中庭さんの映画レビュー・感想・評価 - 37ページ目

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ジュラシック・パーク(1993年製作の映画)

3.8

弁護士が食い殺されるシーン、直前のトイレが倒壊するくだりなど間抜けに作ってあって、笑いが起きてもおかしくない一瞬のタイミングに、確信的に、最も有名なあの残虐の瞬間が訪れる。しかも登場人物たちは、誰一人>>続きを読む

未知との遭遇(1977年製作の映画)

3.7

オリジナル版をBlu-rayで鑑賞。スピルバーグの映画で、主人公が離れた場所からある現場を目撃する際には決まって悪いことが起きるが、そのモチーフの先駆けとなるこの作品では、儀式めいたことは始まるものの>>続きを読む

ペイルライダー(1985年製作の映画)

3.9

イーストウッドの、敵味方問わず社会的マイノリティに向けられる優しい眼差しに不気味さを覚える(大男の微笑みは何だったのか)。六人の部下たちを、カメラアイと見事な共犯関係をもって、決して正々堂々とは映らな>>続きを読む

激突!(1971年製作の映画)

3.0

レストランで疑心暗鬼に駆られるシーンの、代わる代わる顔を上げるカウンターに座る男たちの機械的な動作が印象に残る。蛇の入った籠を破壊しながらトラクターが同心円状を回り続け、段々と暴力性を増していくように>>続きを読む

赤ちゃん教育(1938年製作の映画)

3.8

一向に進展しないディナーのシークエンス。キャサリン・ヘプバーンとケイリー・グラントは常に会話の外部へまなざしを向けており、矢継ぎ早に立ち上がっては戻り、座る。しまいには全員が野外へ飛び出してしまい、物>>続きを読む

フューリー(2014年製作の映画)

1.6

フューリー内部の構造上、狭い空間内で仲間たちの位置と動きを視覚化させてみせるのはかなり困難な作業だったに違いない。スポーツ動画の選手密着カメラのように設置された各担当機が写し取る彼らの顔面が、同じ構図>>続きを読む

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国(2008年製作の映画)

2.8

CG表現の進化に伴い、インディを筆頭とするキャラクターたちの魅力的な身体の運動性が、まるで逆説的に、視覚的に失われてしまう。猿と共に蔦を伝って追いつくシーンや見るからに合成を用いた「危険じゃない」崖際>>続きを読む

ミュンヘン(2005年製作の映画)

4.3

発端となるテロ事件の回想シーンの導入の仕方が、複雑な構成に拍車をかける。
いずれも主人公が目撃していない情景であるにも関わらず、旅客機に搭乗した後主人公の顔をパンして過ぎ去り窓の向こうを見つめてからの
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インディ・ジョーンズ/最後の聖戦(1989年製作の映画)

3.7

戦車一機をこれでもかと使い尽くすあの攻防戦!
操縦席の内部と外部をカメラは何度も往復し、三日月の崖が迫りくるまで安定したスリルが続く。
キャタピラに巻き込まれかけ身体をがたがたと震わすショーン・コネリ
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アウトロー(2012年製作の映画)

2.1

カッティングの細かさに頼らず、街の静けさと暗さを巧みにモンタージュして作られた緩やかなカーチェイス。
浴室での混戦や終盤手渡されるたった一本のナイフ等、ナンセンスな笑いのバランスが不気味。

丹下左膳餘話 百萬兩の壺(1935年製作の映画)

3.5

射的場で、画面左から男が構える矢の軌道を前景と後景で挟むようにして会話を続けようとする男と女の構図が印象に残る。
望遠鏡(の視野)が壺を視界から外してしまったことで、金魚釣りをする浮気中の男女を発見し
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メン・イン・キャット(2016年製作の映画)

2.5

CGを使うと、むしろ猫の身体の発する運動性が極端に損なわれるのだが、それに無自覚に作られた作品であるとは思えなかった。
ケビン・スペイシーの声が付加されて感情を伴わされる猫、人間のような表情が付加され
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みかんの丘(2013年製作の映画)

2.8

主人公の老人の手や目線のクローズアップはなく、お茶を淹れる仕草自体はほとんど特権化されない。唯一、オープニング含め二度スクリーンいっぱいに映し出される「棺」を作る手の動きも、決して長くはもたず、感情の>>続きを読む

インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(1984年製作の映画)

3.3

インディ一行が敵集団の様子を陰から見守ると、必ず悲劇的なことが起こり、挙句それと同じ状況に自らが追い込まれる。画面や演出は相似の流れを繰り返し、インディたちがどのように事前に提示された定形の運動を変化>>続きを読む

女教師 童貞狩り(1976年製作の映画)

2.4

ゲレンデで生徒たちと追いかけっこをするシーンで、捕まった直後に雪の斜面を一団でずり落ちていくショットがあるのだが、これがまた目を見張る躍動感に満ちていて印象深い。
ゲレンデに着いて以降、衝撃の全裸リフ
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レイダース/失われたアーク《聖櫃》(1981年製作の映画)

3.5

シリーズを通して繰り返し登場する数あるモチーフの中で、第一作において特に印象的なのは、壁面に写るインディアナの輪郭のざらついた影分身。序盤のバーでの混戦から堪能できる。影の形をわざわざ明瞭にするため、>>続きを読む

東京暗黒街・竹の家(1955年製作の映画)

3.3

やけに印象に残っているのが、銭湯?の事務所に設置された赤黄その他原色の電球が点滅する謎の電子版。
クライマックスの銃撃戦は皆沈黙をきめ、銃声と悲鳴、アトラクションの稼動音だけが響く。

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち(2015年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

偏執的なまでに、目玉の映画的なガジェットとしての機能に執着している映画で、日本を含めた各国の宣伝スチールからそれが駆逐されている状況が愉快なほど。子供の目を食べにやってくる、超人になりきれなかった盲目>>続きを読む

アワーミュージック(2004年製作の映画)

3.5

女が夢想した地獄の、氾濫したイメージへ堕ちてしまうことのないように、という祈りが及ぼす、天国の創造とはいかなるものだったか。静かな小川を警備する兵士たちと、それを尻目に歩く女の終わらない思索。

モアナと伝説の海(2016年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

おばあちゃんが息を引き取る瞬間に、その建物から島を出て海まで躍り出るエイの姿の霊性に鳥肌が立つ。導き手として、これほどダイナミックな登場もなかなかない。
個人的には、もっと大量の船が画面を埋め尽くすよ
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ネオン・デーモン(2016年製作の映画)

2.4

感情剥き出しの周囲に対し、エル・ファニングの存在をいかに漂白していくかに全てを賭ける二時間弱。もはや彼女の口から紡がれる言葉の中にも真意が見えなくなり雲の上へと飛翔する直前。彼女は人間的身体へと破滅的>>続きを読む

エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に(2015年製作の映画)

4.0

娯楽の範疇にあるユース・ムービーに見せかけ、壮大かつ複雑な諸テーマを内包する映画。登場人物たちの持つ無数の思想や観念は次々と死んでいくのに対し、外面的な人間の関係は一つも崩れ去ることがなく、常に優しい>>続きを読む

ドクター・ストレンジ(2016年製作の映画)

1.8

図書館の書物を、ベネディクト・カンバーバッチのものらしき手が宙から突然現れてひょいひょいと盗んでいくコメディの演出がやけに古典的で、好みだった。後ろを向いている隙に目の前の本をも奪ってしまうというオチ>>続きを読む

ブレア・ウィッチ(2016年製作の映画)

2.0

テントが上空へ吹っ飛んでいくところ、ドローンの映像が絶望を知らせるところ、廃屋が現れるシーンの雨の量(この建物の美術の完成度!)、地下室の「もぐらの穴」、窓枠に打ち付けられた板の隙間からこぼれる強い光>>続きを読む

スパイ・ゲーム(2001年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

はじめから終りまで狭苦しい、活劇的な面白さを脱臼させられた空間の中で心理戦・情報戦を繰り広げたロバート・レッドフォードが、どうやら全てを捨てたらしく(資産や栄光という視えない情報)、それによってかつて>>続きを読む

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)

1.4

このレビューはネタバレを含みます

後半の戦闘シーンにおける、双軍の位置関係や空間把握の映像的処理が不安定に感じられた。戦地に残りいわば隠密行動で負傷兵を救い続けるアンドリュー・ガーフィールドの位置を日本軍が「越えて」崖側の方へ行ってし>>続きを読む

ザ・ファン(1996年製作の映画)

3.6

プライベートビーチで、ロバート・デ・ニーロが上着を脱ぐ瞬間以降の二人の距離感の空間的処理。ロング・ショットで実際の距離を見せることはせず、淡々と、ウェズリー・スナイプスが家に逃げ込むまでひたすら、追う>>続きを読む

デジャヴ(2006年製作の映画)

3.7

人間の視野の限界を翻弄する、双眼分離のカーチェイスが抜群に面白かった。遠隔操作のオフボイスやトニー・スコット得意の高速カッティングも状況把握を妨げる共犯に加わる。

(秘)色情めす市場(1974年製作の映画)

3.8

記録性に満ちたドヤ街(釜ヶ崎)の煩雑な表象と、女優たちの身体の強靭さの対比。それと相反するように頼りなく揺れるラブドールの頭部から目が離せない。

ドミノ(2005年製作の映画)

3.8

高層地帯とエレベーターの空間的関係を周到に活用したクライマックスの立ち回りが最高。

アフター・アース(2013年製作の映画)

2.0

序盤に最も息子を苦しめたあのヒルのような悍ましさを持つ「未知」の外敵が、もっと登場してほしかった。星が人類を殺しにかかる、って演出のみをより鋭敏にしていたら、物語の矮小さもこれほど身勝手な方向に浮き彫>>続きを読む

アンダー・ザ・スキン 種の捕食(2013年製作の映画)

2.3

前半の、執拗に繰り返される捕食のシーンが、少しずつ変化していくリズム。
男を誘惑しながら文字通り「後退」していくスカーレット・ヨハンソンの体の妙に硬さのある不自然な動きに注目(終盤に内部から現れる本体
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ハタリ!(1962年製作の映画)

4.0

猿を捕獲する装置の成功っぷりと、その記録性!固定されたショット内を多数の人間と動物たちが駆け回るあの至高の瞬間を、いつかスクリーンで目にしたい。

マイ・ボディガード(2004年製作の映画)

4.0

ラストシーンのなんでもないような橋の位置と、犯人組織・デンゼルワシントン・母のこれしかないという空間的対置。拳銃の音を恐れるな、という台詞を何度も思い出す。

ファウンド(2012年製作の映画)

2.8

こんなに悪趣味な映画内映画の用い方も珍しい。あまりに唐突な切株ホラー描写と、善悪の彼岸に立つ少年のマージナルな視線の切り返しが見事だった。

少女(2016年製作の映画)

1.0

どの作品でもそうなのだが、女優としての本田翼には、まるで奇跡のような瞬間がある。
今作では、病棟の男の子二人と陽の当たるベランダ場所で戯れるシーンで発するとある台詞の抑揚の強引さに心を奪われるものがあ
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