中庭さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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境界カメラ3(2019年製作の映画)

1.6

このレビューはネタバレを含みます

今まさにカメラに映るナリモトの現実感のなさに感心する。ここまでの演出の上手さと、ナリモト演じる役者の自己表現の巧みさ。

クレイジー・ドライブ(2014年製作の映画)

3.5

主人公の身に同時多発的に起こる不幸の数々は、あまりに容赦なくて笑えるものの、軽く受け流すには文化的な耐性が必要。ふるいにかけられる恐ろしき笑い。ジョー・カーナハンのシリアスさはコメディある無しに関わら>>続きを読む

ザ・グレイ 凍える太陽(2012年製作の映画)

4.0

非常に過酷な遭難サバイバル。登場人物は男たちのみ。過酷さに反するかのやうに、犠牲者たちは笑えるほど運が悪く(としか言いようがない)、ごく小さな差によって生死の境を超越し、たまたま死んでいく。生存を諦め>>続きを読む

書かれた顔 4Kレストア版(1995年製作の映画)

3.8

夢幻の移ろい、あまりに官能的な劇中劇、場踊りの記録の一回性、極まったショットの連続に座席で気を失いかける。色の配置や紙吹雪の光の反射。

HERO(2007年製作の映画)

2.2

木村拓哉の名演歴にて個人的ベスト、今作のクライマックスの法廷闘争のシークェンス。敵方の誠実さと主人公の戦闘の型が噛み合うことで、決して奇跡など期待せず、順当に証拠を提示し、名もなき一人の人間の人生を歴>>続きを読む

HERO(2015年製作の映画)

1.8

このレビューはネタバレを含みます

月9ドラマの劇場版で、主人公とヒロインを長年演じる俳優がそれぞれのキャラクターの「素」なるものを模索しながら相対してふいに戸惑う時間の一瞬の持続をクライマックスに持ってくる、メロドラマのオチに配置する>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

ミシェル・ウィリアムズのヘッドライト越しの官能的なダンスシーンを美しく思えるか否か。いじめっ子を格好良く、かつ果てしなく即物的に映し出すことで存在自認を揺らがせる、しかも周りにばれないようにという攻め>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

『グレート・ウォリアーズ』と同じく戦略的にペストが利用される、熱く胸騒ぎのする展開。大変痛快。キリストの映像の表象としても大胆な発想を見られる。教会と身投げの新たなイメージ。

境界カメラ2(2019年製作の映画)

1.6

このレビューはネタバレを含みます

界隈のファンにとってすでに有名なスタッフ=タレントを使って、非常に歪なフィクションの構造が模索されている作品という印象。ニコ生文化を通るか通らないかで、このプロジェクトのタイム感の受け取り方は大いに変>>続きを読む

境界カメラ(2018年製作の映画)

1.8

このレビューはネタバレを含みます

ふゆふきうどんが画面に登場して衝撃を受けた。

愛人契約 エクスタシーの女(2019年製作の映画)

1.8

このレビューはネタバレを含みます

冒頭、グリフィスの言葉の引用がある。感覚的に、カットはそれぞれ長め。絡み後に先に着替えを終えた女を鏡で写しながら、男がスーツを着終えるまで長回しで見せるショットがある。
フィルムのリール音?に聞こえる
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

IMAX、3D上映にて鑑賞。生まれて初めての鑑賞体験であったことに間違いない。スクリーンに映し出されたものの質感、奥行きの表現、驚くほどシンプルなシナリオ、ここぞの場面で挿入される古典的なアメリカ映画>>続きを読む

ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

1.6

このレビューはネタバレを含みます

この設定でこれだけの役者が揃いつつ、全然登場人物が死なない、退場しない潔さというものもあるかと興味深く拝見。

哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)

2.5

市街の狂乱が主人公男女に迫り来る序盤、鋏の閉じる、閉じないで指先が取り返しのつかない状況になりかねない、あの非常にすばやく想像できる痛々しい演出が、映画の見事な開幕を飾る。残酷な暴力描写が畳みかけるに>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.9

何はともかく雄弁な、車椅子に余力なく座り病院の廊下の奥へと去り行く三浦友和の背中。目は合わせず、全身鏡越しに岸井ゆきのと二人で打ち合いをするあの素晴らしい時間、律儀な沈黙と浅い呼吸がかけがえのない鋭く>>続きを読む

スランバーランド(2022年製作の映画)

2.3

ベッドが脚を伸ばしてマンションの高い階からヒロインを乗せたまま外に飛び出すイマジネーションにほのかに興奮。喪の経験を想像力で良くも悪くも飛び越えようとしてしまう子供を映画で見せられると、問答無用で一旦>>続きを読む

来る(2018年製作の映画)

1.3

このレビューはネタバレを含みます

見どころは妻夫木演じる共感性の欠落した空っぽの父親像。非常に優れた自己演出。存在の悲しみが深く、映画的に酷く魅力的に映ったが、画面全体のけばけばしさ、色味の統一のなさに耐えられる上映時間ではなかった。

アンビュランス(2022年製作の映画)

1.7

ぶっ飛び切っていた『6アンダーグラウンド』に比べたらやけに利口な映画に感じた。子供を貫いた鉄骨の救急対応でメインキャラクターを紹介するところはさすが。ジェームズ・ガンの方が人間的に思えてくる。

KIMI サイバー・トラップ(2022年製作の映画)

3.7

規模感好き。広場恐怖症や殺し屋の登場なんて設定にあっさり説得力を持たせる堅実な演出。助けに来た彼が緩慢にダメージを受けていくところも良い。

チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ー(2020年製作の映画)

2.5

映像効果の技術をとことん使ってごまかされる当事者たちの顔。この不定の顔つきに宿る強烈な個の尊厳。絶望的なチャレンジ、恐れ入る。世界には凄まじい仕事があることを知れる。

マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル(2022年製作の映画)

2.8

クリスマスのハリウッドのセレブエリアで大暴れするガーディアンズ。対応に追われた警官たちはたまたま死んでないだけ。空虚な死の笑いは短編でも健在で良い。これ以上ないスペシャルゲスト。

グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

3.5

デヴィッド・ロウリーの映画で一番遊びも多いんじゃないかと思う。広大な荒野を背景に馬に跨る主人公の姿を正面から捉える時間の長さや、骸骨変化からのちょっとタンマ!戻り、色彩の後処理等々、一度の鑑賞で楽しみ>>続きを読む

幽霊ゾンビ(2007年製作の映画)

2.3

ゾンビが肉体を持たない幽霊の傍を通り過ぎていく。青春とメロドラマの擦り切れそうな安っぽさが地獄のリアリティを増長する。ロッチのくだらなさ、柳ユーレイの存在感、パンク野郎の英字プリントTが語る田舎の時間>>続きを読む

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

2.1

このレビューはネタバレを含みます

オープニングの軍服リサイクル動画は狙いが窮屈すぎるように感じてしまった。オリジナル未見で、終盤の展開も何故?と納得が追い付かず。不思議と鮮烈に脳裏に焼き付く戦場のイメージというものがない。

カモン カモン(2021年製作の映画)

3.0

ホアキン・フェニックスと歩き、話す子供はまるで子供以外の何者かであるかのように錯覚される。ホアキン・フェニックス自身がこれまで語りそびれた、語り足りなかった人たちが何人も生き写しになって映っているかの>>続きを読む

バーバリアン(2022年製作の映画)

1.6

このレビューはネタバレを含みます

あの親猫みたいな落下アクションは厳しかった。
朝起きたら実は町の風景が終わってた、の発想は好き。
育児ビデオをおぞましく扱うには、もう一捻ったヤバさがあってもいいように感じた。乳首に弁のついた針の構造
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ゴヤの名画と優しい泥棒(2020年製作の映画)

3.1

ロンドン市街を捉えた映像アーカイブにチャーミングに合成された老人の男性。彼を主人公としたマーシャルの遺作は、悉く端正なカッティングが連続し流暢に機能するささやかな良作。
犯罪契機が突発的、何の困難もな
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

1.6

このレビューはネタバレを含みます

柄本佑、最後ガッツポーズとか止めてくれって祈って見てたら、それを上回る喜びの表現で呆気にとられた。
尾野真千子への求婚の流れ、結構マズイと思ったけど批判的に言及されたりしてるんだろうか。

チェルノブイリ1986(2020年製作の映画)

1.7

あくまで表面的な言い方としての「政治性」を廃し、個人の決断が世界を変える、メロドラマの引力で物語を先導させるが、それがかえって事態の政治的な歪みを巻き取り歴史の再現性の困難さを強調、得体の知れない禍々>>続きを読む

20世紀のキミ(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

こんなん優勝。
湧き上がったものは言葉にしないまま大事にとっときたくなるが、
最後のビデオに映り込んだ背景の異界っぷりには注目していただきたい。
明らかにこの世が映っていないし、映画のジャンル性を内側
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

2.9

ヤンが鏡に映る自分を見つめている姿を、ヤン自身の視線の記憶を通じて眼差す手持ちショットが何度か登場する。いずれのヤンも無表情であるが、計算された画角やカメラの震えを介し、静かに混乱した内面性を伝えてく>>続きを読む

いつか、いつも……いつまでも。(2022年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

リュミエールのホース遊びや、『ダゲレオタイプの女』以来の垂直階段落ちもおがめる。登場人物たちは一見饒舌にみえて、実はなかなかコミュニケーションとしては言葉を用いようとしていない。この過酷さが少しずつ物>>続きを読む

ブロンド(2022年製作の映画)

1.4

モノクロの画面に「俳優養成所」だなんて侘しい字幕が出て、いかにも精神分裂症患者を演じるアナ・デ・アルマス(対象者以外をぼやかすなどあまりに固定的な表現)がどこからともなく現れ実体の分からぬ施設に行き着>>続きを読む

ヒッチ・ハイカー(1953年製作の映画)

3.5

メキシコ人が経営する食料雑貨店でポケットの中から銃を突き付けられた状態で調達を強いられるシークェンスの、二重の意味において言語行為を封じられ展開され行く視線の応酬。妻に嘘をついて始まった旅は、男の凶悪>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

2.4

このレビューはネタバレを含みます

新幹線が大脱線した後の車内のスローモーションのシーンを見て、明らかにラインを大跨ぎしたことを表明してくれるので、もう言うことなし。五重の塔に突っ込んでくれてもよかった。
タンジェリンのふるまい、色気に
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ユンボギの日記(1965年製作の映画)

2.7

ユンボギという名の主体が写真を重ねて分裂、増幅しては、困難な問いの非単純化に加担していく過程が、我々観客の眼差しを通して進行形で生み出されている。韓国の少年、といった言葉に凝集される被支配的なイメージ>>続きを読む