中庭さんの映画レビュー・感想・評価

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伊藤潤二 恐怖collection 「首吊り気球」(2000年製作の映画)

2.2

このレビューはネタバレを含みます

夜景をバックに真上へ浮かび上がる首吊り死体。今作三話目にしてこの緩い派手さが大いに気を引く。この世の終わりとは、スッカスカの電子音楽と高校生の安い恋愛模様を携えてやってくる。「白石コーチ」が白石晃士に>>続きを読む

伊藤潤二 恐怖collection 「屋根裏の長い髪」(2000年製作の映画)

2.6

不特定多数の女と付き合っていることが一発で判る、不倫中のこうちゃんが別の女にかける電話のシーン。効率的な演出。走り去る車を見送る女の黒髪が、背中越しに傘の内側から垂れ下がる。アルバムを眺めながら本気で>>続きを読む

伊藤潤二 恐怖collection 「悪魔の理論」(2000年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

たまたま発見の清水崇作品。校外の様子がうかがえない保健室で、女子学生が手にした背表紙の真っ黒な一冊の本。照明操作など、特筆して焦点化されるわけでもないのにこの禍々しき存在感。一人目が飛び降りた瞬間の、>>続きを読む

メーヌ・オセアン 4Kレストア(1985年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

お堅い検札係があそこまで自惚れて家族を棄てかねないところまで振り回される大詐欺のことなんか、酔っ払った夜のだらだらした奇跡的な興奮の余韻にすぎず、ただいつもの日常に帰るためだけに舟を乗り継ぐ大冒険が始>>続きを読む

トルテュ島の遭難者たち 4Kレストア(1976年製作の映画)

4.8

やっと到着したらしき島の前で上陸する、しないで揉め、荷物を棄てる、棄てないで揉め、先に岸辺に着いた二人は舟の様子を何となく眺め、日が暮れていく。暗闇の中をあてもなく歩き出す旅団一行の行く末は製作陣と共>>続きを読む

こっくりさん 日本版(2004年製作の映画)

2.6

このレビューはネタバレを含みます

何度見返しても滅亡エンドのイメージが記憶からいなくなる!のに、ところどころ現れる凶悪なイメージが全て強烈に脳裏に焼き付く。教室の不穏な集団の気配なんて、どうやって演出出来たのか。肉の小窓に押し込まれる>>続きを読む

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

ルパート・グリントもっとスクリーンで見たい。せっかく粗暴な役だったのに退場早かった。スプリット以降のシャマランは硬い、逆転しない。

別れる決心(2022年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

タン・ウェイ、都市部から離れた魔性の魅力。物語が流暢に語られることを横目に、最後まで服を脱がないこの女優の内面的な艶めかしさに意識が飛びそうになる。あんな消え去り方ありえるのか。もしかしたら男は最後女>>続きを読む

search/#サーチ2(2023年製作の映画)

1.6

このレビューはネタバレを含みます

遠隔代行サービスのおじさんがただの良いおじさんというオチに時代の空気を見い出そうとするなど。

Pearl パール(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

タイ・ウェストの映画で一番しっくりきた。オーディションの過酷なイメージはやり過ぎだと思うが、映写室の情事から実家の農場での殺害に至るまでの搾取男殺しの自然な過程の見せ方もグッとくるし、その後訪れるあの>>続きを読む

ハート・オブ・ストーン(2023年製作の映画)

1.6

雪山滑走チェイス、飛行船爆破の大ぶりアクション、ガル・ガドットが美麗にこなしてくれる。実はB級アクションノリがハマる肉体派女優の逸材?もしかして周知の事実なのか。

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

1.5

一昔前のセカイ系なんて言葉を引けるような家族の物語だが、舞城王太郎の作る個人対世界の設定の方が納得がいく。娘が結局家から出られていないと感じさせる陰鬱さも残す。魚肉ソーセージみたいな指を持つ者同士のロ>>続きを読む

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

3.2

『クライマックス』の時もそうだったと記憶しているが、ギャスパー・ノエは子供の撮り方が上手いと思う。おもちゃの車同士をクラッシュさせる遊びで議論の場が硬直するあの瞬間、どうやって演出したのだろう。夫の喘>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.2

茂助と曽呂利の顛末のだらっとした追い方、物語全体のリズムの外し方、男色の露悪的な用い方など、非常に挑発的で特殊な時代劇のスタイルの再構築。オープニングの川原に横たわる首なし死体の映り、素晴らしかった。

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

首吊られて死なない、ってのは本当に清々しい。老兵は死なずの意味を大胆に塗り替える暴力の映画。大ぶりのナイフが頭に横からぶっ刺さるショットとか、爽快さがえぐみを上回る場面ばかり。水中から殺しにかかるシー>>続きを読む

こいびとのみつけかた(2023年製作の映画)

3.3

役柄に診断名をつけないこと自体、作り手の確固たる意志がうかがえる。二人が出会い、仲睦まじく対話を繰り返しながらも奇妙にみえる行動をとり続け、周囲の心優しい他者たちの反応も映ることで緊張感のある画面が持>>続きを読む

まなみ100%(2023年製作の映画)

3.6

10代からの十年間の時間の重みと軽さの抽出。主人公のあらゆる行動を理解することは難しいが、一つひとつにもちろん胸騒ぎがする。明確な理由なんて検討もつかない。シーンとシーンの間の空白の期間こそ大事。

オクス駅お化け(2022年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

キム・ボラがいつも不安げな顔した与田ちゃんみたい。攻撃的なのか保守的か判らない曖昧で魅惑的な目つき。まるで社内で孤立したOLがあくまで仕事の出来で憎き上司を完膚なきまで叩きのめしたかのような爽やかなパ>>続きを読む

忌怪島/きかいじま(2023年製作の映画)

1.7

このレビューはネタバレを含みます

村、島シリーズでは今のところ『樹海村』が一番好き。VRの映像が映し出されるラボ内のスクリーンから水が噴き出してくる想像をしてたら、『学校の怪談3』の世界地図から溢れる海水を想起。ホラー映画で平岡祐太が>>続きを読む

(2023年製作の映画)

2.4

ベネディクト・カンバーバッチをベッド上で硬直させるためにこの原作選ばれたんじゃないの、とか言いたくなる。横顔の厚さ、目の薄さ、体躯の長さなど全身のあらゆるパーツが笑いを誘う。

ネズミ捕りの男(2023年製作の映画)

2.6

短編4作の中で一番、演出の肉抜きが徹底されている。ほぼ骨格のみで全体を繋げ合わせたような映画の語りに容赦ない速度のカッティングがスリリングだし、レイフ・ファインズの突拍子もない動き(静止含め)が輪をか>>続きを読む

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

シリーズを重ねるごとに上映時間が短くなる殺人鬼股旅人情物語なんて素晴らしいじゃないですか。館内に転がるマフィアの死体(戦闘はすでにほぼ終わっている)を映すだけで彼自身の戦闘能力を説明するのも見事に簡潔>>続きを読む

バビロン(2021年製作の映画)

1.9

このレビューはネタバレを含みます

冒頭から始まる狂乱の宴は、マーゴット・ロビーがいなければとてもあの長尺見続けるのは耐えられなかった。最も面白かったのは地下施設の地獄模様。吸血鬼のようなメイクのトビー・マグワイアが案内人となり、生命の>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

2.4

育児と夫、穏やかでない家庭内の状況をフェアに映す俯瞰的な演出が素晴らしい。休日の意味する重みが違う。彼女たちには常に時間がないため、丁寧に執念深くアプローチすることの覚悟が効率よく仕事が出来ていると思>>続きを読む

リゾートバイト(2023年製作の映画)

1.9

このレビューはネタバレを含みます

八尺様が空に消えるところ、スケールがデカすぎて呆気にとられる。やり切った。あの笑えないオチがあるかないかで印象だいぶ変わるだろう。

ニッポンの大家族 Saiko! The Large family 放送禁止 劇場版(2009年製作の映画)

2.2

アップルちゃんが家に帰ってから一気に家族たちが胡散臭くなる。幼い子供たちが思いがけず自然な被写体としてカメラに映ってくれていて、楽しく見てしまった。高名なドキュメンタリー作家の荒れ狂う家族との距離のと>>続きを読む

水は海に向かって流れる(2023年製作の映画)

1.5

広瀬すずの当たり役を探す旅に出ようと決心させられた。『先生!』、『ネメシス』は好ましく見た。『チア☆ダン』や『SUNNY』、『一度死んでみた』も見たい。シリアスな作品、役柄にハマる印象に乏しい。岩井俊>>続きを読む

ホーンテッドマンション(2023年製作の映画)

2.3

はったりで亡霊と対峙するオーウェン・ウィルソン大好き。『マリー・ミー』見たときも思ったけど、大味の娯楽映画にこれからもどんどん出てほしい。

白鳥(2023年製作の映画)

3.2

ネトフリの短編シリーズの中で一番好き。ウェス・アンダーソンの暴力演出は簡単に人が見捨てられて死に、誰もそれを引きずらない残酷さという印象があるため見ていてやけに焦れた。縦構図、奥行きの終着点から横移動>>続きを読む

べネシアフレニア(2021年製作の映画)

1.8

このレビューはネタバレを含みます

水上タクシーでの殺人はめちゃくちゃ流麗で呆気にとられるほど巧い。思わず笑ってしまうような鈍さというか、テーマで色んな人を騙しつつジャンルものの面白さを追求する一面もあるため、ホラーとして怖さのバランス>>続きを読む

放課後アングラーライフ(2023年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

まるぴ良いですね、大好きな人物像。めざし役のヒロインが城定作品の常連に見えるほどハマっていたと思う。釣具屋に居る西村知美見て嬉しくなったら宇野祥平が惚れてるらしいと。たまらなかった。

デスパレート・ラン(2021年製作の映画)

2.2

ナオミ・ワッツの一人芝居、顔面の動きのしなやかさに見惚れるのはもちろんのこと、ロケーションがほぼ森の中で恐ろしく景色が変わらないという状況設定が物語に対し誠実さを訴える。

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

3.0

『バードマン』のオープニングみたいなジャケット。ベネディクト・カンバーバッチの身体のシャープな輪郭が、ほぼ直角で動き回るカメラのフレームに巧くハマり続ける。いよいよ縦構図でずんずん歩行。内面的な語りに>>続きを読む

稀人(まれびと)(2004年製作の映画)

2.6

モザイクで覆われた眼球潰しが処理を外した同じ映像の繰り返しであらわに映し出される。陰惨な事件現場の数々の、粗い画質のVがどれもいけてる。抑揚を殺した塚本晋也の神経症的な一人語りが、台詞も相まって大変魅>>続きを読む

学校の怪談 呪いの言霊(2014年製作の映画)

2.2

保健室。カーテンを開けて、ラックにかけられた白衣残しで先生の不在が示されるショット、端的な表現で怖かった。後ほど別のシーンで保健室全体が俯瞰で映されても白衣が何者かの存在感をアピールする。これをシリー>>続きを読む

狂覗(2017年製作の映画)

2.4

一見して派手な見た目に対し、カット割りや語りが流暢、役者の演技も徹底して幅を狭めて統一感を生んでいる印象。
「どんな生徒なんですか?」不可視化された未成年の犯罪容疑者たち(E.T.の逆)を持ち物だけで
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