津軽系こけしさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

モンスター(2003年製作の映画)

4.3

ただ、愛したかっただけなのに


【役者の底力】

シャーリーズセロンが、大幅な体重増加などの過酷な役作りに挑んだサイコ映画。実在した女性連続殺人鬼アイリーン・ウォーノスの激動の半生を映します。

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search/サーチ(2018年製作の映画)

4.3

娘を見つける。この電子世界で


【アイデアの勝利】

まさか泣かされるとは思わなかった。

全編がPC画面の捜索型サスペンス劇。ネットサーフィンさながらに、snsからGoogleからとサーチしてゆく
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ザ・マジックアワー(2008年製作の映画)

4.2

マフィアを騙して味が出た


【三谷幸喜初鑑賞】

実は初鑑賞の三谷作品。
殺し屋の役を演じる佐藤浩市は、マフィアに本物の殺し屋と勘違いされて雇われてしまう。「知らなすぎた男」のような、騙されてる男が
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ドラキュラZERO(2014年製作の映画)

4.0

新解釈ドラキュラ


【映画が厨二病でなぜ悪い】

ブラムストーカー原作発ドラキュラ伯爵の新解釈誕生談。吸血鬼といえば怪奇映画の歴史においていくつもの名作を輩出した特級ブランドであるが、そういうものか
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若おかみは小学生!(2018年製作の映画)

4.2

おもてなしとロリの日本


【日本的おもてなしイズム】

両親を事故でなくしたオッコが、旅館の若女将として成長してゆく姿をハートフルに描いたアニメ映画。特に起伏のない作品だから中盤までは退屈していたけ
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フリー・ガイ(2021年製作の映画)

4.1

メタの奇術師レイノルズ


【グランドセフトオート】

変わらぬ日々にあったガイがプレイヤーたちを一網打尽にして自由を勝ち取るところは、ライアンレイノルズ自身のキャリアとも重なっているようだ。

「”
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ボス・ベイビー(2017年製作の映画)

4.2

愛は冒険だ


【原作からは逸脱】

著マーラフレイジーの絵本「赤ちゃん社長がやってきた」が原作。こちらの絵本は子育てに苦労する親の目線から、わがままな赤ん坊を会社の社長に見立てるシニカルな寓話。それ
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ブライトバーン/恐怖の拡散者(2019年製作の映画)

1.1

プロパガンダホラー


【この映画には文句がある】

レビュー書き殴ってから知ったが、アメリカ住の中国人へ向けたステルスマーケティングとしての見方もあるらしい。なんだかすっごい腹立たしいぞ

あらすじ
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GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)

4.8

生命はどこか


【この作品は永遠である】

荒廃した未来像と、電子の奥底で燻る魂への哲学、あまりに鋭い世界観は到底90年代の作品とは思えない。令和に生きる若人が、この作品が語る未来のビジョンにいとも
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ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)

4.0

ウィーアーノーバディ


【人生はギャルゲー】

かねてより友人から折り紙付きで太鼓判を押されていた「ミスターノーバディ」。ちなみにボブ・オデンカークが無双する方ではない。

悪夢的情報量は「2001
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LEGO(R) ムービー(2014年製作の映画)

4.4

この想像力を積み重ねて


【レゴブロックを義務化しよう】

スターウォーズ、ロードオブザリング、DCコミックスといろんなコンテンツがくしゃくしゃになった今作だが、まさにそのコラボ的な試みは”組み合わ
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文化生活一週間/キートンのマイホーム(1920年製作の映画)

4.7

回転式我が家


【キートンにかかれば家も回る】

人生初となるバスターキートン作品の鑑賞記録をレビューする試みだよ。

“偉大なる無表情”といわれるように、彼のコメディには基本的に表情がなく、ぶっき
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サムライ(1967年製作の映画)

3.9

狼に言葉はいらない


【フランスと日本は映画マブダチ】

ゴダールやトリュフォーらのヌーベルバーグの影響が間違いなくあり、芸術性の高い印象を受ける。受難に苦しむ罪人と、それを見守る女という構図には、
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バタリアン(1985年製作の映画)

4.7

まじかよ、これ実話かよ


【ゾンビが喋ってなぜ悪い】

ダンオバノン監督による80年代ゾンビ映画。ダンオバノンといえば初代「エイリアン」の脚本を務めた方で、やはりモンスター×密室による緊迫感はとても
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残菊物語(1939年製作の映画)

4.4

この愛が叶うならば


【失われた作品たち】

戦前の日本映画というと、失われたフィルムは数知れず、今なお研究者たちはそれを見つけ出すため奮闘の真っ只中である。その中でこの残菊物語が現存していること、
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スリ(掏摸)(1959年製作の映画)

3.6

罪人はどこへ行く。


【これは信頼できない】

ロベールブレッソン作品初鑑賞。写真作家としての印象はあったが、此度にて映画人としてのブレッソンに初対面する試みである。
本作において、登場人物は必要最
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ナイスガイズ!(2016年製作の映画)

4.1

汚いリーサル・ウェポン


【70年代だこのやろう】

70年代という時代設定でこの内容はちょっといろいろ思わせぶりである。70年代といえば、ポルノ映画界隈ではXXXレートによる大幅な規制緩和があって
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ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

4.6

孤独な夜に、また会おう。


【たかが、タクシーではないか】

たかがタクシーの中におけるドライバーと客との会話劇でしかない話に、「ナイトオンザプラネット(地球の夜)」というおおよそスケール縮尺を間違
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機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2021年製作の映画)

4.5

震えた


【瞬きを許すな】

途方もないガンダムオタクの友人から借りたブルーレイを視聴。

ディティールの手腕、1秒たりとも逃せない気の利いた心理描写の応酬に苛まれ、感性の逃げ場を完全に無くした。こ
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スペル(2009年製作の映画)

3.7

えぇ…(困惑)


【理不尽で笑い】

とてもとてもよく分からない映画を目撃した。真剣にやっているのか、あえてふざけているのかよく分からない作風だ。ライミが監督というところも余計困惑である。

言って
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俺たちに明日はない(1967年製作の映画)

4.1

そして、アメリカ映画の明日になった


【映画には暴力が必要だ】

映画草創期では長い間、映画の暴力性や反倫理性に懐疑的な声が上がっていた。アメリカ映画の暴力の歴史は、DWグリフィスの「國民の創生」に
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コララインとボタンの魔女(2009年製作の映画)

4.6

退屈な世界に花を添えよう


【ヘンリーセリックはボタンの夢を観る】

「ナイトメアビフォアクリスマス」をはじめ、近代ストップモーションアニメの先駆者たるヘンリーセリック氏が手がける3D長編作品。そし
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ジーパーズ・クリーパーズ(2001年製作の映画)

3.4

坊やの体を食べちゃうぞ


コッポラの後ろ盾

【ロールバック】
今作は不思議な作品だ。導入は、帰郷のため軽快に車を走らせる姉弟が、突如得体の知れないトラックに襲われる。その折のトラックの不気味さは、
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シャザム!(2019年製作の映画)

4.1

アメリカ文化像バンザイ


【痛快!古典派現代ヒーロー】
古典的ともいえる設定の枠と、ヒーローへの成長劇が痛快。それをアメリカの養子イズム…まあ平たく言ってしまえば家族イズムに帰結させた上で、友情・勝
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処刑人(1999年製作の映画)

4.3

狂犬の法


我らは審判者なり

【ひょうきんこそアメリカ映画の渋さ】
タランティーノ作品とガイリッチー作品を足して2で割ったような作風。90年代アメリカ映画特有のひょうきんな言葉付きと、イケてる狂人
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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.2

壮大で可愛らしい映像叙事詩


【突発的な企画始動】
交通事故で亡くなった男がなんとも愛らしいゴーストとなって妻の待つ家へと帰るという、さもパトリックスウェイジでも出てきそうなあらすじの今作は実のとこ
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山椒大夫(1954年製作の映画)

4.5

善の怨念


【溝口健二監督作品初観賞】
ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を授かり、日本映画黄金期の無類ぶりを象徴する作品(と言われているらしい)。
最近ようやく50年代日本映画に手を出した私からする
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エスター(2009年製作の映画)

4.7

狭間の悪魔


【実は初見じゃない】
友達に痛恨のネタバレを食らった作品。私の好きな要素がふんだんに盛り込まれているだけに、この感動を初見で味わえないことが心底腹立たしい。この悔しさと共に、今作を氷下
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インスタント沼(2009年製作の映画)

4.1

無駄に洗練された無駄のない無駄な映画


【あらすじ】
いい感じにしょうもない映画。
ーー河童を探しに行った母がなにやら手紙を残していたよう。その手紙によるとどうやら私には本当の父親がいるらしい。河童
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ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)

4.0

医療系のリング


【あらすじ】
出所不明の死体を解剖してゆく親子が、死体の謎に迫るごとにホラーの応酬に苛まれる密室ホラー映画。

【グロいけどグロくない】
死体の謎に迫るシーンは、リアルな解剖シーン
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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

4.9

高尚であればいいってもんじゃねえ


汚いガーディアンズ
前作の悪いところを添削し尽くしたような続編。ちょっと題材が題材だから、これを続編と名打つのはズルい気もしなくもないが、我が落涙に免じて許してや
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或る夜の出来事(1934年製作の映画)

4.5

愛こそ


あらゆるもののはじまり
映画史で最も功績を残した作品として今なお有識者たちの議論を絶やさない。

スクリューボールコメディの定義化はもちろん、コロンビアピクチャーズを大成し、トーキー映画の
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アンナと過ごした4日間(2008年製作の映画)

3.8

あのささやきを聞かせて


絶対に相容れることのない愛情、レオンが不器用でいかに弱いか知っている視聴者だからこそ、この歪な愛が悲壮的に映る。

導入、不気味に劇伴がささやきながらレオンが斧を手にするシ
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スパイダーマン2(2004年製作の映画)

4.6

君の夢になれるなら


ライミ版スパイダーマン1は私が初めて劇場で鑑賞した映画。そしてこの2は、「グエムル」「ジュラシックパーク」に次ぐ私の感性の育ての親である。幼少の折には、オクタビアス博士のアーム
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ローラーガールズ・ダイアリー(2009年製作の映画)

4.6

この足が、教えてくれた


ドリュー・バリモア初監督作
エレンペイジ愛好家界隈では「JUNO」に次いで彼女のキュートさ絶頂期を象徴する作品と謳われる。かくいう私も、その由緒あるエレンペイジストの1人で
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MEG ザ・モンスター(2018年製作の映画)

3.1

サメブランドは、金儲けじゃない


ハゲちょびんvsメガロドン
「ジョーズ」という衝撃的な作品の登場以来、愛すべき二番煎じ達が我こそはと果敢に己の”サメ”を表現してきた。彼らのサメは、時に宙を舞い、時
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