PERSPECTIVEさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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マレーナ(2000年製作の映画)

3.8

昔サークルの説明会に来た中国人の留学生曰く、ニューシネマパラダイスよりもジュゼッペ・トルナトーレといえばこっちなのだそう。でもあんなエグイシーンばっかの映画がそもそもまともな形で公開されたんだろうかね>>続きを読む

第十一号監房の暴動(1954年製作の映画)

4.8

さながら導火線を隠されたダイナマイトに囲まれているかのように、突発的かつ大破壊的なアクションにタイミングも掴めずひたすら遭遇し続ける至上の快感。これを観たいと5年以上待ち望んだ甲斐はあったというもの。>>続きを読む

燃える平原児(1960年製作の映画)

4.9

ノルマでもあるんかといわんばかりに冒頭7,8分プレスリーの歌を一気に出して観客を和ませて、それ以降は暴力をぶち込みまくるという心折設計が光る。当時のプレスリーファンはどれほど絶望したことやら。

普通
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殺人捜査線(1958年製作の映画)

5.0

開幕20秒で2人の人間をあそこまで鮮やかに殺してみせる映画が他にあったら教えてほしい。

後に「夜の大捜査線」や「タワーリングインフェルノ」など多層的な人間ドラマを数多く作る脚本家だけあってどの登場人
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殺し屋ネルソン(1957年製作の映画)

4.8

雷のような突発性と破壊力を兼ね備えた暴力のつるべ打ちが、強引に物語を作り上げ、見るものを次なるショットを待ち望むことしかできなくさせてしまう。

階段の銃撃など明らかに非効率的なのに病的に映していく姿
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中国決死行(1953年製作の映画)

3.8

明らかに最後撮影しきれてずに終わらせた感丸出しのやっつけぶりを除けば典型的なドン・シーゲル映画。王道を行っているようで個性を見せまくる職人の技が光る。

戦場未経験の上官がベテランの主人公より有能なの
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抜き射ち二挺拳銃(1952年製作の映画)

4.5

カラーの西部劇でありながら、それまで撮ってきたモノクロの現代劇よりもフィルムノワールしてるのはこれいかに。

善悪関係なくとにかく存在感がすごい女性キャラや、銃撃戦における上下関係の重視はこの辺から顕
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仮面の報酬(1949年製作の映画)

3.8

捕まった俳優を保釈するためにでっちあげたという、映画になりそうな話から生まれたB級映画。

メキシコの荒野を車で突っ走る爽快感と、脚本その場で作ってるんか?と突っ込みたくなる行き当たりばったり感は昔ず
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暗闇の秘密(1949年製作の映画)

4.0

冒頭の見事な長回しからサスペンス映画を期待すれば、さまざまな話が泡のごとく出ては消え、最終的には王道のラブストーリーに帰結する奇妙すぎる一品。それぞれの演出が上手い分どこに視点を据えるべきかわからず混>>続きを読む

ビッグ・ボウの殺人(1946年製作の映画)

4.6

ジャンルこそミステリーものだが

銃撃シーンのカメラワークの異常なまでの流麗ぶり
目的達成のために自分の破滅すら厭わないクレイジーな主人公

というドン・シーゲルの映画たる骨格はこの時点で完成されてい
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グランド・キャニオンの対決(1959年製作の映画)

3.5

横長の画面で車が横方向に爆走した瞬間にシネマスコープの正しい使い方を学ぶ。

空撮のぜいたくさにヒロインの衣装の鮮やかさ、そして早すぎるPOVショットなど魅力的なものはあるにはあったがやはりドン・シー
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ボディ・スナッチャー/恐怖の街(1956年製作の映画)

4.8

人が別のものに入れ替わるというSFホラーの典型的な事象を、狂気が正気に、正気が狂気にすり替えられる不条理な暴力として徹底的にスクリーンにたたきつけることで、こちらを統合失調的な感覚に陥りかねないほどの>>続きを読む

クリスマス・イン・コネチカット(1945年製作の映画)

4.5

※このレビューはDVDの映像特典である"Star In the Night"についてのものです。

出演:donald woods, J. Carrol Naish他
監督, 脚本:Donald S
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ラルジャン(1983年製作の映画)

5.0

ノイズを徹底的に排することで、究極のノイズを現出させる。まさに80年代のポストパンクと映画の偉大なる結婚である。

善悪のベクトルはなく、絶対的に巨大なアクションと、それを受容する空間が固く存在する。
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たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

4.2

...ひょっとしてそれはギャグで言っているのか?

無菌室的な厳粛さを極めた映像に突然ぶち込まれる公害問題の生々しさは真顔でおやじギャグを言っているような滑稽さしか生んでおらず、本作をサスペンスフルな
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湖のランスロ(1974年製作の映画)

4.7

時計の針のごとく規則的に鳴る金属音、待ち構えることなど決してできない死の重み。どんなに回りくどく避けようとしても刻一刻と迫り来る。

そして目覚ましのごとく唐突に訪れたその光景がどことなくジョン・フォ
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ジャンヌ・ダルク裁判(1962年製作の映画)

4.6

静なる動。

徹底した節制によって与えられる平凡さが、ラストショットの美しさを立ちすくむほどの神々しさへと変貌させる。

異常さを以て神に近づくのではなく、むしろありのままを貫くことでその神聖さを示す
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

4.3

動なる静。

クローズアップをゴリゴリに極めたショットは聞こえないはずの音を生み出し、人間の単純なやり取りから非人間的な凄みを引き出す。

全てが実在している要素から、なぜここまで異常な空間が出来上が
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カモン カモン(2021年製作の映画)

3.8

繰り返される都会のショットや希望的な言葉たちは主人公達の存在を逆説的にあぶりだし、笑えるぐらいどうしようもなくそれでいて身に覚えがありすぎる不器用なコミュニケーションの数々を高純度で見せつけてくれる。>>続きを読む

PLAN 75(2022年製作の映画)

3.2

タイトルロールまでで最も実現してもらいたくなかった現実を予言してしまってどうなることかと思ってしまったが、結局は杞憂に終わった。これが幸か不幸かは正直よくわからない。

あえて死の存在が希薄なまま淡々
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私をくいとめて(2020年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

兎にも角にも女優のんのパワーを堪能する映画。

楽しさ寂しさ哀しさを全力で画面に叩きつけ、それが笑いとシリアスの緩急自在な演出で見せつけられればもうぐうの音も出すことができない。

とりわけ橋本愛との
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さかなのこ(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

「さかなクンのテンションを再現できるのはのんと山寺宏一ぐらいだ。」と日々思っていた自分としては今回のキャスティングは実に正しいものであり、大きな期待をもって公開日に馳せ参じたわけであるが、結局魚のエグ>>続きを読む

サマリタン(2022年製作の映画)

-

スタローンの吹替は玄田哲章であることだけ明記しておきます。

アパッチ砦(1948年製作の映画)

5.0

反戦でありつつも反兵隊(反人間)ではないドラマの良質さに関しては私ごときが言うまでもないが、静と動の音遣いが完璧なアクションとで食いつぶしあってないバランスの匙加減が猛烈に素晴らしい。頑迷なイメージが>>続きを読む

アイアン・ホース(1924年製作の映画)

4.8

この映画の主役は鉄道であり線路であり写されている空間そのものなのだ。主人公の人間ドラマすらこれらの前ではただの枝葉の1つとなってしまう。
そんな異常事態を平然とゴリ押す圧倒的パワーと狂気、面白い以上に
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若き日のリンカン(1939年製作の映画)

4.0

「牛泥棒」「間違われた男」「十二人の怒れる男」と続くヘンリー・フォンダの冤罪サーガ第1弾(勝手に言ってるだけ)。

祭りのテンションがそのまま私刑につながるような群衆の雰囲気とヘンリー・フォンダのカリ
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戦争と母性(1933年製作の映画)

5.0

人間の美しさを描きとおすためすべての醜さを受け入れる。この矛盾を実現する寛大さと残酷さこそジョン・フォードの神髄と見つけたり。

誉の名手(1917年製作の映画)

4.5

西部劇末期の傑作「天国の門」で強烈なインパクトを残した周回する銃撃戦がすでにこの時点で行われていたという衝撃。酒場の2階からの脱出やヒロインの醜さで主人公が改心するのは「許されざる者」の原型か?

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気狂いピエロ 2Kレストア版(1965年製作の映画)

3.8

そんな好きでもないし嫌いでもないロックバンドのライブに参加する感覚。
ノれるときはとことんノり、わからん時は寝るに限る。

面白い映画を見ているのではなく、ただこの色褪せぬエネルギーを味あわずにはいら
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山椒大夫(1954年製作の映画)

4.8

雨月物語の悪魔的な長回しがない代わりに一片の隙もない画の暴力に襲われる。何を映せば何を思うかを完全にコントロールされるという恐怖と快感。

勝手にしやがれ 4Kレストア版(1960年製作の映画)

4.2

4Kの傷ひとつない高画質でジーン・セバーグの美しさを堪能する。
これ以上の愉しみを見出してなるものか。

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.8

ナイアガラーの端くれとしてエルヴィスを観ようとした矢先、シネフィルの後輩から「なんでプレスリーの音楽を劇場で聴く必要があるんですか」「PTAの最高傑作でしたから見てくださいよぉ」と脅迫され泣く泣く観賞>>続きを読む

鉄男 TETSUO(1989年製作の映画)

4.6

内から飛び出すクローネンバーグ。外から飛んでくる鉄男。
真逆だけれどもNEW WORLDまっしぐらな空間づくりと怯えあがるほど惜しみない純愛ぶりは全く同じ。

見ていて楽し、聞いてて楽し。最高に幸せな
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クラッシュ(1996年製作の映画)

5.0

車や異常性癖といったキーワードが並ぶためかのチタンと比較されがちなこの映画ですが、映画としてはこちらの方がはるかに良いといわざるを得ない。

始めから終わりまでまともなシーンなんて存在しないが、クロー
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クローネンバーグの ファイヤーボール(1978年製作の映画)

3.7

クローネンバーグ博士特有の我々の正気を覆す展開こそありませんが、車の動きやエンジン音、そしてドライバーと一体化したかのような映像の流れなどは話の面白く無さを余裕で打破する狂気に満ち溢れております。これ>>続きを読む

TITANE/チタン(2021年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

狂人の真似をする凡人程痛々しいものはない。がなりたてる声がただただ大きいだけ

過激な設定に覆い隠された「変化」や「受容」などシンプルな人間ドラマに見ごたえはなくはなかったが、いかんせんそこに至るまで
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