マクガフィンさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.7

情報過多の会話劇だが、核兵器開発競争の時代背景・大義・使命を丁寧に描き、核開発競争と核兵器開発のプロセスを重層的に、〈国家と国民〉・〈政治と科学〉・〈加害と被害〉などの様々な対称性を描くことが巧みに。>>続きを読む

静かなるドン 新章 Vol.1(2009年製作の映画)

2.8

設定と構成は良いが、低予算早撮り映画のチープさを補う演出が足りない。全体的にドタバタし過ぎで、相撲での情念のぶつけ合いのような見所があるシーンが後2つぐらい欲しかった。

禁義妹(2008年製作の映画)

2.8

互いに好きなのに結ばれない義理の兄妹のストレスの扱いが良く、闇を抱える店員との絡みが興味深い。妹の過食症、店員のインポと糖尿、兄のトラウマ(死産した双子の妹)の設定が凄い。乗り越えなければいけないこと>>続きを読む

飼育の教室 疑惑の化学実験室(2004年製作の映画)

3.0

「新任女教師 二人だけの教育実習」に繋がる鉄格子。
飛躍した気持ちを横移動だけではなく、正面と斜め横のショットを挟むことが逆に新鮮だが、編集のシャープさが弱い。駆け上がること・ピアノを弾くこと・水の希
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新 高校教師 ひと夏の思い出(2004年製作の映画)

3.0

城定監督の初期作品。ゼノンのパラドックスを引用した不倫関係は、教育実習期間の淡い2週間だが、過ちや自己を否定しない肯定感がハートフルさに。盗撮と童貞を掛け合わせた卒業が面白かった。

変な家(2024年製作の映画)

3.0

間取りの違和感が効果的で、平面図から喚起する恐怖やミステリーの膨らませ方に感心する。後半は強引さはあるし、間取りの意図が途中で分かったが、「八つ墓村」的な因習展開なテイストにシフトするので持ちこたえた>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

3.6

インターネット上の世界をリアルに落とし込んだような空気感や会話が良く、ミニマムとマキシマムな世界と関係性の対比による、日常と非日常の有事と平時による幸せと不幸の兼ね合いが絶妙。絶望的に思った異常事態で>>続きを読む

嘆きの天使 ナースの泪(2015年製作の映画)

2.8

先輩のコミカルさは良かったが、シンプルなプロットなら何かメタファーが欲しく、後ろ向きな男が前向きになる「触発」とか必要だったのでは。シークエンスは相変わらず的確なので見やすいことは流石。

失踪 僕が彼女を閉じ込めた理由(2005年製作の映画)

2.7

僅かな手違いがトリガーとなり、衝動からの破滅へ。プロットがつまらないのに、登場人物全員が演技が下手なので見どころが少ない。城定監督にしては救いや肯定が殆ど無いことが意外で、メタファーも綺麗ではない。

淫乱看護師(2008年製作の映画)

3.0

時系列が巧みで、狂気に陥る婚約者が刺激を与えると奇跡が起きると信じて、ありとあらゆる愚かな手法が可笑しくも。予想はしていなかったので、終盤のどんでん返しに驚く。

どれいちゃんとごしゅじんさまくん(2008年製作の映画)

3.2

健気に駆け巡るヒロインが良く、次第に応援したくなる。性欲の強さが根気強さなどのバイタリティにも繋がる妙な説得力が可笑しく、風力発電の背景も味があるような。幸多からんことを。原作未読。

デコトラ★ギャル瀬菜(2010年製作の映画)

2.9

今作はヒロインより脇役がメイン。「銀河鉄道の夜」のオマージュを取り入れる、中終盤の鬱憤からの開放。ラストの妙な音楽とカタルシスの組み合わせが何とも言えない気持ちに。

デコトラギャル・麻里(2012年製作の映画)

3.1

低予算映画ながら、構成や構図は流石。ダメ男の肯定がハートフルさに。ラストの意外なエモーションの強さで、纏まりが良い。

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

3.5

ダークヒーロー集団の誕生譚だが、本筋には邪魔にならない、宗教的な救済や赦しが含蓄したエピソードが良く、宗教・世界・家族・犬との共同体や本性に根ざしたもの対比と克服に興味が尽きない。
下品になりそうで、
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デコトラギャル奈美~爆走!薔薇愛怒編~(2011年製作の映画)

2.9

通過儀礼的な失恋や奮闘や別れ。早撮りの粗さを補う構成の的確さや病院から見下ろす結婚式や光りだすデコトラの演出は流石。

PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~(2024年製作の映画)

2.9

各々の家庭環境の背景を上手く活かしていなく、色んなことがあるけど、それでも今を夢中になって頑張ることが伝わりにくいことが惜しい。
eスポーツに興味がなくても、シンプルなゲームでチーム戦なので入りやすこ
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

3.7

各々の背景をベースにした錯綜する思惑が効果的で、狂気に触発される子供達の危うさ・堕落していくマインド・妙な共犯者意識が何とも言えない。陰惨な世界観だが、知能犯の佇まい・中学生の瑞々しさ・生命力を感じる>>続きを読む

映画 マイホームヒーロー(2024年製作の映画)

2.5

TVドラマ版での7年前の過去の出来事は転落劇で面白そうなのだが。今作は転落劇を装っているが、主人公は受け身的で、ご都合主義なピンチの連続を繰り返すので退屈に。更に、過去の殺人や家族の関係と向き合う成長>>続きを読む

映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)(2024年製作の映画)

2.5

オープニングから違和感を感じるぶつ切りカット、しずかちゃんとの約束を反故、音があるのに音楽が消える強引さ、ドラえもんは3mm浮いているのに踏むと音がでる設定など、展開・演出・ディティールが雑すぎる。>>続きを読む

デコトラ★ギャル奈美 ~爆走!夜露死苦編~(2010年製作の映画)

3.0

早撮りの粗さはあるが、安定の構成と時々ハッとさせる演出力は流石。発展する関係性にほっこりも。

デコトラ★ギャル奈美(2008年製作の映画)

3.2

主演の演技に苦笑するが、コミカルやハートフルさを盛り込むテイストは流石。デコトラが並走する迫力、定食屋の雑多感が効果的で、ラストの静かな余韻が漂う幕引きが何とも言えない。

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

2.8

重たいテイストでエピソード・設定を詰め込んでいるが、様々なことが捌き切れていないことが惜しい。人との出会いや再開を描きつつ、出会った殆どのキャラ達が即理解して手を伸ばすことが続くと、興趣を削がれる。タ>>続きを読む

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

3.2

序盤の如何にもB級映画的な髪形・トーン・テイストに心躍るのだが。CG満載なアクションは兎も角、どんでん返しの仕掛けが多過ぎで、中々プロットが躍動しないことが惜しい。ヒロインの体型に説得力も感じられなく>>続きを読む

マッチング(2024年製作の映画)

2.5

被害者や殺害方法に共通点があるシリアルキラーのようで、2時間サスペンスのように短期間で連続殺人が起こる冷却期間がないスプリー殺人だと、殺人者としての整合性やリアルさに疑問。闇が深いなら、何十年も我慢し>>続きを読む

マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

3.2

B級映画を見る感じで、3/4がターミネーターで1/4がマトリックスの同工異曲と捉えると、そこそこ楽しめる。ヴィランの絶望的な恐怖を描けなていないことが惜しいが、スパイダーマン・シリーズならではの子供の>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.5

夫婦や家族のミニマムな問題から広げた、主観と客観をモチーフにしたプロットに感心し、分からないことや見ていないことを立証する難しさが胸に迫る。
客観的なデータでも人が判断すると主観が関わり、裁判の判決と
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劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦(2024年製作の映画)

3.1

一見さんには、どちらが主人公が分からない群像劇で、こちらの視点が定まらない。コート場・ベンチ・観客席・TV観戦者など、あらゆる人々が喋りまくる。競技中も喋ったり、心の中のフキダシをセリフに起こすと実際>>続きを読む

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

3.5

アフガニスタンでの任務以上に過酷な、敵地から脱出する100kmの道のり。アメリカ人の曹長と現地通訳者のバディ者になり、通訳者の機転を利かせた紙一重の対応に緊張感が続く。築いた絆と重層的な救出がアツ過ぎ>>続きを読む

ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

3.4

結果は出ているし、オチが想像できるのだが、重層する回想を通して過去を現在に生かしていることが上手い。明るいトーンを貫いたことも良く、クスっと笑える『ベスト・キッド』や『マトリックス』ネタも好感。後から>>続きを読む

犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.2

安定したマブリー作品の面白さはあるが、今作はマブリーのみが奮闘し、刑事班のチームとしての戦いが弱いことが惜しい。シリーズの醍醐味が薄れたが、それでも拳のみで状況を打破する爽快感は健在で、次作が楽しみに>>続きを読む

ガチバン(2008年製作の映画)

3.1

ヤンキー要素がカモフラージュのようで、演劇と番長・恋愛と友情の揺さぶりがあり、童貞が奮闘する青春映画に。構成が的確で、母親の家と劇団で態度が豹変するコミカルさが面白い。
ラストバトルに回想を挟むこと、
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彼方の閃光(2022年製作の映画)

3.4

入れ子構造のようだが外層しか語られるなく、御託や屁理屈を並べる。身近な欲望と思惑の延長線上にある戦争と現代まで続く戦争の傷跡。積み重ねた後の理屈ではないことや、セリフより映像で気づきを得ることに唸らさ>>続きを読む

劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血(2024年製作の映画)

2.5

演出も演技も古臭いし、アドリブが多いからかカット割りや構図の甘さはスクリーンで見るとキツイ。それでも高橋克典が作品を引き締め、劇団ひとりの煽りとツッコミで会話劇として、何とか成立したと思ったのだが。T>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

2.3

各エピソードが冗長で、上映時間の179分は長過ぎに。象徴的で目先の変化が多いのに散文して退屈。考察する気が起きなかった。

レディ加賀(2023年製作の映画)

2.7

ドタバタさや情念の葛藤パートが多過ぎで、寄り道してイベントに向かっている感じがしないことが残念。スパルタや土下座などの時代遅れな描写も如何なものか。
ラストのイベントはまずまずだが、イベントから波及す
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ジェントルマン(2021年製作の映画)

2.7

どんでん返しを狙っているのがあからさまで、ヒネリを効かせる為に構成や時系列を弄るので分かりにくく、取っ付き難い。キャラの見分けがつきにくいし、スマホがある時代で何でも金で解決できる世界観はキツいし、T>>続きを読む