カランさんの映画レビュー・感想・評価

カラン

カラン

映画(613)
ドラマ(0)
アニメ(0)

遺灰は語る(2022年製作の映画)

4.0

ずっーと兄弟でやってきたダヴィアーニ兄弟の弟パオロ(1931〜2024)が、兄ヴィットリオ(1929〜2018)の死後に、1人で映画を撮った。弟から亡き兄への献辞で始まる本作は、実在の作家ルイジ・ピラ>>続きを読む

サンライズ(1927年製作の映画)

4.5

貧しい田舎の男が、巨大な湖を渡ってやってきた都会の女の誘惑を受けて、妻である田舎の女を裏切り、水上で殺害しようとする、、、、、、コメディ。

☆トラジコメディ?

悲喜劇(tragicomedy)とい
>>続きを読む

シャドー(1982年製作の映画)

4.0

ダリオ・アルジェントのフィルモグラフィで一推しする人が多い作品のようである。全部観たわけではないので1番かどうかは言えないが、かなり良いほうなのではないかと。

フィアンセだの愛人だのがたくさん出てき
>>続きを読む

階級関係 -カフカ「アメリカ」より-(1984年製作の映画)

5.0

ストローブ=ユイレによるカフカ。

☆タイトル

本作は『階級関係 - カフカ「アメリカより」』というタイトルだが、『階級関係』という小説はカフカにはない。「アメリカ」というのも通称であって、カフカが
>>続きを読む

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

3.5

第一印象は綺麗だなと。5分くらい観ていると、飽きた。こうやって飽きるのはデジタル撮影の特徴だが、実際、REDのデジカメのようだ。海はいい。明るいところもいい。夜や暗がりは、監督もカメラマンも、何も考え>>続きを読む

四月(1962年製作の映画)

4.0

若い恋人たちができたばかりの集合住宅に一緒に暮らすようになると、家具や電気製品を揃えだすと、物質に支配されるようになって、、、

1962年のイオセリアーニの中編で、上映禁止処分となったようである。明
>>続きを読む

水彩画(1958年製作の映画)

4.5

イオセリアーニの短編デビュー作。

ムソグルスキーに『展覧会の絵』という組曲がある。画家の友人が亡くなり、その遺作点での絵画の印象と絵から絵まで移動の情景を音楽にしたと言われている。

本作は貧しいが
>>続きを読む

恋する惑星 4Kレストア版(1994年製作の映画)

5.0

4KリマスターのUHDで視聴した。初めて観たのはVHSだった気がする。小さなブラウン管で観て、正直よく分からなかった記憶があるが、なんとなくサントラのCDを買って、フェイ・ウォンの「夢中人」を何度も聴>>続きを読む

西鶴一代女(1952年製作の映画)

5.0

☆伝説

ワンシーン・ワンカットでは、ない。カメラを普通に切り替えているし、ディゾルブも数回やっている。ロングテイクは多いが、ワンシーン・ワンカットよりも、ごく普通にモンタージュをしている。だから素晴
>>続きを読む

(秘)色情めす市場(1974年製作の映画)

4.0

大阪の通天閣が見える、ドヤ街と呼ばれる辺りで、売春している母と、母のヒモまで客にする娘には、弟がいる。姉の身体に涎を垂らす知的障害の弟を姉はコンニャクで挟んでやる。いつのまにか性器を商品にすることが当>>続きを読む

デモンズ’95(1994年製作の映画)

4.5

墓地の管理人の男は拳銃の発砲を繰り返している。墓場の死体が甦るから、頭を撃ち抜いて、死者を殺すのであった。死者を殺し続けると、生と死の境が曖昧になって、、、のホラー・コメディ。

☆可哀想なイタリア映
>>続きを読む

理由なき反抗(1955年製作の映画)

3.5

ジム(ジェームズ・ディーン)は泥酔し路上で突っ伏しており、ジュディ(ナタリー・ウッド)は家出中のところを、プラトー(サル・ミネオ)は子犬を拳銃で撃ったので、少年課に補導される。。。警察署に家族や家政婦>>続きを読む

ガンジー(1982年製作の映画)

3.5

マハトマ・ガンディーの半生。1869年に生まれ、インドのイギリスからの独立と1948年に拳銃で暗殺される。映画は巨大な葬送行進で始まり、19世紀末にイギリスで弁護士資格を取得後に赴任した南アフリカでイ>>続きを読む

湖のランスロ(1974年製作の映画)

4.0

ブレッソンの聖杯物語。

磔刑になったイエスの流れ落ちる血をアリマタヤのヨセフが杯で受け止めたのだという。その聖遺物の杯がブルターニュにあるらしく、探求に出た騎士たちが殺戮と略奪を繰り返していた。アー
>>続きを読む

お引越し(1993年製作の映画)

4.5

相米慎二は1980年に初の長篇を撮って以来、合計13本で監督を務めた。2001年に亡くなったときは53歳だった。本作の後にも、3本撮っている。


☆こども

①『セーラー服と機関銃』(1981)の高
>>続きを読む

冬の旅(1985年製作の映画)

4.5

金なし、家なし。革ジャン着て、テントを背負って、冬の道をひたすら女は歩く。

☆シューベルト

“sans foi ni loi”(信仰も道徳もない)という決まり文句をもじった本作の原題は”Sans
>>続きを読む

(1968年製作の映画)

3.5

第二次世界大戦の頃、警察が取り調べと称して暴行をふるい、不遜にも隠蔽してきた事態が露呈した「首なし事件」を担当した弁護士の書いた原作を、橋本忍が映画用に脚本化。監督は『八甲田山』(1977)の森谷司郎>>続きを読む

最高殊勲夫人(1959年製作の映画)

3.5

三原家には長男と次男がいて、父から受け継いだ中堅企業の三原商事を経営していた。長男が社長だが、社長秘書をしていた貧乏な野々宮家の長女が嫁入りすることになり、社長をコントロールして世界制覇を企んでいた。>>続きを読む

ビヨンド 4K レストア版(1981年製作の映画)

3.5

1927年、ルイジアナのホテルで画家の男が、村人たちによって、壁に釘打ちされて、惨殺される。50数年後、そのホテルを遺産として相続した女は、荒廃したホテルの改修を始める。すると怪奇現象が起こり始め、人>>続きを読む

残菊物語(1939年製作の映画)

4.5

季節の節目を表す5節句というのがあるらしい。1月7日は人日(じんじつ)で七草、3月3日は上巳(じょうし)で桃、5月5日は端午(たんご)で菖蒲、7月7日は七夕(しちせき)で笹、そして9月9日が重陽(ちょ>>続きを読む

父、帰る(2003年製作の映画)

4.0

音信不通だった父が12年ぶりに帰還し、息子2人を旅行に連れ出す。。。アンドレイ・ズビャギンツェフの長編デビュー作。

☆冒頭 

劇中で最も要素数が多いショットが冒頭にいきなりやって来る。水中撮影で、
>>続きを読む

アイム・ノット・ゼア(2007年製作の映画)

4.0

ボブ・ディランというプロテスト、フォーク、ロック等のミュージシャン、詩人、夫、役者の半生を振り返る。


☆ 『モリコーネ』(2021)とは違う

ボブ・ディラン本人へのインタビューはない。崇拝者たち
>>続きを読む

JLG/自画像(1995年製作の映画)

5.0

“JLG/JLG - autoportrait de décembre”という原題。”JLG/JLG “というのはJLG par JLG、すなわち「ゴダールによるゴダール」ということだろう。副題は「1>>続きを読む

誰かに見られてる(1987年製作の映画)

3.5

『エイリアン』や『ブレードランナー』の後で、リドリー・スコットが既に大物になっていた時期なのだろう。制作総指揮も務めている。1300万ドル近く予算をかけたが興収は1000万ドル強で不発に終わった。>>続きを読む

おとなのけんか(2011年製作の映画)

4.0

子供たちの諍いがマンションの窓から見える。その子供のけんかに端を発した大人のけんかの密室劇。監督のロマン・ポランスキーは70年代末にジャック・ニコルソンの邸宅で少女に性的暴行をしたかどで有罪判決を受け>>続きを読む

幽霊VS宇宙人(2007年製作の映画)

3.5

四谷シリーズ(の亜型)。

2本立ての映画を、映画館の最前列でハリセンボンが、後方で一般ののお客さんが観ている、というのが大枠。

5部構成になっている。

①映画の前にハリセンボンのかけ合い
②清水
>>続きを読む

遊星よりの物体X(1951年製作の映画)

3.5

アラスカで未知の生命体と遭遇した米軍の話。

面白いなと思ったのは、宇宙人が植物であるという設定。不気味なものと植物を結びつける何かがあったのだろうか。

ドン・シーゲルの『ボディ・スナッチャーズ』(
>>続きを読む

ロダン カミーユと永遠のアトリエ(2017年製作の映画)

4.0

ロダンは1840年に国の依頼で美術館のモニュメント制作に取り組むことになる。ロダンが40歳のことで、上野にもある『地獄の門』を構想するも、行き詰まる。その苦悩の時期にカミーユ・クローデルを弟子に迎える>>続きを読む

バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト(1992年製作の映画)

4.5

ニューヨーク、ブロンクス。オープニングは完全な白色がスクリーンの全面で光っている。ヴィンチェンゾ・ナタリの『CUBE』(1997)のラストの白痴を想起させる狂ったピュアホワイト。クレジットが流れるが、>>続きを読む

ブラック・ウィドウ ~裏切りの代償~(2019年製作の映画)

3.5

2010〜2017年に放映されたオランダのテレビ向けのドラマの完結編で劇場公開版らしい。そんなことを知りもせずに観たのだが、普通に面白かった。主役の方のビジュアルはトリニティ?

☆悪かった点

終盤
>>続きを読む

ヌードの夜(1993年製作の映画)

4.5

☆冒頭のモンタージュ

クラブを営んでいるヤクザな男(根津甚八)につきまとわれゆすられているのか、それとも自分から足を開くのか。ヤクザの男の反対側には「シャブ」で昇天した表情のチンピラ(椎名桔平)がい
>>続きを読む

暗い日曜日(1999年製作の映画)

3.5

1930年代のブタペスト。[カルメン + ユダヤ男 + ピアノ男] + ナチス男 = ?


☆ハンガリーのある歌曲

シェレシュ・レジェーという人の『暗い日曜日』という歌曲がハンガリー語でレコーディ
>>続きを読む

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 劇場版・序章 真説・四谷怪談 お岩の呪い(2013年製作の映画)

3.5

四谷怪談シリーズは何でも観てみようということで、借りてみた。動画の静止映像の怨霊らしきものがお岩さんに思えるという、意味のない連想で、話が進んでいくフェイクドキュメンタリー。民谷伊右衛門(たみやいえも>>続きを読む

音のない世界で(1992年製作の映画)

5.0

耳が聴こえない人たちのドキュメンタリー。

☆手話は原始言語か?

耳が聴こえない人たちのコミュニケーションが手話であるのは当然だが、その手話も多様で、外国語があるように、フランスの手話やアメリカの手
>>続きを読む

ザ・フライ(1986年製作の映画)

3.5

クローネンバーグによるバイオロジカル・ナイトメア。物体をデータに分解して、再合成することでテレポーテジョンする装置を作った博士が、自分の転送に失敗する。。。

子供の頃にテレビで観て以来。もうちょっと
>>続きを読む

バニシング・ポイント(1971年製作の映画)

5.0

コロラド州のデンバーから、カルフォルニア州のサンフランシスコまで新車を陸送する仕事のついでに寄った怪しいスタンドで、15時間以内にサンフランシスコに到着する賭けを男はする。もし翌日午後3時までに着いた>>続きを読む

>|