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生きとし生けるものは
皆等しく
老いて朽ちていく定め
微睡の淵から目覚めて
はたと気づく
その眼差し
その息遣い
その佇まい
声色に足音に
そこはかとなく
想い焦がれる
何を告るでもなく
何を飾>>続きを読む
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壁を一枚隔てた
その向こう側から
否応無しに届く
銃声 叫び声 黒煙
乾いた破裂音が
続け様に鳴り響く
男女子供問わず
何かを叫んでいる
澄んだ青い空に
黒煙が伸びていく
闇夜を赤く染める
業>>続きを読む
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学童保育の職に就いている身の私にとって、今作の99分間は他人事ではなかった。
私事で恐縮だが、新年度が始まったこの4月より異動となり、新たに赴任した園で新たな子どもたちとの信頼関係を構築することに躍>>続きを読む
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いつも通りの日常が
突如終わりを告げる
戦争が始まる
血が飛び散る
悔し涙が落ちる
地を這う
訳もわからず
泣き喚く
安全な場所は
何処にも無く
故郷を離れる決断を
余儀無くされる
何事もなく>>続きを読む
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惨い仕打ちを受けて満身創痍で彷徨いつづける難民家族、人権など何処吹く風と残酷極まりない国境警備隊、地獄のような国境の狭間で救いの手を差し伸べる支援活動家。
モノクロで映し出されたことによって、スクリ>>続きを読む
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ヘソン氏(ユ・テオ)、僕は君のことを、どうしても好きにはなれない理由がある。それを単なる“恋敵”という言葉だけで片付けられたら、どれだけ気が楽になるだろうか。
ノラ(グレタ・リー)は君のことを、僕に>>続きを読む
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1年365日を分で表すと、525600分らしい。私はその中で違和感を覚える2分間がある。それは2日に分けて現れる。一つは、8月6日8時15分。もう一つは、8月9日11時2分だ。
私の故郷である広島市>>続きを読む
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ラストカット、砂虫を誘き寄せながら口を一文字に結ぶチャニ(ゼンデイヤ)の奥ゆかしい眼差しが、今作の全てを物語ると言っても過言ではない。
その瞳に宿るは、愛しさ、歯痒さ、憎たらしさ、そして微かな誇らし>>続きを読む
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監督が誰かとか
脚本がどうとか
そんなものは
どうだっていい
スクリーンを一枚隔てた
向こう側の世界に生きる
君の姿が一目見れるなら
僕はそれでいい
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
何故だろう>>続きを読む
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マイケル・ファスベンダーが笑っている。それだけでぐっとくるものがある。裏切ったり、はたまた裏切られたり、孤独で報われない、哀れな役を演じることが多いマイケル・ファスベンダーが、多くの人から歓迎され、諸>>続きを読む
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奇を衒った映像も、虚を突く物語の構成も、抜群に面白かったにもかかわらず、ボー(ホアキン・フェニックス)が兎にも角にも可哀想で居た堪れない。
すなわち、作品として好きか嫌いかで分類すれば、腹が立つほど>>続きを読む
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猥談を嫌悪する人は、私の拙い感想文を読むべからず、と忠告しておきます。きっと不快感に苛まれることでしょう──。
私はその人のことを大して知りませんが、マザー・テレサという聖人がこんなことを言った>>続きを読む
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『親は子供のことを少しも理解していない。でもその存在がありがたい』
(奥田英朗著 短編小説集『家日和』“ここが青山”より引用)
製作会社A24は、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス>>続きを読む
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この世界の片隅に
生まれた泥濘に沈む
踠けば踠くほど
深みに嵌まる
抜け出したくても
抜け出す術がない
たしかにここに
いるはずなのに
「ウチな、普通に生きていきたいだけや」
普通の暮らしが>>続きを読む
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荒んだ町
淀んだ空気
心の拠り所は
見当たらない
私たちは
最悪な子どもたち
“傍に居てくれないと困る”
親は粗末に扱う
“夢を持つ?馬鹿なの?”
友は虚しさを洩らす
誰かを挑発せずには
いら>>続きを読む
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拝啓、平山(役所広司)さま。
思慮深く慎ましい暮らしのなかの至るところに散りばめられた、実に微笑ましい所作の数々を目の当たりにした今、私は紛れもない羨望の眼差しをあなたに向けてしまいます。
目が覚>>続きを読む
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海を眺めたとき、波音に包まれたとき、自然と心安らぐのは、何故だろうか。
時を忘れ、無心となり、水面の揺めきや煌めきをただひたすら見つめるだけで、まるで宙に浮くかの如く身も心も軽くなるのは、何故だろう>>続きを読む
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勝ち組負け組
という言葉がある
私はこの言葉が
大嫌いだ
既婚者は勝ち組
独身は負け組
それを聞いて
反発する者もいるが
大半はそうだと
認めている
既婚者だから
幸せな暮らしが
できるわけじゃな>>続きを読む
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座して死を待つ
戯けを抜かすな
生きて抗うのだ
巨大な力を前に
平伏すこと無く
生きて抗うのだ
誰かが言っていた
人生苦楽は付き物
止まない雨はない
明けない夜もない
晴れ間は束の>>続きを読む
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池松壮亮くんを見よってから、ふと思ったんじゃけど、竹野内豊さんと似とりゃあせんか?
ゆったりとした声のトーンというか、ワイルドかつマイルドな口調なんかまさにそれ。
つい先日『唄う六人の女』を鑑賞し>>続きを読む
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誰かは云う
あなたといる時の
自分が一番好きだと
母の子壺の中で
十月十日を経て
男として
女として
産声をあげた命
魂の伴侶は
すぐ近くにいる
思慕の念が
日に日に募る
落ち葉を散らせば
天>>続きを読む
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何だろうこの既視感
そこはかとなく
『アンダー・ザ・シルバーレイク』
のようでもあり
『サイレント・ヒル』
のようでもある
はたまた
『千と千尋の神隠し』
のようでもあり
『となりのトトロ』
のよ>>続きを読む
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“ハズレ”は決して生まないと声高に語らずとも、それを内に秘めた断固たる決意は一切揺らぐことのない、傑作を世に送り出し続ける映画会社サーチライト・ピクチャーズが、またしても素晴らしい作品を届けてくれた。>>続きを読む
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拝啓、坪内陽子(二階堂ふみ)さま。
事件後、あなたの姿をお見かけすることができませんでしたが、お元気でいらっしゃいますでしょうか。
斯く言う私も、半年前までは障害者施設で支援員として従事していた身>>続きを読む
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小説で読んでみたい──。鑑賞後、いの一番に思ったことだ。
非の打ち所がない。画角は素より、シナリオの丁寧さに舌を巻く。物語の終盤はまさに“将棋”の如く、互いに手の内の探り合い、次なる一手の鬩ぎ合いに>>続きを読む
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誰かの親になりたい。その思いはどこから、なぜ湧き出てくるのだろう。
誰かと一緒に生活を営みたい。その思いに抗うことから、いつ解放されるのだろう。
政治アレルギーの人とは関わり合えない、意固地な>>続きを読む
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ワシらはね、なまじ賢くなった生き物、みたいな気でおるけどやぁ、ホンマのところは単なる骨と肉の塊に過ぎんのよ。
言ってみりゃあ、ただの生きる屍なんよ。
ほんで、土の下で眠る屍さえも、這い出たい、蘇り>>続きを読む
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SF映画は、小難しい内容が伴うのは世の常だ。
しかし、今作ほど速やかに、手短に、物語の起承転結を前以てお知らせしてくれる映画を他に知らない。
上映開始から、ものの数分で事の全貌を明らかにしてくれる>>続きを読む
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ラース・フォン・トリアー監督。さすが、底意地が悪い。もっと言えば、素直でない。天邪鬼もいいところ。もはや憎たらしいほど愛おしい。そう言わずにはいられない。
ラストシーン。寝床に横たわるジョー(シャル>>続きを読む
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『ニンフォマニアック Vol.1/Vol.2 ディレクターズカット完全版』を見届けて思う。
鑑賞済みの映画でありながら、これほどまでにそそられる物語だったのかと面食らう。
唯一無二の至極なセクシュ>>続きを読む
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自己受容──。
これが難しいのよ、本当に。分かっちゃいるけど、どうしても過去にこだわってしまう。バリー(エズラ・ミラー)の気持ちには、共感せずにはいられない。
シャイな現在のバリーと、ヤンチャな過>>続きを読む
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2023年上半期ベスト10入り確実。
画面アスペクト比が見間違いでなければビスタサイズだったが、もしこれがシネスコサイズだった場合、デヴィッド・フィンチャー作品かと見紛ってしまうほど映像は似て非なる>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』でもそうだったように、本編が始まって現れる制作プロダクションのロゴが、まるで観客へ向けて印篭をつきつけるかのように、スクリーンに威風堂々と現れる。
【>>続きを読む
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あのときにはもうすでに、あなたはそうすることを心に決めていたのでしょう。
歳を重ねていくことをやめると──。
あなたと同じ年頃になった今だからこそ、その気持ちを汲み取ることができるようになったと思>>続きを読む
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光石研さん、あなたが意図して表現したのか、それとも監督の指示なのかは知る由もありませんが、あなたが醸し出すコメディセンスは抜群だと賞賛せずにはいられません。
勉強会で、他の人たちといっしょに、ぎこち>>続きを読む
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緻密で巧妙な脚本が
物語の半歩先を照らす
観客の私は心導かれる
孤独で傲慢で繊細な
マエストロの狂気的なタクト
観客の私は心踊らされる
身から出た錆が
不協和音をもたらす
偉人たちのレコード>>続きを読む