Ninicoさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密(2012年製作の映画)

4.3

ゴミ溜めみたいな環境でセックスワークに従事する女性の話だが、この映画ではきれいなものと可愛いもの、美しいものが沢山観られる。
子犬スターレットを探し回るお婆ちゃんの必死さ、不器用さ。パリ行きを説得する
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LIFE!(2013年製作の映画)

3.5

昔自分が勤めていた出版社で担当していた雑誌が廃刊になるのを経験したことがある。
ゼロ年代、ファッション誌は軒並みオンラインに移行するか、広告枠を増やして商品並みの付録をつけることがデフォルトになってい
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ヘルムート・ニュートンと12人の女たち(2020年製作の映画)

4.2

「形を撮っているんだ。モデルの顔や、胸や脚を撮っている。魂なんてよしてくれ。」

極めてファッションフォトグラファーらしい発言である。
しかしヘルムート・ニュートンがモデルや洋服の表層を美しく描き取る
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

3.8

男前二人が主演のタランティーノ映画。
パルプフィクションと比較してどっちが好きかっていうと、パルプフィクション。
デスプルーフと比較してどっちが良いかっていうとこっち。(ワンス・アポン・アタイム・イン
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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

3.7

今40付近で、東京で育っていれば90年代のストリートカルチャーが如何に特別なものだったか肌で知ってるはず。
リアルタイムでハーモニー・コリンのKIDSもガンモもVHS買ってたし、マークゴンザレスのアー
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コンフィデンスマンJP プリンセス編(2020年製作の映画)

3.5

映画の構造は去年の作品を踏襲してはいるものの、今作で取り扱っているテーマが美しすぎて4場面くらいで泣かされた。
こっくり(関水渚)の存在感も良い。毎度本当に良い役者を連れてくるものだ。
長澤まさみも、
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WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

クリス・カニンガムやミシェル・ゴンドリーの上質なミュージックビデオに感銘を受けて育った世代としては、
この「WAVES」で見られる音と映像を同期させる試みや、アブストラクトで実験的な(と昔は言われがち
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ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)

3.6

旅先で立ち寄った酒場で会話した夫婦が、しれっと「私はゼルダ」「僕はスコット。スコットフィッツジェラルド」って名乗ったらどうします?

しかも、思い描いていた華やかで知的なあのフィッツジェラルド夫婦その
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.6

 彼らは仲間で一つで、『私』が無い。
憑依するように隣の仲間の感情を吸い取る。
子孫繁栄のために外部の人間をコミューンに取り込むが、精子を奪ったらあとは用無し。
独自のロジックでコミューンのために仲間
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.8

ショッキングな描写が多く一緒に見る相手を選ぶ。(子供には見せたくない)
それでも、この映画は面白いから興行収入が30億を超えた。
私も、久し振りに一瞬も退屈せず最後まで映画に集中できた。

一見韓国の
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コンフィデンスマンJP ロマンス編(2019年製作の映画)

3.6

教訓と驚嘆に満ちた大作。
老若男女問わず、どんな趣味嗜好の人も暗い気持ちを払拭してくれる痛快な演出が効いていて、詐欺師ものとはいえ、ずっと心に残る映画かもしれません。
娯楽とはかくあるべき。

映画好
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ファースト・マン(2018年製作の映画)

3.7

「セッション」も「ラ・ラ・ランド」も、監督が1つのテーマに対して偏執的な拘りを見せて丁寧に作り込んでいる感じがとても好きで、そういう監督の最新作ということで期待半分、不安半分で観てみた。

ある程度予
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ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.0

映画館で観れば強靭な音楽体験ができる緻密な演出、役者の演技力、ふっきれた脚本…無骨で力強く無駄がない完成度。
基本的にはロック嫌いで、ジャズとクラブ音楽好きの私でもかなり楽しめました。

音楽スターサ
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BPM ビート・パー・ミニット(2017年製作の映画)

3.6

エイズ感染者の団体の物語。
私はクラブミュージックが好きで、クラブと密接な関係にあったゲイカルチャーにはある程度理解があるつもりで挑んだが、ゲイカップルの恋愛と反差別運動のディスカッションを軸に進めら
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ジャッキー ファーストレディ 最後の使命(2016年製作の映画)

4.2

脚本、演技共に掛け値無しの最高クオリティ。
短期間の物語を控えめなカメラで淡々と描いているのに、物凄いエネルギーと感情の機微を気迫迫る表現で伝えるのが台詞と音楽と顔。凄いの一言。

夫の死を目の当たり
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ドライヴ(2011年製作の映画)

3.6

演出も画作りも洒落ているし、ライアン・ゴズリングの顔は相変わらず甘いし全体的にシックで良いのだけど、曲ダサくない?

この良い塩梅に錆び切って消費された時代のテクノ…ダサくない?

それが気になって集
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ヒッチコック/トリュフォー(2015年製作の映画)

3.5

大学の授業中みたいな気分で鑑賞できました。
ある程度ヒッチコック映画を観たなら特に新しい気づきはないかもしれないけど、動くヒッチコックの姿や肉声が神々しかったり、ウェスアンダーソンが男前だったり、書籍
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ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ(2015年製作の映画)

4.4

米文学の黄金期における敏腕編集者と天才作家トーマス・ウルフの物語。
フィッツジェラルドを担当した編集者の話と聞いて前々から観たかった作品だったが、期待以上の良作。
アメリカ文学とジャズの関係について論
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ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

4.7

音楽好きアラサー女にとっては、最高に素敵な映画だった。
とことん偏執的にミュージカルを創り上げた監督の手腕と、女優の80'sダンスの魅力、テーマの深さに脱帽。

長回しへの執着もハリウッド古典を観てき
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アズミ・ハルコは行方不明(2016年製作の映画)

3.1

原作読後すぐに映画化を知り、やっと観ることができた。
ジェンダー論を極めて身近なモチーフで描いた小説という印象を持っていたが、
この映画はあれこれと映画的試みを詰め込み過ぎてやや散漫な印象。しかしなが
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ベルリン コーリング(原題)(2008年製作の映画)

3.3

ベルリンのテクノ産業とクラブシーンはそのうち文化遺産に登録されてもおかしくないほど、唯一無二なものであると私は思う。
DJとオーディエンスの双方からのダンスミュージックに対するストイックな情熱によって
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ブルーに生まれついて(2015年製作の映画)

4.4

メタドンをとるかヘロインをとるか。
脆弱で甘えたな天才肌の色男というイメージのチェットベイカーを渋み2割増しで見事に表現したイーサン・ホークに敬礼せざるを得ない映画。
彼女との睦言シーンも映像も美しい
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リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年製作の映画)

4.3

岩井節全開です。

主人公の結婚生活の舞台であるマンションの家具と道具たちが素敵です。

流されまくる主人公に苛つきながらも、その生き様さえ美しく思えたり、感情移入できるのは、私にもああいう依存的本能
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シーモアさんと、大人のための人生入門(2014年製作の映画)

3.8

一人の生活が大好きで、一人の時間がないと嫌だというシーモアさんの言葉からは、不思議と寂しさを感じませんでした。
ピアノと向き合い音楽を愛することで自身の人生を愛したシーモアさんのことがとっても好きにな
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