津軽系こけしさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

アンナと過ごした4日間(2008年製作の映画)

3.8

あのささやきを聞かせて


絶対に相容れることのない愛情、レオンが不器用でいかに弱いか知っている視聴者だからこそ、この歪な愛が悲壮的に映る。

導入、不気味に劇伴がささやきながらレオンが斧を手にするシ
>>続きを読む

スパイダーマン2(2004年製作の映画)

4.6

君の夢になれるなら


ライミ版スパイダーマン1は私が初めて劇場で鑑賞した映画。そしてこの2は、「グエムル」「ジュラシックパーク」に次ぐ私の感性の育ての親である。幼少の折には、オクタビアス博士のアーム
>>続きを読む

ローラーガールズ・ダイアリー(2009年製作の映画)

4.6

この足が、教えてくれた


ドリュー・バリモア初監督作
エレンペイジ愛好家界隈では「JUNO」に次いで彼女のキュートさ絶頂期を象徴する作品と謳われる。かくいう私も、その由緒あるエレンペイジストの1人で
>>続きを読む

MEG ザ・モンスター(2018年製作の映画)

3.1

サメブランドは、金儲けじゃない


ハゲちょびんvsメガロドン
「ジョーズ」という衝撃的な作品の登場以来、愛すべき二番煎じ達が我こそはと果敢に己の”サメ”を表現してきた。彼らのサメは、時に宙を舞い、時
>>続きを読む

晩春(1949年製作の映画)

4.3

拾遺補闕


幸せを育てなさい
小津安二郎監督作品を満を辞して初鑑賞。くすっと笑わされるやり取りと、奥行きを活かした印象的なカット、そして父と娘の感動的なストーリーに涙ちょちょぎれます。ラストの笠智衆
>>続きを読む

パンとバスと2度目のハツコイ(2017年製作の映画)

3.9

パンがなんだ


私は平気
今泉力哉監督の恋愛映画。初恋相手との2度目の逢瀬を前に、ふみは己の人生を巡ってゆく。「愛がなんだ」のような許容と解放の話ではあるものの、えぐるような痛みなど取り払ったほんわ
>>続きを読む

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

4.4

そんな日を想って、日々を行こう


主人公の顔がナスみたいで愛着湧かなかったけど、22は可愛いからすこすこのすこ。ピクサー産の死後の世界を題材とする作品といえば「リメンバーミー」を真っ先に思い出すが、
>>続きを読む

アンダルシアの犬(1928年製作の映画)

3.9

そうはならんやろ・ザムービー


シュルレアリスムの萌芽。
さあ、どう切り口を飾るか。この映画、なんのこっちゃわけの分からない作品ではあるが、第一次世界大戦が及ぼした芸術運動、シュルレアリスムの源流、
>>続きを読む

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

4.1

オペラなんて嫌いだ


アナザーデイオブサン
カトリーヌ・ドヌーブが、愛人の不在と結婚の狭間で揺れる女性を演じた出世作。ジャックドュミ監督による無類の色彩感覚が世界観を染め上げ、充実した視覚体験を堪能
>>続きを読む

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.6

きみのルールがゲームを制す


名探偵ボンド、ドーナツを愛す
古典派ミステリーの黄金方程式を踏襲しつつも、現代にも通じる怒涛の展開で攻め込むことで、ジャンル賛美ものとして最高峰の出来栄えに固まった。終
>>続きを読む

ソーセージ・パーティー(2016年製作の映画)

3.4

人類の明日が心配になった


なにか生命に対する狂気を感じます。
地獄のような下品のひっきりなし。喋る食品たちが消費者たちに復讐を果たすストーリー。宗教やマイノリティの風刺などコンプラを粉砕しながらブ
>>続きを読む

サイコ(1960年製作の映画)

4.4

狂気に沈めろ


不朽の名作
60年代の頭を張るホラー映画の金字塔。現代サブカルにて今なおオマージュを残す破格の知名度で、もはやヒッチコック監督の名前を飛び抜けて、ブランドとして1人歩きを始めた伝説的
>>続きを読む

その夜の侍(2012年製作の映画)

4.1

死別にはじまる恋物語ッ!!


ナイフを添えて
「葛城事件」の赤堀雅秋氏が監督・脚本を務めた復讐物語、妻を殺され復讐に曇る男の人生を描く。「葛城事件」以前の作品ではあるが、投影されている精神はよく似て
>>続きを読む

メン・イン・ブラック3(2012年製作の映画)

4.5

古い友達を紹介するよ


間違いなくシリーズ史上最高傑作。バディモノとして最高の着地、SF的なカタルシスもありつつ、コメディの語り口は決して揺るがない構え。こういう娯楽映画のナンバリングはあまり良い印
>>続きを読む

ライフ(2017年製作の映画)

3.7

人類の終了をお知らせします


宇宙空間を舞台に繰り広げられる怪物との密室攻防スリラー。しかし、宇宙が舞台だからといってSFの風味など期待するのはとんだ間違いだと思う。なぜなら今作の楽しさは限りなくコ
>>続きを読む

ホビット 決戦のゆくえ(2014年製作の映画)

4.2

指輪物語、ここにあり


LOTRシリーズのスピンオフ「ホビット」三部作が最終章。相変わらずの長尺ぶりを構えて財宝めぐる攻防戦を、てんこ盛りのCGと悪夢的物量で駆け抜ける。

LOTRの最終章といえば
>>続きを読む

ホビット 竜に奪われた王国(2013年製作の映画)

4.3

ドラゴンに胸躍る


我の名は炎、我の名は死
指輪物語を派生する映画化の中では1番好きかも。もちろんビルボの活躍ぶりや、レゴラスの戦闘シーン、驚異的CGも魅力的だが、私の童心は〈スマウグ〉の色気に引っ
>>続きを読む

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

4.5

映画って、青春だ


これはちょっとDVD買うかも
こんなに純粋で、こんなにむき出しな映画魂だ、雄叫びをあげねば映画好きの名が廃るぜ。青春漫画にありがちな登場キャラと人間模様、それが全て”映画が好き”
>>続きを読む

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

4.6

千里の道は一冊のノートから


干し草のバケモノ
アッバスキアロスタミ作品初鑑賞。なんだか体が軽くなるようなコメディ。友達のノートを届けるべく、あっちこっちと珍道中する少年の話。せっかく辿り着いたと思
>>続きを読む

サニー/32(2018年製作の映画)

3.5

匿名は人を救わぬ……か?


白石和彌監督作品の中でもかなり異彩を放っている作品。リリーフランキー、ピエール瀧という”ブッコミ”コンビが抜擢されているにも関わらず、聴衆の反応はなんだか心許ない。確かに
>>続きを読む

26世紀青年(2006年製作の映画)

3.8

賢い?そんなの知るか


野党に関しては今と大差ない
冷凍保存された男女が目覚めた世界は26世紀、人類のIQが急速に降下して”バカ”がそこら中に溢れるコメディディストピア。本当にバカばかりなのだけどそ
>>続きを読む

朝が来る(2020年製作の映画)

4.7

どうか、光がさすように


私はこの映画を観て、これこそ現代日本に必要な作品だと深く思った。今回の”駄文”は、レビューというよりも今作を受けて綴るわたし個人によった感情文である。この映画の繊細さと奥深
>>続きを読む

ホビット 思いがけない冒険(2012年製作の映画)

3.8

最初から鷲使ってくれ


精巧な特殊メイクと、舞台考証、物量によって映像史に飛躍的視覚表現をもたらした「ロードオブザリング」、そのスピンオフたる「ホビット」。

J・R・R・トールキンの原作順でいえば
>>続きを読む

メアリーの総て(2017年製作の映画)

4.1

創作の魂


映画、小説、ひいては物語創作史において怪奇ジャンルの偉業となった「フランケンシュタイン」。その作者メアリーシェリーの半生を綴る歴史映画。

後に「カリガリ博士」をはじめとしたドイツ表現主
>>続きを読む

淵に立つ(2016年製作の映画)

4.3

罪はどこか


前々から気にはなっていたものの封を切れずにいた一作。家族の関係に土足で踏み入るヤサカ(浅野忠信)の風柄は、「冷たい熱帯魚」や「クリーピー」の諸々を思わせる。しかしその2作と比べ薬物や暴
>>続きを読む

あの頃。(2021年製作の映画)

4.8

楽しくて何も見えねえ


推しと仲間は推せるときに推せ
まずい。「愛がなんだ」で人生観をそっと撫でられ、今作で前代未聞の号泣をさせられたことで、私はもはや今泉力哉作品から逃れられない体にされてしまった
>>続きを読む

カリガリ博士(1920年製作の映画)

4.7

暗闇の魔力


ドイツ表現主義誕生の背景には、戦争に負けたドイツ国民の空虚さや不安が映されている。そのドイツ表現主義の大きな出発点となった今作「カリガリ博士」にも、彼らの漠然とした不安感が投影されてい
>>続きを読む

翔んで埼玉(2018年製作の映画)

4.4

郷土愛がなんだ


忘れ去られた栃木ちゃん
完全にエンディングソングにもっていかれた感は否めないが、風俗的な地域格差を自虐する斬り込み隊長ぶりは、なかなかに愛らしいところがある。物語的終結を踏み越えて
>>続きを読む

メカニック(2011年製作の映画)

3.9

友よさらば


1972年チャールズブロンソン主演「メカニック」のリメイク。情と流儀にあつい殺し屋アーサー・ビショップをジェイソンステイサムが張る。

キレのあるアクションに、大迫力の爆発・銃撃シーン
>>続きを読む

ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(1998年製作の映画)

4.6

間違いの喜劇


マリファナを添えて
シェイクスピアの戯曲「間違いの喜劇」に言えるように、勘違いによった素っ頓狂な辻褄は計算次第で悪夢的なエンタメ力を発揮する。この映画は、その例としてめちゃくちゃ分か
>>続きを読む

愛がなんだ(2018年製作の映画)

4.9

苦しみ、されど人


こんなに痛くて苦しいのに、とっても優しい映画。登場人物みんなに自身と共通するところがあって、終始感情移入に苦しめられた。感情と衝動に任せる人間関係に、突拍子もなく訪れる自己客観と
>>続きを読む

メランコリック(2018年製作の映画)

4.8

俺たち、かっこいいだろ?


湯を沸かすほどの熱い友情
うだつの上がらぬ毎日へ甘んじるニート男、少年漫画でいうところのどん底とはわけが違う、現実の生々しいどん底。しかし、そのどうしようもない現実がある
>>続きを読む

荒野にて(2017年製作の映画)

4.4

行き止まり


大丈夫、なんとかするから
家庭に問題を抱えた青年と競走馬の旅を軸に据えたロードムービー。題目に恥じずアメリカの荒野を青年の人生と照らして、心ゆくまで堪能することができる。果てない地平線
>>続きを読む

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)

4.3

あなたの人生に、あの輝きはあるか


おはよう
実は観たことなかったシリーズ。自分の人生が全部偽物だったら…?そんな奇抜なアイデアに出発するジムキャリー主演のヒューマンドラマ。「もしも」をここまで仔細
>>続きを読む

インサイド・マン(2006年製作の映画)

4.1

手錠が冷めないうちに


剥き出しのアイデア
スパイクリー×デンゼルワシントンの「マルコムX」タッグが送る、仕掛け型犯罪コメディ。頭脳派銀行強盗と敏腕刑事の心理攻防、そこへ富豪の陰謀が絡まってぺろっと
>>続きを読む

ウルトラマンゼアス(1996年製作の映画)

3.0

壮大な歯ブラシのCM


とんねるずのみなさんのおかげでした
バラエティの顔馴染みらが顔を並べたウルトラ映画、友人宅にて成り行きで視聴。そもそもこのゼアスは、出光興産のCMキャラクターとして企画され、
>>続きを読む