アニメファン」「オタク」を自称しつつも本作を観てこなかったことを神に懺悔するレベルの、「アニメ」という表現媒体の上限を大幅に更新してしまう程のメルクマール。

噂には聞いてはいたが、予
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海獣の子供(2018年製作の映画)

4.5

「新しいぶどう酒は新しい革袋に」とかつてイエスは説いたと云われているが、アニメという比較的若い芸術表現においては中身に何を注ぐかに関わらず、革袋の方に精緻な工夫が施されていれば、新鮮なスペクタクルが生>>続きを読む

スパイダーマン2(2004年製作の映画)

4.0

さらに洗練されたアクション&スプラッター描写の迫力と、さらにナード野郎に手厳しいユーモアの皮肉っぷりと、さらに奔放に振る舞うMJへの怒りでするりと観れる一本。
背後から自動車がブッ飛んでくるシーンの恐
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時をかける少女(2006年製作の映画)

3.9

たぶん9〜10年振りくらいの再見。小中学生時代にTV放送版を録画したものを擦り切れるほど観返していた記憶があります。こんなに「走る」映画だったっけ。

噂には聞いていたが、細田守の最新作『竜とそばかす
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魔女見習いをさがして(2020年製作の映画)

4.0

「『おジャ魔女どれみ』ファン3人によるロードムービー」という変則的なスピンオフとして描かれる本作は、スクリーンに向かう全員を″当事者″として巻き込みながらも暖かく抱擁してみせる。
シリーズのあらゆる要
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絞殺(1979年製作の映画)

3.9

「家父長制の終焉を直接的に表現した悲劇」と端的に述べてしまうと「あぁ、この年代の強迫観念的なトピックね」と読者は納得した気分になるだろうが、家庭内暴力・破壊行為から殺人に雪崩れ込んでいく負のカタルシス>>続きを読む

サイダーのように言葉が湧き上がる(2020年製作の映画)

4.2

2021年アニメ映画シーンにおいて、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』『竜とそばかすの姫』などの大作と渡り合えるポテンシャルを備えた真打ちであると、『劇場版 >>続きを読む

少年(1969年製作の映画)

4.0

大島渚監督の作品を鑑賞するのは3度目になるが、ようやくストレートに面白がれる作品に巡り会えた。
事件の当事者として葛藤する少年が物語の中心に置かれているからか、静かな混沌に満ちた『儀式』『戦場のメリー
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プリズナーズ(2013年製作の映画)

4.3

吹替版で再見。その饒舌さに唸ると同時に、11ヶ月前の僕はここでこんな駄文を垂れ流していたのか……と若干呆れ気味。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の下に結集した鉄壁の布陣(俳優・撮影・劇伴・編集すべて!)によ
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音楽(2019年製作の映画)

3.7

オフビートなユーモアと露骨なパロディーネタ満載で、若干白けつつも何だか憎めなくて許せてしまう世界観。音楽やバンドを「日常風景」として描こうとするも、最終的には「特別」になってしまう。そのクサさをオーガ>>続きを読む

アルカトラズからの脱出(1979年製作の映画)

3.6

「好きな俳優の適度に軽い映画観たいな」なんて想いで触れてみたら、まさに気分とピッタリマッチする映画でニッコリ。物騒になったショーシャンク。
脱獄映画ということはアクションor人情ドラマ……と予想してい
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.6

『勝手にしやがれ』の自動車遣いやメタ台詞、『女は女である』のミュージカル要素や色彩による二項対立、『軽蔑』の鮮やかな原色遣いや監督の自己憐憫など、これまでのフィルモグラフィーで培ってきた表現方法を総動>>続きを読む

めし(1951年製作の映画)

4.1

成瀬巳喜男監督作品は初見。役者や題材の近さからやはり小津安二郎との比較は避けられない存在であるけれど、僕はこちらの方が好みかも。

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

3.7

男性性の自縄自縛という題材を西部劇のフォーマットで描いてみせた社会的意義は問うべくもないし、それを象徴するベネディクト・カンバーバッチとコディ・スミット=マクフィーの憂いある表情や、彼等がコインの表裏>>続きを読む

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

4.0

ドラマでも映画でもなく、「Netflix映画」。
ストリーミング配信作品ならではのジャンルをぐるぐる変貌させていくハイテンポな演出と話運びに、後半からは震えっぱなし!
劇場で観ちゃうとサムいであろう下
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ボーン・アイデンティティー(2002年製作の映画)

3.5

昔友達と一緒に観た映画を再見する編Pt.2。
スパイ映画に擬態したロードムービー。不穏な冒頭からヒッチハイクに繋がっていく流れには興奮したけれども、中盤以降はジャンルの狭間に落っこちてしまったような煮
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コラテラル(2004年製作の映画)

4.3

映画に興味無かった頃に、友人(ミリオタ)に勧められて一緒に観た経験のある思い出深い一作……なのだけども、「ジェイミー・フォックス」「マイケル・マン」という固有名詞をここ1年で覚え、再見への機運がグング>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

4.0

是枝監督作品初鑑賞。「評判通りならば問題提起が前景化した″しんどい″作品だろう」と危惧していたが、ある種の堅苦しさからは解き放たれた散文的リズムの下で、人間の生活動作の機敏にひたすらフォーカスするスタ>>続きを読む

コンテイジョン(2011年製作の映画)

3.8

公開当初はまずまずの評価であったものの、「ウイルスの蔓延と陰謀論」という題材がアクチュアリティを得たために再評価が進んでいる一作。しかし、僕は時事ネタよりかは、「ソダーバーグ監督が一部のみから絶賛され>>続きを読む

我が家の楽園(1938年製作の映画)

4.0

やはりフランク・キャプラ。映画『素晴らしき哉、人生!』『或る夜の出来事』に通じるドタバタ家族劇&人間讃歌。彼の作品鑑賞も3回目にもなると段々マンネリ化してくるが、それと同時に、あらゆる演出能力が無邪気>>続きを読む

地獄の警備員(1992年製作の映画)

3.7

「地獄の警備員って何だよ笑」なんて態度で眺めていたら、マジモンの「地獄の警備員」で戦慄した。
黒沢清らしい題材(ディスコミュニケーション)やヨーロッパ映画的な直線的構図をふんだんに扱っており、当時から
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