harunomaさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ゴダールの映画史 第8章 徴(しるし)は至る所に(1998年製作の映画)

5.0

青山真治とゴダールが同じ年に亡くなる、今年は喪に服す間もない。
私が亡くなれば、シネマは死ぬだろう(あるいは映画は映写されなくなった時)とは、予告ではなく事実であり、小津しかり、フォード然。
ゴダール
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蛇の道(1998年製作の映画)

3.5

キャンセルかどうかも知らないが、歌舞伎などどうでもいいが、また一人、増村組の候補がいなくなる。東出昌大。思えば、竹内結子も出演していた黒沢映画は、本当にあっけなく呪われる、軽い渇き。バカですか。
時に
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ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

2.2

20世紀1914、戦場の黒い鳥、水たまり、枯木、塹壕のモノクロームから始まる『ナイル殺人事件』は塹壕を横切る(前をゆく)白い犬も相まって、アレクセイ・ゲルマンの労働があり、黒沢の公理は、ヤンでもゴダー>>続きを読む

13人の命(2022年製作の映画)

3.1

なんでも撮るロン・ハワードは、本当になんでも撮る。
洞窟潜水の水の中の音は、こもった呼吸と鈍い動作音だけで、酸素ボンベと闇を照射するライトだけという、なんとも救いようもない環境で、活劇不在のままの混乱
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ココロ、オドル。(2004年製作の映画)

5.0

無言。これは遊牧民によるデジタルの工場の出口。
ほぼほぼ侯孝賢の黒衣の刺客の後半部はここから来るのか。
まだ思想があった黒沢さんに。いまはmallそのものに飲み込まれているのだが、黒沢さんしっかりしろ
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エリ・エリ・レマ・サバクタニ(2005年製作の映画)

5.0

プルーストの大聖堂のような映画だ。それも成層圏の。
その響きの中に 君の想像するかぎりのあらゆる名前や単語が見出される鐘の音

夕景の高原のススキの、往復する横移動の運動に、二人の男たちが奥から手前へ
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今夜、世界からこの恋が消えても(2022年製作の映画)

1.0

見ていないが、三木孝浩がこの世界から、消えたほうがいいんじゃないか。月川翔、松本花奈と書いてあるが、馬鹿すぎるんじゃないか。

2016年公開の『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』までの仕事は評価す
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バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(2016年製作の映画)

1.0

本気でザック・スナイダーはしょうもねぇな。NHK反自由バカ統一反国民主権党協会朝日石破のVP映像みたいな、あってもなくてもあるだけ本当に無駄という映像のオンパレード。
撮影のラリー・フォンとハンス・ジ
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AA 音楽批評家:間章(2005年製作の映画)

5.0

ドキュメンタリーは嘘をつかない、真実である。こんなにおもしろいものは観たことがない。
嫉妬からかある者からは、あれはHelpありだと揶揄された青山真治だが、そう彼は多くの歴史のポジをネガへ反転し、もは
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グランド・イリュージョン 見破られたトリック(2016年製作の映画)

3.1

マジックショーが海外でどういう扱いなのか知らない(すごいエキストラの熱気と黄色い声援)、映像のマジックというのは同語反復。
どこまでも楽天的なハッタリの前提世界設定が、モーガン・フリーマンはじめ本気の
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メカニック(2011年製作の映画)

3.7

ジェイソン・ステイサムとタイトルからスルーしていたが、
ベン・フォスター、ドナルド・サザーランドというだけで、確かなものだ。
都市のビル街の路上での、重機トラックによるこれみよがしにおおっぴらな殺害も
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ハミングバード(2013年製作の映画)

3.9

アクションではまったくなく、メロドラマ。
『マリアンヌ』の脚本家だけはある。
夜の都市の路上に座り込む二人は、放浪者のような布も相まって、どことなく『ポンヌフ』を想起させる。
朝まだきの無言の車の発進
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バトルフロント(2013年製作の映画)

2.0

「ゲイター、あの男はブタ野郎なのよ」途中から吹き替えで見たが、まさかのウィノナ・ライダーの台詞はこれはなんだろうか。
グッバイ・ワークに通うジェームズ・フランコと、どこまでもB級感しかないアクション/
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ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男(2019年製作の映画)

3.5

かなり渋い。PFOAの public health threat が知れ渡った後にようやく公開された。ドキュメントとして見ることだけ。
スポット・ライトよりかは、やはりチームとしては良くない。大量の資
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J・エドガー(2011年製作の映画)

4.5

「ずっと逃げ続けていたから」と半ば歎息を伴った声で、電話を通し話す母親は、
元首相のその死に、そう感想を述べていたが、twitter よりも妙に生々しく腑に落ちる言葉だった。
とはいえあの時過去数回は
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レディ アサシン(2007年製作の映画)

4.3

オリヴィエ・アサイヤス、全盛期。というか、これで最後。
唯一愚直にアメリカ映画との距離を見ていた時期。2007年までだ。その後は夏時間の庭以降、色恋にうつつをぬかし、変態も鳴りを潜め、シネマを勝手に退
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20世紀少年<最終章> ぼくらの旗(2009年製作の映画)

1.4

カール・バルト
クレーシスは、自己完結的な・人間と接触しない・人間から接触できない、ちょうど人間の頭上に吊り下げられているガラス球のようなものではない。
それは人間とかかわり、人間に向けられている。人
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実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)(2007年製作の映画)

4.3

Leidenschaft
背後から拳銃で撃たれる(勝手にしやがれ)、それも風のない奈良で。
ずっと逃げ続けていた(自己へも応答責任なしの)者の、死。刑務所に入っていたらまだ生きていただろう。相手側が本
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ダゲレオタイプの女(2016年製作の映画)

1.4

腐り成熟の黒沢清のショットからは、晩年様式、は来ない。
つまり溝口もルノワールもオリヴェイラもそこにはいない。
あとは自民党で国防軍のPVでも撮っていればいい。

99.9-刑事専門弁護士‐ THE MOVIE(2021年製作の映画)

1.0

閑却。
かっこ付きでドラマは楽しく見たが
最低の映画。飛ばし見。
映画版はトリックになったのか、ふざけすぎている。画面も最低、クソテレビ。マジで災厄。ゴミ映像と人間らしきもの。
仮面病棟、任侠学園の人
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任侠ヘルパー(2012年製作の映画)

4.2

負の連鎖、居た堪れなさ、ヤクザも含め無能なものたちの共同体。
馬鹿野郎、この野郎の掛け声とメンチだけが、草彅の仁義を駆動している。

応答不可能に思われるものに草彅は、労働を与える、労働を一緒にやる、
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赤ずきん(2008年製作の映画)

5.0

Le petit chaperon rouge
拳銃と円運動、赤、a Girl、なかんずく黒いタンクトップと、
野性なる瞳、髪、その腕、活劇。
God化(そういえば『こおろぎ』の山崎努も浜辺の海でひか
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EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

5.0

おそらく7回目か上映で観るのは。
初めてみてから21年経っている。それは長いのか短いのか。
アニキ・ボボ Aniki Bóbó (1942年)
春の劇 Acto da Primavera(1963年
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燃えよ剣(2021年製作の映画)

1.0

望遠のスイッチングが忙しなくクソ映画である。
大島渚の『御法度』と比べれば、目も当てられない。
ビート氏のいない映画などみる必要がない。
原田眞人、いくつかの作品はおもしろく見ている余裕はあるが、この
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神様のカルテ2(2013年製作の映画)

3.0

藤原竜也が普通の役で出ている感動作。
非常に貴重。これ以外にまともな人物として藤原が助演に位置したことはない。医師役、父親役。
これも撮影は山田康介だったのか。

ラプラスの魔女(2018年製作の映画)

2.7

図らずも、というかまさに、すずさんのクロースアップは相かわらず美しく中盤からはいくつかラプラスの時間が(三池ですら)破裂しておりました、実際は編集で回避。三池は不甲斐がない。「怒り」から続く悲鳴をあげ>>続きを読む

夏への扉 ―キミのいる未来へ―(2021年製作の映画)

1.2

またピートである。本当にロウリーを観たのか?三木さん。
時間が経過するたびに、居た堪れない物語と演出と演技と映像が続いていく。考えられる限り最低のスベリがここにはある。
今まで不問にふされていた山崎賢
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先生! 、、、好きになってもいいですか?(2017年製作の映画)

3.5

26時間の果てに、先生!を観てきました。
思っていた以上に微妙でした。
脚本の岡田麿里(アニメ映画「あの花」「ここさけ」)が調子に乗っていました。なんだかんだ実写はきつい。
すべてではないが、青山真治
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天外者(2020年製作の映画)

1.1

冒頭の走りからして、変な音楽をかけて、まったくスピードもショットも遅く、いらないカットがなぜか長く編集もされ、山中貞雄にはまったく遠く及ばず、ふざけた侍姿と身振りは、中野SFなんちゃらに近いくらいであ>>続きを読む

先生、私の隣に座っていただけませんか?(2021年製作の映画)

1.0

作家性とは立派なもので、どんな条件においても、何も考えずとも、映画は、映像の画面にその人の撮るものを刻印していく。
九州大学時代の『YOBIMIZU』という活劇から遠く離れ、というかそういうことは止め
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出来ごころ(1933年製作の映画)

5.0


小津安二郎「出来ごころ」(1933)から

 なにかを観ている座っている観客を斜めに捉えた移動ショットから始まる「出来ごころ」は、何人かの特定の観客のカットの後、一応の観客同士の視線の繋ぎにより主人
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軒下のならずものみたいに(2003年製作の映画)

4.5

軒下のならずものみたいに
撮影 たむらまさき

まだ早い朝、部屋で寝ている秋彦、起き上がり外に出る。自転車に乗って坂道を颯爽と下り、自販機で飲み物を買い、多摩川河川敷へ。河川敷でぼーっとしている秋彦。
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すでに老いた彼女のすべてについては語らぬために(2001年製作の映画)

5.0

めちゃくちゃおもしろい。
featuring 中野重治(小説「五勺の酒」・詩「雨の降る品川駅」)、夏目漱石、幸徳秋水とか。パンフに「アンブレイカブル」「コミック雑誌なんかいらない」「アタラント号」「鏡
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浅田家!(2020年製作の映画)

4.4

家族で撮るとは、
ままルノワールだが

わたしたちがポジを与えられるのは、そのネガを作るためである。

p246 カイエ・デュ・シネマ・ジャポン ユリイカ ジャン=リュック・ゴダール

家族写真
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追憶(2017年製作の映画)

1.9

ミスティック・リバーかスリーパーズか知らんが、まずトラウマ的出来事を共有した少年たちがいるなら、映画としては、その少年たちが魅力的でなければ、話の根本が成り立たない。なんというやる気のないキャスティン>>続きを読む

おと・な・り(2009年製作の映画)

2.4

16mmのセットで撮られていることが懐かしくよい。
一番盛り上がるのが池内君登場と、西日の部屋にうつ伏せに寝転び、脚を遊ばせて歌う麻生久美子。

他は印象でしかなく、あまりにもすれ違いと邂逅が長すぎる
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