いわもとさんの映画レビュー・感想・評価

いわもと

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ミッシング(2024年製作の映画)

4.0

『純喫茶磯辺』(2008年)や『さんかく』(2010年)などひねりと毒のあるコメディを撮っている頃から吉田恵輔監督が好きで、『ヒメアノ~ル』(2016年)、『空白』(2021年)とヘヴィで唯一無二な作>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.0

かつて好きだった人を思い出すのは人生がうまくいっていない時では?
でも、つらい時に思い出すということはそれだけ特別な人ということかもしれませんね。

ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソン。
お互
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

終盤、主人公・巧が車を運転し、グランピング場建設の担当者・高橋と薫が同乗しているシーンで
「グランピング場ができたらそこにいた鹿はどこに行ったらいい」
と言う巧に高橋が
「それはどこか別の場所に...
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異人たち(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

数々の名作テレビドラマの脚本を手がけた山田太一さんの小説「異人たちとの夏」は、お盆の時期に中年の脚本家が少年時代に亡くなった両親と再会する物語。
亡くなった時の年齢、姿の両親があの頃のままに、自分たち
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

壊れかけているカップルって痛々しいですね。
いっそ壊れて(別れて)しまえば、また別々の人生があるのに、愛情が残っていたり、修復できるのではと希望を抱くもかなわず、互いに不満がたまっていく。

人里離れ
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

初めてアキ・カウリスマキ監督の映画を見たのは1990年で『真夜中の虹』でした。
運に見放されたような中年の男女が出会い(タイトルのような)おぼろげな希望を見出そうとする物語。
登場人物たちは無口でぶっ
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

恋愛関係ではない男女のつながりを描いた映画が好きです。
恋愛感情があれば相手の役に立ちたいと思うのは当然ですが、恋愛感情がないなら何を動機とするか、どれくらいの距離感で描くかはラブストーリーより難易度
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シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ミュンヒハウゼン症候群という精神疾患を知っていますか?
周囲の関心や同情を引くために病気を装ったり、自らの体を傷付けたりする人たちのことなんですが、詐病と違うのは本当に自傷行為をすること。
中には自分
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.0

映画は現在のアメリカ・オレゴン州の川原で、犬がしきりに地中の物を気にするので、飼い主の女性が掘ると2つのガイコツが寄り添うように埋まっていることから始まります。
まるでケリー・ライカート監督(女性)が
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別れる決心(2022年製作の映画)

4.5

今年見た映画で一番好きですね。
私はふだん、映画を見て現実を忘れようなんて思っていなくて、むしろ今の世界を知るために映画を見ているつもりです。
今年だとLGBTQや経済格差(貧困)や戦争をモチーフにし
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

説明の少ない映画が好きです。
その方が「この人、何考えてるんだろう?」とか「今、何がおこってるんだろう?」って前のめりになれるから。

本作はまさにそんな感じで、ジャンヌが料理を作ったり、息子と一緒に
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正欲(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

キャストの表情や目がとても印象的でした。
新垣結衣さんの死んだ目が、佐々木(磯村勇斗さん)との再会から徐々に光が宿っていく感じとか。
一方の稲垣吾郎さんの黒目がちなところを活かした、大事なことが何も見
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