新快速さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

新快速

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オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

冒頭のシュールさに思わず笑いそうになってしまったが、かの歌が(おそらく)暗澹とした前途に向けて歌われる、何と言うか廃墟のような歌であることが後々分かってくるのと、オルメイヤー父の憔悴ぶりやニナの受難を>>続きを読む

突然炎のごとく(1961年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

川へダイブするという抵抗、、劇場帰りとラストの二度カトリーヌが敢行するわけだが、泡を食うジュール、従容とするジムの構図が概ね一致しているところに、凶兆はかのときからすでにあったのだというところにゾクッ>>続きを読む

ラヴィ・ド・ボエーム(1992年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

世人の無理解や貧窮などの種々の困難に直面しても、作家と音楽家と協力してこれとうまく渡り合ってきた画家だったが、愛する人の死なる、比類無く凄まじいリアルを前にしては、もはや芸術家以前に個人であるしかない>>続きを読む

たのしい知識(1969年製作の映画)

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絶望でした。私にはどうしてもこの映画を誉められません。

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

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タイトルが素敵…。シャルルが河岸に座って銃弾を見つめている絵にこのタイトルが添えられたチラシが"完成"されていて驚いた。
かなり難しかったが、観て良かった。
全然うまく言えないが、影のような映像だった
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テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

青年が去ったあとの息子と娘の反応について、(写真という)具体的過ぎるイメージを通してもはやいない青年を恋うた娘が硬直して死んでしまったのに対し、水色の抽象画のようなイメージを通して青年を恋うた息子の方>>続きを読む

勝手にしやがれ 4Kレストア版(1960年製作の映画)

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建前とか、裏腹とか、そういうものについての映画のように思われる。そうだとしたら、同じ主題でこれ以上の映画は撮れないように思われる。
よく言えないが、劇中に出てくる全てのものが何かよく分からない概念的な
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桜桃の味(1997年製作の映画)

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この監督の映画を観るのは3回目だが、どれも映像が黄金過ぎる。「キアロスタミゴールド」と呼びたいくらい
神学生と別れた後の土砂のシーンが印象的だった。こちらがハラハラするほど希死念慮の想念が伝わるようで
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インフル病みのペトロフ家(2021年製作の映画)

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情報整理が追い付かなかった…。「まだピンときてないから、もう少し終わるの待ってくれ…」と祈るような気持ちで観ていたが、ついに満足な解釈を編み出す前に終わってしまった。
"鑑賞に堪える"下品さおよび不潔
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パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

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構成が清潔
ゴミの中にレコードを見つけるシーンが印象深かった。今は眠気が限界なので、また追記したい

カラマリ・ユニオン(1985年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

夜のライブステージにおいて「女を抱く!」と唱和していたフランク一同だが、ことごとく女を巡って死ぬか、あるいはフランクを見限って女を選ぶ。”フランク性”的なものを失ったフランクから、自壊するか消えるかし>>続きを読む

ルクス・エテルナ 永遠の光(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

監督のことも映画のあらすじもほとんど何も知らずに観たので、中盤を越すまで一体何を見せられているのか、何がこの映像に意図されているのかほとんど分からず、映像の内容も相まって不安とも不快ともつかない感情に>>続きを読む

十戒(1956年製作の映画)

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凄まじい規模の映画。しかしこのテーマで映画を撮らんとすればそうそう妥協などできるものではなかったのだろう。というかよくも、あれだけの大人数をうまいこと画面に収めたなとも思う。
女たちの物語でもあった。
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第七の封印(1956年製作の映画)

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冒頭の「お前は?」に対する「"死"だ」で笑ってしまった。"死"の声がとても良い。
陰鬱ではないが軽薄でもない。
個人的に神学者が非常に印象深い。
死および死に対する態度、神の不在、あるいは女について確
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インディア(1958年製作の映画)

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大学の視聴覚ブースにあったので観てみた。
字幕がない!
人間の友、ゾウ。あれだけ自然即世界な生活をしていれば、インドが神話と芸能の国となるのも宜なるかなと思われた。
終盤、もはやサルを主役にしても映画
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気狂いピエロ 2Kレストア版(1965年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

どのシーンも別のシーンに隷属しないように思われた。絵を見ているというよりも、パレットを見ているような感じがした。
不用意に所感を綴るのがためらわれるほど色々の要素を拾えなかった感触があるが、とりあえず
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ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)

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映画がはじまって、夜闇に佇む牛の映像がしばらく続くとすぐに、これから寝ずにこの映画のシナリオを追うことの不可能を悟った。気持ち良すぎる。そして映像が、いやそれにもまして音響が、それからずっと気持ち良い>>続きを読む

紳士は金髪がお好き(1953年製作の映画)

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上映時間に遅れて冒頭数分を見逃したために、部分的に理解できない部分があったのは痛恨であった。
限りなくきらびやかな俗悪さ。しかし寧ろ、あの人々と場に慎ましさなんか少しも必要ではなかったのだろう。あれほ
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親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

恐怖や絶望に精神や生命を脅かされている人間は、巨大で硬直したものによっては庇護されない。寧ろ小さく曖昧なもの、例えば歌や音楽であるが、そういうものによってしか庇護され得ない(銃撃に晒される美容室、娘の>>続きを読む

自由の幻想(1974年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

シュールこじらせてイタい映画だったらどうしよう、と半ば不安がりながら観に行ったが、冴え渡るユーモアによって十二分に鑑賞に堪えるシュールさだった。貫禄のあるシュールさと呼べそうなものを、初めて見た。
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忘却(2008年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

信号待ちの車列の先頭ないしその中で、一芸を披露してチップを募る人々。特に側転する少女。
コロナが流行り出す直前に大学の先輩についていってインドまで行ったのだが、そこでほとんど同じ光景を目にしたことがあ
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マルチプル・マニアックス(1970年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

はじめに狂人ショーのテントという限界が破られ、教会において聖なるものと穢れたものの境界が破られる。そして例のロブスターが、何かの限界を(何だろう?)強力に踏み抜いて、この映画の何かが壊れる。ロブスター>>続きを読む

ジャンヌ(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ジャンヌ・ダルクの映画なのに、結集する兵士の映像も、軍隊同士が激突する映像も、刑場に詰めかける群衆の映像も、ない。必要最低限+αの人間が、限定的(で印象的)なロケーションで演じる、しごくスタイリッシュ>>続きを読む

ジャネット(2017年製作の映画)

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この映画を誉めるのには覚悟がいるなぁという気がする。なんか面白かったが、何が面白かったのか全然言えない。
美しい農村の風景の強い浄化力というか、水と植物と動物と光からなる平和な景色が映画をのどかで美し
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青い空、碧の海、真っ赤な大地(2013年製作の映画)

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初めてロードムービーと呼ばれる類いの映画を観たが、かなり性に合っているかもしれない。
歓楽の影に哀愁が、自由の影に束縛が這い、「忘れるため」の旅と言っておきながら、その実、旅路においても忘れられないも
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時の終わりまで(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

現世以上の何かを信じることの1つの大きい恩恵は、現世を急がず生きられるようになること、あるいは現世の馬鹿馬鹿しさに付き合っていられる暇を持てることだと思われた。
死に、近寄りすぎても、または遠ざかりす
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禁じられた遊び(1952年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ユーモアの散りばめられた悲劇のようで、悲哀の散りばめられた喜劇だったような気がする。子どもにとっては眼前に開ける景色が全てであって、それに全力というか全注意が傾注されるようである。最後に柄でもなく駆け>>続きを読む

怒りの日(1943年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

冒頭の火刑に処された老婆に植え付けられた気持ち悪さの種みたいなのが、発芽してその後の1時間ぐらいモコモコ育っていき、最後に静かに花を開いて重怠い解放感を残す、そんな映画だった。
老いた女の絶叫がこんな
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

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1年越しに2回目を観たが、印象において1回目とは色々に異なる点があった。今後また時間をあけて観れば、やはり別様の表れを示すに違いない。
床に散らばった髪といっしょに冠が箒で掃かれるシーン、「苦しみが長
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東洋の魔女(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

かつての選手たちの現在の暮らし、選手たちによる回顧、当時の日紡貝塚における練習風景、当時の試合風景、これらは虚実でいえばまず実であるのだが、その実に虚が巧みに這うことで、特に終盤の東京オリンピックの決>>続きを読む

名付けようのない踊り(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

この映画ではじめて田中シ民とその踊りを観たのだが、冒頭の東京での場踊りのシーンの、痙攣するみすぼらしい身なりの老人を大勢の人々が追い回して凝視している絵面が、噴き出しそうになるほど滑稽だったのと同時に>>続きを読む

村と戦争(1995年製作の映画)

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人は老いると、生きざまみたいなものが多かれ少なかれ顔に出るなぁと感じた。いつか読んだ岡潔か誰かの教育を論じたエッセイに「最近の若者は顔つきが変わった」みたいなことが書いてあって、多少そうかもしれんけど>>続きを読む

就職戦線異状なし(1991年製作の映画)

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(駄作だとかという意味ではなく、内容や作りからして)織田裕二がもう還暦まであと数年という今日にもなってまだ上映されるような映画ではないのだが、たまたま映画館で観る機会を得た。しかしそのようにアウトオブ>>続きを読む

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

曲がりくねった丘の小道を、家々の間を、人々の間を日が暮れるまで駆け回る少年の間抜けさと心もとなさ、愚直さが、はかなくて愛おしい。
終盤道案内を申し出た老人は、まさに間抜けさの尊さを証すようであった。
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