津軽系こけしさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

彼がお好みの娯楽/彼の好みの気晴らし(1914年製作の映画)

3.5

扉のあるとこ笑あり


顔を拭きたい人にインクの染みた布を渡すという、現代バラエティでもたまに見るコメディが見れた(というか、もしやこれが最初?)。あとはいつも通り喧嘩喜劇を転々と繰り広げて、他人の家
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サスペリア(1977年製作の映画)

3.6

音響と照明の快速特急


70年代のイタリア映画、ダリオアルジェント監督による魔女3部作の1品目。キャッチーなテーマソングと、赤を基調にした目眩く照明演出。消灯したのにいきなり真っ赤になるシーンはさす
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タンゴのもつれ(1914年製作の映画)

3.4

アイデンティティの消失


放浪紳士誕生以後、初めてチャップリンがお決まり扮装以外の姿をスクリーンに映した作品。いつものちょび髭がないと安心しないのは、もはや洗脳の類である。

話の内容はライバル2人
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ベン・ハー(1959年製作の映画)

4.2

洗濯機


うちのばあちゃんのオールタイムベスト
50年代の幕引きを飾る前代未聞の大長編スペクタクル。チャールトンヘストンが失墜の男ベンハーを良演、その誠実な眼光は半世紀向こう側でもつぶさに語り継がれ
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レインマン(1988年製作の映画)

4.1

さまよう愛情


父の死を皮切りに兄の存在を初めて知ったチャーリーが、兄と2人で先行き曇る7日間の旅へ踏み込む。コメディじみたボケとツッコミの応酬から、後半は兄弟のつながりへとシフトしてゆく。感性の隙
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ディープ・ブルー(1999年製作の映画)

3.9

やっべ、カエルの遺伝子混ぜちゃった


内側もステンレスにしとけや
浸水する水中研究所にて錯綜する人間とサメの攻防。浸水脱出アクションの真っ只中に、時折顔を出すサメが良い味出してる。しかしあくまでサメ
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チャップリンの活動狂(1914年製作の映画)

4.1

映画スターに恋をする


女優に目がないチャップリンが、映画スタジオに赴いて暴虐無尽の限りを尽くすコメディ。実際の撮影現場でも口うるさいらしいチャップリン、この映画は彼のそういう一面を風刺しているよう
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ルイスと未来泥棒(2007年製作の映画)

4.5

遊びのたまて箱


子供に見せたい映画シリーズがまた増えてしまった。
ディズニー提供のタイムトラベル映画。徹底したアイデアの暴走は、未来の可能性という今作のテーマを視覚的にも彩っている。泡の交通手段と
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夕立(1914年製作の映画)

4.1

傘を巡って珍道中


チャップリンの初出演作「成功争い」のようなライバル関係が軸のコメディ。敵対という両者の敵意が成立する関係は、裏を返せばずっこけコンビ的なニュアンスを醸し出す可能性を秘めている。漫
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泥棒を捕まえる人(1914年製作の映画)

3.5

やっべ、アホな殺し屋だ


キーストン社時代の醍醐味たる脇役チャップリンである。衣装も違ってはいるが頓珍漢な寸法は、映画の神が逃さないのだろう。脇役なのにその存在感はうるさいのなんの。

メーベルの窮境(1914年製作の映画)

3.8

チャーリー


公開は「ヴェニスの子供自動車レース」が先であるが、実は撮影順から見ると放浪紳士の確立はこちらが先である。女性がベッドの下に隠れることで、バレるバレないコメディの構造が生まれる。そこを皮
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成功争ひ(生活法)(1914年製作の映画)

4.5

転倒芸の王子


チャップリンの映画デビューを飾る作品。
一休さんも顔負けの機転の良さでピエロを謳歌し、人を巻き込んで喜劇を展開してゆく。歴史的資料として視聴するつもりが、普通に面白いので笑いながら見
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ヴェニスの子供自動車競走(1914年製作の映画)

4.3

その男、映りたがりにつき


チャップリンがお決まりの扮装を初めて披露したとされる作品。子供自動車レースを撮影するカメラマンが、映りたがりのチャップリンに翻弄されるという内容。レースを眺める観衆の中に
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國民の創生(1915年製作の映画)

4.0

野蛮人種をぶちのめす


最高の技術と最低の思想
世界最初の長編映画にして、現在の映画作法を画期的に確立した始祖映画。映画の父、D・W・グリフィスの最も野心的で、技術美に満ちた作品である。2021年に
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タイム・トゥ・ラン(2015年製作の映画)

4.0

パパである


王道たる伏線回収美。刑事、カジノ、味方の三つ巴に、バス内のサスペンスもまあまあな味わい。ストックホルム症候群も活かしてて、バスジャックドラマとしてそれなりの完成度。

父、デニーロ&ジ
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ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.3

あの熱狂が蘇る


金曜ロードショーにて
公開当時観に行きました。クイーンの楽曲に合わせたカタルシスは、もはや音楽ライブの感動そのもの。劇場空間にて、世界的ロックスターの音楽が息を吹き返す。その奇跡の
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鍵泥棒のメソッド(2012年製作の映画)

4.4

人生は茶番劇


やれー!!近藤!!!
中年落ちぶれ役者と、プロ殺し屋が、ファンタジー的記憶喪失でお互いの人生を取り違えるという、アイデア勝ちの入れ替わりムービー。初めての監督だけど、キャラクター描写
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スコーピオン・キング(2002年製作の映画)

3.6

筋肉王子の毛量全盛期


キャー!!ロック様の上腕二頭筋よー!
頭空っぽの筋肉安売り映画である。ジャケットから駄々漏れの薄っぺらさ、ご都合主義に全振りしたステータス、主演ドウェインジョンソン…あぴゃ〜
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夢売るふたり(2012年製作の映画)

4.1

男は男である


暴走気味の西川ワールド。辛気臭い夫婦の関係を、情景のように切り取る。倫理と人間性の絶妙なバランスは相変わらずのお家芸である。しかしながら、今作に限っては演出の粗を否めない。

なによ
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カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.3

日暮、カメラ止めないってよ


カメラの外側にジャンプするエンターテインメント。導入30分はチープなゾンビ映画にはじまるのだが、それからの大どんでん返しに圧巻。さらにさらに、導入30分を経たからこそ楽
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クルエラ(2021年製作の映画)

4.8

主役に躍り出る


制約破りを謳歌するクルエラの姿勢は、70年代のパンクムーブメントそのものを、豪華絢爛に体現しているようである。クルエラの織りなすゲリラパフォーマンスは、自己表現そのものを暴力的カタ
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桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)

5.0

共感しない瞬間がない


学校という空間の残酷な構図を、幾人かの登場人物から群像劇的に形作る青春映画(ならぬ、スクールカーストムービー)。人間性幼い青年期に、子供たちは1つの空間へ見境なく集められる。
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透明人間(2019年製作の映画)

4.6

復讐は進化する


味を占めたなリーワネル。
大方は、怪物と主人公の駆け引きを楽しむ古典サスペンスの系譜に則っている。しかし一方で、現代ホラーとしてもかっちり出来上がってる。電子重低音や現代モダンな雰
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大列車強盗(1903年製作の映画)

4.0

ドンパチアメリカ


世界最初の西部劇映画。もはや映画のおもしろさ云々の前に、歴史的資料として底抜けて貴重である。ウィンチェスター銃でドンパチ合戦とは、アメリカの映画史の切り口に恥じない暴力ぶりである
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不滅の女(1963年製作の映画)

3.8

怪女、毒恋


恋した女が突然いなくなっちゃってやべえって話。男も男で病んでて、現実と妄想の境目で溺れている。男はどんどん病んでいくのだけれど、かといって女は見つからない。孤独と片想いをこじらせて、病
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月世界旅行(1902年製作の映画)

4.0

手品的映像美学、芸術もある


リュミエール兄弟によって映像という分野が生み出されて以降、最も革新的に映像作品の枠組みを形成した作品。

びっくりどっきり的な編集表現には、監督の手品師の経歴が生きてい
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メン・イン・ブラック2(2002年製作の映画)

4.1

失恋だらけだバカヤロー


前作は観たのは何年前だったか、メンインブラックの続編。気味の悪いSFワールドを、フランクに立ち回るびっくり箱的な映画。ウィルスミスと作品の合致ぶりは言うまでもない

「MI
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オーシャンズ12(2004年製作の映画)

3.9

泥棒やめちまえ


チームモノ続編の難しさがひしひしと沁みる映画でした。伏線回収がスマートな前作と比べると、辻褄の合わなさ分かりづらさがてんこ盛り。キャラも多いのごちゃごちゃ感もひっきりなしで、種明か
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西の魔女が死んだ(2008年製作の映画)

3.8

思い出の中のその魔女は、
いつも説教がましかった。


菜園の空間としての美学。生い茂る木々の合間で、静々と佇む木造建築。花々や作物に囲まれた華やかな風貌は、ストレスで固まりきった心をじんわり温めてく
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パーティで女の子に話しかけるには(2017年製作の映画)

4.5

繁栄の意義


面白いんだけど、切り口のクセじゃ
タイトル詐欺&予告詐欺フル稼働のはちゃめちゃ映画、家系主義の風刺とそれに対立する自由性の開花をへんちくりんに語る。ふざけているけど、人の繁栄論の核心に
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レゴバットマン ザ・ムービー(2017年製作の映画)

4.6

思い出と遊びのアッセンブル


長ったらしい文章を読みたくないみなさま、ひとことだけ聞いてください。この映画、マジで面白いです。迷う暇があるなら今すぐ観てきなさい

ジョーカーがバットマンに強敵と認め
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ディア・ドクター(2009年製作の映画)

4.7

わかってる


西川監督の作品は毎度毎度心を撫でるように去ってゆくからズルい。感情がひっきりなしに掻き混ぜられても、最後にはささやかな温もりを添えてくる。いやらしい優等生である。

救いたいの意識だけ
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SING/シング(2016年製作の映画)

4.6

パフォーマンス


特注のアメリカンドリームムービー、ユニバ産映画ぶっちぎりの面白さ。内気な現代女子、主婦、ロックなど、キャラクターの多様ぶりと魅せ方がすこぶるスマート。

クライマックスのカタルシス
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カリフォルニア・ダウン(2015年製作の映画)

3.6

もう家族持たない方が安全なんじゃないか


ドウェインジョンソンと彼の家族が奔走するディザスターヒューマンドラマ。CGがぱない、ハリウッド産ともなると津波や倒壊の迫力ぶりは一級である。大雑把な物量主義
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3-4x10月(1990年製作の映画)

4.3

忍・耐


「その男、凶暴につき」に次ぐ北野映画2作目。比較すると武のコメディ色がこちらは分かりやすく強まっている。沖縄へと赴くプロットの「ソナチネ」風味も興味深い。コメディ性の出色や、来作品との類似
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5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)

4.3

フロラの夏


自身の癌を疑うクレオが、占い師に死を告げられた後、病院へ検査の結果を聞きに行くまでの5時から7時をお上品に描き出す。パリの街をぶらぶら巡るクレオを綿々と眺めるのみの内容、雑談に花を咲か
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