悠さんの映画レビュー・感想・評価

悠

アバウト・タイム 愛おしい時間について(2013年製作の映画)

4.5

有限だからこそ幸せが成り立つし、その有限の象徴が"時間"という唯一不変。

1日を2回繰り返していたのに、最終的には過去に戻らなくても、生活の積み重ねに幸せを見つけ出せるようになったティムを全力で見習
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パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

3.3

時系列をいじったり、同一人物を重複登場させる事で、観る側としては全く退屈しなかった。

大衆向け雑誌の犯罪小説のオムニバスというソースからなのか、冷徹さと人間臭さの調合率が秀逸。

正直、期待値が高過
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ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

3.9


「愛は厄介でおぞましく利己的、そして大胆」

愛する事は努力する事。
読書や文学への理解を試みていく過程を通して、ポールの信じる一つの愛を感じた。

愛を免罪符に本当の自分を隠すことより、その本質を
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四月になれば彼女は(2024年製作の映画)

3.5

公開初日、スクリーンで主題歌が聴きたくて。

良くも悪くも原作に触れたいと思えた映画。たぶん2時間の中では描ききれなかった機微があったはず。

愛をサボってはいけない。
幸せを感じるといつかそれを失っ
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.8

ルーティンに塗れた同じ日なんて何一つ存在しない。変わらないものなんてない、車内で流すカセットテープの曲は毎日違う。

同じ行動や出来事でも、その時によって感覚や感情が異なる。

人は皆、変わる。
諸行
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ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

3.5


回り道やそもそもの目的地をぐるぐると変えるような会話のうねりが、心地良さを感じた。劇中は二人の会話が殆どなのに全く飽きる気配が無かった。

無神論者だからこその宗教的思想や価値観、哲学を丁寧に攪拌し
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.2

まず、ティモシーシャラメの顔面と映画のスケールがエグかった。

スターウォーズに近いSFの世界観でワクワク出来たし、陰謀渦巻くストーリーも作品をより際立たせる役割があった。

ただ話の進行速度が遅過ぎ
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TENET テネット(2020年製作の映画)

3.1


インセプションの衝撃を経て、期待を胸に鑑賞。

結論、難解さに拍車がかかっててこれは二回目が必要。でも面白くはあった。

逆行の中にさらに逆行をネストしていく手法はインセプションと同様だったし、逆行
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

3.5

分からないという感情、つまりは恐怖。
そんな恐怖に脅かされ、物事に意味や理由を求めては勝手にラベリングし安心したがる人間は多く、そんな人々は大概事実なんてどうでもいい。

前半はそんな事を感じつつも情
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アンダーカレント(2023年製作の映画)

3.7



自分でも自分が分からないとはよく言ったもので、誰かに話す事はなくこれが常だと思ってた。

"人を分かるってどういうですか"

決定的かつシンプルな一つのセリフに、いとも簡単に今回の主題との繋がりを
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午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

3.5


第一印象、劇中に出てきた何気ないけど忘れたくないなと思う言葉を、無意識に忘れてしまう程の無色透明のような浮遊感を感じた。

深夜ラジオや劇中音楽、喫煙シーンなど恍惚たる要素がいくつも散りばめられてい
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グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.2


作風や映像の雰囲気と淡々とした展開、でも決して難解ではない構成とテンポ感が絶妙なブレンド。

ウェスアンダーソンの世界観にどっぷり頭まで浸かれた気分になった。

コントラスト強めな広角やジオラマのよ
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パリタクシー(2022年製作の映画)

3.8


登場人物の言い回しや車窓から見える景観は、まさしくフランスそのもので、やっぱり不快感は全く無くって、柔らかな心地よさすら垣間見える。

主題がタクシーだからナイトオンザプラネットのイメージだったけど
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零落(2023年製作の映画)

4.1


浅野いにおらしくなくって、それを竹中直人が監督して映画化した映画。

以前ラジオで、書店で読んだ後すぐ映画化したいと感じたと言ってた。



ポルトガル語で何か喋ってみてと言われた時に「言葉いつも期
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少女は卒業しない(2023年製作の映画)

3.2


人間やそもそも本質的な愛について、何をもってしてその真偽とするのか。その物差しが揺れる瞬間がいくつもあった。

ただ一つ言えるのは、"時には誰かを愛するなら他人でいる方がいい"という言葉は大事にした
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ちひろさん(2023年製作の映画)

3.8


人はどこに行ったって、孤独を手放さずにいられる生き物だと感じた。

他人と自分に期待しないのは楽だけど、楽じゃないし、それを"信頼"の一言では到底表せやしない。

自分の目の前の人を信じてみる、勿論
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ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

3.1


第一印象は、退廃的なSFの世界観にはやっぱり何か惹かれるものがあるなーと。

レプリカントの話がより深く語られる本作。


人間やそもそも本質的な愛について、何をもってしてその真偽とするのか。その物
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そばかす(2022年製作の映画)

3.8


三浦透子の虚ろな瞳に終始やられた。

前田敦子は実体験からなのか、こういう迫真の演技が以前と比べ物にならない位の良さで、正直度肝を抜かれた。キャスティングも個人的にとても良かった。


(以下、鑑賞
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ブラックナイトパレード(2022年製作の映画)

3.0


福田監督らしいといえばらしい、ニヤニヤと笑えるようなクリスマスコメディ映画。

ストーリーや構成という観点ではなく、純粋に笑えてハッピーになれるような作品。

特に吉沢亮、橋本環奈、中川大志の阿吽の
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夜、鳥たちが啼く(2022年製作の映画)

3.4


嫉妬深い小説家と、離婚した子連れの女の話。

こんなにも山田裕貴が汚らしい狡猾な男を演じられるなんて、正直驚きだった。

ややワンカット長いのでは?と感じた傷を舐め合うシーンはあったが、松本まりかだ
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

3.8


東京、階層社会、女性蔑視の話。

一番最初に頭に浮かんだ言葉がある。


"みんな人生という名の地獄と向き合っている"


どんな階級に生まれ、どんな待遇を経て生きてきたとしても人生、楽しいし辛いん
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窓辺にて(2022年製作の映画)

4.3

大好きな今泉作品。
稲垣吾郎さん主演という事で期待に胸を膨らまして劇場へ足を運んだけど、その期待を超えてくる作品だった。

傲慢で身勝手かつ、自分第一の登場人物たちなのに、どんな人物も憎めないような愛
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恋人はアンバー(2020年製作の映画)

4.5


NIGHT DIVERという深夜ラジオでパーソナリティがお勧めしていた映画。

エンドロールまで、止めどなく感動が押し寄せ、声にならない涙が絶えず流れ続けた。
同性愛者である主人公の二人は、「セクシ
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もっと超越した所へ。(2022年製作の映画)

4.3


六本木、華金、レイトショー。

原作・脚本、根本宗子、2015年の舞台を今回は映画化したという事で、でも真っ先にポスタービジュアル、タイトルに惹かれて興味があった。

また前田敦子をはじめとしたキャ
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マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

遺骨を持って飛び降りたり、打ち上げられた舟で野宿したり、セブンスターを吸う永野芽郁がサイコーでしかなかった。

自殺をした親友に対して何ができるのか。
せめて何で一緒に死のうと言ってくれなかったのか、
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あの頃。(2021年製作の映画)

3.9


「"あの頃"は楽しかったね。」

大人になって一度は言ったことのあるセリフだけど、"あの頃"は今でもあるって事。
そんな当たり前だけど大切な事を分かりやすく教えてくれる映画。

"学生時代こそ青春"
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ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)

3.8


賛否両論の理由は、本作の根幹がAdoの歌声だからだけど、そこを否定したくないと思った。

確かに「ワンピースの映画を見に来たのに、冒頭からAdoのライブかと思った」という意見もあるが、ウタというオリ
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.1

話題の是枝監督作品、ソンガンホ出演作。

印象としては、心が抉られる系のストーリーであり、劇中誰も責められない行くあての無いやりきれなさや怒りがふわふわと漂う。

しかし是枝監督やキャスト陣の繊細な演
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キングダム2 遥かなる大地へ(2022年製作の映画)

3.6

前回のキングダムに引き続き、実写映画化の第二作。

前作と比較して今作は、ひとつの合戦にスポットをあてたストーリー展開で、より壮大なスケールやアクションシーンが特に大きな見所だった。

キャストも豪華
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.8

PTA作品として、キャストもなかなか個性的な映画だった。
中でも他の人も書いているが、ブラッドリー・クーパーが実在する映画プロデューサー、ジョン・ピーターズを怪演したり、そんな部分もつい映画の中に引き
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グラスホッパー(2015年製作の映画)

3.4

伊坂幸太郎が好きで、ずっと観たかった映画。
もちろん原作は数年前に読み切っていた。

伏線回収かつ、信じるものは報われるベターエンドで終わる伊坂作品には珍しく、殺し屋たちの話。物語の中での繋がりがさり
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インセプション(2010年製作の映画)

4.4


まずは、クリストファー・ノーランに拍手を送ることから。


夢を題材に緻密に組み込まれた圧倒的な世界観。
ある意味、ノーラン自身が設計士だよね。笑


SFには観る人の脳をハックし、特有の没入感が強
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BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK'N'ROLL(2022年製作の映画)

3.0


BISHのメンバー6人が主役となる、オムニバス形式の映像作品(あえて"映画"とは呼ばない)

6人それぞれに唯一無二の個性が、映画館のスクリーンに強く鮮烈に映し出されていた。

※それぞれの内容は他
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流浪の月(2022年製作の映画)

4.1

原作は読まずに鑑賞。

孤狼の血を見た瞬間から、松坂桃李の悲哀に満ちたあの眼に取り憑かれて以来の作品。

今作も冷たく傷を負った複雑な役を、"あの眼"で見事に演じきっていた。

人が本能的に叫ぶシーン
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映画 五等分の花嫁(2022年製作の映画)

3.4

アニメ1,2期を復習して鑑賞。

想像より五つ子、一人一人のパターンが丁寧に描かれていて劇場版としてとても良かった。

コメディ要素よりも風太郎や五つ子(何より四葉)の成長を感じさせるような場面もあり
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カモン カモン(2021年製作の映画)

4.8

「C'MON C'MON」の意味にこの映画の全てが詰まっている気がした。

この映画には子供も大人も登場していなくて、ただそれぞれ社会的な動物としての人間が、非常に厄介な"感情"を介して分かり合おうと
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