中庭さんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

中庭

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狂った一頁(1926年製作の映画)

2.3

母親を自覚しているらしい狂乱の女が、排水口に泣き喚く赤ん坊のまん丸な顔を重ねるオーバーラップのイメージを見て、背筋に寒気が走る。
カッティングが異様に速く荒々しいため、凶暴で決定的なショットはいつも一
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レッドソニア(1985年製作の映画)

3.1

ソニアが女戦士としての力を授かる契機となる導入。陰惨な語りはほんの数分に省略され、断片的なイメージが提示される。このさっぱりとした迫力が凄い(直後始まるオープニングクレジットでシュワちゃんが馬で荒野を>>続きを読む

キャプチャー: バッタ(2017年製作の映画)

1.6

殺害の瞬間は意外と潔い。グラフィックのチープさまで演出として、チャプターの配置まで練られているとしたら非常に厄介。

グダニスク(2017年製作の映画)

1.7

不思議と、PSなどのゲーム内で見られるグラフィック、ムービーで繰り広げられる残虐な処刑シーンを目にしたときのような空虚さを感じない。カメラワークか。

アダム:エピソード3(2017年製作の映画)

2.0

機械が生命体として命を失う瞬間という古典的なSF映画の先鋭の演出。このデモの切り売りは向こうでは主流のやり方なんだろうか。案外楽しめてる自分もいる。

アダム:エピソード2(2017年製作の映画)

2.0

肉体へカメラを向けることの神秘を軽んじず、機械の生命体を人間らしく作り、撮る。ゼメキスがアニメーション表現へ歩み寄った際の態度とは異なっているように思える。

融合体(2017年製作の映画)

3.2

スケッチの範疇を遥かに越えて、物語の骨格はこれまでにないほどくっきりと見えているように感じられる。ダコタ・ファニングのSFでの起用が嬉しい。

神の戯れ: 現代/原始(2017年製作の映画)

2.5

都市の高層ビルの非情な戯れはシナリオ上、だいぶ攻めるなと感心した。テロや災害の歴史と人々の持つ映像的な記憶を多分に逆撫でる。この感覚を持つ作家をアメリカ映画産業界から簡単に逃さないでほしい。

密林の悪魔(2017年製作の映画)

2.6

ベトナム戦の最中に正体不明の強靭な怪物が現れ、戦況を覆すような殺戮を始めたら。小さなアイディアに見える投げかけが、国家間の普遍的な権力構造の問題を浮き彫りにする。とにかくあのボディ、かっこ良すぎる。

ラッカ(2017年製作の映画)

3.2

初めて『宇宙戦争』を見たときの興奮が甦った。長編化が叶えば、あの陰惨さを超えられるかも。

無頼の谷(1952年製作の映画)

3.3

保安官の騎馬隊がチャカラックを奇襲するとき、馬たちは渇いた嘶きと共に夜を駆けてくる。月に青白く照らされた雲が美しく壮大に頭上を覆う。
夜の闇を撮るためのくっきりとした陰影、M・ディートリッヒの顔面を切
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レディ・イヴ(1941年製作の映画)

3.7

頬を擦り合わせ、ままならない愛の理想像を語ること出会ったばかりの男と女。話は思いの外長く続き、男は香水に酔っているか、はたまた女の色香に酔っているか判然とせぬ表情を浮かべる。
蛇に向けられた女の悲鳴が
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クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

話の途中で時間切れとでも言いたげにイーストウッドが眠るとスクリーンは暗転し、場面転換かと待っていると同じ場所で物語が再開される。一体何が行われた処理なのか、映画を考える頭のキャパシティをぽんと超えられ>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

2.3

このレビューはネタバレを含みます

トム・ホランド版ピーター・パーカーは友人、知人関係が広くて明るい。人種の多様さも見過ごせない。課外旅行が物語のメインとなるシリーズ作があるほど。性に未熟であるが故の失敗や、他人を巻き込む人生の決断、選>>続きを読む

災厄の街(2006年製作の映画)

3.2

フーパー後期に位置付けられるのか。食卓の唐突な崩壊、その速さ、けたたましさに心底恐れ入る。血みどろの災いは一瞬で過ぎ去り、街には呪いの余韻が何年も続き、人々の表情を暗く陰惨なものへ変えている。親玉の呆>>続きを読む

マスターズ・オブ・ホラー 恐1グランプリ ダンス・オブ・ザ・デッド/ヘッケルの死霊(2005年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

「ダンス・オブ・ザ・デッド」
弛緩し切ったディストピアにおいて身体の停止=死を遅延され続ける生ける屍たち。家族を奪還することは、安らかな死を奪取することと同義になる。

「ヘッケルの死霊」
死姦オチが
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弟とアンドロイドと僕(2020年製作の映画)

3.6

廃病院へ向かう途すがら何度か登場する、画面手前を屈折点としてカメラがポジショニングされたゆるやかなL字道路。既視感を覚え、鑑賞後に思い出したのは『コッポラと胡蝶の夢』の、微妙に高低差のついたUターンを>>続きを読む

エッグシェルズ(原題)(1969年製作の映画)

2.4

身の入らない会話劇を若者たちの顔のアップで繋ぎ、日常会話の記録のような温度で撮ったかと思えば、突如画角や切り返しが明確に定まっているらしい台詞のかけ合いが始まったり、コマ送りの技法を多用して時間を超越>>続きを読む

(1990年製作の映画)

2.2

年とってから見返して、第7話と第8話の構造がそっくりなことに気付いた。寺尾聰と男性老人二人の会話劇。第7話は長回しのアプローチ。
第2話、第4話の画面いっぱいに写る人間じゃない者たちの段の並び、隊列を
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4番目の男(1979年製作の映画)

2.6

このレビューはネタバレを含みます

序盤から、髭が剃れないほど手が震え、暴力衝動を内に秘めているらしきバイセクシュアルの男のやけに粗暴で自己勝手な言動が目を引く。オープニングから数カット目には、何気なく性器のアップも提示されてしまう。>>続きを読む

女体銃 ガン・ウーマン GUN WOMAN(2013年製作の映画)

3.4

亜紗美が訓練を経ても尚無駄口を叩かず、寡黙にただ一つの一瞬の使命を目標に、全身で映画的な生を輝かせる。出血多量の22分間を、視覚を通じて身体へ追体験させるあの謎すぎる実験の荒唐無稽さ、他の映画でそうそ>>続きを読む

KARATE KILL/カラテ・キル(2016年製作の映画)

2.9

トラックの荷台の中で空手VS殺人剣のくだり、参りましたと言いたくなるほど血がたぎる。横揺れの狭い箱の中で行われる死闘ってのは善いものだ。
光武印のアメリカ人武装手下連中、今作も女のキャラクターが良い役
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もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)

2.3

作中の矛盾や疑問がより一層噴出するきっかけとなる、路面店のアイスクリーム屋の静かな混乱が秀逸だった。何層もの人生、それも主人公以外の時間なども全てがあの空間に折り重ねられていて、唯一視線の切り返しが有>>続きを読む

アメリカン・ナイトメア(2000年製作の映画)

2.8

トビー・フーパー、クローネンバーグの二人が喋っているところを見るためにレンタル。カーペンターはライブ映像など動いている場面を見る機会は多い。歴史的に残酷なフッテージの数々が、映画職人たちの脳裏に何を植>>続きを読む

マニアック・ドライバー(2021年製作の映画)

3.4

強烈な照明に当てられた佐山愛の肉体美は凄まじいものがあった。女優の肉体が美しければ美しいほど、死を迎える演出の瞬間の視覚的快楽のほとばしりが際立つ。全裸のヘルメット男のテカテカのルックスといい、劇場の>>続きを読む

マルチプル・マニアックス(1970年製作の映画)

3.0

レイプに代表される極悪非道な行為の数々が、何度も緩やかに遅延して終わりが見えないまま繋げられていく。喘ぎ声や叫び声がシークェンスをまたぎ響き続けるような印象がある。これがあまりにも無残で笑える。テント>>続きを読む

レッド・ノーティス(2021年製作の映画)

2.6

あの『スカイスクレイパー』の監督作だったとは。巨大なシリーズものとなる予感あり、この全体を通した潔い軽さは心地良い。ガル・ガドットのハリウッドでの使われ方に一貫性が出てきた。

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男(2019年製作の映画)

4.2

オープニングの薄暗さの中の奥行き、光の揺れは劇場でしか味わえない原初的な美しさがあった。何気ない掴みでこの完成度。上手い。2021年の年末に劇場鑑賞された映画でダントツ。

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

1.4

このレビューはネタバレを含みます

アリアナ・グランデとケイト・ブランシェットの器のデカさに拍手。文字通り主役級の俳優たちの実に知的な立ち回りも堪能出来た。ただ、ここまで主題の熱量と距離を置く演出をとるならば、地球が破壊される以上の後ろ>>続きを読む

キングスマン:ファースト・エージェント(2020年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

ラスプーチンと前戯寸前までほとばしるレイフ・ファインズに笑った。戦争の歴史と映画ジャンルの美学をコケにするような企みを垣間見て、全くでたらめで劇場で居心地の悪ささえ感じたあの2作目を理解する手がかりを>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

2.7

第2話が好み。会話のかけ違いで生じる緊張感が一番心地良かった。ヒロインの朗読の声が素晴らしかった。オチもあれぐらい一線越えられた方が楽しい。第3話で重要な役割を果たした仙台のペデストリアン・デッキに個>>続きを読む

戦慄の絆(1988年製作の映画)

3.4

AとBの対比で物語構造を追っていると知らず知らずのうちに認識を転覆させられてしまう外しの快感に貫かれた、デヴィッド・クローネンバーグのボディ・ホラー群。実は代表作と呼んで差し支えないような破滅的な一本>>続きを読む

フラワーズ・オブ・シャンハイ(1998年製作の映画)

3.8

延々繰り返される他愛ないお遊戯と小競り合い。部屋中に満たされる香りまで伝わってくるような画面の湿り気。一向に室内から外へ出る気のないカメラ。隣の部屋を覗くときの野蛮な映像に足下をすくわれた。

るろうに剣心 最終章 The Beginning(2021年製作の映画)

1.6

シリーズ中、本作が異質であることを示すために、血まみれの殺陣が繰り広げられる。あのすばやさ、打撃系のアクションが刀傷のイメージと重さを伴うと、想像以上にインパクトがあることに驚く。

死霊館(2013年製作の映画)

2.8

椅子に括られた人間が椅子ごと浮かび上がって悪魔の呪詛を唱える。ステディカメラがそのまま一周出来るような、動線のぽっかり空いた一軒家はこれ以降ワンのホラー映画にほぼ毎回登場。泣叫び走り回る被害者家族たち>>続きを読む

光に叛く者(1931年製作の映画)

3.7

「ランチ215」のメッセージが口頭のほか、囚人間で、指で砂に書いた文字や壁の落書きを用いて交わされる。
主役がメアリーへ愛情を伝え1週間の外出へ見送る際に、機関車が画面奥からゆっくり手前へ近付いてくる
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